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Weekend In 心は L.A.

音楽と楽器、そして海外に

 

ブリスベーン旅行記(4) 最終日、二度目のカフェ "Raphael's"

出張に休暇を付け足して生み出した「疑似1人旅」はわずか3日、今日で終わり。
幸い飛行機は夕方発で、飛行場も近いので、今日も午後まで時間がある。
近くのサウスブリスベーン駅からは、北に南に何本かの路線が通っている。
昨日、ゴールドコーストまで南行き列車に乗ったので、今日は北行き列車に乗って海辺を歩いてみよう。


ShornCliffe Pedestrian         2013.5

終着駅は、ShornCliffeという海の近くにある駅で、周囲は木々の緑に囲まれている。駅前の車寄せスペースから道を渡ると、もうそこは1軒家。1軒のゆったりとした敷地は、いかにもオーストラリア。

ともかく海に出てみよう。太陽のある北に向かって歩けば海に出られるはずだ。
こういう時は、東西南北、自分がどちらに向いているかという感覚が結構役にたつ。
しばらく歩くと下り坂になり海辺に出た。

ブリスベーンから10km位しか離れていないのに、はるか向こうまで自然海岸が続いている。浜辺を歩いて行くと、目の前に犬の散歩をさせている男性がいた。時々この砂浜を散歩しているのだろうか。


The Man And Wanko 2013.5

「地元の方ですか?」
「時々、ワンコノ△△ト、コノ海岸ヲサンポスルノサ。」
「仕事カイ?遊ビカイ?」
「仕事でブリスベーンに来て、終わったので2、3日ぶらぶらです。」
「日本に来たことはありますか。」
「ナイナ。コノ海ノ向コウニ、アルンダヨナ。」
「小さな国だけど、美しい国ですよ。いつか来て下さい。」
「コノワンコト、一緒ニ行ケレバイイノニナ。」

そんな話をしながら、砂浜をしばらく一緒に歩いた。
今でこそ、海外で、特に1人の時は現地の人に話しかけるようにしてますが、その時は、今日初めて会って、もう2度と会わない人と話をしている自分が不思議でした。


The Dowse Lagoon 2013.5

海から少し入って内陸に向かってみる。海岸沿いの、良質な住宅地という感じ。真昼間の住宅地なので歩いている人もちらほら。ところどころに家が建っている。ほんとうにいいところだな。こんなところに住んでいたら人間、穏やかになるよ。住宅地を抜けると、林と沼が現れる。ラグーンという湿地帯らしい。

当時は、スマホのグーグルマップもないので、ほぼ地図無で歩く。
太陽と海岸の向きからみて、西に向かえば駅があるはずなので、そこで昼食にしようか。
小1時間、自然の中を歩くと建物が少し多くなってきて、ついに丘の向こうに駅が見えてきた。
さすがに駅の近くには、色々なお店が並んでいる。


The Cafe Raphael's 2013.5

地元のカフェに入る。実は、このお店、2度目。
数日前、まだ出張の仕事日、たまたま昼間スケジュールが空いたので1人でふらりと電車にのり、このカフェに入り昼食をとった。また来ようと思ったわけではないが、このことがあったので無意識にこの路線に乗ったのかも。たまたま入ったとしか言いようが無いお店なのに、また来てしまった。

ドアを開けて少しだけおしゃれな店内に入る。昼時でも5,6人しかいない小さな店。おそらく夫婦でやっている店で、奥様と思われる女性がオーダーをとりに来た。もちろん数日前と同じ女性。
まさか自分が覚えられているなんてことはないだろう、と思いつつオーダーすると、
「Oh! コナイダノ人ネ!」ニコッと笑ってくれた。

覚えていてくれたのか。こんなことが意味もなく嬉しかった。よく考えれば、オーストラリアの郊外の街に、見慣れぬアジア人が来ることなどまずないので印象にあったのか。


I'm happy to meet with you again. 2013.5

「日本から仕事でブリスベーンに1週間ほど来ているんです。」
「日本カラナンテ、珍シイワネ。」
「海岸を散歩していて、このお店のランチが美味しかったのでまた来たんです。」
「ウレシイワ。イツマデイルノ?」
「実は、今日の夜便で帰国なんです。」
「マア、ナンテコト!」

オーダーのついでの会話でした。
記念に2人で写真を撮ったのが、ブリスベーン最後の思い出となり、生まれて初めてのパックツアーでない3日間はこうして終わった。


Somewhere in ShornCliffe 2013.5

ブリスベーンなんて観光的には無名の都市ですが、1人で過ごしたこの数日は不思議と印象に残っている。何が面白かったんだ、と言われたら返す言葉はありませんが。

1人でダウンタウンを歩きまわり、地元のスーパーで買い物。季節外れのゴールドコーストに行き、オーストラリアの人さえ知らないような砂浜を歩き、郊外のカフェで昼食を2回。ただそれだけ。

でも2人と話した言葉は、今でも記憶にあるし、景色は焼きついている。
それまでは、旅行とは目的地があって、それを見に行くものだと思い込んでいた。
世界遺産なんて無くても、記憶に残る旅行になるんだ。

海外の旅が楽しいと思う原点は、間違いなく6年前のこの数日にありました‥‥‥(完)

(今回は短かったですが、旅行記にお付き合いありがとうございました。)

ブリスベーン旅行記(3)  季節外れのゴールドコースト

前回、出張が終わって1人になった後の計画は考えてこなかったと書きましたが、たった1つ、日本で準備してきたことがありました。それはブリスベーンからゴールドコーストに日帰りで行ってみること。
ハワイのワイキキ海岸と並ぶ世界的に有名なビーチリゾートのゴールドコースト、ここまで来たのなら是非見てみたい。

ブリスベーンからゴールドコーストへの行き方など、どのガイドブックにも載っていないのでネットを検索したところ、あるブログに載っていました。こんなことまで調べられるかと驚き、感謝。


Southbound Train 2013.5

ホテル近くのサウスブリスベーン駅で、8:31発の南行き列車に乗る。
ゴールドコースト駅はないので、降りる駅を間違えないようにしないと。

Robina 駅で降りると、何もない駅前にいくつかの路線バス停が並んでいた。一応、○●番バスなら近くを通る、という情報は収集してあったのですが、なにしろこんな旅行の仕方は初めて。自信皆無だったので、バスのドライバーにゴールドコースト近くを通るか聞くと、OKだとのこと。
バス会社の名前が「Surfside 社」って、いいなあ。

オフシーズンに路線バスで、ゴールドコーストに行く人などまずいない。数人を乗せたバスは、距離からみて20分位で目的のバス停に着くはずだ。バス停の名前は調べて来たけど、外国のバスの常としてバス停のアナウンスなどなし。大丈夫か?


No.759 Bus 2013.5

しかし心配は懸念に終わる。
何も無いところを走っていたバスの窓から、東の海岸沿いに、突如、数十階の超高層ビル(ホテル)が林立しているのが見えてきた。ワイキキのような大都市でないので、本当に1角だけがビル群だ。

この風景が見えた時は、なんだか感激しました。目的地に着けるというだけでこんなに嬉しいなんて、今まで感じたことがなかった。ロードムービーの一こまか。


City of Gold Coast 2013.5

直感で降りると予定の1つ前のバス停。そこから海岸に向かってひたすら東に歩く。
頼りは、昭文社の個人旅行ガイドブックの地図1枚だけ。
ゴールドコーストは海岸線が入り組んでいて、入り江が広がり別荘地になっています。
しばらく歩くと、その入り江を渡る橋にたどり着いた。
「ウェルカム、ゴールドコースト」という看板。ああ、ゴールドコーストに来たんだ。

ともかく海岸に出ようと、さらに東に歩くとやがて街並が切れ、海岸沿いの何もない道路に出た。
ポツンとライフセイバーの監視小屋が立っていました。
実は、それが本ブログのトップページ3枚目にある写真です。


Hotel "High Rise" 2013.5

超高層ホテルが林立している南に向かって歩くと、首の後ろがじりじりと陽で焼ける。そうか太陽は北にあるんだ。太陽の光は強いのでサングラスは必需品ですが、湿度は低く風も強いのでさわやか。

オフシーズンの海なので、人も車も少なく泳いでいる人もいない。というか、波が高くこんな海で泳げるのだろうか。世界的なサーファーのメッカというだけあって、この波はどう考えてもサーフィン向けだ。


Gate of Surfers Paradise 2013.5

ゴールドコーストで一番有名な場所、「サーファーズパラダイス」のゲートをくぐる。さすがに中心部のここまで来ると観光客らしき人もみかける。地元の人が多いみたいだけど。
真っ青な空に真っ白な砂は、さすが世界を代表するビーチ。

意外と浜辺が狭い。ワイキキのビーチも狭かったけど沢山の観光客がいた。今、ここのビーチには人がほとんどいない。たまにカップルか1人で日光浴をしているだけ。
湘南海岸を10月半ばの平日に歩いている感じ、といえばわかるでしょうか。


I took the lunch at the Kitty O'shea's. 2013.5

気が付くと13時を過ぎていた。街に入るとレストランやカフェが多く並んでいる。
とあるレストランに入って昼食を注文。お客はパラパラ。こんな落ち着いた昼食もいいよなと物思いにふけっていると、若い女性の店員さんが、隣のテーブルの食器を手を滑らせて床にぶちまけて派手に割る。この程度が、静かすぎなくていいか。

ショッピングセンターのようなところもあるのですが、ともかく人が少ない。季節外れの寂しさといってもいいかも。さらに、あちこちの道路を掘り返して工事をしている。オンシーズンになる10月までの半年で修繕しようということなのかな。ともかく、街中工事工事。


Everywhere's under construction 2013.5

お客のいないお店で、子供にお土産を1つ。そろそろ帰り道にしようかな。
1人での旅は、何の予定もないので、何をするにしても自分の判断だけだ。
来た時に歩いた道を、逆向きにバス道路まで歩く。
サウスブリスベーン駅に着いた頃には日が暮れていました。

この時までは、旅行といえばパックツアーでしか行ったことがありませんでした。
パンフレットからツアーを選んでお金を振り込めば、あとは旅行会社がすべてやってくれる。パックツアーだから、それなりの場所にそれなりの時期に行けそれなりに楽しめる。下手をすれば、食事の場所も指定されていて考える必要無。もちろんそれはそれで楽しめた。


Goodbye Gold Coast ! 2013.5

1人で来てみると、そのような予定調和はまったくなかった、当たり前だけど。
世界的な観光地も、観光客でごった返しているだけではないんだ、というのは新鮮な驚き。
オンシーズンの観光地が演劇の舞台上なら、オフシーズンの観光地は、演劇が終わって撤収している舞台裏のような感じ。

地元の子供が人気のない海岸で犬の散歩をしていたり、紙コップのコーヒー1杯でずっと海を眺めている老人とか。スケジュールの中で行動していたパックツアーと、時間の流れも見えるものも違う。

ツアーだと移動の時間などは必要悪で、うたた寝する程度の時間ですが、1人の旅となると、緊張の時間に180度変わる。目的地にはたして到着できるのか。保証はまったくない。帰りのバス停や無人駅で、いったいどのくらい待つのかもわからない。

その代わり、自転車を列車に持ち込んでいるグループが車掌と楽しそうに話したり、夕日に陰る林から湖が見えたりとか、ささいなことが不思議と記憶に残っている。


Return Back to the Brisbane 2013.5

寂しいのか楽しいのかよくわからないけど。

そうか、こんな旅の仕方もあったんだ‥‥‥

ブリスベーン旅行記(2)まずはダウンタウンに

いよいよ1人だけの日が始まった。
出張で来たので、仕事以外、どこに行くかまったく調べてこなかったし。

持ってきたガイドブックを開く。今は無き昭文社の「個人旅行 オーストラリア」。
内容は、歩き方シリーズをそのままコピーしているのじゃないの?という位歩き方シリーズと酷似。
これじゃ、いつの間にか無くなるのもしょうがないか。しかも、オーストラリア全体の本なので、ブリスベーンは地図を入れても16ページ。ホテルのページはまったく役たたないし。
ともかく観光地らしい観光地も無いので、まずダウンタウンに行ってみよう。


Walking in Brisbane as usual .2013.5

参考までに地図を自作してみました。
青星の泊まったホテルから北東に歩き、川を渡るとそこがダウンタウン。


Red Circle ; Down Town         Right Side of the River ; Sea 2013.5

業務都市なので、平日の朝、通勤途中のオフィスワーカーと一緒になる。
交差点の赤信号で街並の写真をとっていると、横目で怪訝そうな顔をされる。
そうだよな、日本で言えば、大手町か品川の通勤途中の交差点で、「今日も遅くなりそうだ、だるいな。」と思っていると、隣の外人がいつもの通勤路をパチパチ写真を取っているような感じなのだから。


City Hall   2013.5

ガイドブックに載っていたシティホールに行く。
ヨーロッパや旧英国植民地のシティホールは、大抵歴史的な立派な建物なのですが、ブリスベーンのシティホールも例に漏れず立派なものでした。

あたりを歩き回ると、昔ながらの建物のある旧市街地と高層ビルの新市街地が対象的でした。当時のメモも何も残っていないので、写真を見ても、どこかなんという建物かは今となってはわからないのですが。

いくら小さいダウンタウンといっても、すべてを徒歩で回れるほど小さくはない。バスに乗ってみよう。
今は、海外に行くと必ず公共交通機関に乗ることにしていますが、このブリスベーンが最初だったのか。
路線バスには、観光客はほとんど乗ってなく(ブリスベーンは観光客自体、ほとんどいませんが。)地元の人しか乗っていない。そこが面白い。


City Fixed-Route Bus   2013.5

国によって、路線バスの乗客層はかなり異なります。
アメリカのように、基本治安が悪く、貧富の差が大きな国では、平均以上の市民はほとんどバスに乗らず、自家用車かタクシーしか利用しません。日本よりタクシーは安いけど。バスには、貧困層と移民と(私のような)事情のわかってない観光客しか乗ってないというのが普通だったりします。(NYCは少し違うけど。)

この当時は、旅行慣れしていなかったので、そんなことまでわかりませんでしたが、今、写真を見ると、普通の市民が乗っている。やはりU.S.に比べて治安はいいのでしょう。


?    2013.5

ダウンタウンを歩き待っているうちにいつの間にか夜に。
6年前の旅行話しなので、うまく時間がつながりません。
ブリスベーンの数少ない観光資源の一つがブリスベーン川。ここに遊覧船が走っているということで、夜景を見に乗ることにしました。選んだコースは、地図でいうと、右上あたりのところから乗って、一番左(西)のあたりまで行って折り返すコース。ダウンタウンの周りをブリスベーン川が流れているので、船からの夜景が綺麗に見えるに違いない。このフェリーは、すべての桟橋で乗り降り自由なので、昼は市民の足にも使われているとか。


Bridge On The Brisbane River 2013.5

ライトアップされたブリッジと高層ビルが綺麗だなとのんびり揺られる。
南半球の5月だから、日本でいうと9月末くらいか。暑くもなく寒くもなく一番いい季節。

大声のフェリーの艦内放送が響く。やけにうるさいな、綺麗な夜景が台無しだよ、と思っていると、どうも普通の艦内放送ではない。怒っているようだ。気が付くとどこかの桟橋で停船している。この船、確かワンマン船で、キャプテンは女性だったはず。そのキャプテンの怒鳴り声が響く。どうも、高校生5人くらいの悪がきグループを怒っているようだ。

理由は今となっては思い出せないのですが、確か、船内で飲食禁止のところを、ハンバーガー食べながら大騒ぎしていたとかの類だったと思います。日本であれば、無賃乗船や喧嘩ならともかく、これくらいのことなら1回注意して、止めれば終りくらいのことでしょう。高校生も最初はニヤニヤしていたものの、その剣幕にひるんで大人しくなった。


New Area Of Down Town 2013.5

しかしキャプテンは許さない。一度、船のルールを破ったのだから、もうこの船に乗る権利はない。今すぐ下船せよと繰り返す。乗船客もみな高校生のことを見て、さすがに高校生達もシーンとなっている。
「直ちに下船せよ。それまでこの船は絶対に動かさない。多くのお客さんが迷惑しているんだ!」とそれは強い調子で怒鳴る。ついに高校生全員は下船し、船は出港した。ずいぶん長く感じたけど、実際は10分もなかったのか。

オーストラリアだから、外国だからということではないのかも知れませんが、綺麗な夜景と余りに対照的なこの出来事、今でもよく覚えています。

ルールを守れない人間は権利を剥奪されてもしょうがない、ということかな‥‥‥

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