成年後見人とは？ わかりやすく解説

読み方：せいねんこうけんにん

成年後見人とは、認知症などで判断能力を失う事態を想定し、その際に意思決定や手続きを本人に代わって行う人のこと。成年後見人制度のもと、家庭裁判所が親族のほか、司法書士や弁護士、社会福祉士などの資格を持つ者の中から成年後見人を選任する。認知症が進んでも、重度の障害があっても、自分らしく安心して暮らせるようにするための制度である。

成年後見人の仕事は、預貯金や年金、相続問題などの財産管理や登記事項証明書などの不動産管理のほか、税金や公共料金の支払い、介護サービスの契約や入院の手続きなど多岐に渡る。かかる費用は、例えば当事者の判断能力低下を織り込んだ契約書や遺言書の場合だ。権利関係が揺るがないよう公正証書とするのが通例で、文書作成の経費だけで十万円から数十万円かかる。支援の報酬や葬儀の実費なども含めると、総額が数百万円に及ぶ例もある。

実際に仕事の割に報酬が高すぎるとの声も上がっているようだ。また介護保険と同時に導入され、高齢社会を支える制度といわれたが、財産保全ばかりが重視される傾向が指摘されている。利用者本人の意思尊重や生活支援といった福祉的な観点が不十分とされ、利用者は低迷している。一層の高齢化進展を鑑みれば、制度の普及のための指針策定や後見人の研修、不正防止の取り組みの徹底など、利用促進を図るのは急務である。