ディープフェイク(偽情報)が日本企業をカモにする
今年1月の世界経済フォーラム(ダボス会議2024)において、企業における短期リスクランキングの第1位が「偽情報の蔓延」ということでして、ディープフェイクは今や世界的に重大な企業リスクと評価されています。とりわけ、本日(8月29日)の日経記事「ディープフェイク 国内で28倍に急増 崩れる日本語の壁」では、「生成AIを利用して偽の動画を作るディープフェイクによる詐欺被害のリスクが日本で急激に高まっている」と報じられており、日本では被害拡大のスピードがとても速いようです。
言語として難しいとされる日本語の壁を越えて、生成AIによるディープフェイクが日本にも大きな詐欺被害を及ぼしていることは驚きかもしれませんが、ただ生成AIが今後日本の企業文化を正しく学んだ場合、おそらく日本企業は偽情報によるカモにされるのではないでしょうか。
法務担当者が担当役員に新しいビジネスの提案をする場合(つまり私がビジネスを持ち掛ける場合ですが)、法務担当者がどんなに素晴らしいかを説明しても「他の会社では採用しているの?大手の法律事務所も推奨しているの?」とか「これまでの実績はどうなの?採用して結果は出ているの?」といった質問ばかりで、役員ご自身で素晴らしいかどうかを理解しようとはしません。つまり大きな企業の場合、とくに管理部門で役員にまでなれた人は減点主義をくぐり抜けて、責任を回避する能力に長けた人が多い。←まぁ、私自身もそのような「有事における責任転嫁への布石」を教示することで収入を得ているのであまり強くは言えませんが(#^.^#)。
そこで法務担当者には「他の会社でもやってますよ」「権威のある●●教授(●●弁護士でもよい)が推奨していますよ」と言って担当役員を説得することをお勧めしています。つまりリスク回避優先社会であるがゆえに、おそらく(いざという時に責任を転嫁する好材料として)ディープフェイクに飛びつくはずです。あの売上3兆円企業である天下の積水ハウス社だって、悲しいかな稚拙な偽情報を駆使した地面師に騙されたのです。「こうありたい!」と願う方向にフェイクニュースが飛び込んでくれば誰だって信じてしまう(信用できる正当な理由を考えついてしまう)のが日本の企業社会の性(さが)なわけでして、このあたりを生成AIが学習した暁にはとんでもない事件に御社も巻き込まれるかもしれません。