保佐(ほさ)
保佐
保佐
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 02:18 UTC 版)
保佐開始の審判精神上の障害により判断能力が「著しく不十分な」者を対象とする(11条本文)。 保佐開始の審判の請求権者は本人、配偶者、4親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。10条参照)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。10条参照)、補助人、補助監督人または検察官である(11条本文)。なお市町村長も65歳以上の者、知的障害者、精神障害者につきその福祉を図るため特に必要があると認めるときは保佐開始の審判を請求することができることとされている(老人福祉法32条、知的障害者福祉法28条、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律51条の11の2)。ただし、精神上の障害により判断能力を欠く常況にある者については7条により後見開始の審判を請求すべきであるから保佐開始の審判を請求することはできない(11条但書)。 家庭裁判所の保佐開始の審判により保佐人を付すとの審判を受けたものを被保佐人、保佐の事務を行う者として選任された者を保佐人とよぶ(12条)。 保佐人の権限権限内容同意権・取消権・追認権同意権 - 被保佐人は民法13条第1項で特に重要として列挙された法律行為及び家庭裁判所の審判で保佐人の同意を得なければならないとされた法律行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない(13条1項本文・2項)。ただし日用品の購入その他日常生活に関する行為は同意を必要としない(13条1項ただし書)。保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる(13条3項)。 取消権 - 保佐人は民法13条所定の行為(保佐人の同意を得なければならない行為であって、保佐人の同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ないでしたもの)を、取り消すことができる(9条)。保佐人は同意権者であり、保佐人の日常生活に関する行為を除き、取消権を有する(120条1項)。 追認権 - 取り消すことができる行為は、保佐人が追認したときは、以後、取り消すことができない(122条)。 代理権(代理権付与の審判)保佐人には当然には代理権はないが申立ての範囲内で家庭裁判所の審判(代理権付与の審判)があれば代理権を付与される。家庭裁判所は、保佐人等の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる(876条の4第1項)。ただし、本人以外の者の請求でこの審判をするには本人の同意がなければならない(876条の4第2項)。 保佐人に付与される同意権や取消権の対象となる行為は民法13条第1項所定の次の行為である。保佐の場合はこれ以外に家庭裁判所の審判で同意権や取消権の対象となる行為の範囲を広げることができる(13条2項)。 民法13条第1項所定の行為元本を領収し、又は利用すること。 借財又は保証をすること。 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。 訴訟行為をすること。 贈与、和解又は仲裁合意をすること。 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。 新築、改築、増築又は大修繕をすること。 民法第602条(短期賃貸借)に定める期間を超える賃貸借をすること。 前各号に掲げる行為を制限行為能力者の法定代理人としてすること。 なお、後述する補助人に付与される同意権や取消権の対象となる行為は、この民法13条第1項所定の行為のうち必要に応じて選んだ一部の行為で家庭裁判所の審判を受けたものが対象となる。
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