2009-08-20(Thu)
青い花 #08 恋は盲目
先輩に振られてしまったふみ。
今回もあーちゃんの優しさが光っていました。
楽しいはずの先輩宅訪問は突然の「付き合えない」宣言によって急転直下、いつしか降り出した雨の中ふみは家へ帰ろうとしますが…部屋へ行った後のこの変化を見ればたいてい「何かあった?」と思うでしょう。中でも三女がふみを見る目は鋭く、送っていく車中での会話はさすがお姉ちゃんだけあって先輩の行動パターンが読めていた? さらにここで顧問先生と次女の結婚話をふみへ。なんですとー! 先の演劇祭終了後に見せた先輩の涙は要するにそういう意味もあったのですね。声をかけられただけで号泣とはどこまでオトメなんだ!?と思いきやこんな裏話があったのでは無理もありません。またこの話は「好きだった人が自分を置いて結婚してしまう辛さ・寂しさ」を知るふみにとって他人事では無いでしょう。とはいえそのあまりに大きい辛さの転嫁先が自分であることは、同じ辛さ、つまり先の存在への思いの消しにくさを知るだけに受け入れがたいオトメゴコロ。
何も知らないあーちゃんはいつもどおりふみを待ち、いつもどおり声をかけ、先輩宅訪問の話を切り出します。しかしふみは魂が抜けてしまったように無反応、そんなふみに問い詰めもせず言葉を飲み込むあーちゃんの優しさ。何も訊いてこないあーちゃんを放課後の映画に誘うふみはもう先輩と会う気なし?
藤が谷では顧問先生の結婚話で持ちきりでした。そんな状態にデレてる先生を見ると先輩のことなど微塵も視界に無い感じ。しかし先輩の気持ちを知る京子は先生に物申す! ロングからアップへ、2人がそれぞれ窓の前に立ち、アップでは背景を白く飛ばして京子の激情と先生の冷徹さをそれぞれ強調していました。メガネを光らせて目の表情を見せないのは「嘘」を言っている証、さらに京子のグッと握りしめられた拳のカットが効いています。
今回の演出・コンテは鈴木洋平氏。最近の作品では「とらドラ」17話/23話の演出を担当した個人的にお気に入りの演出家、今回もきめの細かい心理描写を見せていたと思います。さらに作監に岩倉氏が入っているため今回もクオリティの高い映像でした。これほど各回平均レベルの高い作品も珍しいような。
あーちゃんと映画を見ても心ここに在らず…先輩の本心を知ってしまったふみは無意識のうちにあーちゃんの手を握り、さすがにふみの様子を心配したあーちゃんは優しく「どうしたの?」と。心配そうにふみの顔を覗き込むあーちゃんの表情だけで丼飯3杯いけそうです。いい子だなあああ。
顛末を知ったあーちゃんは怒り心頭で先輩を待ち伏せ。怒ったあーちゃんもかわいい。そんなあーちゃんに対し先輩は言い繕うわけでもなくあくまでマイペースでした。あんみつ屋にて詰め寄るあーちゃん、対して淡々と思いを語る先輩。気取らずに正直な気持ちを打ち明ける先輩にあーちゃんは何も言えず…余計なことをしてしまったことに自分で気付いて悶々とする様子がこれまた絶品です。
結局そのまま学校をサボってしまったあーちゃんはふみの家へ。今回のふみは意外と胸がある?(笑。ふみの谷間に顔を埋めて自己嫌悪のあーちゃん、そのままベッドに倒れ込む動きはどう見ても今回の田中コーナーですね。先日は咲で一人原画、この青い花でも毎回原画で参加している氏はいったいいつ寝ているのだろう?
ふみを思ってついついおせっかいを焼いてしまうあーちゃん。ベッドに伏せて落ち込むあーちゃんの頭を撫でながらふみは一瞬涙を浮かべて「ありがとう」と感謝の言葉を。先輩との仲は終わってしまったけれど、理屈抜きで味方してくれるあーちゃんの存在はふみにとってこれほど心強いものは無いでしょう。
バスケ部で活躍する先輩を応援するファンクラブの黄色い声、しかしふみはそんな風景を横目にサッサと下校しあーちゃんとデートです。嬌声の中の先輩はどこか孤独に見え、さらに結婚式の準備をする様子に雨の描写が重なり…それはまるで先輩の心象風景のようでした。雨に濡れた青い紫陽花、花言葉を調べてみたら「うつろい、移り気、高慢」などなどまるで誰かさんマンマですね(笑。一方で雨が止んで日が差す風景の2人、こちらは心の雨が止んで気持ちが復活してきた様子を表す?
夏休みの計画に賑やかなみなさん。京子の家は本気の金持ちのようで清里の別荘へみなさんをご招待とか…ふみを誘うのは敵情視察のつもり? ここであーちゃんが言わなくていいことを言ってしまったリアクションがこれまたかわいい。先輩とふみが別れたことを知った京子はチャンスとでも思ったのか僅かに希望の表情を見せますがそうは問屋が卸しませぬ。
文芸部部室にて先輩とすれちがったふみ。一瞬どうなるかと思いましたが先輩に対しほとんど空気扱いは驚き、露骨に無視された先輩は言葉もなく部室を出てすっかりハートブレイクです。自分から「付き合えない」と言っておいて何を…と思わなくもありませんがその辺は微妙なオトメゴコロなのでしょう。とはいえ弱気なふみがいきなり見せたあの態度はあーちゃんの後押しがあるにせよかなり無理をしている感じです。会話してしまったら覚悟が崩れてしまう、と思っているのかも。
校門で待ち伏せの京子。熱い思いをぶつける京子に対しあくまで冷徹な先輩は本気で鬱陶しそうな態度を見せます。一人ずんずん歩く先輩を必死で追う京子の描写は二人の関係性を表す絶妙な演出でした。そこまでされてなおもすがり、絵画指導という僅かな繋がりにすがり付く京子の健気さ。これほどまでに慕われても情が移らない先輩は、裏を返せば恋愛感情に正直なのでしょう。自在に女心を弄ぶ天然ジゴロのようで、自分の感情に関してはじつに不器用な人。図星を突かれて思わず声を荒げちゃうのも子供っぽい。
絵を描く次女を眺める先輩のシーンも良かった。キャンバスへ向かうと自然に背筋が伸び、足が開いて男っぽい次女に対し先輩は「かっこいいよ」と。ひょっとしたら先輩の「男前演技」は次女のこれに憧れて、さらに言うと「顧問先生はこういうタイプが好き」と考えてのものだったかもしれません。しかし女子高生相手には通じた「男前演技」も顧問先生には通じなかった。そう考えると先輩もまた健気なオトメなのですね。
あーちゃん宅にお泊まり。ベッドの上でキャッキャウフフの二人を形容する上手い言葉が見付かりません。無駄によく動くじゃれ合いシーンはこれだけで丼飯5(略。ふみは「先輩のことはほんとにもうあんまり好きじゃないの」と言ってますが…それを強がりとわかっているあーちゃんの表情がこれまた素晴らしい。すやすや眠る寝顔もかわいかったです。
明けて翌日旅行の件で集まってお茶の3人。ムードメーカーのあーちゃんによってにこやかに話す3人でしたが…あーちゃんがお花を摘みに席を離れると雰囲気が微妙に変化します。お互いに言葉を放つタイミングを待っているようなしばしの沈黙、見つめるグラスの氷がカランと鳴るのが合図のように「先輩のこと、まだ好き?」と京子。即座に否定するふみでしたが先輩との触れ合いを思い出すと無意識のうちに涙を落とし、それは「片思いが趣味かも」と自虐しつつハンカチを渡そうとポケットを探る京子も同様でした。お互いの涙に感情が溢れ出す二人、そのまま大泣きの後に今回のタイトル「恋は盲目」がパッと入る締めはこれまた形容し難い感情に襲われます。先輩も罪な人よのう。
先日放送された「懺・さよなら絶望先生」のエンドカードは「青い花」原作者の志村貴子氏でした。まさかふみ&あーちゃんがそのまんま描かれるとは(笑
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今回もあーちゃんの優しさが光っていました。
楽しいはずの先輩宅訪問は突然の「付き合えない」宣言によって急転直下、いつしか降り出した雨の中ふみは家へ帰ろうとしますが…部屋へ行った後のこの変化を見ればたいてい「何かあった?」と思うでしょう。中でも三女がふみを見る目は鋭く、送っていく車中での会話はさすがお姉ちゃんだけあって先輩の行動パターンが読めていた? さらにここで顧問先生と次女の結婚話をふみへ。なんですとー! 先の演劇祭終了後に見せた先輩の涙は要するにそういう意味もあったのですね。声をかけられただけで号泣とはどこまでオトメなんだ!?と思いきやこんな裏話があったのでは無理もありません。またこの話は「好きだった人が自分を置いて結婚してしまう辛さ・寂しさ」を知るふみにとって他人事では無いでしょう。とはいえそのあまりに大きい辛さの転嫁先が自分であることは、同じ辛さ、つまり先の存在への思いの消しにくさを知るだけに受け入れがたいオトメゴコロ。
何も知らないあーちゃんはいつもどおりふみを待ち、いつもどおり声をかけ、先輩宅訪問の話を切り出します。しかしふみは魂が抜けてしまったように無反応、そんなふみに問い詰めもせず言葉を飲み込むあーちゃんの優しさ。何も訊いてこないあーちゃんを放課後の映画に誘うふみはもう先輩と会う気なし?
藤が谷では顧問先生の結婚話で持ちきりでした。そんな状態にデレてる先生を見ると先輩のことなど微塵も視界に無い感じ。しかし先輩の気持ちを知る京子は先生に物申す! ロングからアップへ、2人がそれぞれ窓の前に立ち、アップでは背景を白く飛ばして京子の激情と先生の冷徹さをそれぞれ強調していました。メガネを光らせて目の表情を見せないのは「嘘」を言っている証、さらに京子のグッと握りしめられた拳のカットが効いています。
今回の演出・コンテは鈴木洋平氏。最近の作品では「とらドラ」17話/23話の演出を担当した個人的にお気に入りの演出家、今回もきめの細かい心理描写を見せていたと思います。さらに作監に岩倉氏が入っているため今回もクオリティの高い映像でした。これほど各回平均レベルの高い作品も珍しいような。
あーちゃんと映画を見ても心ここに在らず…先輩の本心を知ってしまったふみは無意識のうちにあーちゃんの手を握り、さすがにふみの様子を心配したあーちゃんは優しく「どうしたの?」と。心配そうにふみの顔を覗き込むあーちゃんの表情だけで丼飯3杯いけそうです。いい子だなあああ。
顛末を知ったあーちゃんは怒り心頭で先輩を待ち伏せ。怒ったあーちゃんもかわいい。そんなあーちゃんに対し先輩は言い繕うわけでもなくあくまでマイペースでした。あんみつ屋にて詰め寄るあーちゃん、対して淡々と思いを語る先輩。気取らずに正直な気持ちを打ち明ける先輩にあーちゃんは何も言えず…余計なことをしてしまったことに自分で気付いて悶々とする様子がこれまた絶品です。
結局そのまま学校をサボってしまったあーちゃんはふみの家へ。今回のふみは意外と胸がある?(笑。ふみの谷間に顔を埋めて自己嫌悪のあーちゃん、そのままベッドに倒れ込む動きはどう見ても今回の田中コーナーですね。先日は咲で一人原画、この青い花でも毎回原画で参加している氏はいったいいつ寝ているのだろう?
ふみを思ってついついおせっかいを焼いてしまうあーちゃん。ベッドに伏せて落ち込むあーちゃんの頭を撫でながらふみは一瞬涙を浮かべて「ありがとう」と感謝の言葉を。先輩との仲は終わってしまったけれど、理屈抜きで味方してくれるあーちゃんの存在はふみにとってこれほど心強いものは無いでしょう。
バスケ部で活躍する先輩を応援するファンクラブの黄色い声、しかしふみはそんな風景を横目にサッサと下校しあーちゃんとデートです。嬌声の中の先輩はどこか孤独に見え、さらに結婚式の準備をする様子に雨の描写が重なり…それはまるで先輩の心象風景のようでした。雨に濡れた青い紫陽花、花言葉を調べてみたら「うつろい、移り気、高慢」などなどまるで誰かさんマンマですね(笑。一方で雨が止んで日が差す風景の2人、こちらは心の雨が止んで気持ちが復活してきた様子を表す?
夏休みの計画に賑やかなみなさん。京子の家は本気の金持ちのようで清里の別荘へみなさんをご招待とか…ふみを誘うのは敵情視察のつもり? ここであーちゃんが言わなくていいことを言ってしまったリアクションがこれまたかわいい。先輩とふみが別れたことを知った京子はチャンスとでも思ったのか僅かに希望の表情を見せますがそうは問屋が卸しませぬ。
文芸部部室にて先輩とすれちがったふみ。一瞬どうなるかと思いましたが先輩に対しほとんど空気扱いは驚き、露骨に無視された先輩は言葉もなく部室を出てすっかりハートブレイクです。自分から「付き合えない」と言っておいて何を…と思わなくもありませんがその辺は微妙なオトメゴコロなのでしょう。とはいえ弱気なふみがいきなり見せたあの態度はあーちゃんの後押しがあるにせよかなり無理をしている感じです。会話してしまったら覚悟が崩れてしまう、と思っているのかも。
校門で待ち伏せの京子。熱い思いをぶつける京子に対しあくまで冷徹な先輩は本気で鬱陶しそうな態度を見せます。一人ずんずん歩く先輩を必死で追う京子の描写は二人の関係性を表す絶妙な演出でした。そこまでされてなおもすがり、絵画指導という僅かな繋がりにすがり付く京子の健気さ。これほどまでに慕われても情が移らない先輩は、裏を返せば恋愛感情に正直なのでしょう。自在に女心を弄ぶ天然ジゴロのようで、自分の感情に関してはじつに不器用な人。図星を突かれて思わず声を荒げちゃうのも子供っぽい。
絵を描く次女を眺める先輩のシーンも良かった。キャンバスへ向かうと自然に背筋が伸び、足が開いて男っぽい次女に対し先輩は「かっこいいよ」と。ひょっとしたら先輩の「男前演技」は次女のこれに憧れて、さらに言うと「顧問先生はこういうタイプが好き」と考えてのものだったかもしれません。しかし女子高生相手には通じた「男前演技」も顧問先生には通じなかった。そう考えると先輩もまた健気なオトメなのですね。
あーちゃん宅にお泊まり。ベッドの上でキャッキャウフフの二人を形容する上手い言葉が見付かりません。無駄によく動くじゃれ合いシーンはこれだけで丼飯5(略。ふみは「先輩のことはほんとにもうあんまり好きじゃないの」と言ってますが…それを強がりとわかっているあーちゃんの表情がこれまた素晴らしい。すやすや眠る寝顔もかわいかったです。
明けて翌日旅行の件で集まってお茶の3人。ムードメーカーのあーちゃんによってにこやかに話す3人でしたが…あーちゃんがお花を摘みに席を離れると雰囲気が微妙に変化します。お互いに言葉を放つタイミングを待っているようなしばしの沈黙、見つめるグラスの氷がカランと鳴るのが合図のように「先輩のこと、まだ好き?」と京子。即座に否定するふみでしたが先輩との触れ合いを思い出すと無意識のうちに涙を落とし、それは「片思いが趣味かも」と自虐しつつハンカチを渡そうとポケットを探る京子も同様でした。お互いの涙に感情が溢れ出す二人、そのまま大泣きの後に今回のタイトル「恋は盲目」がパッと入る締めはこれまた形容し難い感情に襲われます。先輩も罪な人よのう。
先日放送された「懺・さよなら絶望先生」のエンドカードは「青い花」原作者の志村貴子氏でした。まさかふみ&あーちゃんがそのまんま描かれるとは(笑
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