ほうせん‐きん〔ハウセン‐〕【放線菌】
放線菌 [Actinomycetes]
気菌糸をつくるものやつくらないもの、胞子を包む胞子嚢をもつもの、根粒中で窒素を固定するものなど多種類があり、ストレプトマイセス属以外に約30属が知られている。抗生物質を産生する放線菌の多くがストレプトマイセス属の放線菌である。家畜に放線菌症をおこすアクチノマイセスもある。放線菌の多くは土壌に生息し、一般にグラム陽性で、好気性または通性嫌気性である。放線菌に寄生するウイルスも知られ、アクチノファージ(actinophage)とよばれている。アクチノ・ファージは六角形の頭部に細長い尾部をもっている。アクチノ・ファージは近年、遺伝子の組替え技術でクローニングの媒介(ベクター)の一つとして研究されるようになった。
放線菌
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放線菌(ほうせんきん、羅・英: Actinomyces)は一般に、グラム陽性の細菌のうち、細胞が菌糸を形成して細長く増殖する形態的特徴を示すものを指す慣用名である。元来、菌糸が放射状に伸びるためこの名があるが、現在の放線菌の分類は16S rRNA遺伝子の塩基配列による分子系統学に基づいているため、系統的に類縁な桿菌や球菌の菌群も放線菌に含められることがある。このため、もはやこの菌群を菌糸形成という形態で特徴づけることは困難である。
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「放線菌」の例文・使い方・用例・文例
- 放線菌のストレプトマイセス、erythreus属から得られる抗生物質(商標名エリスロシン、Eマイシン、エスリル、イロソン、ペディアマイシン)
- 放線菌バクテリアから得られた抗生物質の複合体
- 放線菌から得られる高度不飽和抗生酸
- 放線菌から得られ、腸内殺菌薬として使用される(商品名Neobioticという商品名の硫酸塩)抗生物質
- 放線菌から得られる抗生物質でグラム陽性菌による感染症の治療に用いられる
- 土壌の放線菌から得られる黄色の結晶質の抗生物質(商標名テラマイシン)
- ストレプトミセス属の放線菌によって生産される抗生物質で結核の治療に使われる
- 土壌の放線菌から取り出される基本的な抗生物質
- 重症の放線菌症で胸に発病する
- 重症の放線菌症で腹部に発症する
- 放線菌症という病気
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