トランプ次期大統領と石破首相の関係は?新政権発足で日本への影響はどうなるか
インターネットやSNSで世界中の情報がリアルタイムで手に入る時代、オンライン会議で日本はもちろん、海外のどこにいてもコミュニケーションできるのが当たり前となった。ビジネスパーソンなら海外のビジネス関係のニュースも押さえておきたい。
そこで、各国の情勢に精通しているピエール・パパンさんに、米大統領選挙で当選したトランプ氏が新大統領になることの日本への影響について解説してもらった(以下、ピエール・パパンさんの寄稿)。
第2次トランプ政権発足で関税が壁に
世界中が注目する米大統領選挙が実施された結果、共和党候補のトランプ氏がハリス副大統領に勝利した。事前の世論調査結果では両者の支持率は拮抗し、稀に見る大接戦になると予測されていたが、いざ開票箱を開けたらトランプ氏の圧勝だった。
勝敗を分けたのは、ペンシルベニアやウィスコンシン、ジョージアなどの激戦7州でトランプ氏が圧倒的勝利を収めたことだが、第2次トランプ政権が発足することで日本との関係はどうなって行くのか。
まず、日本企業は関税という壁にぶつかることになる。トランプ氏は選挙戦の最中から、大統領に返り咲けば外国製品に対する関税を10%から20%引き上げると主張しており、これは来年1月の政権発足以降に実施されることになる。
同盟関係にある日本だけ非関税になるなどの特例措置は考えないほうがいい。これによって、米国にモノを輸出する企業は関税の壁に直面することになる。また、トランプ氏はメキシコからの輸入車には100%、200%の関税をかけるとも豪語しており、メキシコで自動車を製造して米国で売る日本の大手自動車メーカーは難題に直面することになる。
日本を標的にした貿易制裁はない
一方、トランプ氏になったからといって、日本に対して高関税を仕掛けるわけではない。トランプ氏が最も敵対姿勢を鮮明にしているのは中国であり、中国製品に対する関税は一律60%に引き上げると主張している。その中国に対抗する上で米国にとって日本は重要なパートナーであり、トランプ氏が日本を標的にした貿易制裁などを発動することはなく、基本的には日本と良好な関係を維持しようとするだろう。
日本人の中には、トランプ政権になったら日本の景気が悪くなると思っていた人もいるだろうが、それはあまり気にする必要はないだろう。
トランプ氏にとっては「外交もひとつの商取引」
ただ、問題もある。トランプ氏は不動産王で典型的なビジネスマンであり、外交もひとつの商取引と考える。要は、「私があなたのためにやったんだから、あなたも何か私のためにやれ」「サービスに対してはお金を払え」といったスタンスである。
日本との関係においては、「米国が日本を守っているんだから、日本は米国産の最新鋭の戦闘機を買え」「米軍の駐留費をもっと払え」などと追求してくると予想されることから、今の石破総理が、それにうまく対応できるかが懸念されている。
また、トランプ氏はゴルフが大好きで、ゴルフを通じて親睦を深めることを重視しており、前政権では安倍元総理と共通の趣味を通じて友情関係を築いたことから、日米関係は良かった。しかし、石破氏は特別ゴルフ通ではないので、トランプ氏の親友になれないのではと専門家の間では心配の声も聞かれる。要は、トランプ氏とお友達になることが今の日本には必要な状況なのだ。