2009-09-27(Sun)
CANAAN #13 キボウノチ
絶体絶命のマリア。カナンvsアルファルドの決戦。
怒濤の最終回です。
残り時間30秒を切った時限爆弾と共に客車ごと別れを告げたマリア、覚悟を決めてさてどうする? マリアが死んでしまったらお話にならないのでどうやって生還させる? と思いきやまさかまさかのユンユンダッシュ! なんてやってるうちにタイマーは無情にもゼロとなり客車大爆発…まあ普通に死にますよねこれ。普通って言うなあ!
流れ的に超人カナンが助けるかと思っていたけれどアルファルドと絶賛対峙中でありそんな動きは微塵も見せず、しかし爆発を知っても慌てる様子もなく静かな視線をアルファルドへ向けるのみ。それはマリアの生存を確信しているから。離れていてもマリアの優しさはわかる…なるほどここでもう全ての結論は出ちゃっていたのか。
と同時にマリアへの依存から解き放たれたのか、カナンはアルファルドのあるがままを凝視、その視線に怯える素振りのアルファルド。目覚めたカナンを前にした虚勢を見透かされることを恐れている? 焦ったアルファルドが至近距離からいくら撃ってもカナンはひらりひらりと弾を避け…冷めた表情で銃を構えるとアルファルドの腕にヒット。まさに超人の戦いでありますね。その豹変に勝ち目無しと悟ったのかアルファルドは逃げに入ります。突如現れた迎えのヘリ、重機関銃の掃射で砕ける客車の描写が凄まじい。
カナンが感じたとおりマリアは生きていました。あの状況からどうやって救出したのか不明ですが…爆炎を背にユンユン&マリアのシルエットが浮かぶ絵面、さらにススまみれになりながら叫ぶユンユンの表情は理屈を越えた救出劇を盛り立てています。いまいちすっきりしない救出劇ですが理屈じゃ無い!感じるんだ!と無理矢理納得(笑。薄れる意識の中で空を見上げるマリアの視線、同じ高さで並んで飛ぶ二羽の鳥たちを自分とカナンになぞえて憧れ…しかし同じ所に立ち、常に隣に並ぶ必要は無いんですよ。
カナンにとっての「光」とは自分を無条件に受け入れてくれる存在でした。しかしカナンにとってのマリアは「光」ではなく「友達」、母親と子供のような一方的な依存ではなく別個の人格が「寄り添う」関係である「友達」であることに気付いた。幼児だったカナンが思春期を通過して人格形成が完了したという流れですね。
カナンの言葉を聞いて一瞬の嘲笑を見せるアルファルドの表情描写が細かすぎて素晴らしい。しかし次の瞬間厳しい表情を見せ、ヘリから下がる縄梯子で逃げるアルファルド、追うカナン。暫し空中戦の後にきっちり列車上に落ちるシーンはなかなかの迫力でした。実際はそう上手くいかないだろうけれども(笑
客車屋根上でアルファルドに馬乗りでフルボッコのカナン。動く映像で見ると拳銃の台尻をドカバキと連打しているように見えて「それは死ぬ死ぬ」と思いきや、コマ送りで見るときちんと手で殴っていました。芸コマ! それにしても手がでかい(笑。
一方的に殴られていたアルファルドの反撃です。ナイフを構えて起き上がり様にカナンの左腕布を切り裂いて蛇の入れ墨を露出、その後勢い余って落下したアルファルドの左腕をカナンの左腕が支え「入れ墨同士」が出会うカットは印象的でした。なるほど上手い演出です。
「目的でなく個人としての欲望を持ったのなら…」
今まではこの次に「お前は無敵だ」と続いたのですが今回の回想でシャムは「孤独が訪れる」と言う。まあ無敵と孤独は表裏一体な面もあり、この言葉はどちらも正解なのかもしれません。しかしアルファルドはおそらくシャムの最期の言葉を「最強」に置き換えて自分に言い聞かせていたのでしょう。孤独感を覆い隠すために。
アルファルドとシャムの「色」が同じだった理由もなるほど。アルファルドは「カナン」を作ることで無意識のうちにシャムへ近付こうとした。カナンへの嫉妬、「カナン」という名の呪縛から逃れるためにシャムを殺したアルファルドは結局「カナン」に囚われ「シャム」に囚われたまま、と同時に心が死んでしまった。だからアルファルドはリャンチーの愛を理解できず、受け入れることもできず、愛を語る様は滑稽にしか見えなかった。
「決定権は生きている者にある」
ここでハッコーさんのセリフですか。ファクトリーで誰も救えなかった悔しさを宿敵の救助という形で昇華させる流れはベタですが熱い…けれどもちょっと無理を感じるなあ。さっきまで殺し合ってたんじゃ?
そんな呪縛を断ち切るようにシャムとの絆の証である入れ墨の腕を自らの手で撃ち落として落下するアルファルドの最期は放送していいのかわからないレベルの壮絶さでありました。さすがにこのシーンは見ていて声が出ましたよ。カナンの手に残された入れ墨の腕を含めて強烈な演出ですねこれは。
仲良くあやとりをしながらお互いに謝るカナン&マリア。顔近いよ! しかしその近付いた顔から一転して二人の距離はどんどん離れ、次の瞬間病院のベッドで目覚めたマリアのカット。あの状況からどうやって病院へ?と思いきや3人の後を追って1人クルマで移動していたみのさんが偶然通りかかったようで…空腹で失神寸前になりながらもカナンとの約束を守り切ったユンユンGJですがいくらなんでもご都合すぎだろうこれは(笑。ここで落ち込むマリアを優しく諭すみのさんは男前でした。
三文小説を実践するみのさん。日式パブを訪れるとテレビは点けっぱなしで画面のネネが愛を歌っていました。カウンターに置かれたコップに枯れた花、それに気付いたみのさんはハッコーがもういないことを改めて感じ取ったのか「いいケツしてたなあ!」と彼流の愛情表現で決着。切ないねえ。
確かに当初は何を見ても「スゴイ!」を連発していたマリアがいつの間にか言わなくなっていました。それどころじゃない状況(笑)が続いたせいかと思いきや彼女なりにいろいろ考えていたのですね。準レギュラーだったタクシー運ちゃんもこれにて見納め、要所要所で活躍を見せてくれた良い脇役でした。
バイトに出掛けちゃって見送りに来ないユンユンからのリクエストはベタながらいい別れ際の演出。彼女にしんみりとしたサヨナラは似合いませんもの。薬の目処も付いたようなので生命の危機も回避し、肉まんからスイカへグレードアップした偽乳を揺らす表情は曇りなく晴れやか。彼女も良い脇役でしたねえ。ここまで本筋に絡んでくるとは予想しませんでしたよ。
てっきり死んだと思っていたカミングズはどっこい生きておりました。小さい木の実を手に取って「現世の未練の形」と、エアガンで撃たれた日々を思い出しているのか懐かしそうに見る表情はなかなか切ない。リャンチーに割られたメガネを後生大事に使っているのも愛の深さを感じさせます。でも割れたレンズは危ないから買い換えたほうがよろしい(笑
アルファルドまで生きていたのはいくらなんでも…あの状況で落下して生きているとはどんだけ生命力が漲っているのか。さすがに撃ち落とした腕は再生していないみたいですがアルファルドならそれすら不可能では無いような(笑。雑踏に紛れて姿を消す描写はいかにも、シャムの因縁を撃ち落とした彼女は今度こそ己の欲望を持てるのか。
シーン変わって渋谷の街へ。写真展に並ぶカナンの表情はどれも「普通の女の子」でありました。数奇な運命に翻弄された2人の「カナン」が並んでEDへ、サブタイトルどおりの綺麗な締めでした。今回のEDはOP曲に本編名シーンを合わせたもの、ここは香港アクション映画の定番どおりNG集にするべきだったでしょう。ちょっと残念。
ED明けの短いCパートは夏目からの指令を受けるカナンの様子。髪が伸びて白髪化も進んでいるようで時間の経過を匂わせます。夏目とのやりとりは相変わらずの調子で、相手が「片腕の女」と聞いたカナンは一瞬の間を置いてニヤリ。どうやらアルファルドとの因縁はまだまだ続きそうです。
最終回にてマリアとアルファルドの因縁やマリアの正体が明らかになるかと思っていましたが完全スルーのまま終了、他にもツッコミ所は山ほどありますけれど…まあ綺麗にまとまったので良しとしますか。とはいえせっかくの素材を生かし切っていない、何というか全体を振り返るともやもやした感じは拭えません。もっと面白くなると思っていたんだけどなあ。
通して作画は安定し、アクションシーンの動きも良く、各サブキャラの個性も必要以上に感じましたが…肝心のカナン&アルファルドが「何をしたいのか」ほとんど明らかにされぬまま話数が進んでしまったのは残念。ラスト数話で取って付けたようにバタバタと片付けてしまった印象で話に深みを感じませんでした。もったいない。
というわけで「CANAAN」はこれにておしまい。おつかれさまでした。
↓記事が役立ったら一票どうぞ。
怒濤の最終回です。
残り時間30秒を切った時限爆弾と共に客車ごと別れを告げたマリア、覚悟を決めてさてどうする? マリアが死んでしまったらお話にならないのでどうやって生還させる? と思いきやまさかまさかのユンユンダッシュ! なんてやってるうちにタイマーは無情にもゼロとなり客車大爆発…まあ普通に死にますよねこれ。普通って言うなあ!
流れ的に超人カナンが助けるかと思っていたけれどアルファルドと絶賛対峙中でありそんな動きは微塵も見せず、しかし爆発を知っても慌てる様子もなく静かな視線をアルファルドへ向けるのみ。それはマリアの生存を確信しているから。離れていてもマリアの優しさはわかる…なるほどここでもう全ての結論は出ちゃっていたのか。
と同時にマリアへの依存から解き放たれたのか、カナンはアルファルドのあるがままを凝視、その視線に怯える素振りのアルファルド。目覚めたカナンを前にした虚勢を見透かされることを恐れている? 焦ったアルファルドが至近距離からいくら撃ってもカナンはひらりひらりと弾を避け…冷めた表情で銃を構えるとアルファルドの腕にヒット。まさに超人の戦いでありますね。その豹変に勝ち目無しと悟ったのかアルファルドは逃げに入ります。突如現れた迎えのヘリ、重機関銃の掃射で砕ける客車の描写が凄まじい。
カナンが感じたとおりマリアは生きていました。あの状況からどうやって救出したのか不明ですが…爆炎を背にユンユン&マリアのシルエットが浮かぶ絵面、さらにススまみれになりながら叫ぶユンユンの表情は理屈を越えた救出劇を盛り立てています。いまいちすっきりしない救出劇ですが理屈じゃ無い!感じるんだ!と無理矢理納得(笑。薄れる意識の中で空を見上げるマリアの視線、同じ高さで並んで飛ぶ二羽の鳥たちを自分とカナンになぞえて憧れ…しかし同じ所に立ち、常に隣に並ぶ必要は無いんですよ。
カナンにとっての「光」とは自分を無条件に受け入れてくれる存在でした。しかしカナンにとってのマリアは「光」ではなく「友達」、母親と子供のような一方的な依存ではなく別個の人格が「寄り添う」関係である「友達」であることに気付いた。幼児だったカナンが思春期を通過して人格形成が完了したという流れですね。
カナンの言葉を聞いて一瞬の嘲笑を見せるアルファルドの表情描写が細かすぎて素晴らしい。しかし次の瞬間厳しい表情を見せ、ヘリから下がる縄梯子で逃げるアルファルド、追うカナン。暫し空中戦の後にきっちり列車上に落ちるシーンはなかなかの迫力でした。実際はそう上手くいかないだろうけれども(笑
客車屋根上でアルファルドに馬乗りでフルボッコのカナン。動く映像で見ると拳銃の台尻をドカバキと連打しているように見えて「それは死ぬ死ぬ」と思いきや、コマ送りで見るときちんと手で殴っていました。芸コマ! それにしても手がでかい(笑。
一方的に殴られていたアルファルドの反撃です。ナイフを構えて起き上がり様にカナンの左腕布を切り裂いて蛇の入れ墨を露出、その後勢い余って落下したアルファルドの左腕をカナンの左腕が支え「入れ墨同士」が出会うカットは印象的でした。なるほど上手い演出です。
「目的でなく個人としての欲望を持ったのなら…」
今まではこの次に「お前は無敵だ」と続いたのですが今回の回想でシャムは「孤独が訪れる」と言う。まあ無敵と孤独は表裏一体な面もあり、この言葉はどちらも正解なのかもしれません。しかしアルファルドはおそらくシャムの最期の言葉を「最強」に置き換えて自分に言い聞かせていたのでしょう。孤独感を覆い隠すために。
アルファルドとシャムの「色」が同じだった理由もなるほど。アルファルドは「カナン」を作ることで無意識のうちにシャムへ近付こうとした。カナンへの嫉妬、「カナン」という名の呪縛から逃れるためにシャムを殺したアルファルドは結局「カナン」に囚われ「シャム」に囚われたまま、と同時に心が死んでしまった。だからアルファルドはリャンチーの愛を理解できず、受け入れることもできず、愛を語る様は滑稽にしか見えなかった。
「決定権は生きている者にある」
ここでハッコーさんのセリフですか。ファクトリーで誰も救えなかった悔しさを宿敵の救助という形で昇華させる流れはベタですが熱い…けれどもちょっと無理を感じるなあ。さっきまで殺し合ってたんじゃ?
そんな呪縛を断ち切るようにシャムとの絆の証である入れ墨の腕を自らの手で撃ち落として落下するアルファルドの最期は放送していいのかわからないレベルの壮絶さでありました。さすがにこのシーンは見ていて声が出ましたよ。カナンの手に残された入れ墨の腕を含めて強烈な演出ですねこれは。
仲良くあやとりをしながらお互いに謝るカナン&マリア。顔近いよ! しかしその近付いた顔から一転して二人の距離はどんどん離れ、次の瞬間病院のベッドで目覚めたマリアのカット。あの状況からどうやって病院へ?と思いきや3人の後を追って1人クルマで移動していたみのさんが偶然通りかかったようで…空腹で失神寸前になりながらもカナンとの約束を守り切ったユンユンGJですがいくらなんでもご都合すぎだろうこれは(笑。ここで落ち込むマリアを優しく諭すみのさんは男前でした。
三文小説を実践するみのさん。日式パブを訪れるとテレビは点けっぱなしで画面のネネが愛を歌っていました。カウンターに置かれたコップに枯れた花、それに気付いたみのさんはハッコーがもういないことを改めて感じ取ったのか「いいケツしてたなあ!」と彼流の愛情表現で決着。切ないねえ。
確かに当初は何を見ても「スゴイ!」を連発していたマリアがいつの間にか言わなくなっていました。それどころじゃない状況(笑)が続いたせいかと思いきや彼女なりにいろいろ考えていたのですね。準レギュラーだったタクシー運ちゃんもこれにて見納め、要所要所で活躍を見せてくれた良い脇役でした。
バイトに出掛けちゃって見送りに来ないユンユンからのリクエストはベタながらいい別れ際の演出。彼女にしんみりとしたサヨナラは似合いませんもの。薬の目処も付いたようなので生命の危機も回避し、肉まんからスイカへグレードアップした偽乳を揺らす表情は曇りなく晴れやか。彼女も良い脇役でしたねえ。ここまで本筋に絡んでくるとは予想しませんでしたよ。
てっきり死んだと思っていたカミングズはどっこい生きておりました。小さい木の実を手に取って「現世の未練の形」と、エアガンで撃たれた日々を思い出しているのか懐かしそうに見る表情はなかなか切ない。リャンチーに割られたメガネを後生大事に使っているのも愛の深さを感じさせます。でも割れたレンズは危ないから買い換えたほうがよろしい(笑
アルファルドまで生きていたのはいくらなんでも…あの状況で落下して生きているとはどんだけ生命力が漲っているのか。さすがに撃ち落とした腕は再生していないみたいですがアルファルドならそれすら不可能では無いような(笑。雑踏に紛れて姿を消す描写はいかにも、シャムの因縁を撃ち落とした彼女は今度こそ己の欲望を持てるのか。
シーン変わって渋谷の街へ。写真展に並ぶカナンの表情はどれも「普通の女の子」でありました。数奇な運命に翻弄された2人の「カナン」が並んでEDへ、サブタイトルどおりの綺麗な締めでした。今回のEDはOP曲に本編名シーンを合わせたもの、ここは香港アクション映画の定番どおりNG集にするべきだったでしょう。ちょっと残念。
ED明けの短いCパートは夏目からの指令を受けるカナンの様子。髪が伸びて白髪化も進んでいるようで時間の経過を匂わせます。夏目とのやりとりは相変わらずの調子で、相手が「片腕の女」と聞いたカナンは一瞬の間を置いてニヤリ。どうやらアルファルドとの因縁はまだまだ続きそうです。
最終回にてマリアとアルファルドの因縁やマリアの正体が明らかになるかと思っていましたが完全スルーのまま終了、他にもツッコミ所は山ほどありますけれど…まあ綺麗にまとまったので良しとしますか。とはいえせっかくの素材を生かし切っていない、何というか全体を振り返るともやもやした感じは拭えません。もっと面白くなると思っていたんだけどなあ。
通して作画は安定し、アクションシーンの動きも良く、各サブキャラの個性も必要以上に感じましたが…肝心のカナン&アルファルドが「何をしたいのか」ほとんど明らかにされぬまま話数が進んでしまったのは残念。ラスト数話で取って付けたようにバタバタと片付けてしまった印象で話に深みを感じませんでした。もったいない。
というわけで「CANAAN」はこれにておしまい。おつかれさまでした。
- 関連記事
-
- CANAAN #13 キボウノチ
- CANAAN #12 忌殺劣者
- CANAAN #11 彼女添
- CANAAN #10 想執
- CANAAN #09 過去花
↓記事が役立ったら一票どうぞ。