作品構造の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/29 15:58 UTC 版)
初出誌では、作品冒頭部と末尾が照応しており、円環構造となっていたが、単行本刊行に際し、連載第11回の後半と最終回の第12回の全文(2羽の鴬を鳥籠に戻せずに困っている玉木久子の夢を見た5、6日後に、水木宮子のバッグを路上で奪う結果となった主人公・銀平が逃避行して信州の温泉場にいる展開)が切り捨てられたため、冒頭部の時空間に戻っていく円環構造が崩れ、未完のまま放置された作品となった。 またそれ以外にも、第2章だけが銀平でなく、宮子の視点となっていることや、第3・4章が、流れる意識と幻視の主体である銀平が不在の時間に置かれていることなど、西欧の小説手法の観点から見た場合、語りの視点や構成に瑕瑾を残していると見なされる点が多くある。しかし、それらの一切を補償しても余りあるような、日本の古典(和歌、連歌)からの影響の見える前衛的、幻視的な文体を確立しており、それが特徴となっている。
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