衰え
衰え
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 09:50 UTC 版)
かくも高名なマリア・カラスだが、彼女の声の絶頂期は10年ほどに過ぎなかった。長期間の訓練に裏付けられて安定していた彼女の声は、彼女のキャリアや美貌に嫉妬する数々の嫌がらせや捏造されたスキャンダルによっての心労、不摂生なプライベート生活や、ドラマティコや、ベルカントの難役を歌い続け声を酷使した為に急速に失われてしまう(カラスの当たり役の1つであるノルマは声への負担が大きい難役であった。そのため例えば優れたソプラノ歌手であったエディタ・グルベローヴァは、咽喉を傷めることを恐れキャリア晩年までこの役を忌避した)。 マリアはダイエットについて質問を受けたとき、サラダと鶏肉中心の食事療法で体重を落としたと答えている。ローマのパネテッラ・ミルズ社側の証人は裁判でマリアはダイエットの手段として自社の「フィジオロジック・パスタ」を摂取することにより体重を減らしたと証言した。ジョヴァンニ・バッティスタ・メネギーニ(イタリア語版)の回想によれば、カラスはサナダムシを排出してから痩せ始めたという。 1960年前後から、カラスの不調は彼女の優れた表現力をもってしても隠せなくなっていく。ソプラノの聴かせどころである高音域が徐々に不安定になり、楽譜通りに音域をカバーできない事態が増えた。オペラへの出演が減り、リサイタルに比重が移っていった。 1958年1月2日、ローマ歌劇場が行ったベッリーニ『ノルマ』に主人公ノルマ役で出演したが、カラスは病気のため第1幕だけで出演を放棄してしまった。その結果、場内は怒号の渦巻く大混乱となり、この公演はさんざんな失敗に終わった。 その後、イタリアでのスキャンダルから逃れるようにフランスのパリオペラ座と契約。1958年12月19日オペラ座にておこなわれたデビューコンサートは第一部がコンサート形式によるヴェルディやベッリーニなどオペラアリア、第二部はスカルピアにティート・ゴッビを迎えトスカの第2幕のみを舞台上演というもので(レジオンドヌール協会へのチャリティ)、ルネ・コティフランス大統領臨席の下で大成功を収める。このコンサートはフランス国営テレビで生放送され、後にほぼテレビ番組そのままを映画化(『マリア・カラス 伝説のオペラ座ライブ』)される。 1965年の『トスカ』の舞台を最後に事実上の引退状態に。何度か舞台復帰の噂もたったが、パゾリーニの映画『王女メディア』への出演、オペラ演出(『シチリアの晩鐘』)、EMIへの数曲の録音、ジュリアード音楽院マスタークラスの講師など散発的な活動が続いたのみであった。 1973年と1974年に来日。1974年にはジュゼッペ・ディ・ステファーノ(テノール)と国内4ヶ所でピアノ伴奏によるリサイタルを行った。この1974年の日本公演は前年から始まっていたワールドツアーの最後を飾るものであり、福岡、大阪、東京と続き、札幌の北海道厚生年金会館で締めくくられた。これが彼女の生涯における最後の公式な舞台となった(東京公演の模様はNHKによってTV収録されている)。
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「衰え」の例文・使い方・用例・文例
- 彼の健康は最近衰え始めている
- 彼女の若さと美しさは急に衰えた
- マイホーム主義への潮流は衰える気配がない。
- トレーニングを止めたら肉体が衰えることを可逆性の原理という。
- 私の筋力は衰えた。
- 来月で37歳の誕生日を迎えるイチローですが、体力的な衰えを感じさせないのは本当に凄いことですね。
- 年齢の老朽で力の衰えが感じる
- 貿易の活動は最近衰えてきている。
- 文明が進むにつれて、詩は殆ど必然的に衰える。
- 風がやや衰えた。
- 彼は健康が衰えつつあるという理由で辞職したがっている。
- 彼は健康が衰えた。
- 彼の体力は衰えてきた。
- 彼の体力は徐々に衰えた。
- 彼の人気は衰えていた。
- 彼の視力は衰えつつある。
- 彼の健康はもう衰え始めた。
- 彼の記憶力は年のせいで衰えてきている。
- 彼の影響力は未だ衰えていない。
- 年を取って彼女は記憶力が衰えた。
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