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Sunday, March 2, 2014

最近、中国関連の記事多い

ここのところ、金融関係の記事を漁っていると、中国関連の記事が多いなと感じる。

下のチャートは、「China」Near 「Hard Landing」 がキーワードになってる記事がブルームバーグで一日にどれだけ配信されたか、というチャートだそうだ。


チャートの紹介元はここ


 2012年とくらべると減っているけど、またちょっと増え出してるのかな、という印象あり。

そして、ついさっき、この記事を読んだ。

コラム:中国で金融危機が起きない理由=カレツキー氏



このコラムの著者は、中国の金融ポリシーの側面からシステムを眺めていて、比較として米国発のリーマンショックを持ち出している。だが中国のバンキングシステムは、米国のそれとは根本的に性格が違う。

そして、金融危機というのは、かならず(【かならず】!)、金融システムのど真ん中に座ってるミクロの金融機関らのバランスシートでジクジクと膿んで久しいAsset Qualityの問題が背後にあって、そこがシステム全体の債務超過の格納庫となって危機発生・爆発するのが世の常なんだが、この記事はそこらへんはあまり触れていない。

中国の銀行をミクロで眺めると、基本的には昔の日本の長期信用銀行群と似たようなモデルやってて、バランスシートの両側にある与信と預金の「量」や「金利」といった面への規制は極めて明快なんだが、不良資産の認識含めアセット・クオリティへの対処に関しては、昔から、中国は「臭い物には蓋方式」という傾向があったから、誰も中国発で発表される公式の不良資産比率が実態を示してるなんて信じてなかったし、現在もたぶんそうじゃないかなと、わたしは、どこか疑っている。

強く規制がかかりコントロールされている既存の銀行システムですらそうなんだから、通常の商業銀行システムの外側のシャドーバンキングが膨れ上がっているいまは、果たしてどんなことになっているのか、想像するのも恐ろしい。もしかすると、通常では考えられないレベルで危うい状態にいたりしたら、どうしよう。わたしがひとりで「どうしよう・・・」と不安になってたから、だからどうなるもんでもないのだが、ついつい、長年バンクアナリストやってた癖(苦笑)が出て、不安になる。

さらに、短期市場の雰囲気。

先月もいろんな記事をナナメ読みしてたら、中国でレポレートが一日で150bps以上も上がり中央銀行が手当てして90bps下がったとかいう記事がたまたま目に入り、嫌~な気分になった。短期で一日で100ベーシスもの幅で上がったり下がったりするなんて。経験則からいって、短期市場が不安定になってるのが目立ち出すと、たいがいロクなことがない。

日本は三洋証券らが短期市場でぶっ飛んで、バブル崩壊後に数年溜め込んでいた実質債務超過の問題が、一気に表面化して、その後5年以上も続く泥沼の開幕となった。

アメリカではABCP市場がリーマンショックの前年夏には事実上の死に体となり、インターバンクで短期市場も乱れだし、ショック前年の秋には短期資金の流れがすっかりフン詰まり起こして、連銀が連日連夜資金をパンピング(pumping)し続けていたのを思い出す。前年からポンプでこれでもかこれでもかと流動性を流し込み続けてましたが、その間にも、ミクロレベルでのアセットクオリティの劣化はとまらず、システム全体の実質債務超過状態は深刻化する一方で、ついに爆発してました。

ギリシャ問題に端を発した欧州だって、欧州のトレーダーらが問題が加速度的に深刻になる前から、「短期資金、完全に止まっちゃってるで~」と喚いてましたね。

まぁ、わたしは、中国の金融システム動向を日々詳しく追いかけ調査したうえでこのエントリーを書いてるわけでもなんでもないんで、思いつきです、いろいろ勉強不足です、はい。(そのうち、中国の銀行アナリストのミクロ分析でも読んで、もう少し勉強することにします。)

ただ、上のコラムを読んで脊髄反射的にアタマの中をよぎったことを、自分の覚え書きとして、メモしておこうと思った。

Tuesday, February 18, 2014

投資対象としてのビットコイン (その2)

ビットコインについて書いた前回のエントリーで、自分がつぶやいたツイートのTogetterまとめを紹介したが、その中で、1月21日に自分はこんなことを言っている。


大恐慌時代の「靴磨きの少年の伝説」を持ち出してくるまでもなく、NHKの一般視聴者向け番組「クローズアップ現代」が話題として取り上げた、というあたりで、そろそろ、そのジンクスの片鱗が見えてきていたわけであるが、では、最近のビットコインの実際のプライス(=US$換算価値)を見てみることにいたしましょうか・・・。


(チャート1) MtGox で提示されてるプライス推移 2月10日(15分足)

MtGox on 9-Feb-2014 (15min)


ギャアアアアアアーーーーッ!


上のチャートは2月10日ごろのMtGoxで取引されていたビットコインのプライス(15分足)である。(via BitCoin Wisdom) 一時は100ドルギリギリまで下がり、まさに投売り状態。どんなプライスでもいいから手持ちのMtGoxのウォレットをUS$に換金したいひとたちによる一斉パニック売りの図。

同取引所(MtGox)で提示されるプライスの直近までの動き(日足)を追ったものが下のチャートだ。10日の急落後も下がり続けている。昨年暮れに1200ドル以上をマークしていたのと同じ投資資産の取引価格が、2月16日には250ドル前後。

(チャート2) MtGox で提示されてるプライス推移(日足) 2013年12月頃~現在

MtGox on 18-Feb-2014 (1day)


言いましたよね、わたし、こう言いましたよね!



ただし、断っておくと、上のMtGoxで提示されてるプライスは260ドル前後まで下がっているが、その他の取引所(例えば最大のBitStamp )では同日620ドル前後で取引き成立しているそうです。(とはいえ、これらのチャートみて安心できる投資家はいないよね。笑)


(チャート3) Bitstamp で提示されてるプライス推移(日足)  2013年12月頃~現在

Bitstamp on 18-Feb-2014 (1 day)


(チャート4) Bitstamp で提示されてるプライス推移(3日足) 2013年6月頃~現在

Bitstamp on 18-Feb-2014 (3 days)



ご承知の方は多いだろうが、そうでない方のために少々説明すると、Bitcoinは、一般株式のようにどこか決められた一箇所で取引されているわけではなく、複数の取引所(Exchanges)があって、その取引所に参加して売買する者たちのBid とAskで、その取引所でのプライスが決まる。MtGoxは一時はフロートしているビットコインの7割~8割が取引されてたこともある、世界最大級のエクスチェンジ(取引所)で、拠点は東京渋谷である。Bitstampというのも同様の取引所だが、こちらは拠点はロンドン。取引ボリュームでは現在はBitstampが世界最大で、MtGoxは第2位。

2月10日(チャート1)にMtGoxに何が起こったか、というと、成立したトレードが記録されなかったり消失したりするシステム上のバグがみつかり、問題のありかが明確になるまでMtGoxはビットコインの引き出しを凍結する(2月7日プレスリリース)ということになったんである。ここでいう「引き出し(Withdrawal)ができない」というのは、ビットコインに投資したお金を米ドルに変換できない、という意味である。

つまり、MtGoxは開店休業、実質シャットダウン状態。米ドルに換金できないものを持っていたってお買い物もできません、んなもん、さっさと手放したいと思うのは当然だが、チャート1と2はMtGoxのトレーディング・プラットフォームにビットコインのバイヤー(買い手)が不在であることを意味している

そして月曜日の2月10日には、MtGoxはアップデートとして長いリリースを発表し、MtGoxに起こった問題は MtGoxだけの問題ではなく、ビットコインのソフトウェアのコードそのものの問題であると発表した。ビットコインそのものの問題となると、他のエクスチェンジで取引されるビットコインも同様なのかっ!と再び不安が走り、ビットコインの価格はさらに下落した。だが、ビットコイン側はそれに反論、「こっちじゃなくて、そっちの問題だろ!」と泥試合にもつれ込んでいるらしい。



ここらへんのテクニカルな話は、超ローテクの私が語れるわけないので(笑)、前回も紹介した大石哲之さんによるブログ記事を読んでください。

麻薬取引サイトすら引っかかったビットコイン版振り込め詐欺 


技術的なことは皆目わからないローテクでも、上の4つのチャートから、ビットコインの金融資産としての価値は短期間に大きく損なわれたのはよくわかる。その背景は、ひとつには流通貨幣としての信用が市場でほとんど確立されていないこと。そして、もうひとつは、買い手の不在により売買が成立しない、すなわち、「金融資産としての流動性が低すぎる」という問題だ。



ビットコインの尋常ならぬプライス・ボラティリティも、以下のように、流動性の低さで説明できる。












前述したMtGoxは、2月10日に出したリリースの中で、こんなことを述べている。

To put things in perspective, it's important to remember that Bitcoin is a very new technology and still very much in its early stages. What MtGox and the Bitcoin community have experienced in the past year has been an incredible and exciting challenge, and there is still much to do to further improve.
 

結論として整理しよう。ビットコインは非常に新しいテクノロジーであり、いまだ黎明期にあるということを忘れてはいけない。この一年、MtGox とビットコイン・コミュニティは素晴らしくエキサイティングなチャレンジに立ち向かってきたが、これからもまだまだ改善せねばならない部分は残っている。


バーチャル貨幣のビットコインが「安心して使える(=安定的な)流通貨幣」として広く世の中で認められるためには、システム面の強化やテクノロジー上の改良改善が待たれることは言うまでもないが、より根本的に致命傷となっている「流動性の低さ、信用力のなさ」という問題がクリアされなければならない。このポイントについて、JPモルガンの為替ストラテジストのJohn Normand がレポートを出している。

彼は、「ドルや円、ユーロといった伝統的な不換通貨と比較してビットコインは激しく劣っている(vastly inferior)」と評価している。

ちょっと眠くなってきたので(笑)、このJPMのレポートについては次回にまわすことにしたいが、上でチラッと述べた「流動性の低いエキゾチックな仕組み債」をゴッチャリ抱えていたウォール街の某社が、サブプライムの嵐が去ったときにどんな状態になっていたかだけ、この章の最後に、ビジュアルに記録しておくことにする。


<ビフォー> 牛が
 


<アフター> 豚に

(続く) 

Thursday, January 19, 2012

欧州ソブリンは小康状態

先週13日の金曜日にS&Pがフランスの欧州ソブリンをトリプルAからダブルAに格下げし、イタリアその他の欧州国8カ国も格下げになった。

Europe Hit by Downgrades
(Wall Street Journal, 1/14/2012)

実際の格下げが公表される前に、あちこちの「当局関係者」だの「政府高官」だのが予告編よろしく次々リークしまくるものだから、13日の株式相場は、リークでヘッドラインが出てくるたびにいちいち反応。メディアも一緒になって興奮してた。

今日になると、怒り心頭に達したイタリア当局が米格付け会社を【市場操作の疑いで家宅捜査した】というニュースまで出てきた。担当アナリストの家を家宅捜査して、「何」を探そうとしてるんでしょうね・・・。記事によると、罪状は「昨年5~7月にイタリアの財政や銀行システムに関する偏った情報を流し市場を捜査した疑い」だそうです。

まぁ、イタリア政府の気持ちもわからなくはないですよ。90年代後半から2000年度前半にかけて、邦銀や日本ソブリンの格下げが続いていた頃、危機の渦中で目の周りにクマ作っていた日本の関係者らも、家宅捜査とまではいかなくても、格付け会社に対して似たりよったりの反応して騒いでましたからね。

「日の出ずる国ニッポンが、何ゆえ、アフリカのボツワナなんぞより、格付け低いんだ!!」

と、ほうぼうで関係者が喚き散らし、在日ボツワナ大使館が傍らで「何故ワシら?」と当惑してるのもお構いなし、ツバ飛ばしてボツワナをdisりまくり格付け会社を呪い倒し、その品のなさ、みっともなさたるや、海外から失笑・苦笑を買ってたのも、今となっては懐かしき思ひ出・・・。

いずれにせよ、市場が不安定なさなかにどんどん格下げのニュースが出てくるというのは、何を今更な感があるとはいえ、間違いなく「ヘッドライン・リスク」となっていろんな相場で咀嚼されるから、まるきり無視もできないよね。

格付けと債券クレジット市場の動きの関係については、過去にいくつかエントリー書きましたので、ご参考まで。

米国債格下げは最も重要性の「低い」問題 (MHJ, 8/5/2011)
- CDSのImplied Ratingと市場パーセプション (MHJ, 11/27/2010)

★   ★   ★   ★

で、その格付つけられてる肝心の債券はどうよ、というのが今日書き留めておきたい本題なんだが、実際のダウングレードにはほとんど反応せず、概して関連発行体のスプレッドは落ち着いている。

フランスが格下げされたらトリプルAを失うと懸念されてた欧州救済ファンド(EFSF)も、予定どおり格下げされてAAAからAA+に落とされてしまったわけだが、この格下げを受けた後にEFSF発行の債券の対独スプレッドがどうなったかと思っていたところ、このチャートを頂戴しました。(Thanks to @BourseBXL)


これを見ると、欧州に対する悲観度が一気に高まった11月ごろに、対独スプレッドが150bpsを突破、11月21日には205bpsまで駆け上がっていた。

この段階で、フランスの格下げはある程度シナリオとして織り込まれていて、その後、ECBがドカーンと流動性供給の動きに出たりして、市場での極端な緊迫感は抑制されている。実際の格下げニュースが来たところで、さほど動かない。

買い手側からは、このロイターの記事によると、「日本はこれまでもEFSF債を買い入れてきたし、格下げで(投資家としての)日本のスタンスが変わることはない」("Japan has bought them by certain amounts and our stance will not immediately change just because of the downgrade," Azumi told reporters after a cabinet meeting.)との、安住氏の力強いサポートのお言葉も。

ただ、格下げ公式リリース発表前でギクシャクしていた13日のWall Street Journalの記事には、こういう記述もあったんですよね。

Yields are surging across the EFSF curve on news that two EFSF guarantors, France and Austria, might suffer a downgrade. "I am seeing only sellers in France and Austria and EFSF is feeling the impact," said a trader.

EFSFのギャランター(保証を出す側)の一角でああるフランスとオーストリアが格下げされるかもしれないというニュースを受けてEFSFのイールドカーブは全体に持ち上がっている。「フランスとオーストリアの国債には売りしかいない状態で、EFSFもインパクトを受けている」とトレーダーの言葉。

19日の今朝は、スペインとフランス国債のオークションがあって、どちらも需要は底堅くあった模様。

Strong French bond auctions show investors ignoring downgrade; easily raises $12 billion
(Washington Post, 1/19/2012)

しかしですね、国債オークションがこうしてうまくいってるのは、ECBがバカスカ買い上げて新発債の需給の調節やってる、というのが背景にあるんじゃなかろうかな。上のトレーダーの言葉にもあるように、懸念が出てくるとドイツ国債以外の欧州債は売り一色になってしまう、そういう地合いにいるには違いないんである。

上述した、拙ブログ記事『米国債格下げは最も重要性の低い問題』で筆者は、米国債が格下げされようがされまいがどうでもいい、米国債ほど信用力が高くかつ流動性が高い債券は他にない、市場への影響は限定的だろうし、格下げはむしろ政治的な側面から問題になる程度と述べ、実際そのとおりになった。格下げ後は、ヘッドラインに翻弄されてボラが上がった株市場などから資金が米国債へと流れ込み、米国債のイールドは逆に下がった。

だが、スペイン国債やフランス国債は、米国債とは、違う。

中央銀行のバカスカ需給調節におんぶに抱っこでなんとか消化されている。

言ってみれば、現在の欧州の一種の小康状態は、またいつ熱がぶり返すか判らない、そういう危うい状態にまだいるのだ、と筆者は感じるのである。

Wednesday, December 28, 2011

外貨逃避への特効薬、わんこポリス

クリスマスは終わり、今年もあと3日を残すだけとなったが、欧州懸念は相変わらずくすぶっている。今年は一年中、欧州に振り回された年であったな。

今朝もユーロはスッコーンと下がって、あっさり1.30割れ。


対円だと10年振りの安値ですと。

(Bloomberg, 12/28/2011)

(記事から引用)“We’re still so far from being out of the woods that even on a day of being positive, people decided that the euro should continue to fall,”
 「状況はまだまだ闇から抜け出れそうもなく、たとえポジティブなニュースのある日でも、ひとびとはユーロは下げ続けるべきと決めている。」

Financial Timesも昨日、ECBのファシリティが貸し方も借り方も増えて【ブタ積み】になってる様を紹介していた。

Record use made of ECB deposit facility
(Financial Times, 12/28/2011)

FTの記事によると、クリスマス前の21日、ECBは空前のリクイディティ需要に答えるため新たにターム3年の融資 €489bn 近くを500超の銀行に貸し付けた。しかしその数日後、ECBのオーバーナイトの預金ファシリティには、これまた空前の€ 452bn が積まれました、という話。

11日のエントリーでも触れたように、年末にかけては市場の流動性が極端に下がるときで、こういう時にあえてアブナイ真似は手控えたほうが無難、というのは万人の知恵。キャッシュを手にしたらキャッシュのままジー・・・とこうべを垂れて年明けを待つという銀行側の考えも当然といえば当然である。

欧州リーダー達の間には「ECBから低利で借りた資金で高利回りのイタリア債を買ってくれるよね♥♥」という思惑(←通称 “サルコジ・トレード”と呼ばれてるww )があるみたいだが、銀行の担当者達は「正気だったら、年明け早々どうなるかわからないイタリア国債なんかに、いま手を出せますかい」とシランプリ決め込んでる風。アナリストの間には、このブタ積み状態が年明け後も継続してしまうのではなかろうか、と懸念持ってるひともけっこういるみたい。

結局こうやって、2011年は欧州問題にこれといった進展もみられずに一年が過ぎていったわけだが、2012年になったら、この膠着状態から抜け出ることは、果たしてできるのだろうか・・・。抜け出るとしたら、それへの触媒はなに・・・?

★    ★    ★    ★

この状況に痺れを切らした市場関係者の中には「アルゼンチンだってやったんだ、しのごの言ってないでサッサとデフォルトさせやがれ」とか言ってる方も散見されますが、アルゼンチンといえば、ロイターのニュースで、こんなの、あった。

自国通貨デバリュエーションのスペキュレーションが止まないアルゼンチンで、ドルの国外への闇持ち出しを阻止するため特別に訓練された犬が国境付近で大活躍中とのこと。苦しい時の犬頼み。



以下、トランスクリプト全文:
The tax man's new best friend In Argentina, sniffer dogs are being trained to detect cash being taken out of the country. The government has been cracking down on the smuggling, at a time when there's much speculation over the devaluation of the peso. Customs director, Maria Siomara Ayaran, has been demonstrating the work her dogs can do on routes into countries like Paraguay and Bolivia. 
 (SOUNDBITE) (Spanish) MARIA SIOMARA AYARAN, CUSTOMS DIRECTOR SAYING: "After many years, we now have around 300 dogs, 50 of which are trained especially to detect foreign currencies, specifically dollars and euros. What we are seeing here is part of customs controls carried at different border points."  
The dogs, seen at this ferry terminal, where boats head to Uruguay, can pick out specific currencies, like dollars and euros, by learning to sniff out the different inks on the notes. The dogs will only react if the amount is over $1000.  
From January to September this year, money leaving Argentina added up to $18.25 billion - almost $7 billion dollars more than in the whole of 2010. The government has limited sales of Dollars in a bid to curb the flight of money from the country. The move came after new foreign exchange controls, which mean the tax agency must pre-approve all currency purchases, sparked an increase in withdrawals of dollar deposits. Having perfected the training with their own dogs, Argentine customs now plan to export their expertise to other countries. Joanne Nicholson, Reuters.

(拙訳)
アルゼンチンの税務署役人に新しい親友ができた。国外に持ち出されようとする現金を嗅ぎ分けるよう訓練された犬たちだ。ペソのデバリュエーションの噂がはびこる中、アルゼンチン政府は現金の違法持ち出しを取り締まるのに躍起になっている。関税職員マリア・シオマラ・アヤランさんは、パラグアイやボリビアといった国々に向かう途中のルートで、訓練された犬達の仕事ぶりを見せてくれた。 
(マリアさんのスペイン語)「長年この仕事に取り組んでいますが、今私達には300頭の犬がいて、うち50頭が特にドルとユーロの外国紙幣のにおいを嗅ぎ分けられるよう訓練されています。いま皆さんにお見せしてるのは、国境付近各所で警備の一環として行われている業務の一部です。」
私たちがいるこのウルグアイ行きボートのフェリー乗り場では、印刷インクのにおいの違いを嗅ぎ分けられる犬達が、ドルやユーロといった特定の紙幣を見つけだす。ただし1000ドル以上のまとまった紙幣にしか反応しない。 
今年1月から9月の間に、アルゼンチンから持ち出された現金は182.5億ドルに上り、前年一年間の総額よりもすでに70億ドルも増えている。アルゼンチン政府はマネーの国外逃避に歯止めをかける目的でドル売買に限度額を設けることにした。新しい外国為替取締法のもと、あらゆる通貨購入に税務署による事前認可が必要となったため、ドル預金の引き出しが急増という結果に。特別訓練犬の成果に自信をつけたアルゼンチンの税関は、他国にこの犬の特技を輸出することを考え始めているという。



Monday, December 19, 2011

システミックリスクのビジュアル化

今日のNY市場も冴えない動き。出来高もスカスカ。金融株が特に弱い。

Bank of America(BAC)は2009年の底値にどんどん接近。数ヶ月前に6ドルを割ったときも、この低水準のまま推移することになるとかなりマズイと思ってたのに、6ドルどころか、いまや5ドルも割ってしまった。

本日3時45分頃に拾ったBACのチャート。かなり痛々しい。



欧州向けのエクスポージャが相対的に大きいという理由から、欧州リスクの懸念が強まるたびに大きくネガティブに反応して売られるモルガン・スタンレー(MS)は、本日もやられている。

こちらはMSの3時45分頃のチャート。



現在、米の大手金融機関の株価はどれもブックを大きく割っている。P/Bレシオをざっとみてみると・・・

  • JPM = 0.66
  • GS=0.63
  • MS=0.47
  • C=0.43
  • BAC=0.23


・・・悲惨な数値であるな・・・orz

ここだけみれば、「バリュエーション的には割安・・・」とつい漏らしたくなる人もいるだろうが、なにせ誰もが2007年の暮れ(リーマンショックの前年の暮れ)に、大手金融株がどいつもこいつも同様にブック割れしていたことを嫌でも覚えてるので、いま、この局面で「割安」の「わ」の字も口にしたくない、というのが本音だろう。

当ブログで数度にわたりシツコク書いてることではあるが、問題をある狭いローカル市場に閉じ込めておくことができるのであればまだマシだったのであろうが、特に90年代後半からは、デリバティブスの台頭もあり、世界の金融市場は文字通りボーダーレスになり、まるで蜘蛛の巣のように絡みあって互いが互いにエクスポーズされる、そういう状態になってしまった。

【エクスポージャの蜘蛛の巣】が絡まれば絡まるほど、ある一箇所で起こった問題が産むリスクは、そのネットワークを経由して、時には増幅されて、問題発生のローカル市場を飛び越えて伝播してゆく。

伝播(Contagion)については1年半も前に『ギリシャの悲劇-Contagion』という記事を書いた。今、去年の5月に自分が書いた記事を読み直してみると、欧州をとりまく状況は、実際何も進展していないという事実にあらためて驚く。

ブロガーのBarry Ritholtz が彼のブログで『 Econometric Measures of Connectedness and Systemic Risk in the Finance and Insurance Sectors 』という学術論文を紹介しており、そこに、「金融セクター同士のエクスポージャ蜘蛛の巣」の図があった。


システミックリスクをビジュアルに感じられて興味深いので、ここにも貼っつけておきたい。


1994年1月~1996年12月



2006年1月~2008年12月



拡大して線のいちいちを精査してどうなるわけでもない図だが、絡まり合い方(Interconnectedness)を見ただけで、世界の金融機関同士がわずか10年かそこらで、どれだけ相互エクスポージャの度合いを強めていったかがわかる。

グローバルに金融セクターへの悲観論が消えることなく弱含み続ける最大の背景は、この図から示唆されるシステミックリスクの深刻さなのだ。


Wednesday, December 14, 2011

年末のFXは派手に荒れる?

さて、はやいもので、2011年もあと2週間ほど。

金融街の年末風景の常として、クリスマスが近づくにつれ取引現場に関わるひとびとのやる気は目に見えて下がってゆき、20日過ぎたあたりからやる気はほぼゼロに近づく。

年末にかけて低下するのはトレーダーやセールスのやる気だけじゃなくて、株も債券も為替もコモディティも、あらゆる金融市場の流動性が合わせて低下する。

今年は尾を引く欧州問題のせいでFX市場の流動性低下がここ数ヶ月目だっており、10月27日に1.4247をつけていたユーロドルは、今日は1.29台まで大きく動いた。ここ数ヶ月高いボラに見舞われている為替市場は、これから年末に向けてさらに流動性が下がることもあり、さらに大きな振れ幅に襲われるのではないか、という懸念が出ている。マーケット関係者の異なる見方を紹介した記事。

DERIVATIVES: Dramatic FX moves feared on low liquidity
(IFR, 12/14/2011)

(以下、記事の抄訳)


  • 目下ボラティリティは高レベルで推移してるものの、コントロールが失われるほどまでには至っていない。だが、いずれにせよ年末にかけて流動性が更に細るため、ドラマチックな値動きに発展するのではという懸念が散見される。
  • ドイチェ銀行のFXグローバルヘッドKevin Rodgersの見方:「年末のリクイディティ低下で、もしソブリン問題にまったく目処が立たないということになると、極めて大型でボラの高い動きが起こるのではという懸念を拭えない。これまでも、年末の流動性が低い最中にエンドユーザーが取引を成立させようとして値動きが大きくなったことがある。今年はヘッジファンドが苦しい状況にいることもあって、一方的な流れになった時に、その流れに逆らってリスクキャピタルをコミットしようとするプレーヤーは稀だろう。FXデスクで人手が手薄にならないように、トレーダーの年末休暇の予定には気を配っている。大きな不確定要因が存在している最中に流動性が低下するのだから、突然、動きが活発になった場合を考えて、予め準備をしておく必要がある。」



ドイチェのFXデスクが強い警戒感を抱くのとは逆に、パリバのデスクは、年末はスムーズに越せるという見解。(以下、ふたたび記事の抄訳)

  • ユーロゾーン危機から派生する不確実性は払拭されてはいないものの、主要通貨のペアのボラティリティは比較的落ち着いてはいて、1年のユーロドル・ボラティリティは現在15.7ボラティリティ・ポイントでトレードされている。歴史的にみれば高い位置にはいるが、11月終盤には17ポイントだったので、現在はそれよりも低い。同様に、ユーロドル・リスク・リバーサル(3ヶ月25デルタのプット/コールの差)の水準は、11月の4.5に対し、現在3.5。
  • BNPパリバのFXグローバルヘッドHubert de Lambillyの見方:「パニックはしていない。ボラは爆上げしてはいないし、通常ならユーロをショートするファストマネーがユーロを更に下押ししようとするだろうが、いまはそれが起こってる風でもない。事実として債券の新規発行のストレスがFX市場を大きく動かすドライバーになるが、(年末に向かっては)債券発行もほとんどない。今年は、流動性のない、しかし、さほど波風もたたないスムーズな年末になると予想している。」

ECBの施策が功を奏して、市場が心配しているほどには、現実には、そんなに大惨事にはなっていないという点では、両者の意見は一致。


  • ユーロの秩序ある下落を可能にしたのは、ECBが進めている低金利環境のおかげ。量的緩和は控えているECBだが、フロントエンドの金利を低位に保ち流動性供給オペの延長と担保条件緩和を実施してユーロゾーンのリクイディティが枯渇しないようつとめている。パリバのLambillyは、ユーロ調達緩和策がユーロ下落の理由のひとつ、という。
  • また、ドイチェのRodgersによると、主要通貨のペアは、ボラが高止まりしているにもかかわらず、2011年初頭の水準からみると、さほど大きな乖離はしていない。今年に入ってから対ユーロで最大の動きを見せたのは日本円の6.8%。ユーロスイスは1.2%の下落にとどまり(2度にわたる中央政府の介入の後ではあるが)、ユーロドルも2.6%にとどまっている。
  • Rodgersの言:「ボラティリティが高止まりし、ヘッドラインに翻弄されてギクシャクな動きが続いた今年は、緊張がいまだに続いているが、実際のところスポットレベルはかなり安定的。マーケットは、今の状況が大惨事に発展する可能性をずっと憂いてきているが、現実には、そんなに動いてはいない。」


市場は心配しすぎ、ということでしょうかね・・・。

ところで、今日TLで見かけた @positivegamma さんのツイートがちょっと気になったので、最後にメモとしてくっつけておく。

これを見たら、「心配しすぎ」とも思えないんだが。




このチャートを見て、「市場の流動性が極めて低い最中に、動きが一方的になってきたとき、それに逆らってキャピタルをコミットするプレーヤーはいない」というRodgersの言葉を、改めて心に刻むなど。(たしかに、【プライベート資金のサイド】には、いないでしょうね。)

Monday, July 25, 2011

前回の続き Togetter『続・証券アナリスト、というお仕事』

前回ポストした、証券アナリストについてのまとめが、思いのほか好評で、さらにいくつか書き留めておきたいポイントもあったので、続編としてまとめた。

前回のだけ読むと、アナリストの将来はお先真っ暗、このままでは消え行く運命にある職業なのではなかろうか・・・と思った方もいるかもしれない。だが、決してそんなことはない。その時その時の市場の状況や規制環境に翻弄されることはあっても、アナリストは証券会社の商品の一部、アナリストが提供するクオリティの高い分析や、中立の立場からの投資判断・オピニオンは市場の効率を高めるために必要な要素、と私は思っています。

アナリストは単なる人気商売でもなければ、資格商売でもない。小手先の分析ノウハウを身に着けたり、本人の営業努力で社内外に顔を売ったからとて、どうなるものでもない。

「あのアナリストのオピニオンならば傾聴するに値する」――市場関係者からそう評価され信頼されるようになって、ようやく存在価値が認められる、そういう仕事です。

これからプロのアナリストを目指すワカモノの皆様には、自分の発信するオピニオンに自信を持ち、より高みに向って日々精進するプライドの高いアナリストになっていただきたい。


以下のTogetterが見えない場合は、リンクはこちらです。

Saturday, July 23, 2011

Togetter 『証券アナリスト、というお仕事』

某著名美人タレントのお相手が某大手証券会社のアナリストだということで、にわか注目が集まっている(?)「アナリスト」の世界。

Twitterで語った「アナリストというお仕事」をまとめたので、ここに貼り付けておきましょう。
(下に内容が表示されない場合は、リンクはこちら。)

会話の中に出てくるギョーカイ用語は、ご存知ない方のために、下に注意書きとして書いておきます。




<<ギョーカイ用語集>>
  • ベース:基本給(Base Salary)のこと。ウォール街の給与体系については以前ブログで書いたことがありますが、リーマンショック前までは、基本給は低めで、その代わり、その年の利益に従い支払われるボーナスが非常に大きく、ボーナスのほうが基本給より大きい、時には数倍、なんてのは極フツーだったのです。(でも、リーマンショック後にウォール街のボーナスを減らしやがれ!という怒りの世論が沸騰し、その結果何が起きたかというと、ボーナスは確かに減ったがその代わりベースを引き上げるという、アホな結果になりました。)
  • ブティーク・ファーム:ある特殊な業界の投資関連業務を専門に扱う小規模な証券会社のこと。大手の場合は証券の種類や扱う業界の種類など広く網羅する総合証券会社で、それと対極にある。
  • ジュニア、シニア:アナリスト業界と言うのは基本的に「丁稚システム」であり、シニアアナリストの下にジュニアアナリストとしてつきシニアめざして何年か奉公するわけ。入社直後から業界持たせてもらって偉そうに顧客の前で意見述べるなんてことは、許されません。
  • セル、バイ:セルサイド(Sell Side)、バイサイド(Buy Side)の略。セルサイドとは要するに証券会社のことで、証券を「売り込む」側。バイサイドというのは要するにファンドなどの機関投資家のことで、セルサイドに注文だして証券を「買う」側、すなわち証券会社の顧客。
  • IB:Investment Bankingの略。投資銀行業務のこと。IPOなどの「ディール」を手がけるお仕事。ディールが成功すれば、引き受け手数料などの手数料を受け取る。
  • フロー:顧客の注文に従って証券を売買し、売買手数料を受け取るお仕事。
  • プロップ:Proprietary Tradingの略。顧客のためではなく、会社の自己勘定でリスクを取り証券の売買をするお仕事。売買から生じる損益はそのまま会社の業績になる。
  • フロント:セルサイドで、バイサイドの外部顧客と直接やり取りする人たちのグループ。フロントの業務に属するアナリストが客向けに推奨オピニオンを出したり、マスコミに出たりする。(IBやプロップの業務に属するアナリストは、一般の外部顧客にはオピニオンを出さず、所属する部署の目的のためのみに情報提供する。)
  • レーツ、クレジット:セルサイドのフロントは大きく分けて株式部と債券部に分かれるが、レーツもクレジットも共に債券部の構成要素。レーツ(Rates)とは金利商品、主として国債を扱うグループで、クレジット(Credit)とは企業債や仕組み債およびそれらのデリバティブスを扱う。
  • MD: Managing Directorの略。外資証券会社の役職ヒエラルキーにおいては、MDはある意味「すごろくの上がり」に相当し、MDのタイトルもらうと年間の報酬もガクンと高くなるのだ(笑)。
  • HF: Hedge Fund(ヘッジファンド)の略。機関投資家の種類のひとつ。トレード頻度も額も高く、ゆえに落とされる手数料も多いため、セルサイドの上客。

Monday, May 16, 2011

キャッシュポジション:「サル芸」から「意図的なレバレッジ」へ

米企業のバランスシートにキャッシュ積み上がってるぞ、という話は過去に何度か書き、MHJでは、ほとんどシリーズ物になっております(笑)。

2010年9月29日 『マクロ低迷下でミクロ企業体にはバイバックの好機到来
2010年10月1日 『米国の事業会社はCash Hoarders
2010年12月19日 『サルでもできる芸当、その後

株式買戻し(Share Buyback)なんぞ、積み上がったキャッシュの使い道にクリエイティビティ発揮できない経営陣がやる常套手段、すなわち、「サルでもできる芸当」だ、ということでありますが、その「サル芸」がその後どうなったか。アップデートは、こちらのグラフをどうぞ。

Source: Clusterstock


2011年の第一四半期は、期中の買い戻し額が$100bnを超え(グラフがスティープになっていますね)、今四半期に入っても買い戻しのペースは落ちておらず、ここ数週間で再びバイバックが活発化。

ニュースをいくつか拾ってみると、大物企業のバイバック・プラン、目白押しである。

Disney quietly approves US$16-billion share buyback
(5/16/11, Financial Post)

Tyson Foods' Board Reactivates 22.5M-Share Buyback Program
(5/12/11, Wall Street Journal)

Kohl’s Strong Cash Flow Allows Accelerated Share Buybacks and Dividends
(5/12/11, Morningstar)

Disneyのように積極的な買戻しを発表しても全然株価に反映されずに無視される寂しいケースもあるわけだが、米企業は実際、事業キャッシュフローは潤沢で、Kohlのようにバイバックと並行で負債も減らしている会社はあるわけである。

このペースでバイバックすると、フロートしている株式数は年間5%以上減少するようなんだが、企業株アナリストはこの要因をモデルに反映していないのでEPSの見積もりは15%は低すぎだ、と言ってるマネージャーもいる。

しかし、上のグラフで、もうひとつ気になることは、4月の終盤に米企業債の新規発行がグーンと伸びた時と、シェアバイバックのペースが一気に早まった時が、タイミングを同じくしてる、という点。

企業債のクレジットスプレッドのタイトニング・トレンドは続いていて、ジャンク債市場は引き続きブイブイ。Kohlのように負債を減らすところもあるが、むしろ安いクレジットを利用して借り入れを増やし、それを元手に株式買戻しをやってる企業もいるらしい雰囲気である。

企業のレバレッジは上がっている、あるいは、ここから更に上がる可能性あり、ということである。

(小声で)その割には株価は今四半期からイマイチ覇気がないんだがな・・・

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キャッシュの使い道といえば、先日、マイクロソフト(MSFT)がスカイプをキャッシュ・ディールで買収して話題となった。

Microsoft Dials Up Change:CEO Ballmer Defends Hefty $8.5 Billion Price Tag for Internet-Phone Firm Skype
(5/11/11, Wall Street Journal)

こちらは$8.5bilという「お値段」が市場で嫌気されて、あまり好感されないディールになってしまったけど、マイクロソフトのキャッシュポジションについて、$8.5bilキャッシュで払った後もMSFTにはうなるほどキャッシュあるよ、というモルガンスタンレーのコメントがあったので、ついでに紹介しておく。

Morgan Stanley Comments On Microsoft Cash Growth
(5/16/11, Benzinga)

モルスタのアナリストによると、MSFTのキャッシュ残は09Q4から10Q3の期間中$20.7Bnから$50.2Bnに増加した。スカイプ買収に使った$8.5Bnを差し引いても、同社のキャッシュポジションは依然高水準で、業務キャッシュフローもきわめて潤沢。パッとしないMSFT社の株価は、長期的な戦略モデルが見えないのと、投資家はもっとアグレッシブなキャピタルリターンを欲している様子。

彼らの意見としては、MSFT社が取るべき方策のうち、低リスクの選択肢としてはレバレッジを上げ、配当率を4%に上げ、年間$60億ドル規模のバイバックにコミットすること。M&Aもむろん選択肢にはあげられるが、それはハイリスクだろうというのだ。

マイクロソフト社の長期財務戦略がどうなるかはともかく、ウォール街のメンタリティは確実にレバレッジ嗜好に向っている。

筆者としては、企業債新発が単にキャッシュ・リッチな状態で盛んに「サル芸」的にバイバックしていたフェーズから、意図的に高レバレッジへ移行している過渡期にいるようにも感じるのだ。

Friday, April 1, 2011

ウォルマートCEO「インフレは速いペースでやってくる」

Wal-Mart CEO Bill Simon expects inflation
(USA Today, 3/30/11)

  • 最近米で話題になった動画。米小売の巨人ウォルマートのCEOビル・サイモンがUSA Todayとインタビュー。
  • 「毎日が最安値」を謳い文句にしている同社も、コスト高を強く警戒。
    • (引用:Still, inflation is "going to be serious," Wal-Mart U.S. CEO Bill Simon said during a meeting with USA TODAY's editorial board. "We're seeing cost increases starting to come through at a pretty rapid rate."
  • 原料高に加え、中国の人件費増、ガソリン高による運送費増などがのしかかり、この6月にも店頭の最終小売価格にそれが現れてくると指摘するアナリストも。

Tuesday, March 15, 2011

原発事故によるS&P500への影響

FTが、原発事故とS&P500への影響をグラフ化しているので、紹介したい。

Nuclear meltdowns and the S&P 500
(FT Alphaville, 3/15/11)

このグラフの縦軸は、事故発生時の株価を0として、その後S&P500インデックスがどれほど(%)沈んだか、横軸は株価沈下が再び水面に戻るまでどれだけの日数を要したか、である。

これを見ると、チェルノブイリの時は、事故発生から2週間、マイナス4.5%まで沈み続け、株価水準が元に戻るまで実に20取引日もかかるぐらいの大ショックであった。

今回どうなるかは、誰にもわからない。FTが言うとおり、This time could be different.

スリーマイルやチェルノブイリの時と現在とで明らかに異なるのは、経済がよりグローバル化して、当時と比べて金融・証券・商品とあらゆる市場がより複雑にグローバルで絡み合っている、ということですかね。それが吉と出るか凶と出るか・・・当面、注視しましょう。