刀自説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 08:16 UTC 版)
現在のところ最有力説。杜氏は元々、刀自(とじ)という文字が宛がわれていた。刀自とは、日本古語では戸主(とぬし)といい、家事一般をとりしきる主婦のことを指し、働く男を指したという刀禰(とね)の対語にあたる。東南アジア各地には、煮た穀物を口で唾液と共に噛みつぶし、空気中から野生酵母を取り込んで発酵させて酒を造る、いわゆる口噛みの酒という原始的な醸造法が広く存在した。初期の日本酒もその一種であったことが『大隅国風土記』にうかがえる(参照:日本酒の歴史-上古時代)。こうした製法の時代に、酒造りは女性の仕事であったと考えられている。やがて朝廷の造酒司(みきのつかさ)において酒が造られていた飛鳥時代以降にも、酒部にはまだ女性も含まれていたが、時代を下るにつれ酒造りは次第に男性の仕事になっていった。それでも職名には「とじ」の音だけが受け継がれたとする説である。
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