ベガ1号
名称:ベガ1〜2号/Vega1〜2
小分類:彗星探査
開発機関・会社:ソ連
運用機関・会社:ソ連
打ち上げ年月日:ベガ1号(1984年12月15日)/ベガ2号(1984年12月21日)
打ち上げ国名:ソ連
打ち上げロケット:プロトンD-1-e
打ち上げ場所:バイコヌール宇宙基地(チュラタム射場)
ベガの名前は、ロシア語の「金星」(ベネラ)と「ハレー」(ガレイ)とを合わせたもので、金星とハレー彗星の両方を目的としたことから名づけられました。ベガ1号と2号は、まず金星に近づいて着陸機(ランダー)と観測気球を大気中に降ろしてから、ハレー彗星に向かいました。人類が初めて間近から観測した彗星の姿は、真っ黒なピーナツのような形で、盛んにガスと塵(ダスト)を噴き出していました。ベガ1号と2号の観測データは、ジオット探査機が最終的な接近コースを決めるのにも役立てられました。
1.どんな形をして、どんな性能を持っているの?
オービター:円筒形に2枚の太陽電池板を備え、上部には金星ランダーと気球を収容した直径2.39mの球形の大気圏降下カプセルを搭載しています。打上げ重量(ランダー含め)は4,920kgです。
2.どんな目的に使用されたの?
ハレー彗星の接近観測。彗星核の画像撮影。赤外線・紫外線スペクトル観測。彗星周辺のプラズマ、磁場、ダスト等の観測です。
3.宇宙でどんなことをし、今はどうなっているの?
初めて彗星に接近して直接観測。ハレー彗星の核が長さ14kmで、アルベド5%以下の不定形をしていることを発見。赤外線観測による推定表面温度は300〜400kです。
4.打ち上げ・飛行の順序はどうなっているの?
ベガ1号:パーキング軌道から金星への太陽中心軌道へ。1985年6月9日に大気圏降下カプセルを分離、本体は金星から3万9,000kmを通過してハレー彗星観測軌道へ。1986年3月6日にハレー彗星から8,890kmまで接近しました。
ベガ1号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/02/09 09:41 UTC 版)
ベガ1号 | |
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所属 | ソビエト連邦 |
任務 | フライバイ, バルーン, ランダー |
接近通過 | 金星, ハレー彗星 |
接近通過日 | 1985年6月11日 (金星) 1986年3月6日 (ハレー彗星) |
打上げ日時 | 1984年12月15日 09:16:24 UTC |
打上げ機 | プロトン8K82Kロケット |
COSPAR ID | 1984-125A |
質量 | 4920 kg |
ベガ1号(Vega 1)は、ソビエト連邦のベガ計画で用いられた宇宙探査機である。以前のベネラ計画の探査機を改良してBabakin Space Centerで設計され、5VKとしてLavochkinで製造された。
2つの大きな太陽電池から電力を供給され、アンテナ、カメラ、分光計、赤外線音響器、磁気センサ、プラズマプローブ等の科学機器を搭載した。4,920kgの探査機は、プロトン 8K82Kでバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた。ベガ1号とベガ2号は三軸安定性で、ハレー彗星の塵から保護するためのシールドを備えていた。
ベガ計画
ベガ1号のフライバイプローブから切り離された2日後の1985年6月11日に降下モジュールが金星に到着した。モジュールは1,500kgの重さの直径240cmの球形で、ランダーとバルーン型の探査機から構成されていた。フライバイプローブは、金星をスイングバイし、彗星の到着を待った[1]。
ランダー
ベガ1号ランダー | |
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所属 | ソビエト連邦 |
任務 | 金星ランダー |
打上げ機 | ベガ1号 |
COSPAR ID | 1984-125E |
ランダーは、ベガ2号及び以前のベネラ計画の探査機と全く同じものであった。その目的は、金星の大気と地表の調査であった。紫外線分光計、気温・気圧センサ、含水率計、ガスクロマトグラフィー、X線分光計、質量分析器、地表サンプリング装置等を搭載した。上記科学機器のいくつか(紫外線分光計、質量分析器、気温・気圧センサ)は、フランスとの共同開発によるものであった[1]。
ランダーは、アフロディーテ大陸北のマーメイド平原内、北緯7.2°東経177.8°の地点に着陸した。過度の乱流のため、地表での実験を予定していたいくつかの機器が上空20kmで意図せず起動してしまい、質量分析器だけがデータを送り返すことができた[2]。
バルーン
ベガ1号バルーン | |
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所属 | ソビエト連邦 |
任務 | 金星バルーン |
打上げ機 | ベガ1号ランダー |
任務期間 | 1985年6月11日から13日 |
COSPAR ID | 1984-125F |
質量 | 21.5 kg |
ベガ1号のランダーとバルーンカプセルは、1985年6月11日2時6分10秒(UTC)に約11km/sの速度で金星の大気に突入した。おおよそ2時6分25秒(UTC)に高度64kmでランダーのキャップに接続されたパラシュートが開いた。パラシュートとキャップは15秒後、高度63kmで切り離された。バルーンはその40秒後、北緯8.1°東経176.9°の高度61kmの地点で、パラシュートによって押し出された。2つめのパラシュートは突入から200秒後、高度55kmで開き、巻き上げられたバルーンを引き出した。バルーンは100秒後に高度54kmで膨らみ、パラシュートと膨張装置は投棄された。突入から15分から25分後、バルーンが一度およそ高度50kmに達し、53kmから54kmの安定高度に浮かぶと、砂袋が投棄された。平均安定高度は53.6kmで、気圧は535ミリバール、気温は300から310Kであり、金星の雲の3つの層のうち最も活発な中間の層であった。バルーンは、ほぼ一定の緯度で平均69m/sの速度で吹く帯状風に乗って西方向に漂った。プローブは8,500km移動して、6月12日12時20分(UTC)に夜から昼に変わる境目に到達した。プローブはそのまま飛行を続け、11,600km移動した6月13日0時38分(UTC)に北緯8.1°東経68.8°の地点で最後の伝送を送った。それ以降、バルーンがどこに移動したのかは分かっていない[2]。
ハレーミッション
ハレー彗星が近づくと、ベガ1号は金星をスイングバイしてハレー彗星を迎えた。
1986年3月4日から送られ始めた画像は、ジオットがピンポイントで彗星に近づくために用いられた。ベガからの初期の画像は彗星の2つの明るい領域を写し出しており、これは当初は2つの核であると解釈されていた。後に、明るい領域は、彗星から放出されている2つのジェットであることが明らかとなった。またこの画像からは、赤外線分光計から核の温度は300Kから400Kと氷の天体としては温度が高いことも明らかとなった。その結果、彗星は表面の薄い表層が氷で覆われていると結論付けられた。
ベガ1号は、3月6日7時20分6秒(UTC)に彗星の核から8,889kmまで最接近した。コマのガス雲を通過中には、様々なフィルターで500枚以上の画像を撮影した。多くの塵が探査機に衝突したが、使用不能になった機器はなかった。
ベガの画像から、核の長さは約14kmで、約53時間の周期で自転していることが示された。また質量分析器により、塵の組成は炭素質コンドライトに似ており、クラスレートの氷も検出された。
3月7日と8日にも引き続き観測が行われた後、ベガ1号は深宇宙に進路を向けた。ベガ1号とベガ2号は、合計で約1500枚のハレー彗星の画像を送信した。ベガ1号は1987年1月30日、ベガ2号は同年3月24日に姿勢制御の推進剤を失った。
ベガ1号とベガ2号は、現在は太陽周回軌道にある。
出典
外部リンク
- Vega 1 Measuring Mission Profile by NASA's Solar System Exploration
- Vega mission images from the Space Research Institute (IKI)
- Raw data from Vega 1 and Vega 2 on board instruments
- Soviet Exploration of Venus
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