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Monday, April 4, 2011

日本震災から影響受けてる意外な業界=ハリウッド

日本の震災によるサプライチェーンの混乱が世界各地で起こっている。震災直後から、日本製の部品に頼る海外メーカーが製造の一時中止を余儀なくされたりしているのだ。

例えば、この、3月18日付のFTの記事。地震後直後の月曜から早々と製造を一時中断せざるを得なくなったGMはじめ, ソニー・エリクソン、フォルクスワーゲン、ノキア、アップルなどなど、世界の有名どころが次々に部品サプライの流れが滞ることに懸念を示した。

(Financial Times, 3/18/11)

製造中止していたGMのルイジアナ工場はその後1週間で製造再開にこぎつけたようだが、福島原発事故の解決がなかなか進展せず、産業用電力の不足が長期化するとの懸念も浮上し、自動車メーカーやハイテク産業など日本製品に頼っている海外製造業各社の不安を払拭するにはまだ先のよう。

そんな中、一見直接関係のないように見えるところで、サプライ不足を懸念するあまりパニック買いに走ってる業界があるという、(ちょっと意外に思える)記事を見た。


(New York Times, 3/22/11)

(New York Times, 3/27/11)


記事によると、まだサプライ不足が実際起こっているわけでもないし、この先本当に不足が起こるのかどうかもわからないのに、ハリウッド映画やTV番組の制作業界は、プロダクション仕様のビデオテープの買占めに一斉に走っているらしい。一部では製品の最終価格が25%も跳ね上がり、eBayのようなオークションサイトで再販すると、元の価格の10倍の値がつくこともあるらしい。

筆者も初めて知ったのだが、ハリウッドが使用するSONYのビデオテープは同社の仙台工場で生産されているそうで、米国の商業用グレードのビデオテープ市場におけるSONYのシェアはなんといってもダントツでデカく、仙台工場がやられたというニュースが入ったとたん、米エンタ制作業界は「な、なんだとーっ!」と総立ちになり、「テープ確保できるか大至急確認しろーー!」とドタバタ動きだしたというのである。

業界でよく使われているHDCAM-SRというビデオフォーマットはSONYでしか製造されておらず、他の日本メーカーが作っているビデオ・フォーマットを使おうとすると機材を新たに揃えなくてはならない。

うちのダンナはまさにこの映像業界のひとなので、「なぜ今時ビデオテープなのか、デジタルにすりゃーいいじゃん」と早速ヒアリングをしてみたところ、デジタル機材と映像のデジタル化は着々と進行中だが、現場ではビデオテープはまだまだ広く使用されているとのこと。キツイ制作予算でやりくりしている映像業界下請けは貧乏所帯が多くて、デジタル最新機器が出てきたからといって、皆そんなに頻繁に最新式に次々取り替えられるお金の余裕があるわけではないらしい。彼にNYTの記事を読ませたところ、状況はすっごくよくわかる、と言っていた。

(以下NYTの記事から引用)

“It’s akin to one of those situations where people go to the grocery store and buy up all the water,” said Bill Missett, an executive with the LaserPacific Media Corporation, which uses tape in its post-production services. (略) Many TV shows rely on tape that is manufactured in Japan. Studios use a similar product to shoot movies and store master copies of films. (Digital storage methods are increasing, but, counterintuitively, it costs more to store a digital master of a movie – about $12,500 a year – than it does to keep a conventional master, which costs about $1,050 a year.)

プロダクション後のサービスでビデオテープを使う、LaserPacific Media Corpのエグゼクティブ、ビル・ミセット氏は「飲み水の買い占めのためにスーパーにあせって買いにゆく、あれと似た状況だ」と言う。(略) 米テレビのリアリティショー番組の多くが日本製のテープに依存している。映画スタジオでも映画の撮影やマスター・コピーの保存のために同様のプロダクトを使っている。(デジタルによる保存方法は年々増加傾向にあるものの、我々の直感とは裏腹に、映画のデジタル・マスター保存にはよりコストがかかる。テープ方式によるマスター保存だと映画一本で年間保存コストは$1,050しか掛からないのに対し、デジタルマスター方式だと年間$12,500もコストがかかるのだ。

$1050 対 $12500 とは!!!

そりゃー、テープに頼るはずだわ・・・。

デジタル・マスター方式の保存コストがこの先どんどん下がってくれば、また話は大きく変わってくるんだろうけれど、それと関連して周辺機器もデジタル新鋭機器に変えてゆくコストがかかる、ということですしね。なにせ先立つものはカネだからなぁ。

筆者もローテクながら、書籍・音楽・映画と、デジタル化されたコンテンツに日々お世話になっており、その利便さと手軽さ、そして、コストの比較から言ってもデジタル化されたもののほうがずっと経済的ということもあって「モノを持たないミニマリストなライフ・スタイル」に徐々に切り替えてきているところ。でも、ストレージに10倍も差が出るとしたら、そのコストが下がってくるまでは、ジッとモノを抱えているだろうなと思う。

記事では「直感とは裏腹に(counterintuitively)」という表現を用いていたが、わたしもデジタルのほうが安く済むと直感的に思っていた。

でも、映像のプロの現場が、利便性とかよりも純粋にコスト比較での大差が理由で、いまなお一部ではテープ依存が続いていたというのを知り、ローテク筆者としては、やや意外に感じたわけである。

Saturday, March 26, 2011

【記事】日本の震災被害を数字で見る(ロイター)

FACTBOX-Japan's disaster in figures
(Reuters, 3/26/11)

(以下は記事の訳)

3月11日の震災・津波被害を具体的に数字でみると・・・

  • 死者10,489人、行方不明者16,621人(3月26日正午現在、警察庁調べ)
  • 避難所で生活する人243,238人 (上同)
  • 3月12日で避難勧告が通達されたエリアは原子炉から10km以内だったが、それが20kmに拡大されたことで177,500人が避難。
  • 東北地方の停電家屋192,908軒(3月26日午前9時現在、東北電力調べ)
  • 直接被害を受けた10県合計で水道が通っていない家屋、少なくとも53万軒(25日午後11時現在、厚生省調べ)
  • 完全に倒壊した家屋18,645軒(警察庁による土曜日の公表)
経済への影響・・・

Tuesday, March 15, 2011

原発事故によるS&P500への影響

FTが、原発事故とS&P500への影響をグラフ化しているので、紹介したい。

Nuclear meltdowns and the S&P 500
(FT Alphaville, 3/15/11)

このグラフの縦軸は、事故発生時の株価を0として、その後S&P500インデックスがどれほど(%)沈んだか、横軸は株価沈下が再び水面に戻るまでどれだけの日数を要したか、である。

これを見ると、チェルノブイリの時は、事故発生から2週間、マイナス4.5%まで沈み続け、株価水準が元に戻るまで実に20取引日もかかるぐらいの大ショックであった。

今回どうなるかは、誰にもわからない。FTが言うとおり、This time could be different.

スリーマイルやチェルノブイリの時と現在とで明らかに異なるのは、経済がよりグローバル化して、当時と比べて金融・証券・商品とあらゆる市場がより複雑にグローバルで絡み合っている、ということですかね。それが吉と出るか凶と出るか・・・当面、注視しましょう。


Monday, March 14, 2011

日本の復興は世界共通の願いである

3月14日のFinancial Timesに、日本経済の再生を願って、といった趣旨の寄稿文が掲載された。投稿者は、世界最大の債券ファンドPIMCOのCEO、モハメド・エルエリアンである。

How Japan’s economy will eventually rebound
(Financial Times, 3/14/11)

いま日本は大変な災害に見舞われて、人的救援に多くの注意とリソースが裂かれている。でも、日本が再生するには、ヒューマン・インタレストのみならず、経済的な意味での復興というルート抜きにはありえない。この大悲劇がカタリストとなり、日本の再生に向けて歩んでもらいたい。世界中が日本の復興を願っている。

そのとおりであります。

この記事をツイッターで紹介してくれた@gion_mktさんが仰る通り、市場関係者じゃなくても読む価値ありとわたしも感じました。

それで、以下、勝手にザーと訳しました。(細かいこというと意訳しすぎの部分はあるかもしれませんが、急いで訳したんでゆるしてちょ。太字はMHJ筆者によるもの。)

いかにして日本の経済は復興するか
by Mohamed El-Erian

Tuesday, January 18, 2011

似てますね

前回のエントリーで、FRBのバランスシートが膨らんでますね(Exitは容易じゃなさそうですね)という話をしましたが、こんなグラフを見たので、いちおう貼るだけ貼っておく。

左は日本銀行のバランスシートの膨れ具合。右はFRB連銀。