2010-03-09(Tue)
ソ・ラ・ノ・ヲ・ト #10 旅立チ・初雪ノ頃
身の振り方を延々と悩み続けたリオ。
山のマダムの生き様に触れてついに決断です。
ここ数話の端々で描かれてきたリオの苦悩、今回はその原因(?)であろう手紙を燃やすシーンから。雰囲気からして手紙の内容に沿う気は無さげ? 焚き火を前に逆光の描写はリオの苦悩の深さを感じさせます。てなところへ無駄に明るいクレハが登場、どこから見つけてきたのかタケミカヅチのパーツを調達報告し、ほおばるヤキイモは先週掘ったサツマイモでしょうか。共食い?(笑
赴任から早くも半年過ぎてカナタの喇叭も普通に聴けるように。その音を聴いて眼を細める山のマダム「ジャコット」、いかにも具合が悪そうなジャコットさんは50年も山で暮らしているらしい。体の弱った老婆がなぜそんな過酷な生活を? というわけで今回は彼女の生き様を知ったリオが悩みの答えを出すこととなります。
パーツが届いたタケミカヅチはかなり完成に近付いた? 脚が付くと一気に多脚砲台のシルエットが浮かんできますね。整備が進んで上機嫌なノエルを残してクレハ&カナタはお茶へ…その前にイリア公女のことを知りたいカナタの希望を叶えるべく隊長室のロッカーを漁るクレハ、おいおい勝手にそんな事していいのか? 結局目的の軍事年鑑は見つからず、「わからない」と言いつつもその行方に心当たりがあるのか二人を見守るフィリシアの表情が意味深な。
ベッドに転がりながら軍事年鑑を眺めるリオ。やはりここにありましたか。相変わらずお悩みMAXのリオの一方でクレハはイリア公女の話をカナタへ。前回チラリと映されたイリア公女の亡骸はなるほどそのまんまの意味でした。溺れそうな子供を助けようとしての水死…カナタの回想に出てくる公女がずぶ濡れなのはそういう理由があったのですね。回想の公女は亡くなった後の幻影なのか、それとも「溺れそうな子供」が…だったのか。公女殿下が亡くなったことによって正統(?)ローマの皇帝への輿入れが破談となり、すなわち関係改善の一手が流れたことで休戦協定が上手くまとまらなくなった? これを解決させるべく大公がリオへ頼んだ事とは、つまり亡くなったイリア公女の代わりに…ってことなのでしょうね。そりゃリオも悩むわ。
相変わらずベッドにてぐるぐるしているリオ。お悩み真っ最中であることがわかっているカナタはリオへ声をかけづらそう。ドア前に立つもノックをためらい、手をギュッとしながら言いづらそうに伝え…ドア前でモジモジされても返って気になるってものです(笑。そんな様子にたまりかねたリオは頭を抱えながらもカナタを迎え、なるほど良き先輩の虚像を演じるのも大変ですなあ。
マダムは山で一人暮らしのはずなのに何故か隣に建築中の家がありました。二人が近付いてみるとそこで作業をしていたのは何とマダム当人、コテを手に咳き込む様子はいかにも具合が悪そう。息子がいつ帰ってきても良いように家をきちんとしておきたい、そう語るマダムにリオは母親の姿を重ねたようです。おそらくリオの母親もマダムと同様に「大公がいつ来てもいいようにベッドメイクを欠かさなかった」のでしょう。いつ来るかわからない相手をひたすら待つ母親、そんな姿を見続けてきたリオは同じような境遇のマダムに激昂し、しかし放っておけない優しさはこれも母親に重ねているのか。
「東部国境のローマ軍が移動を開始したらしいの」
リオの手紙を読んだ上で不穏な情報を伝えるフィリシア。言っちゃ何ですがこのワンシーンでフィリシアの途轍もない黒さを感じてしまった(笑。まあ行くにしろ行かないにしろリオが決めなければ、答えを引き延ばしても状況は好転しません。フィリシアとしても悩み続けるリオを見るのが辛いのでしょう。
マダムの冬支度の買い物に走る二人。ここでも「公女殿下」の話題が出て…転がったコインがリオの足元に当たる演出は「リオの立場」を示唆していますね。ここから二人はセーズの街をお散歩、延々と止め絵多用の紙芝居は作画余力の急降下を想像させます。さすがにこれを演出として見るのは少々厳しい。今回は冒頭からキャラ作画の崩れが目立ちましたがついに破綻一歩前まで来た?
伝承の巫女像は教会の地下室にでも安置されているかと思っていたけれど、お散歩コースの壁に普通に飾られててびっくり。ここでリオは自分の過去話、リオがイリア公女をいかに大切に思っていたかわかりますね。続いて「迷路」「ゴール」「行き止まり」は人生を街になぞえての話、「道に迷っても、行き止まりでもいい」と言うカナタのまっすぐさはリオの救いになったようです。
例の鈴を手にしたリオが振り返った瞬間、カナタはトランペットの人の面影を見つける。散りばめられた伏線がカナタの中で一本に繋がった瞬間の描写はなかなか綺麗でした。
待ち続けることは決して不幸な事ではない。思い出があり、再び会える希望があればそれだけで十分、と語るマダムの言葉にリオは自分の母親の思いを理解したのでしょう。ひたすら待ち続ける母親を「不幸」と思っていたけれどそうではなかったのです。すると空はいつしか雪に、マダムが旦那に初めて合ったのもこんな雪の日。
若かりし日のマダムは結構なわがままボディですなあ。時の経過とは残酷なものです(笑。妙にエロチックな手の触れ合いからキスシーンへ、そして子供が生まれると旦那は子供を連れて家へ帰ってしまう。「いつか必ず迎えに来る」との約束を信じて待ち続けたマダムの思いは…唐突に叶うこととなりました。窓の外へ迎えが現れ、若返ったマダムが駆け出す瞬間から抱き締められて白い羽根が舞う繋ぎは切なすぎ、しかし美しいシーンでした。ここは「再び会えてよかった」と言って差し上げるべきか。
翌朝目覚めるとマダムの姿は消え、慌てた二人は雪の中を走って必死に捜す。雪に残された1対の足跡を前に崩れ落ちるカナタの表情がナントモ。天使に召されたことを暗示しているのか、再び舞い落ちる白い羽根が印象的です。
イリア公女はセーズの街にも来ていたのですね。写真を手にしたミユキさんを止めないリオはもう腹が決まったのでしょう。カナタと目配せの後に砦の上へ立ち、リオが最後のアメイジング・グレイスを吹くとカナタがそれに合わせる。喇叭の音、そしてイリア公女の存在によって通じ合った二人の思い、
「真剣にここを離れたくないと思う。だからこそ私は行かなきゃならないんだろう」
自分にしかできないことから逃げてきた。しかしこの街この砦でたくさんの思い出ができ、その思いがあればこれからも生きていける。リオはトランペットをカナタへ託し、別れを言わずに旅立ちました。どんなに離れていても音は響いて…伝わるから。
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山のマダムの生き様に触れてついに決断です。
ここ数話の端々で描かれてきたリオの苦悩、今回はその原因(?)であろう手紙を燃やすシーンから。雰囲気からして手紙の内容に沿う気は無さげ? 焚き火を前に逆光の描写はリオの苦悩の深さを感じさせます。てなところへ無駄に明るいクレハが登場、どこから見つけてきたのかタケミカヅチのパーツを調達報告し、ほおばるヤキイモは先週掘ったサツマイモでしょうか。共食い?(笑
赴任から早くも半年過ぎてカナタの喇叭も普通に聴けるように。その音を聴いて眼を細める山のマダム「ジャコット」、いかにも具合が悪そうなジャコットさんは50年も山で暮らしているらしい。体の弱った老婆がなぜそんな過酷な生活を? というわけで今回は彼女の生き様を知ったリオが悩みの答えを出すこととなります。
パーツが届いたタケミカヅチはかなり完成に近付いた? 脚が付くと一気に多脚砲台のシルエットが浮かんできますね。整備が進んで上機嫌なノエルを残してクレハ&カナタはお茶へ…その前にイリア公女のことを知りたいカナタの希望を叶えるべく隊長室のロッカーを漁るクレハ、おいおい勝手にそんな事していいのか? 結局目的の軍事年鑑は見つからず、「わからない」と言いつつもその行方に心当たりがあるのか二人を見守るフィリシアの表情が意味深な。
ベッドに転がりながら軍事年鑑を眺めるリオ。やはりここにありましたか。相変わらずお悩みMAXのリオの一方でクレハはイリア公女の話をカナタへ。前回チラリと映されたイリア公女の亡骸はなるほどそのまんまの意味でした。溺れそうな子供を助けようとしての水死…カナタの回想に出てくる公女がずぶ濡れなのはそういう理由があったのですね。回想の公女は亡くなった後の幻影なのか、それとも「溺れそうな子供」が…だったのか。公女殿下が亡くなったことによって正統(?)ローマの皇帝への輿入れが破談となり、すなわち関係改善の一手が流れたことで休戦協定が上手くまとまらなくなった? これを解決させるべく大公がリオへ頼んだ事とは、つまり亡くなったイリア公女の代わりに…ってことなのでしょうね。そりゃリオも悩むわ。
相変わらずベッドにてぐるぐるしているリオ。お悩み真っ最中であることがわかっているカナタはリオへ声をかけづらそう。ドア前に立つもノックをためらい、手をギュッとしながら言いづらそうに伝え…ドア前でモジモジされても返って気になるってものです(笑。そんな様子にたまりかねたリオは頭を抱えながらもカナタを迎え、なるほど良き先輩の虚像を演じるのも大変ですなあ。
マダムは山で一人暮らしのはずなのに何故か隣に建築中の家がありました。二人が近付いてみるとそこで作業をしていたのは何とマダム当人、コテを手に咳き込む様子はいかにも具合が悪そう。息子がいつ帰ってきても良いように家をきちんとしておきたい、そう語るマダムにリオは母親の姿を重ねたようです。おそらくリオの母親もマダムと同様に「大公がいつ来てもいいようにベッドメイクを欠かさなかった」のでしょう。いつ来るかわからない相手をひたすら待つ母親、そんな姿を見続けてきたリオは同じような境遇のマダムに激昂し、しかし放っておけない優しさはこれも母親に重ねているのか。
「東部国境のローマ軍が移動を開始したらしいの」
リオの手紙を読んだ上で不穏な情報を伝えるフィリシア。言っちゃ何ですがこのワンシーンでフィリシアの途轍もない黒さを感じてしまった(笑。まあ行くにしろ行かないにしろリオが決めなければ、答えを引き延ばしても状況は好転しません。フィリシアとしても悩み続けるリオを見るのが辛いのでしょう。
マダムの冬支度の買い物に走る二人。ここでも「公女殿下」の話題が出て…転がったコインがリオの足元に当たる演出は「リオの立場」を示唆していますね。ここから二人はセーズの街をお散歩、延々と止め絵多用の紙芝居は作画余力の急降下を想像させます。さすがにこれを演出として見るのは少々厳しい。今回は冒頭からキャラ作画の崩れが目立ちましたがついに破綻一歩前まで来た?
伝承の巫女像は教会の地下室にでも安置されているかと思っていたけれど、お散歩コースの壁に普通に飾られててびっくり。ここでリオは自分の過去話、リオがイリア公女をいかに大切に思っていたかわかりますね。続いて「迷路」「ゴール」「行き止まり」は人生を街になぞえての話、「道に迷っても、行き止まりでもいい」と言うカナタのまっすぐさはリオの救いになったようです。
例の鈴を手にしたリオが振り返った瞬間、カナタはトランペットの人の面影を見つける。散りばめられた伏線がカナタの中で一本に繋がった瞬間の描写はなかなか綺麗でした。
待ち続けることは決して不幸な事ではない。思い出があり、再び会える希望があればそれだけで十分、と語るマダムの言葉にリオは自分の母親の思いを理解したのでしょう。ひたすら待ち続ける母親を「不幸」と思っていたけれどそうではなかったのです。すると空はいつしか雪に、マダムが旦那に初めて合ったのもこんな雪の日。
若かりし日のマダムは結構なわがままボディですなあ。時の経過とは残酷なものです(笑。妙にエロチックな手の触れ合いからキスシーンへ、そして子供が生まれると旦那は子供を連れて家へ帰ってしまう。「いつか必ず迎えに来る」との約束を信じて待ち続けたマダムの思いは…唐突に叶うこととなりました。窓の外へ迎えが現れ、若返ったマダムが駆け出す瞬間から抱き締められて白い羽根が舞う繋ぎは切なすぎ、しかし美しいシーンでした。ここは「再び会えてよかった」と言って差し上げるべきか。
翌朝目覚めるとマダムの姿は消え、慌てた二人は雪の中を走って必死に捜す。雪に残された1対の足跡を前に崩れ落ちるカナタの表情がナントモ。天使に召されたことを暗示しているのか、再び舞い落ちる白い羽根が印象的です。
イリア公女はセーズの街にも来ていたのですね。写真を手にしたミユキさんを止めないリオはもう腹が決まったのでしょう。カナタと目配せの後に砦の上へ立ち、リオが最後のアメイジング・グレイスを吹くとカナタがそれに合わせる。喇叭の音、そしてイリア公女の存在によって通じ合った二人の思い、
「真剣にここを離れたくないと思う。だからこそ私は行かなきゃならないんだろう」
自分にしかできないことから逃げてきた。しかしこの街この砦でたくさんの思い出ができ、その思いがあればこれからも生きていける。リオはトランペットをカナタへ託し、別れを言わずに旅立ちました。どんなに離れていても音は響いて…伝わるから。
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