
白内障にでもなったようなぼやけて薄ら明るい世界観です。
失明がこれほどまでに怖いと思った事は有りませんでした。
エレンの五感を使った世界の把握が正なのか偽なのかが、
良く分からなくなりました。目が見えない事によって、
眼以外の身体の機能を極力目の代わりになるよう使って
慣れて行かなければなりませんが、それ以前に自分の身体
の機能すら疑わざるを得ない状況の連続で、見ている方も
不安で、ちょっとした音すら本当に鳴っているのかどうか
が疑わしくなってしまいます。
ましてや、一緒にいる人が良い人か悪い人かによって、目が
見えない人は幸福な人生を送るか、ズタボロの人生を送るか
180度変わってしまいます。
本作品のエレンは、まだ幸せと言えば言い過ぎですが、まし
な方だと思います。身ぐるみ、全てを失う可能性もある中、
自分を好きになってくれた人がそばにいてくれて、良かれと
思ってやったことが、結果的にですが、エレンを疑心暗鬼に
させてしまった。エレンが普通の人で普通の生活をしている
人だったら、クレイトンが欲深なストーカーでなければ、き
っと自然に好きになって行ったのではないかと思います。

クレイトンが持ってきた鳥かごに黄緑色のセキセイインコが
入っていたのを、クレアが「青」と言ったとたん、セキセイイン
コは青くなりました。

「何?」「どうして喧嘩をしているの?」とどんどん隣の人
の生活が気になりだし、それだけではなく、実際に尋ねて
行ってしまうあたり、厄介な性格だと思います。
また、何者かに襲われると言うトラウマが有るが故、悪い方、
悪い方に物事を考える事からして、目が見えないストレスは
尋常ではなかったんだと思います。
こんな僕でも、目が多少でも悪くなっただけで(今コンタクト
を使っていますが)、余計目が悪くなって、見えなくなったら
大変だと、家内にまで言う正確になってしまっています。耳が
悪い人が近くに多かったせいで、自ら耳を酷使している人を
見ただけで、腹が立ったりもします。
それだけ、ナイーブな部分である目が見えないと言うのを使っ
て、自分が五感で感じることは果たして事実か否かと言う命題
は答えられない部分でもあります。
ちなみに僕は、自分の五感に感じないものはそこにはないもの
と考えており、それは人によっては違うのだと思います。
また、性善説、性悪説が微妙に絡んでもいます。このエレンと
言う女性は、目が見えないことで、性悪説に捕らわれてしまった
のではないかと思います。僕もどちらかと言うと性悪説なので、
エレンが不安にさいなまれる状態に追い込まれるのはよく分かり
ます。特に、目が見えないと言うハンデはハンデとしてどうして
も拭えない事実だと思いますので、イライラする気持ちも良く分
かります。
本作品は、非常に世界観が独特で、カメラアングルや映す画面も
特徴的でしたので、良くも悪くも記憶に残る作品になるかと思い
ます。
評価点 78点
お薦め度 78点
2020年 89分 アメリカ製作
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