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公務員の定年延長が意味すること

国と地方公務員の定年延長

 公務員の定年が現行の60歳から65歳に引き上げられようとしています。何度か国会審議になっていますが、いまだ通っていませんね。この公務員の人事に関することは人事院が勧告を出す形で実施されています。

 

 その人事院が「定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出」を行っています。今後の審議もこれがベースになっていくのでしょう。

公務員の定年を65歳にする社会的背景

 公務員の定年を65歳に引き上げようとする背景はこのようになっています。

  1. 60歳退職後の年金無給期間が5年もあること
  2. 民間では65歳までの雇用が義務づけられていること
  3. 法律で雇用と年金の接続の重要性に留意して定年を段階的に65歳に引き上げることについて検討すると規定されていること

 つまり、年金が65歳まで出ないことと関連しているということです。60歳で定年退職したあと、65歳まで年金が出ないということは5年間を空白で過ごすことになります。

 

 現在はこの5年間を希望者には嘱託や時間労働という形で再雇用、ないしは再任用という形でつないでいます。しかし、これからますます65歳までのつなぎのような人事が常態化することが予想されます。

公務員の定年を65歳にする必要性とは

公務員の定年を65歳にする必要性は、次のように述べられています。

  1. 公務の再任用は補完的仕事が多いが、今後退職者の再任用希望が増えると対応できない。
  2. 年金との接続をスムーズにすることで職員の意欲と能力に応じた配置と処遇ができる。
  3. 高齢社会において、職員の能力を有効に活用することができる

 現在、希望者には第二の職場を紹介しているということですが、それも限りがあります。つまり、今の体制では再任用の希望に応えられないし、高齢化社会だから能力ある人を公務で活用していこうということですね。

公務員の定年延長に向けた具体的な取り組み

 どのように伸ばしていくのかについては具体的な取り組みが示されてますので、部分引用します。

  1. 3年に1歳ずつ段階的に定年を引き上げ、平成37年度に65歳定年とする。
  2. 60歳に達した日の属する年度の翌年度から、60歳前の70%に設定する
  3. 定年の引上げを行っても、総人員及び級別の人員を増加させない

 このような提案がされています。平成37年度で完全実施となると、かなり時間をかけて行うということですね。また、給与は7割で人員を増加させないということです。60歳を上限に役職定年を設けて、給与水準を抑える方向で調整されています。

公務員の定年延長は、社会的な定年延長の嚆矢となる

公務員の定年延長は、社会的な定年延長の嚆矢となる

 とはいえ、公務員定数は法で定められたものです。つまり、法律によって定員が決まっているのです。そのため、今回の定年延長によって若者の雇用を圧迫する可能性もあります。

若い人が活躍する場を尊重しつつ、高齢者の雇用を拡大するということ

 定年が延長されることに伴い、若い人材の登用が滞るようなことになると、社会全体の活力に関わってきます。やはり、若くて柔軟な人材を積極的に登用し、活躍の場を作っていくことは組織を活性化することにつながります。

 

 つまり、定年を延長することによって、新人採用が抑制されるようなことになると、問題が出てくるでしょう。また、公務員で定年を延長するということは、今後民間にも同様の広がりを見せるでしょう。

 

 若い力を生かしつつ、高齢者の経験が生かされるような職場づくりができれば理想と言えます。

 

 ただ、大変難しいのはこの流れは下手をすると組織が硬直化するということです。

 

 私自身、自分がまとめる立場で何度か年上の人と組んだことがありますが、なかなか気を使います。人は誰しも思いを持って仕事に取り組んでいるので、その合意形成にかかる時間たるやなかなかです。

 

 1度目は同じ部署の中で私が最も若いという立場でしたが、うまくまとめることはできませんでした。みなさん良い方でしたが、それぞれのご意見が強すぎ、組織として融和しませんでした。

 

 2度目は私がちょうど中間、年上と年下のバランサーを求められましたが、自分の意見をどう封じるかがポイントでした。やはりこだわりとご意見の調整に時間を割かれるということです。

 

 いずれにしてもまとめ役としては、組織としての落としどころを探るというのが仕事になります。そのため、2時間、3時間の会議はザラで、生産性の低下がすさまじかったです。

 

 これが私が最年長でメンバーが穏やかであれば、同じ議題でも30分もかかりません。勤務先の若い人は基本的に場の空気を読むことに長け、会議を素早く進めるための協力を惜しみません。

 

 もちろん、自分自身の能力の低さが一番であることは間違いありません。また、実体験があまりに極端なのかもしれません。それでも、将来的に私が逆に年上で年下の上司を迎えたならば、どのように行動するのか、考えさせられました。

 

 日本全体でこのような意見調整に重きをおくような組織が増えれば、イノベーションも何もあったものではなく、確実に硬直化することでしょう。私が高齢化で危惧する日本の将来像はこういうことです。社会全体の硬直化です。

 

 前例主義にとらわれる組織からはイノベーションは起きません。

 

 これからますます高齢化社会は進展するでしょうから、自分がどのような高齢者になりたいのか、またはなるのか。定年延長議論に伴って考えさせられます。

 

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