反粒子(はんりゅうし)
電子、陽子、中性子やニュートリノなど、物質を構成する素粒子には、それぞれ反粒子が存在する。電子に対する反粒子のことを陽電子、陽子に対する反粒子のことを反陽子などと呼んでいる。
粒子と反粒子は、エネルギーの塊から対になって発生する。逆に、粒子と反粒子が出会うとエネルギーに変わり消滅する。反粒子によって構成される物質を反物質と言い、反水素分子などが実験的に作られている。
反粒子は、宇宙線の中に混じっていたり、粒子加速器で人工的に作り出したりする以外は、身の回りには存在しない。しかし、宇宙初期のビッグバンで、そのときに放出された大量のエネルギーから粒子と反粒子は同じ数だけ発生していたはずだ。そこで、粒子と反粒子のほんのわずかな違い(CPの破れ)が、現在の通常粒子が多勢という宇宙を作り出したと考えられている。
CPの破れは、小林・益川行列というモデルで理論的に解明されている。今回の実験は、この理論を実験的に検証したものだ。小林・益川理論は、クォークの世代数など他領域への示唆にも富んでおり、湯川秀樹、朝永振一郎に次いで日本の素粒子物理学にノーベル賞が与えられる可能性も出てきた。
(2000.08.01更新)
反粒子
反粒子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/08 14:53 UTC 版)
物理学の未解決問題ニュートリノはそれ自身の反粒子でもあるのか?ニュートリノはマヨラナ粒子か? 電荷を持たない粒子であるため、中性のパイ中間子のようにそれ自身が反粒子である可能性がある。ニュートリノの反粒子がニュートリノ自身と異なる粒子であるか否かは現在でも未解決の問題である。
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