酸素中毒
人体にとって酸素は不可欠な気体だが、活性化した酸素は、量が多すぎると毒性を発揮する。大気中なら人体には活性化された酸素をじゅうぶん処理できる能力が備わっているが、酸素の分圧が上がる可能性のある水中では、酸素による中毒症状が現れることがある。通常、酸素の分圧が1気圧を超える空気を長時間呼吸すると酸素中毒の危険性があると考えられている。空気を使ってダイビングしたとき、酸素の分圧が1気圧を超える水深とは、およそ40m。スポーツダイバーが酸素中毒をさけるためには、水深の限界(39m)を守って潜水することだろう。酸素中毒の徴候としては、筋肉のけいれん、吐き気、幻覚や幻聴、呼吸困難、不安感や錯乱などが現れるが、深度を上げればもとに戻る。しかし、水中でこのような症状が起こり、急激に浮上するとエアエンボリズムや溺れの危険性がある。
酸素中毒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/03 06:24 UTC 版)
酸素中毒(さんそちゅうどく、oxygen intoxication[2]、または酸素毒性(英: oxygen toxicity)[注釈 1])とは、分圧が上昇した酸素分子(O2)を吸入することで生じる有害な生体への影響である。酸素は高等生物の生存に不可欠な物質[3]だが、高分圧では有毒となる。その影響は中枢神経系、肺、および目に最もよく見られ、重症の場合、細胞損傷が進行して死に至る可能性がある。歴史的に、中枢神経系の症状(脳酸素中毒)はポール・ベール効果、肺の症状(肺酸素中毒)はローレン・スミス効果と呼ばれ[4]、19世紀後半にそれらを発見して記述した研究者にちなんで名付けられたものである。酸素の発見は、1774年のイギリスのジョセフ・プリーストリーによるが、その後100年以上、その毒性が知られることは無かった。ただ、フランスのジュール・ベルヌはこの間、酸素の有害作用を主題とした短編SF小説を遺した(オクス博士の幻想)。
- 1 酸素中毒とは
- 2 酸素中毒の概要
酸素中毒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 03:35 UTC 版)
詳細は「酸素中毒」を参照 酸素ガスは高い分圧状態で痙攣症状などの酸素中毒を引き起こす場合がある。これは通常、大気の2.5倍の酸素分圧に相当する50 kPa以上であるときに起こる。そこで、標準気圧30 kPaの医療用酸素マスクは、酸素ガス比率を30 %に定めている。かつて未熟児用保育器の中は高い比率の酸素を含んだガスが使われていたが、視神経に悪影響を与える可能性が指摘されてからは用いられなくなった。 宇宙飛行などにおいて、アポロ計画では火災事故以前の初期段階で、また最新の宇宙服などにて比較的低圧で封じるため純酸素ガスが使用された。最新の宇宙服では、服内を0.3気圧程度まで減圧した純酸素で満たし、血液中の酸素分圧が上昇しない方法が取られている。 肺や中枢神経系に及ぼす酸素中毒は、深い水深へのスクーバダイビング(ディープダイビング)や送気式潜水でも起こる可能性がある。酸素分圧60 kPa以上の空気を長い時間呼吸していることは、恒久的な肺線維症に至ることがある。これがさらに高い160 kPa以上となると、ダイバーにとって致命的になる痙攣につながることもありうる。深刻な酸素中毒は、酸素比率21 %の空気を用いながら66 m以上潜水することで起こるが、同様のことは比率100 %の空気ならばわずか6 mの潜水で起こる。
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