通常民事手続
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/14 11:45 UTC 版)
キリスト教世界にある各裁判所は、通常手続に従って進めた場合に一般原則とは異なる実務慣行をもっており、ロタ裁判所においてもそれは同様である。 訴訟はまず被告の召喚から始まる。両当事者が裁判での決着に同意しない場合や自発的に出頭しなかった場合は裁判所による召喚の指示がある。原告は裁判官に口頭で要求を申立、予め訴状を被告に届ける。召喚があった場合は同時に訴状の写しが被告に届く。召喚の期限は祭日・休廷日、距離などを考慮して、原告・被告双方ともに不利益を被らないように、裁判官の裁量によって決定される。延長は1回まで当然に認められ、複数回におよぶ場合は要件を満たす必要がある。両当事者は事件について口頭で態度を表明し、決着がつかなければ被告が抗弁を行うことになる。その抗弁に対して原告は再抗弁が可能であり、さらに被告による再々抗弁も提出できた。これらの抗弁に対して裁判官は中間判決として決定を下し、当事者は納得しない場合に上訴することができる。被告が裁判官の召喚に従わず、懈怠または不服従となった場合、争点を決定して手続きを進めることができないため、原告による財産の仮差押、罰金などの手段、教会裁判官による破門といった手段で間接的な圧力をかけた。 争点の決定はこのために定められた期日に、両当事者の型通りの応答によって行われる。そして日を改めて、訴訟遅延の目的だけで延期・猶予の申請をしないという内容を含む宣誓をする。次に、原告による措問がある。原告は訴えの請求を主張し、それぞれの項目について被告は自白・否認・不知の態度を取り、被告の自白がないものについては証明を必要とし、これが争点項目となる。 証拠については尋問を基本とし、そのための期日が別に設けられる。そして、裁判所による証人の尋問となる。尋問が終了すると、両当事者はこの陳述を吟味することができる。被告は証人の適格性についても抗弁を行える。続いて原告が再抗弁を行い、被告はその異議の証明のため、反対証人を用意することが可能で、原告はこれを証人によってもう1度だけ無力化できた。このように、証人による証拠調べには日数を要するが、証書によるものであればこれよりも短期間で済んだ。 証明手続きが終了すると、両当事者の弁護人による最終弁論が始まる。証明の結果が抗弁を支持することを主張し、それを適当な法を提示することによって基礎づける。判決宣告の前に、両当事者がそれ以上の訴訟行為を放棄して弁論を終結するという形式的な期日が設けられた。判決宣告日には両当事者が召喚されている必要がある。
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