てきよう‐じぎょうしょ〔‐ジゲフシヨ〕【適用事業所】
適用事業所(てきようじぎょうしょ)
適用事業所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 03:15 UTC 版)
加入は原則として事業所単位(本社・支社・工場など)で行われる。健康保険が適用となる事業所は、加入が義務付けられている事業所(強制適用事業所)と、厚生労働大臣の認可を受けて加入する事業所(任意適用事業所)がある。適用事業所は健康保険と厚生年金とで共通である。 強制適用事業所 国・地方公共団体・法人事業所(法人の種類は問わない)で、常時従業員を使用するもの(第3条3項2号) 個人事業所のうち、適用業種である事業の事業所で、かつ常時5人以上の従業員を使用する事業所(第3条3項1号)「5人」の算定に当たっては、被保険者となるべき者だけでなく、適用除外の規定によって被保険者とすることができない者であってもその事業所に常時使用されている者であればこれを算入する(昭和18年4月5日保発905号)。 任意適用事業所 強制適用事業所に該当しない事業所であって、任意適用の申請をし、厚生労働大臣の認可を受けた事業所(第31条)「強制適用事業所に該当しない事業所」とは、すなわち、個人事業所のうち、非適用業種(農林・水産・畜産業、理美容業、映画の製作その他興行の事業、接客娯楽業、法務の事業、宗教の事業、等々)の事業所、あるいは適用業種の事業所であっても常時5人未満の従業員を使用する事業所、を指す。 任意適用の認可を受けようとするときは、当該事業所に使用される者の2分の1以上の同意が必要である。「2分の1」の算定に当たっては被保険者となるべき者に限られる。 強制適用事業所がその要件に該当しなくなった場合、任意適用事業所の認可があったものとみなされる。 特定適用事業所 平成28年10月以降、同一事業主(法人番号が同一)の適用事業所の被保険者数(短時間労働者を除き、共済組合員を含む)の合計が1年で6か月以上、500人を超えることが見込まれる事業所。後述の「短時間労働者」に対する適用が拡大される。一度特定適用事業所となった事業所が、被保険者数が500人を下回ることとなっても、引き続き特定適用事業所となる。ただしこの場合、使用される被保険者の4分の3の同意を得て厚生労働大臣に申し出ることにより当該事業所を特定適用事業所でなくすることができる。 「適用業種」とされるのは、以下の業種である。 物の製造、加工、選別、包装、修理又は解体の事業 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業 鉱物の採掘又は採取の事業 電気又は動力の発生、伝導又は供給の事業 貨物又は旅客の運送の事業 貨物積卸しの事業 焼却、清掃又はとさつの事業 物の販売又は配給の事業 金融又は保険の事業 物の保管又は賃貸の事業 媒介周旋の事業 集金、案内又は広告の事業 教育、研究又は調査の事業 疾病の治療、助産その他医療の事業 通信又は報道の事業 社会福祉法に定める社会福祉事業及び更生保護事業法に定める更生保護事業 労災保険や雇用保険とは異なり、適用事業所でない事業所が、被保険者となるべき者からの希望があっても適用事業所とする義務はないし、任意適用事業所に使用される被保険者からの希望があっても、事業主は任意適用取消の申請を行う義務もない。 2以上の事業主が同一である場合は、厚生労働大臣の承認を受けて当該2以上の事業所を一の適用事業所とでき(一括適用事業所、第34条。一般的には法人一括の単位で適用されている)、承認にあたっては以下の要件をすべて満たすことが必要となる。 一の適用事業所にしようとする複数の事業所に使用されるすべての者の人事、労務及び給与に関する事務が電子計算組織により集中的に管理されており、適用事業所の事業主が行うべき事務が所定の期間内に適正に行われること。 一括適用の承認により指定を受けようとする事業所において、1. の管理が行われており、かつ、当該事業所が一括適用の承認申請を行う事業主の主たる事業所(本社)であること。 承認申請にかかる適用事業所について健康保険の保険者が同一であること。 協会けんぽの適用となる場合は、健康保険・厚生年金の一括適用の承認申請を合わせて行うこと。 一括適用の承認によって厚生年金保険事業及び健康保険事業の運営が著しく阻害されないこと。 もっとも中小の事業所では人事・設備等の面で一括適用事業所の承認を受けるための要件を満たせない場合も多いことから、人事や給与等の管理が本社で行われている被保険者については、その者が勤務する事業所にかかわらず、健康保険・厚生年金の手続きを本社において行う(本社における被保険者として取り扱う)ことが認められている(本社管理、平成18年3月15日庁保険発第0315002号)。これらの場合、被保険者が本社・支社間で転勤したとしても、その都度の被保険者資格の取得・喪失の手続きは不要となる。 事業主は、健康保険に関する書類を、その完結の日から2年間保存しなければならない(規則第34条)。初めて適用事業所となった事業主、事業の廃止等により適用事業所に該当しなくなった事業主、事業主の変更があった場合 は、当該事実のあった日から5日以内に所定の届出をしなければならない。
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