学歴社会の病理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 03:14 UTC 版)
学歴社会という事象は、歴史の節で説明したように、学歴が特定の職業的地位を獲得するための手段となったときに始まったと見ることができる。学歴社会が生まれた要因としては、体系的な学校制度の進展と近代官僚制の成立により、いわゆる「ホワイトカラー」が誕生したことがあげられる。学校教育制度について言えば、上級学校への進学者に対して一定の学歴を求める傾向が強くなったことと、多くの人々に学歴が賦与されるようになった。企業組織の官僚制化ということに関して言えば、20世紀には大企業が多数出現した。これら大企業ではホワイトカラーの従業員の供給源を学校卒業者に依存する傾向を強めた。かくして、18-19世紀に官僚になったり専門的職業に就く時だけ必要とされた学歴が、次第に様々な組織での任用の基礎的な資格として用いられるような状況になり、学閥を形成したのである。 学歴が、特定の専門職に必要な知識の一指標として用いられている限りは、学閥として合理性を有してはいるといえる。もっとも、今日では技術の進歩は速く、学歴は過ぎ去った過去に習得された古い技術の指標にすぎないにも関わらず、学歴が学閥として派閥活動の元になり、一生にわたって人々の能力評価の尺度とされることもしばしばある。このような学歴の持つ有害な側面(学歴コンプレックス)は社会にとって不要なものであることから、2018年問題を好機として、学歴社会を解消する為に、ICTを利用し、スマートフォンなどでも教育を利用できる放送大学をより発展的に拡大し、貧富の差がなく、学歴を意識せずとも、高等教育が社会のあらゆる層に満遍なく行き渡るよう通信教育を広げる文教政策が取られ始めている。
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