書評

2009年4月12日 (日)

[書評]ネイチャージモン まさか面白いとは思わなかった!

ネイチャージモン 1 (1) (ヤングマガジンコミックス) Book ネイチャージモン 1 (1) (ヤングマガジンコミックス)

著者:寺門 ジモン
販売元:講談社
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ネイチャージモン 2 (2) (ヤングマガジンコミックス) Book ネイチャージモン 2 (2) (ヤングマガジンコミックス)

著者:寺門 ジモン
販売元:講談社
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この漫画、悪いんだけど
「これは絶対面白くないだろ!」

と思って、手近に1巻が転がってたんだけど、ずっとスルーしてた。

ふとMacBookの再起動中に手にとって読んでみたら、予想に反して面白いんだわ、これが!

とにかく内容は、「肉とクワガタ」!
1巻では、焼き肉屋のコース料理が百数十ページにわたって描写されるという、恐るべき内容!

なんだけど、面白い!

2巻もパワーダウンせず、北国クワガタ採集編も面白い。

寺門ジモンの奇人ぶりについては、水道橋博士がコラムで紹介したことがきっかけで認知されるようになったというが

この漫画は寺門ジモンの面白さを伝える、最終兵器なんじゃなかろうか。

2009年2月 5日 (木)

[書評]哲学的な何か、あと数学とか

哲学的な何か、あと数学とか Book 哲学的な何か、あと数学とか

著者:飲茶
販売元:二見書房
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ここ数日、楽しく読んだ本。

360年間、あらゆる数学的天才が挑戦し続けた悪魔的難問、フェルマーの最終定理

1994年にアンドリュー・ワイルズの8年がかりの必死の研究によって、ついにこの悪魔的難問は証明されることになるのだが、この難問に挑んだ数々の数学者達の話。

まぁ、ワタクシ数学自体は、テンソルも理解してないくらいなので、難しい話をされてもわからないのだが、この難問に関わった人たちの、挑戦、挫折、発見の人間ドラマが面白く描かれている。

最近、こういう「科学ライトノベル」とでも言えば良いのか、

「理数系、科学研究周辺の人間ドラマ」

に目がないワタクシとしましては、大変面白かった。

数々の天才の挑戦を退け続けてきた、悪魔の難問に、最後の挑戦者アンドリュー・ワイルズが運命的な挑戦をはじめる話が、どうにもこうにも盛り上がる。

かなり数学的な難しいところは簡潔にして、人間ドラマ中心で面白く書かれているので、肩が凝らずに楽しめる面白読み物。

面白い。

2008年12月19日 (金)

[書評]できそこないの男たち

できそこないの男たち (光文社新書) Book できそこないの男たち (光文社新書)

著者:福岡伸一
販売元:光文社
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面白かった。

分子生物学者の、福岡氏が面白く語る、性別の起源について。

生物の基本仕様はデフォルトではメスである。
生物は遺伝子の交換のために、後付でオスを作った。
オスはメスを強引に仕様変更したもので、生物的に無理がある。
そのため、世界中の全ての国で男は平均寿命が短い。

男は病気に弱く、生物として女よりもはるかに弱く死にやすい。

という論旨。

なるほどねー、面白い。

弱きもの、汝の名は男なり。

2008年11月 8日 (土)

[書評]ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト

ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト―最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅 Book ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト―最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅

著者:ニール シュービン
販売元:早川書房
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人間も進化の過程をさかのぼっていけば、魚にまでたどりつく。
そのため、人間の体の中には、魚時代の痕跡が多く残っている。

その人間の中の「内なる魚」について解説してくれる本。
なかなか面白かった。

著者は、魚のひれが進化して、初めて四肢をもつようになり、腕立て伏せができるようになった魚。
ティクターリクの化石の発見者。

Tiktaalik(ティクターリク)
http://tiktaalik.uchicago.edu/
http://en.wikipedia.org/wiki/Tiktaalik

個人的に、すごい衝撃を受けたのが、「化石は狙って掘るモノだ!」という話。

えー!そうなんだ!偶然見つけるものじゃないのか!

例えばティクターリクのように、
陸にあがった最初の魚類を見つけるという目的があった場合、

三億六千万年前の化石からは、爬虫類、両生類が見つかっている。
三億六千五百万年前の化石からは、両生類が見つかっている。
三億八千五百万年前の化石からは、魚類が見つかっている。

とすると、魚が陸にあがろうとする中間的な生物は、
間をとって三億七千五百万年前くらいにいたのであろうということが推測できる。

年代が決まったら、ラップトップPCで地層データを検索。
三億七千五百万年前の地層が、地表に出ていて化石発掘に適した土地を探す。

その条件にあった土地が見つかったら、研究費をゲットして、装備を調え、現場にGo!

幸運の女神よ!我にほほえみ給え!!

ということらしいのだ。

なるほどなー。
そういわれて見れは、そらそうだろうけど考えたこともなかった。

化石は狙って掘るモノなんだな。

他にも魚と人間、他の生物と人間の体の構造の共通点は非常に多い話など面白い。

2008年10月12日 (日)

[書評]そういえば、村上隆の芸術起業論、むっちゃ面白いよ


この本は、最近読んだ本のなかで、かなり面白かったのでおすすめ。

書評書こうかと思っていて忘れてたのだけど、shi3z氏の日記のエントリーみて思い出した。

この本、shi3z氏が買って読まずにほっておいてた本で、オレが「これ面白いのかな?」と勝手に読み出してみたら、面白くてオレのほうが先に読み切って、

「いや、この本、すげー、面白いよ。shi3z氏も読みなよ。」
「あ、その本買ったの?オレ買って積んであったのに。」

「あ、そうそう、ごめんなさいね。これ君の。」

という、この本との出会い。

村上隆という人については、よく考えれば全然知らない人なんだけど、失礼ながら余り良いイメージは持っていなかった。

でも、この本を読んで、村上隆氏の戦略性、芸術と経済との関わりに関する慧眼に舌を巻いた。

創作で食っていくということに関しての、村上氏の考察は非常にするどい。

全ての芸術家の目的は、作品を換金することだ。それは美大ではけして教えてくれないことだ。

と氏は言う。

36歳までコンビニの廃棄弁当を貰って生活していたという村上氏は、奨学金をもらって単身アートの本場、ニューヨークへ。

換金可能なアート作品とは、欧米を中心とするアート界の文脈において説明可能な意味をもっていなければ成立しない。

そのためには欧米のアート界の文脈を知る必要がある。

その本場で試行錯誤するうちに、氏の日本人であるという背景を持って、大衆芸術であるアニメの文法(ローアート)を、金持ち向けのハイアートの文法にあてはめ、再構築する作風を確立したという。

日本では、芸術作品といえば説明不能な自己表現のように考えられがちだが、それは現在のアート界では通用しない。

芸術作品は、アートの歴史の中で説明可能な文脈をもっていなければ、充分な批評の対象にならず、商品として通用しない。

そのために、芸術作品を購入する顧客である大金持ちが、どのような文化背景、考え方をもっているかを理解するべきであり

作品制作にかかる費用とその回収を行うための、ビジネス的な枠組みを作ることも、芸術家として重要なことだという。

この本は、創作活動とお金、経済というものに関する洞察もバツグンに面白く、

村上氏がその中でどのように自分の作品をプロモーションし、「村上隆」というブランドを構築するために、戦略をたてて実行してきたかという記述も面白い。

おすすめ。

2008年3月 4日 (火)

[書評] 美学vs.実利 熱い!はぐれ者たちのゲーム機戦争

美学vs.実利 「チーム久夛良木」対任天堂の総力戦15年史 (講談社BIZ) Book 美学vs.実利 「チーム久夛良木」対任天堂の総力戦15年史 (講談社BIZ)

著者:西田 宗千佳
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

これ、まだ読んでる途中なんだけど、面白い。
プレイステーションの生みの親、ソニーをゲーム機産業で世界トップの座に押し上げる男、久夛良木 健氏を主人公とした物語。

はてぶのホットエントリーに載ってて買ってみたんだけど、題材もさることながら、文章が良い。
冒頭部分を抜粋。

決断は、1992年6月24日、品川・ソニー本社で開かれていた、経営会議で下された。
当時、ソニー社長であった大賀典雄は、目の前の部下を半ばにらみつけながら、机をたたいてこう叫んだ。

「実現できるかどうか、証明してみろ!Do it!」

大賀の前に立っていたのは久夛良木 健。その後、ゲームビジネスでソニーを世界のトップの座に導くことになる「プレイステーション」の生みの親である。

時、場所、情景。
そして主人公登場という黄金ドキドキ文章。

この冒頭の書き出しで一気に心つかまれる。

ソニーの孫会社として設立された、ソニー・コンピュータ・エンターテインメントに、ソニー本社をはじかれた、はぐれ者たちが集結。

プレイステーションプロジェクトが始まり、任天堂、セガとの熾烈な戦いが始まる。

どこをとっても、熱くてよいんだけど、お気に入りは、背水の陣だった「いくぜ!100万台」の項。

プレイステーションのチップを制作委託されたLSIロジック社はSCEに、チップを思い切った数購入することを要求する。その数、100万台。

SCEのメンバーはあまりの量に度肝を抜かれるが、久夛良木健氏は、さも当然。願ったりかなったりであるという反応。ゲーム機の原価を下げるには、大量生産以外の道はない。

100万台売ることができなければ、プレイステーションプロジェクトは失敗。100万台売れる以外、ビジネスとしての成功はあり得ないのだ。

当時SCEのCFO(最高財務責任者)であり、(100万台分のチップ購入の)決済を担当した徳中輝久は、あまりに巨額な取引であったために「サインする時に手が震えた」と話している。

まるで三国志の諸葛亮のようなクールさで、ただ一人その要求を当然と受け止める久夛良木氏。

この下りはカッコイイ!

この本は賛否あるみたいだけど、僕は読み物として面白いし、プレイステーションの革新性、プレイステーション2の戦略性について再認識させられて、良いと思います。

2008年2月27日 (水)

[書評] 迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか

迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか Book 迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか

著者:シャロン・モアレム,ジョナサン・プリンス
販売元:日本放送出版協会
Amazon.co.jpで詳細を確認する

たまには書評なんてものでも書いてみようかしらと思い立ち、書いてみたいのが昨日読み終わったこの本。

多くの病気は、祖先から受け継いだ遺伝子に由来するものだ。
この病気によって現代の人々は苦しめられているわけだが、病気にさせてしまう遺伝子も我々の進化の過程で、生き残りに有利な点があり取り入れられたものだ。

というのが本書の趣旨。

糖尿病の遺伝子は、氷河期の人類が生き残るために有利に働いたと考えられる。
ヨーロッパ人の3人に一人が持つ、体内鉄分貯めすぎ病のヘモクロマトーシスの遺伝子も
ヨーロッパで大流行したペストに対して非常に強い耐性を持ち生き残るのに有利だった。

ということらしい。

結局、進化するための遺伝子変異も得な点があれば、損な点もある。
どこかを有利にすれば、どこかが不利になってしまう。

まるで良くできたゲームのようなジレンマがあるわけですな。

個人的には、

ウイルスや寄生虫に感染すると、宿主がそのウイルスや寄生虫に有利な行動をしたくなる。
人類は水辺で生活するうちに、二足歩行と現在の身体的特徴を獲得したとする、水生類人猿説(アクア説)。

このあたりの話も興味深く気に入りました。かなりの面白本。

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