コンサル思考法1 論点思考 - 何に答えを出せばいいのか?
- 2014/02/11
- 21:55
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コンサルタントは問題解決のプロフェッショナルと言われる。それでは、その頭の中はどうなっているのだろうか。ややもすると、「コンサルタントは頭がとにかく切れるから、難しい問題に答えが出せるんでしょ」というように思われるかもしれない。コンサルタントの物を考える能力が高いことは否定しないが、それよりも大事なのは、どうやって頭を使うのか?という部分だ。ここに優れた人が、優秀なコンサルタントと呼べるように思う。それはちょうど、仮に筋力で劣っていても、筋肉の使い方を良く知っている日本人が、身体をうまく使うことで外国人を一本背負いするのに似ているかもしれない。
それでは、コンサルタントの思考法の重要なピースの一つ、「論点について考える」を今回はご紹介しよう。
論点とは、議論の焦点、すなわち、答えを出すべき問い/命題、ということが出来るだろう。「何だ、そんなことか。そんなの言われなくても意識しているし、難しいことじゃないのでは?」「コンサルタントにとっての論点は、クライアントに依頼されたことでは?」と考える方もいるかもしれない。しかし、これはそんなに簡単な話ではない。もちろん、コンサルタントにとっての本質的な論点は、「どうすればクライアントの企業価値を向上できるか?」に尽きる。しかし、これではその特定のプロジェクトで何をすればいいのかわからない。
それでは、クライアントに「営業部隊が弱いから、強化プログラムを設計してほしい」という依頼があったとする。この場合は、「どうすれば営業部隊を強化できるか?」が論点だろうか。これが論点かもしれないし、違うかもしれない。
このプロジェクトのクライアントトップは営業部の執行役員だとしよう。彼は、製品開発部の担当から営業部担当に最近担当が変わったとする。彼は、製品開発部門に長く、製品の品質は問題がないと考えていて、最近の売上低迷は営業部隊に問題があると考えている。よって、先のようなコンサルティングの依頼があった、という背景がもしあれば、まず、論点は「売上低迷の真の原因は何か?」になるはずだ。
もしかしたら、製品の価格や品質が顧客のニーズに合ってないことが問題で、営業部隊は問題がないのかもしれない。もし、このような状況にも関わらず、「どうすれば営業部隊を強化できるか?」を論点としたら、どうなるか?プロジェクトはおそらく混迷するだろう。何せ、営業部隊について、根掘り葉掘り状況を精査してみても、問題がなさそうだからである。最悪の場合、他社のベストプラクティスです、などと言って既存のソリューションを売りつけて終わりだ。営業部隊の現場は、勿論、そんなもの実行しようと思わない。自分たちのやり方に問題があるとそもそも考えていないのだから当然だ。(こういうプロジェクトをやるファームは、信頼を得られないし、成長ができるとも思えないが、存在するのも事実だろう。)
仮に、営業部隊の強化が必要だとしても、具体的には何に答えを出せばいいのか?大きな論点の下には、その次のレイヤーの論点がある。「トップ営業マンをどうすれば増やせるのか?」「営業部隊全体を底上げするにはどうすればよいか?」「営業部隊に必要なトレーニングは何か?」このような論点が次に来るのだろうか?他にもいくらでも論点は出てきそうだ。そう、この段階の前に、「営業部隊の強化すべき点は何か?」という論点が隠れているはずである。
お分かりかと思うが、論点は議論を進めていくと=プロジェクトを進めていくと、どんどん変化していく。おおもとの論点は多くの場合変わらないが、その下のレイヤーのどの論点に答えを出すべきか?というのは、前の論点の答えによるからだ。時に、論点を大幅に修正しないといけないこともある。論点を突き詰めた結果、その問いに答えを出してもインパクトが大してないことがわかった瞬間だ。
コンサルタントは常にこの論点に答えを出す必要があるかどうか?を考えながら、プロジェクトを進める。新米コンサルタントにありがちなミスは、自分がやっている作業の論点が見えなくなってしまうパターンだ。上記のような論点ツリーのどこに自分がいるのか、わからなくなる。そうすると、いくら深夜遅くまで仕事をしても、的外れなアウトプットばかり出来上がる。何に答えを出せばいいのかわからないのだから当たり前だ。
これは、何もコンサルタントに限らない。事業会社のプロジェクトが迷走するパターンの多くは、そもそも何をどうすべきなのか?というおおもとをプロジェクトメンバーが共有していない場合に発生する。
ちなみに、この論点を考えることができるか?論点を見失わないか?というのは、採用面接の場でも試されている。
この論点という考え方をより深く知りたい方は、下記の「論点思考」という本をお勧めする。元ボストンコンサルティンググループの日本代表を務めた、内田和成さんの著書だ。ご存知ない方もいるかもしれないが、著者は、2006年に、World's top 25 most influential consultantsという、Consulting Magazineのランキングに入っている。いわば、世界のトップコンサルタントだ。
論点思考について、経営書にありがちな難解な例ではなく、身の回りのことを題材に詳しく解説されており、非常にわかりやすいように思う。私が、コンサルを目指す学生さんや、社会人の方に、「どんな本を読めば、面接やコンサルの仕事に役立ちますか?」と聞かれるときにお勧めする3つの本のうちの一つである。他の二つは別の機会に紹介しよう。
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それでは、コンサルタントの思考法の重要なピースの一つ、「論点について考える」を今回はご紹介しよう。
論点とは何か?
論点とは、議論の焦点、すなわち、答えを出すべき問い/命題、ということが出来るだろう。「何だ、そんなことか。そんなの言われなくても意識しているし、難しいことじゃないのでは?」「コンサルタントにとっての論点は、クライアントに依頼されたことでは?」と考える方もいるかもしれない。しかし、これはそんなに簡単な話ではない。もちろん、コンサルタントにとっての本質的な論点は、「どうすればクライアントの企業価値を向上できるか?」に尽きる。しかし、これではその特定のプロジェクトで何をすればいいのかわからない。
クライアントからの依頼が、論点になるとは限らない
それでは、クライアントに「営業部隊が弱いから、強化プログラムを設計してほしい」という依頼があったとする。この場合は、「どうすれば営業部隊を強化できるか?」が論点だろうか。これが論点かもしれないし、違うかもしれない。
このプロジェクトのクライアントトップは営業部の執行役員だとしよう。彼は、製品開発部の担当から営業部担当に最近担当が変わったとする。彼は、製品開発部門に長く、製品の品質は問題がないと考えていて、最近の売上低迷は営業部隊に問題があると考えている。よって、先のようなコンサルティングの依頼があった、という背景がもしあれば、まず、論点は「売上低迷の真の原因は何か?」になるはずだ。
もしかしたら、製品の価格や品質が顧客のニーズに合ってないことが問題で、営業部隊は問題がないのかもしれない。もし、このような状況にも関わらず、「どうすれば営業部隊を強化できるか?」を論点としたら、どうなるか?プロジェクトはおそらく混迷するだろう。何せ、営業部隊について、根掘り葉掘り状況を精査してみても、問題がなさそうだからである。最悪の場合、他社のベストプラクティスです、などと言って既存のソリューションを売りつけて終わりだ。営業部隊の現場は、勿論、そんなもの実行しようと思わない。自分たちのやり方に問題があるとそもそも考えていないのだから当然だ。(こういうプロジェクトをやるファームは、信頼を得られないし、成長ができるとも思えないが、存在するのも事実だろう。)
仮に、営業部隊の強化が必要だとしても、具体的には何に答えを出せばいいのか?大きな論点の下には、その次のレイヤーの論点がある。「トップ営業マンをどうすれば増やせるのか?」「営業部隊全体を底上げするにはどうすればよいか?」「営業部隊に必要なトレーニングは何か?」このような論点が次に来るのだろうか?他にもいくらでも論点は出てきそうだ。そう、この段階の前に、「営業部隊の強化すべき点は何か?」という論点が隠れているはずである。
論点が何かを常に考える。さもなくば、論点迷路で途方にくれる
お分かりかと思うが、論点は議論を進めていくと=プロジェクトを進めていくと、どんどん変化していく。おおもとの論点は多くの場合変わらないが、その下のレイヤーのどの論点に答えを出すべきか?というのは、前の論点の答えによるからだ。時に、論点を大幅に修正しないといけないこともある。論点を突き詰めた結果、その問いに答えを出してもインパクトが大してないことがわかった瞬間だ。
コンサルタントは常にこの論点に答えを出す必要があるかどうか?を考えながら、プロジェクトを進める。新米コンサルタントにありがちなミスは、自分がやっている作業の論点が見えなくなってしまうパターンだ。上記のような論点ツリーのどこに自分がいるのか、わからなくなる。そうすると、いくら深夜遅くまで仕事をしても、的外れなアウトプットばかり出来上がる。何に答えを出せばいいのかわからないのだから当たり前だ。
これは、何もコンサルタントに限らない。事業会社のプロジェクトが迷走するパターンの多くは、そもそも何をどうすべきなのか?というおおもとをプロジェクトメンバーが共有していない場合に発生する。
ちなみに、この論点を考えることができるか?論点を見失わないか?というのは、採用面接の場でも試されている。
論点について、より深く知るには:『論点思考』
この論点という考え方をより深く知りたい方は、下記の「論点思考」という本をお勧めする。元ボストンコンサルティンググループの日本代表を務めた、内田和成さんの著書だ。ご存知ない方もいるかもしれないが、著者は、2006年に、World's top 25 most influential consultantsという、Consulting Magazineのランキングに入っている。いわば、世界のトップコンサルタントだ。
論点思考について、経営書にありがちな難解な例ではなく、身の回りのことを題材に詳しく解説されており、非常にわかりやすいように思う。私が、コンサルを目指す学生さんや、社会人の方に、「どんな本を読めば、面接やコンサルの仕事に役立ちますか?」と聞かれるときにお勧めする3つの本のうちの一つである。他の二つは別の機会に紹介しよう。
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