温帯性タケ類(単軸型)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 23:55 UTC 版)
温帯性タケ類には地下茎があり、地表面から40センチメートル前後の深さに横方向に這いながら成長する特性を持つ。毎年、初夏から秋にかけて地下茎の主軸もしくは側軸を数メートルずつ伸ばして、各節には芽子が分化、着生する。通常2年生以降の地下茎の芽子が夏ごろから伸長肥大し始め、そのおよそ20%程度がタケノコとなる。モウソウチクの場合、伸長肥大し始めた芽子は年内中に生育し続けるが、冬に地温5度以下で生育を停止し、早春に再び地温5度を超えるようになると伸長肥大し始め、地温10度に近づくと地表に顔を出すようになる。
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温帯性タケ類(単軸型)
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モウソウチクの場合、土から顔を出す前に掘るのが望ましい(地面が盛り上がっているのを見分けて掘る)とされる。マダケやネマガリタケのように、30センチメートル (cm) 程度に生長した地上部を折り取って収穫できる種類もある。その他の種類を含めた外見や旬は以下のような違いがある。 モウソウチク(孟宗竹)日本で最も多く食べられている代表的なタケノコである。正月用に早どりして出荷される10 cm前後のものは「ちび竹の子」とよばれている。えぐみが少なく、肉厚でやわらかい。 時期は3 - 5月で、タケノコの中では最も早い。日本では九州産から始まり、徳島、京都、静岡、関東地方、福島へと産地が北上して5月ごろまで食べられる。皮は黒斑と紫褐色の粗毛に覆われ、稈の直径が最大20 - 25 cmに達するほどタケ類の中でも最も大形であることが特徴。原産は中国江南地方といわれ、日本へは1736年(元文元年)に琉球を経由して薩摩(鹿児島)に渡来し、以後各地に分布したとされる。主産地の京都地方では、中国出身の禅宗の僧である隠元が、1654年に宇治の黄檗山に孟宗竹を植えたともいわれている。 ハチク(淡竹)やや細身で基部を除いて肉質部は薄く、色は少し黄色みを帯びるが、灰汁が少なく淡泊な味わいで特有の野趣がある。美味と言われるが出回り量が少ない。 時期は4 - 5月で、出回り時期は孟宗竹よりも遅い。淡竹の子を意味する「ハチコ」とも呼ぶ地域がある。稈の直径が3 - 10 cmになる。皮は淡紅色で薄く、寒さに強く北海道南部でも栽培されている。原産は中国中部とされており、日本にも野生種があるという説もあるが、その渡来時期は不明である。 マダケ(真竹、別名ニガタケ:苦竹)肉質は締まり、灰汁がやや強いが歯ごたえがあって風味は良い。特に発生して間もない段階では別名の通り「苦い」という印象を抱く人もいる。ただし、大きく伸びると苦みが少なくなり先端部を収穫して「穂先タケノコ」として食用にする。稈の直径が5 - 15 cmで、皮は薄い黒斑に覆われ、平滑で無毛である。 時期は5 - 6月で、出回り時期が孟宗竹や淡竹よりも遅い。主にタケ材に使われるのが本種であるが、タケ材にならない遅く出てきたタケノコが食用に収穫される。原産は中国の浙江および江蘇南部で、日本への渡来時期は不明であるが17世紀には日本でも広く分布していたとみられている。 チシマザサ(別名ネマガリタケ:根曲がり竹)日本原産の細く灰汁が少ない品種で、北海道、本州の日本海沿岸に多く自生し、タケノコが美味なことで知られ、長野県から東北地方や北海道などで食用とされる。特に津軽地方(青森県)などでよく食される。時期は5 - 6月。山菜として食べられるのは長さ20 cm前後のタケノコで、稈の直径が1 - 2 cm、根元から弓状に曲がって生え、肉が白くて香りが良いのが特徴。皮を剥いてから切って炒めるか、皮付きで下茹でしてから調理する。穂先を水煮にした加工品もある。山形県の月山に生える根曲がり竹は「月山竹」(がっさんだけ)というブランド筍で、移植されて鶴岡市で栽培も行われており、灰汁抜き不用で、焼きタケノコ、味噌汁、天ぷらなどにして食べられている。 カンチク(寒竹)時期は10月で、稈の直径が5 - 15 mmで黄色または黒紫色。日本原産とされており、中部地方以南に多く分布している。 カンザンチク(寒山竹、別名ダイミョウタケノコ:大名筍)九州で防風林として植栽され、タケノコとしても食される。鹿児島産の細い高級タケノコは、やわらかく灰汁が少ない。時期は4 - 8月ごろで長期にわたり、生でも食べられる。稈の直径が1.5 - 4 cmで緑色。上三島産の「大名たけのこ」の名は、薩摩の国の殿様が好んだというとことから命名された。原産地は中国南部で、日本では関東地方以南に分布する。
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