メラニンとは? わかりやすく解説

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メラニン【melanin】

読み方:めらにん

動物皮膚や毛、目の結膜などに存在する黒色色素。チロシンを基にして生成される皮膚では過剰な光の吸収役立ち紫外線を遮る働きをし、直射日光さらされる生成量が増えるメラニン色素


メラニン

皮膚紫外線吸収するとメラニンができる。メラニンの本来の機能は、紫外線真皮到達するのを防いで正常な細胞紫外線から守る働きをしている。ところが紫外線が強すぎるとメラニンが過剰に発生しシミソバカス原因になってしまう。

メラニン


メラニン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/20 03:06 UTC 版)

メラニン
識別情報
KEGG C05606
C17937 (Eumelanin)
C17936 (Pheomelanin)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
メラニン色素の一つユーメラニンの構造式の一部。(COOH)は-COOH又-H、稀に他の置換基。矢印の先にはポリマー構造が続いている。
メラニン色素の一つフェオメラニンの構造式の一部。

メラニン (melanin) は、ヒトを含む動物植物原生動物、また一部の菌類真正細菌において形成される色素である。メラニン色素ともいう。

概要

メラニンは、黒褐色の真性メラニン(eumelanin、ユーメラニン)と、橙赤色の亜メラニンドイツ語版(Pheomelanin、フェオメラニン)の2種類に分けられる[1][2]脊椎動物では、大半が皮膚の表皮最下層の基底層や毛髪の毛母などにあるメラノサイト(色素細胞)で生成され、一部は網膜色素上皮英語版細胞で生成される。

メラノサイトが増殖して多く集まっている部分がほくろで、ほくろにはメラニンが多いため黒くなる。

メラノサイトはメラニンを生成する機能があるのみで、メラニンを貯蔵する細胞ではない。メラニンは蛋白質と固く結合しており、微細な顆粒状をしているが、その生成過程は複雑である。名前から、メイラード反応によるものと間違えられやすいが、メラニンの生成はメイラード反応によるものではない。

メラニンのルーツは、アミノ酸の一つであるチロシンである。このチロシンにチロシナーゼという酸化酵素が働き、ドーパという化合物に変わる。更にチロシナーゼはドーパにも働きかけ、ドーパキノンという化合物に変化させる。ドーパキノンは化学的反応性が高いので、酵素の力を借りる事なく次々と反応していく。ドーパクロムインドールキノンへと変化し、最終的には酸化、重合し、黒褐色の真性メラニンとなるが、構造は大変複雑であり、表記は難しい。一方、ドーパキノンとシステインが反応することで、システィニルドーパを経て亜メラニンが合成される。メラニンはや全ての有機溶媒に不溶で、特に亜メラニンは極めて安定である。

ガン

皮膚がんでメラノサイトのがんは、悪性黒色腫(メラノーマ)と呼ぶ。

人間などの動物は、細胞核DNAを損壊する太陽からの紫外線を毛や皮膚のメラニン色素で吸収する。遺伝的にメラニンが全く合成されない個体をアルビノといい、こうした個体は紫外線によって皮膚がんになりやすい。逆に、肌の色が濃い人は、皮膚がんになりにくい[3]

動物におけるメラニン

イカ墨などの頭足類が吐く墨に含まれる[4]

細菌や真菌などの微生物が、紫外線や活性酸素などから身を守るのに用いる[5]。そのほかにも、高温、重金属や酸化剤などの化学ストレス、微生物の侵入を防ぐための宿主の防衛機能から防ぐ役割も担う[6]

放射線をエネルギー源とする菌類であるRadiotrophic fungus英語版は、光合成色素英語版としてメラニンを使用する[7]

節足動物では、殻にメラニンの層を層状に形成することで構造色を形成する[8]。また、節足動物においてメラニンは外骨格に傷がついた場所からカビやバクテリアが侵入しないようする役割も担う[9]

人類の肌

初期人類は、肌の色が明るい色であった[10][11][12]

脚注

  1. ^ Matsuki, Mitsuo; Watanabe, Toshihiko; Ogasawara, Ayako; Mikami, Takeshi; Matsumoto, Tatsuji (2008). “グルタチオンのメラニン合成阻害機構” (英語). 日本薬学会誌 128 (8): 1203–1207. doi:10.1248/yakushi.128.1203. ISSN 0031-6903. http://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/128/8/128_8_1203/_article/-char/ja/. 
  2. ^ 6.毛髪の色(メラニン)”. www.yamano.ac.jp. 2023年7月26日閲覧。
  3. ^ Brenner, Michaela; Hearing, Vincent J. (2008-05). “The Protective Role of Melanin Against UV Damage in Human Skin†” (英語). Photochemistry and Photobiology 84 (3): 539–549. doi:10.1111/j.1751-1097.2007.00226.x. PMC PMC2671032. PMID 18435612. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1751-1097.2007.00226.x. 
  4. ^ asahi.com: タコやイカの墨って何? - ののちゃんのDO科学”. www.asahi.com. 2023年7月26日閲覧。
  5. ^ 植物防疫講座.細胞壁のメラニン合成を阻害する殺菌剤 著:萩原寛之
  6. ^ The Editors (2002-03-01). “Melanins in fungal pathogens” (英語). Journal of Medical Microbiology 51 (3): 189–191. doi:10.1099/0022-1317-51-3-189. ISSN 0022-2615. https://www.microbiologyresearch.org/content/journal/jmm/10.1099/0022-1317-51-3-189. 
  7. ^ Dadachova, Ekaterina; Bryan, Ruth A.; Huang, Xianchun; Moadel, Tiffany; Schweitzer, Andrew D.; Aisen, Philip; Nosanchuk, Joshua D.; Casadevall, Arturo (2007-05-23). “Ionizing Radiation Changes the Electronic Properties of Melanin and Enhances the Growth of Melanized Fungi”. PLoS ONE 2 (5): e457. doi:10.1371/journal.pone.0000457. ISSN 1932-6203. PMC 1866175. PMID 17520016. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1866175/. 
  8. ^ Neville, A. C. (2012). Biology of the Arthropod Cuticle. Springer Science & Business Media. ISBN 9783642809101. https://books.google.com/books?id=VQHtCAAAQBAJ&pg=PA121 
  9. ^ 朝野, 維起「昆虫外骨格による生体防御」2015年、doi:10.11416/konchubiotec.84.3_181 
  10. ^ Wade, Nicholas (2003年8月19日). “Why Humans and Their Fur Parted Ways” (英語). The New York Times. 2023年7月26日閲覧。
  11. ^ かつて人類は肌が白く、その後黒くなり、さらにその後一部が白に戻った可能性(英研究)”. カラパイア. 2023年7月26日閲覧。
  12. ^ 黒い肌は皮膚癌を防ぐために進化?”. natgeo.nikkeibp.co.jp. 2023年7月26日閲覧。

参考文献

関連項目


メラニン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 12:05 UTC 版)

生物色素」の記事における「メラニン」の解説

メラニンは海洋動物暗色茶色、黄/赤系統の色を担う色素として働く、さまざまな構造を持つ化合物クラスである。アミノ酸のチロシンから変換されたメラニンは、皮膚毛髪、目に存在している。フェノール好気性酸化由来のものであり、ポリマーである。 窒素を含むものなどより小さな成分分子集合体であることを考慮すると、メラニンにはいくつかの種類がある。色素には2つクラスがある。チロシナーゼ存在下でチロシンを好気的酸化することで得られる黒と茶色不溶性ユーメラニンと、システイン及び/またはグルタチオン介在によりユーメラニン経路逸脱することで生じ黄色から赤褐色までのアルカリ可溶性のフェオメラニンがある。ユーメラニン通常皮膚と目に見られる。他のメラニンとしては、メラニンタンパク質(Sepia officianalis(ヨーロッパコウイカ)の墨袋高濃度入っている暗褐色のメラニン)、echinoideaタコノマクラウニ心臓含まれる)、holothuroidea(ナマコ見られる)、ophiuroideaクモヒトデ見られる)がある。これらのメラニンは単純な二官能性単量体中間体もしくは高分子量の中間体繰り返しカップリングから生じポリマーである。化合物ベンゾチアゾール及びテトラヒドロイソキノリン環系は紫外線吸収化合物として作用する

※この「メラニン」の解説は、「生物色素」の解説の一部です。
「メラニン」を含む「生物色素」の記事については、「生物色素」の概要を参照ください。

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