作品構成・概説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 15:26 UTC 版)
「ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ」の記事における「作品構成・概説」の解説
冒頭のタイトルバックは、海の彼方遠くに深紅の朝日が昇る風景で始まる。第1部「美(beauty)」には『金閣寺(Temple of the Golden Pavilion)』、第2部「芸術(art)」には『鏡子の家(Kyoko's House)』、第3部「行動(action)」には『奔馬(Runaway Horses)』(『豊饒の海』第二巻)の三島文学をダイジェストで映像化した3部のそれぞれに、三島が自決した当日の起床からの経過を追ったカラーのドキュメンタリー調の「1970年11月25日」のシークエンスと、三島の幼少期から「楯の会」結成までの半生をモノクロームで描いた「フラッシュバック(回想)」のシークエンスを交えた展開となっている。例えば、『奔馬』の主人公・飯沼勲(演じるのは永島敏行)が割腹自殺をはかろうとすると、いきなり、三島(演じるのは緒形拳)が自作の映画『憂国』の切腹シーンを撮影している場面(「フラッシュバック」部)に切り替わる、といった繋がりになっている。 第4部「文武両道(harmony of pen and sword)」には、市ヶ谷駐屯地に到着した場面から自決に至る(三島事件)までの「1970年11月25日」のシークエンスと、陸上自衛隊富士学校での体験入隊中の場面や練習機「F-104」搭乗の「フラッシュバック」のシークエンスにより構成されており、最後に三島が切腹して雄叫びする場面に、前3部の小説のラストシーンがワンカット描かれ、『奔馬』の最後の一行の〈正に刀を腹へ突き立てた瞬間、日輪は瞼の裏に赫奕(かくやく)と昇つた〉のナレーションと共に、冒頭のタイトルバックにあった太陽が正面に丸く昇っている風景でエンドロールとなる。なお、「フラッシュバック」で描かれる半生の挿話や、ナレーションには、自伝的小説『仮面の告白』や、『私の遍歴時代』『太陽と鉄』などの随筆からの引用が使用されている。 製作総指揮は『ゴッドファーザー』シリーズと『地獄の黙示録』のフランシス・フォード・コッポラと、『スター・ウォーズ』シリーズのジョージ・ルーカスが務めている。監督と脚本は『タクシードライバー』の脚本で高く評価されたポール・シュレイダーが、ナレーションは『フレンチ・コネクション』『ジョーズ』シリーズのロイ・シャイダーが、撮影監督は『アメリカン・ジゴロ』『キャット・ピープル』のジョン・ベイリー、カメラ・オペレーターを栗田豊通が担当している。 なお、撮影直前までの脚本では、第4部に『天人五衰』(『豊饒の海』第四巻)が含まれていたが、構成があまりにも複雑になりすぎるという理由で割愛された。また、ポール・シュレイダー監督は第2部「芸術(art)」では、『禁色』を使うことを希望していたが、遺族側の承諾が得られずに、『鏡子の家』になったという。準備段階ではジョン・ベイリーの要望によりスタッフ間でイメージを共有するための資料として1969年の日本映画『御用金』の上映を行い「ルック」の参考とした。 主演・緒形拳が演じている三島の役は、戦後文壇デビュー以降から1970年(昭和45年)11月25日に起きた陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地での籠城、自衛隊決起を促す演説、そして最後の割腹自殺である。緒形拳を含め、キャスティングは日本を代表する俳優陣で占められ、非常に豪華なものであった。日本人俳優は日本語で演技をしているため、英語の字幕と、三島文学の熱心な愛読者だという俳優ロイ・シャイダーによる英語のナレーションが要所に付いている。海外で発売されているDVDには、緒形拳による日本語のナレーションが収録されている。
※この「作品構成・概説」の解説は、「ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ」の解説の一部です。
「作品構成・概説」を含む「ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ」の記事については、「ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ」の概要を参照ください。
作品構成・概説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/16 03:31 UTC 版)
「Mishima: A Life In Four Chapters」の記事における「作品構成・概説」の解説
冒頭のタイトルバックは、海の彼方遠くに深紅の朝日が昇る風景で始まる。第1部「美(beauty)」には『金閣寺(Temple of the Golden Pavilion)』、第2部「芸術(art)」には『鏡子の家(Kyoko's House)』、第3部「行動(action)」には『奔馬(Runaway Horses)』(『豊饒の海』第二巻)の三島文学をダイジェストで映像化した3部のそれぞれに、三島が自決した当日の起床からの経過を追ったカラーのドキュメンタリー調の「1970年11月25日」のシークエンスと、三島の幼少期から「楯の会」結成までの半生をモノクロームで描いた「フラッシュバック(回想)」のシークエンスを交えた展開となっている。例えば、『奔馬』の主人公・飯沼勲(演じるのは永島敏行)が割腹自殺をはかろうとすると、いきなり、三島(演じるのは緒形拳)が自作の映画『憂国』の切腹シーンを撮影している場面(「フラッシュバック」部)に切り替わる、といった繋がりになっている。 第4部「文武両道(harmony of pen and sword)」には、市ヶ谷駐屯地に到着した場面から自決に至る(三島事件)までの「1970年11月25日」のシークエンスと、陸上自衛隊富士学校での体験入隊中の場面や練習機「F-104」搭乗の「フラッシュバック」のシークエンスにより構成されており、最後に三島が切腹して雄叫びする場面に、前3部の小説のラストシーンがワンカット描かれ、『奔馬』の最後の一行の〈正に刀を腹へ突き立てた瞬間、日輪は瞼の裏に赫奕(かくやく)と昇つた〉のナレーションと共に、冒頭のタイトルバックにあった太陽が正面に丸く昇っている風景でエンドロールとなる。なお、「フラッシュバック」で描かれる半生の挿話や、ナレーションには、自伝的小説『仮面の告白』や、『私の遍歴時代』『太陽と鉄』などの随筆からの引用が使用されている。 製作総指揮は『ゴッドファーザー』シリーズと『地獄の黙示録』のフランシス・フォード・コッポラと、『スター・ウォーズ』シリーズのジョージ・ルーカスが務めている。監督と脚本は『タクシードライバー』の脚本で高く評価されたポール・シュレイダーが、ナレーションは『フレンチ・コネクション』『ジョーズ』シリーズのロイ・シャイダーが、撮影監督は『アメリカン・ジゴロ』『キャット・ピープル』のジョン・ベイリー、カメラ・オペレーターを栗田豊通が担当している。 なお、撮影直前までの脚本では、第4部に『天人五衰』(『豊饒の海』第四巻)が含まれていたが、構成があまりにも複雑になりすぎるという理由で割愛された。また、ポール・シュレイダー監督は第2部「芸術(art)」では、『禁色』を使うことを希望していたが、遺族側の承諾が得られずに、『鏡子の家』になったという。準備段階ではジョン・ベイリーの要望によりスタッフ間でイメージを共有するための資料として1969年の日本映画『御用金』の上映を行い「ルック」の参考とした。 主演・緒形拳が演じている三島の役は、戦後文壇デビュー以降から1970年(昭和45年)11月25日に起きた陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地での籠城、自衛隊決起を促す演説、そして最後の割腹自殺である。緒形拳を含め、キャスティングは日本を代表する俳優陣で占められ、非常に豪華なものであった。日本人俳優は日本語で演技をしているため、英語の字幕と、三島文学の熱心な愛読者だという俳優ロイ・シャイダーによる英語のナレーションが要所に付いている。海外で発売されているDVDには、緒形拳による日本語のナレーションが収録されている。
※この「作品構成・概説」の解説は、「Mishima: A Life In Four Chapters」の解説の一部です。
「作品構成・概説」を含む「Mishima: A Life In Four Chapters」の記事については、「Mishima: A Life In Four Chapters」の概要を参照ください。
- 作品構成・概説のページへのリンク