2017-09-28(Thu)
100億で小池ブランドを買いとった前原のリアリズム
民進党が事実上の「希望」合流方針を決定 前原代表「名を捨てて実を取る」
The Page 2017.09.28
さすがにこれは私も驚いた。
希望の党との選挙協力はするだろうとは予想していたが、ここまでやるとは・・・
しかも、独断で小池と話をつけてから有無を言わせずに両院総会にかけるという手法は、これまでの前原の姿からはとうてい想像できなかった。
良い悪いは別にして、とにかく驚いた。
巷では、さっそく「前原は悪魔と手を組んだ」とか「小池は安倍との密約で民進党を潰した」とか、かなり激しい批判が巻き起こっている。私自身も、昨日から考えが右往左往して、定まらなかった。
民進の希望への合流が発表される前の段階では、以下のように考えていた。
ひとつは、小池の希望の党と、橋下の維新のやりかたは瓜二つであり、であるならば「大阪方式」で闘うべきではないのか、ということだ。
小池のバックについているのは、グローバル金融資本の新自由主義+日米安保利権マフィア+統一教会 であり、小池は悪魔だというのは間違いではない。
(安倍晋三の運命を左右する統一教会(家庭連合)の分裂抗争)
であるならば、大阪において維新と戦ってきたやり方、すなわち自共共闘である。
自民と共産を含む全野党が結束して、維新に対抗することで、都構想の住民投票や多くの首長選挙で成果を上げてきた。
先日の堺市長選挙もそうだ。
堺市長選挙と同日に行われた大阪府議補選の堺選挙区では、維新2.1万 自民1.8万 共産含む野党共闘1.1万だった。これが大阪の現状をほぼ映している。野党共闘だけではまったく勝てないけれど、自民に政策協定を結ばせてキャスティングボートを握ることはできる。
そういうきわめて現実的な対応を、大阪では積み上げてきた。
私の住んでいる吹田市の市長も、自民党公認を共産党が応援して誕生した。もともと市の職員でありイデオロギッシュな自民党候補ではなかったこともあるけれど、その後の政策などを見ていると共産党の影響がかなりあるな、と感じることが多い。
極右の安倍と、新自由主義+安保マフィア+統一教会の小池、どっちが直ちに危険かというと、小池の方だ。これは間違いない。
安倍は一強だから強気でいられたが、単独過半数割れになれば一気に求心力を失い、加計問題での追及も可能になる。安倍のいない自民ならば、大阪方式も可能なのではないか。
このような考えが、まずは浮かんできた。
しかし、自民があくまで強気に大阪方式を拒否して、なおかつ従来の野党共闘が小池とも対決する、という形になった場合、何が起きるのか 考えてみた。
自公 VS 希望 VS 野党四党共闘
ここでの大問題は、自公を過半数割れに追い込めるのかどうか ということだ。
自公で過半数を取ってしまえば、自公政権は今まで通り維持されるし、自民党単独で過半数をギリギリとれば、安倍自身もまちがいなく延命する。
希望の党にマスコミが全力で風を吹かせたとしても、2011年に大阪で起きた維新旋風のようなことにはならない。
大阪は大阪の事情があったし、橋下というキャラクターでカバーできる地理的な限界の中の話しだった。
2001年や2005年の小泉旋風ほどの勢いが小池にあるかというと、そこまでではない。
また、小池が300人を擁立できるだけの資金があるのか という問題もある。
300人をたてるためには、もろもろで100億くらいの金が必要だ。
小泉はアメリカ政府直結だったが、小池を推しているジャパンハンドラーズは今は政権を失っている。
当然ながら資金力には大きな差があるはずだ。
そうなると、希望の党の力で自民を過半数割れに追い込むのは、かなり厳しいということになる。
現有議席は 自民286 公明35 である。
過半数は 233。
自民単独なら53、自公なら88議席減らしても過半数にはなる。
希望の党が、自民と民進の両方から半分づつ票を奪って100議席とったとしても、自民は過半数を維持してしまう。
単純に想定すると 自民236 公明35 希望100 民進40 残り54をその他が分け合う
これって、ほとんど何も変わっていないということだ。
自公で2/3はかなり割り込むけれども、自公希維の四党が改憲推進なので、内容は兎も角、今まで以上にエンジンがかかる可能性が高い。
やはり問題は、どうやったら自公で過半数を割らせるか だなあ。
■
そんな風にもやもやと考えていたところに、冒頭の衝撃ニュースが飛び込んできた。
こうしたニュースには、意図的なものを含めた誤報や、尾ひれや、思い込みが入り交じってドロドロになるので、元映像を確認してから評論するように気をつけたい。
両院総会冒頭の発言
(前原の発言は22分くらいから)
両院総会後の会見
前原に対しては 「民進党を売り渡した裏切りもの」 という批判罵倒が殺到している。
そういいたくなる気持ちもわからなくはない。
ただ、日本語の意味としてちょっとおかしいということは指摘しておきたい。
金を払うのは 前原の方なのだ。
前原は、売るのではなく買うのである。
良い買い物なのか、詐欺に遭ったのか、わざと高いかものをしたのか、その違いはあるが、売ったのではなく買ったのだと言うことは、結構重要なので間違わないようにしたい。
では、前原が買ったモノは何だろうか。それは、紛れもなく「小池ブランド」である。そのことには、あまり異論はないのではないだろうか。
いくらで買ったのか。民進党の金庫にはかなりの資金があるはずだ。上記の会見でも98億と指摘されて前原が「「もうちょっとありますけど」と答えていた。過去の情報から推測するに200億くらいだろう。
当面は参議院は民進のままだし地方組織もあるので、その半分を今回の選挙にあてるとすると、100億。
もちろん推測にすぎないが、200人の候補を小池ブランドで公認させるための持参金とすれば、選挙費用的には妥当な金額と言える。
100人擁立といいながらなかなか資金が回らない小池の側からすれば、よく言われているように、候補者と資金と地方組織が一気に手に入る。
小池が良いとか悪いとかの判断を保留すれば、選挙の買い物としては、妥当だったのではないかと、私には思える。
■
では、希望の党に合流して、289の小選挙区にすべて候補者を立て、自公を過半数割れに追い込んだとしよう。
その時、希望の党はどうなっているか。
希望の党単独で過半数をとれるかどうかは、かなり微妙だ。それでも、200議席はとれれば、状況は激変する。
まず、200議席の内訳がどうなるかだ。
同じ小池ブランドでたたかったときに、現職や元職の多い民進系と、急造の小池系でどちらが多く当選するかといえば、間違いなく民進系が多くなる。母数も多いし、確率も高い。
また、前原だけは民進に残るというのもミソで、要は「金庫の鍵は渡さないよ」 ということだ。
解党して合流してしまえば、金庫ごと希望に移ってしまうが、金庫だけは前原がかかえて民進に残る。
これは妙案だと感心した。
小池はブランドイメージを守る必要があるから、民進に対して優位な姿勢をとるし、前原もそれを尊重しているけれども、金庫の鍵を握っている以上は、小池もさほど強くは出られない。
前原が200人公認させると言い切るのも、それ故だろう。
ただし、本気のネゴシエーションを続けていかないと、マンマとしてやられることも十分あり得るので、そうなったら民進を離党して希望に公認申請した連中は悲惨な目にあう。
なにせ前原なので、楽観はできない。
こう考えてみると、希望の党は、蓋を開けてみれば代表のブランド以外は、所属議員も地方組織も金庫番も、ほとんど民進党ということになる。
まさに、100億円で小池ブランドを買い取って看板を付け替えた、ということになる。
しかも、その100億のウチ、かなりの部分はどっちみち今回の選挙で拠出しなければならない金だったわけで、正味のブランド代金は数十億になる。
とは言え、200人のウチ数十人は悪魔の手先であることも事実で、残りの百数十人も所詮はあの民進党にへばりついていた連中なのだから、背後にいるあの悪魔たちがガンガン圧力をかけてきたときに、希望の党がそのままもちこたえられるのかどうかは、かなり怪しい。
■
ここで 二大政党制についての、みなさんの誤解を指摘しておきたい。
悪玉の自公と、善玉の野党が政権交代するようなイメージを持っていませんか?
それ、間違いです。
二大政党制による政権交代というのは、ろくでもない政党と、とんでもない政党を、「政権交代させるぞ」と脅迫して少しはまともなことをやらせる という仕組み。
二大政党の どっちもろくでもない というのが大前提なんですよ。
言い換えれば、フェイルセーフがかかっている。
人間はかならず間違う、ということを前提にして、それでも何とか生きていく方法、ギリギリの妥協の方法、それが二大政党制であり、それを前提に政権交代を実現する小選挙区制だ。
だから、小池のような悪魔でもいいんだ とまでは言わない。
悪魔を根性なし軍団で水割りにしているので、感染力はやや弱まることはたしかだが、それでもそのまま飲むと、かなり激しい嘔吐下痢に悩まされそうだ。
大きなポイントの1段階目は、自公を過半数割れに追い込むことだった。
では、それは何とか実現したとすると、次のポイントは何か。
希望単独では、おそらく過半数にならないだろう ということだ。
小泉旋風や、2009年の民主党のような、圧倒的な風が吹いているかというと、そこまでのことはない。
2009年の民主党マニフェストは、良い意味で具体的なバラマキだったが、希望の党の政策は全部玉虫色で結局何も言っていないのと同じ。2009年のような圧勝はあり得ない。
自公の過半数割れは、維新を足しても過半数割れにしないといけないので、215くらまで落とさなくてはならない。
自公215 希望200 のこり50 となったときに、33議席をもつ勢力があれば、完全にキャスティングボートを握れるということだ。
どうしても希望の党は嫌だ、無理だ、ダメだ、という勢力が どれだけ議席をとれるか。
現状ではがんばっても 共産25 社民3 くらいがせいぜいで、まだ少し足りない。
民進から希望に行きたくないと無所属で出る人も少しはいるだろうが、比例復活無しではかなり苦しい。
ならば、共産を含めた第3極を統一名簿にしたらどうか。
選挙区で勝てなくても、比例復活できるようにすれば、その勢力でキャスティングボートをつかむことはできるはずだ。
そうなると、希望の党は 政権をとるために共産とも連立するのか という究極の選択を迫られることになる。
飲まなければ、自公維の少数政権ということになる。
共産党にすれば、安保やら何やらについて、党是を曲げる政策協定をむすぶことになり、これに耐えられるのかという問題が生じる。
ただ、もし自公維少数政権が続いてしまったとしても、これまで他弱とか言われてほとんど相手にされてこなかったいわゆるリベラル派は、かなり大きなプレゼンスを占めることになる。
これはチャンスだとは考えられないだろうか。
ここまで書いてきたことは、すべて架空の数字である。
もちろん、この通りにはならないだろう。
ただ、自公も希望も過半数割れになり、それ以外の党がキャスティングボートを握る、という状況は十分にありうる。
何が何でも希望なんてクソだ!という勢力は、そこを明確に狙っていくべきではないか。
いくら文句を百万遍並べていたって、ストレスが溜まるだけで、何の力にもならない。
悪魔の水割りである希望の党に、さらに軛をかけていくことしか、少数党にできることはない。
そのためには、外野席からヤジを飛ばすことではなく、プレーヤーとして駆け引きに加わらなければならない。
それでは今の公明党と同じじゃないかという意見もあるだろう。
それは違う。公明党は何が何でも権力にしがみつきたいから、票を分けてやっている自民党に文句を言えない。イザとなったらなんでも飲まされる。
本当のキャスティングボートとしての役割を果たすためには、いやならいつでも出てくよ、という腹をくくる必要があるのであって、そこが公明党との決定的な違いだ。
■
で、私はどうするのか。
民進の希望合流ではっきりしたのは、大阪9区での服部良一さん(社民党)の出馬が確実になったと言うことだ。
民進候補との野党共闘の調整が難航していたけれども、調整は必要なくなった。
一方で、自由党はおそらく消滅するだろう ということ。
自由 小沢代表「希望とは一両日中に決着つけたい」
NHK 9月28日
そりゃあそうだろうなあ。シナリオライターはおそらく小沢さんなんだろうから。
正直言って、「一両日中」は私も身動きがとれない。
明日、もう一度ちゃんと考えようと思う。
■
ちなみに、このイベントはどんな状況になってもやります
森ゆうこ 自由党参議院議員 講演会
日と場所: 10月1日(日)国民会館(地下鉄・京阪 天満橋駅)
時間: 14:00(開場予定)~15:30
参加料:無料 定員80人(先着申込順)
申し込みフォーム: https://ssl.form-mailer.jp/fms/0de8908b411455
共催: 自由党大阪府連 ・ 生活フォーラム関西
こんなときだからこそ、自由党これからどうするの? などなど 聞きに来てください。
■追記
一夜明けて9月29日の朝です。
昨夜の前原・小池会談がながれて、今朝になった。階段が終わってからの前原の顔が明らかにさえない。
たぶん、昨夜、小池には新たな資金提供者が現れたのだろう。前原の動きを確認して、後戻りできなくなってから小池に金を渡した。
金さえあれば小池は強気に出る。
「全員を公認なんてサラサラない」という発言は本気だろう。
希望の党内でブレーキを踏みそうな人間を、あらかじめ排除する場合は、水割りですらないストレートの悪魔ということになるので、その場合は外部にブレーキを作るしかない。
弾かれた民進、社民、自由 が、1つの党になって対抗するくらいをしなければ、激流に霞んで消滅してしまう。
弾かれた民進左派を含めて4~50人規模の当選を目指す第3極にカジを切るべきだ。
共産党と合わせれば、キャスティングボートとして影響力を行使できる。
小沢氏もおそらく今日くらいには方向を発表するだろうが、自由党もその方向に転換することを祈っている。
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The Page 2017.09.28
さすがにこれは私も驚いた。
希望の党との選挙協力はするだろうとは予想していたが、ここまでやるとは・・・
しかも、独断で小池と話をつけてから有無を言わせずに両院総会にかけるという手法は、これまでの前原の姿からはとうてい想像できなかった。
良い悪いは別にして、とにかく驚いた。
巷では、さっそく「前原は悪魔と手を組んだ」とか「小池は安倍との密約で民進党を潰した」とか、かなり激しい批判が巻き起こっている。私自身も、昨日から考えが右往左往して、定まらなかった。
民進の希望への合流が発表される前の段階では、以下のように考えていた。
ひとつは、小池の希望の党と、橋下の維新のやりかたは瓜二つであり、であるならば「大阪方式」で闘うべきではないのか、ということだ。
小池のバックについているのは、グローバル金融資本の新自由主義+日米安保利権マフィア+統一教会 であり、小池は悪魔だというのは間違いではない。
(安倍晋三の運命を左右する統一教会(家庭連合)の分裂抗争)
であるならば、大阪において維新と戦ってきたやり方、すなわち自共共闘である。
自民と共産を含む全野党が結束して、維新に対抗することで、都構想の住民投票や多くの首長選挙で成果を上げてきた。
先日の堺市長選挙もそうだ。
堺市長選挙と同日に行われた大阪府議補選の堺選挙区では、維新2.1万 自民1.8万 共産含む野党共闘1.1万だった。これが大阪の現状をほぼ映している。野党共闘だけではまったく勝てないけれど、自民に政策協定を結ばせてキャスティングボートを握ることはできる。
そういうきわめて現実的な対応を、大阪では積み上げてきた。
私の住んでいる吹田市の市長も、自民党公認を共産党が応援して誕生した。もともと市の職員でありイデオロギッシュな自民党候補ではなかったこともあるけれど、その後の政策などを見ていると共産党の影響がかなりあるな、と感じることが多い。
極右の安倍と、新自由主義+安保マフィア+統一教会の小池、どっちが直ちに危険かというと、小池の方だ。これは間違いない。
安倍は一強だから強気でいられたが、単独過半数割れになれば一気に求心力を失い、加計問題での追及も可能になる。安倍のいない自民ならば、大阪方式も可能なのではないか。
このような考えが、まずは浮かんできた。
しかし、自民があくまで強気に大阪方式を拒否して、なおかつ従来の野党共闘が小池とも対決する、という形になった場合、何が起きるのか 考えてみた。
自公 VS 希望 VS 野党四党共闘
ここでの大問題は、自公を過半数割れに追い込めるのかどうか ということだ。
自公で過半数を取ってしまえば、自公政権は今まで通り維持されるし、自民党単独で過半数をギリギリとれば、安倍自身もまちがいなく延命する。
希望の党にマスコミが全力で風を吹かせたとしても、2011年に大阪で起きた維新旋風のようなことにはならない。
大阪は大阪の事情があったし、橋下というキャラクターでカバーできる地理的な限界の中の話しだった。
2001年や2005年の小泉旋風ほどの勢いが小池にあるかというと、そこまでではない。
また、小池が300人を擁立できるだけの資金があるのか という問題もある。
300人をたてるためには、もろもろで100億くらいの金が必要だ。
小泉はアメリカ政府直結だったが、小池を推しているジャパンハンドラーズは今は政権を失っている。
当然ながら資金力には大きな差があるはずだ。
そうなると、希望の党の力で自民を過半数割れに追い込むのは、かなり厳しいということになる。
現有議席は 自民286 公明35 である。
過半数は 233。
自民単独なら53、自公なら88議席減らしても過半数にはなる。
希望の党が、自民と民進の両方から半分づつ票を奪って100議席とったとしても、自民は過半数を維持してしまう。
単純に想定すると 自民236 公明35 希望100 民進40 残り54をその他が分け合う
これって、ほとんど何も変わっていないということだ。
自公で2/3はかなり割り込むけれども、自公希維の四党が改憲推進なので、内容は兎も角、今まで以上にエンジンがかかる可能性が高い。
やはり問題は、どうやったら自公で過半数を割らせるか だなあ。
■
そんな風にもやもやと考えていたところに、冒頭の衝撃ニュースが飛び込んできた。
こうしたニュースには、意図的なものを含めた誤報や、尾ひれや、思い込みが入り交じってドロドロになるので、元映像を確認してから評論するように気をつけたい。
両院総会冒頭の発言
(前原の発言は22分くらいから)
両院総会後の会見
前原に対しては 「民進党を売り渡した裏切りもの」 という批判罵倒が殺到している。
そういいたくなる気持ちもわからなくはない。
ただ、日本語の意味としてちょっとおかしいということは指摘しておきたい。
金を払うのは 前原の方なのだ。
前原は、売るのではなく買うのである。
良い買い物なのか、詐欺に遭ったのか、わざと高いかものをしたのか、その違いはあるが、売ったのではなく買ったのだと言うことは、結構重要なので間違わないようにしたい。
では、前原が買ったモノは何だろうか。それは、紛れもなく「小池ブランド」である。そのことには、あまり異論はないのではないだろうか。
いくらで買ったのか。民進党の金庫にはかなりの資金があるはずだ。上記の会見でも98億と指摘されて前原が「「もうちょっとありますけど」と答えていた。過去の情報から推測するに200億くらいだろう。
当面は参議院は民進のままだし地方組織もあるので、その半分を今回の選挙にあてるとすると、100億。
もちろん推測にすぎないが、200人の候補を小池ブランドで公認させるための持参金とすれば、選挙費用的には妥当な金額と言える。
100人擁立といいながらなかなか資金が回らない小池の側からすれば、よく言われているように、候補者と資金と地方組織が一気に手に入る。
小池が良いとか悪いとかの判断を保留すれば、選挙の買い物としては、妥当だったのではないかと、私には思える。
■
では、希望の党に合流して、289の小選挙区にすべて候補者を立て、自公を過半数割れに追い込んだとしよう。
その時、希望の党はどうなっているか。
希望の党単独で過半数をとれるかどうかは、かなり微妙だ。それでも、200議席はとれれば、状況は激変する。
まず、200議席の内訳がどうなるかだ。
同じ小池ブランドでたたかったときに、現職や元職の多い民進系と、急造の小池系でどちらが多く当選するかといえば、間違いなく民進系が多くなる。母数も多いし、確率も高い。
また、前原だけは民進に残るというのもミソで、要は「金庫の鍵は渡さないよ」 ということだ。
解党して合流してしまえば、金庫ごと希望に移ってしまうが、金庫だけは前原がかかえて民進に残る。
これは妙案だと感心した。
小池はブランドイメージを守る必要があるから、民進に対して優位な姿勢をとるし、前原もそれを尊重しているけれども、金庫の鍵を握っている以上は、小池もさほど強くは出られない。
前原が200人公認させると言い切るのも、それ故だろう。
ただし、本気のネゴシエーションを続けていかないと、マンマとしてやられることも十分あり得るので、そうなったら民進を離党して希望に公認申請した連中は悲惨な目にあう。
なにせ前原なので、楽観はできない。
こう考えてみると、希望の党は、蓋を開けてみれば代表のブランド以外は、所属議員も地方組織も金庫番も、ほとんど民進党ということになる。
まさに、100億円で小池ブランドを買い取って看板を付け替えた、ということになる。
しかも、その100億のウチ、かなりの部分はどっちみち今回の選挙で拠出しなければならない金だったわけで、正味のブランド代金は数十億になる。
とは言え、200人のウチ数十人は悪魔の手先であることも事実で、残りの百数十人も所詮はあの民進党にへばりついていた連中なのだから、背後にいるあの悪魔たちがガンガン圧力をかけてきたときに、希望の党がそのままもちこたえられるのかどうかは、かなり怪しい。
■
ここで 二大政党制についての、みなさんの誤解を指摘しておきたい。
悪玉の自公と、善玉の野党が政権交代するようなイメージを持っていませんか?
それ、間違いです。
二大政党制による政権交代というのは、ろくでもない政党と、とんでもない政党を、「政権交代させるぞ」と脅迫して少しはまともなことをやらせる という仕組み。
二大政党の どっちもろくでもない というのが大前提なんですよ。
言い換えれば、フェイルセーフがかかっている。
人間はかならず間違う、ということを前提にして、それでも何とか生きていく方法、ギリギリの妥協の方法、それが二大政党制であり、それを前提に政権交代を実現する小選挙区制だ。
だから、小池のような悪魔でもいいんだ とまでは言わない。
悪魔を根性なし軍団で水割りにしているので、感染力はやや弱まることはたしかだが、それでもそのまま飲むと、かなり激しい嘔吐下痢に悩まされそうだ。
大きなポイントの1段階目は、自公を過半数割れに追い込むことだった。
では、それは何とか実現したとすると、次のポイントは何か。
希望単独では、おそらく過半数にならないだろう ということだ。
小泉旋風や、2009年の民主党のような、圧倒的な風が吹いているかというと、そこまでのことはない。
2009年の民主党マニフェストは、良い意味で具体的なバラマキだったが、希望の党の政策は全部玉虫色で結局何も言っていないのと同じ。2009年のような圧勝はあり得ない。
自公の過半数割れは、維新を足しても過半数割れにしないといけないので、215くらまで落とさなくてはならない。
自公215 希望200 のこり50 となったときに、33議席をもつ勢力があれば、完全にキャスティングボートを握れるということだ。
どうしても希望の党は嫌だ、無理だ、ダメだ、という勢力が どれだけ議席をとれるか。
現状ではがんばっても 共産25 社民3 くらいがせいぜいで、まだ少し足りない。
民進から希望に行きたくないと無所属で出る人も少しはいるだろうが、比例復活無しではかなり苦しい。
ならば、共産を含めた第3極を統一名簿にしたらどうか。
選挙区で勝てなくても、比例復活できるようにすれば、その勢力でキャスティングボートをつかむことはできるはずだ。
そうなると、希望の党は 政権をとるために共産とも連立するのか という究極の選択を迫られることになる。
飲まなければ、自公維の少数政権ということになる。
共産党にすれば、安保やら何やらについて、党是を曲げる政策協定をむすぶことになり、これに耐えられるのかという問題が生じる。
ただ、もし自公維少数政権が続いてしまったとしても、これまで他弱とか言われてほとんど相手にされてこなかったいわゆるリベラル派は、かなり大きなプレゼンスを占めることになる。
これはチャンスだとは考えられないだろうか。
ここまで書いてきたことは、すべて架空の数字である。
もちろん、この通りにはならないだろう。
ただ、自公も希望も過半数割れになり、それ以外の党がキャスティングボートを握る、という状況は十分にありうる。
何が何でも希望なんてクソだ!という勢力は、そこを明確に狙っていくべきではないか。
いくら文句を百万遍並べていたって、ストレスが溜まるだけで、何の力にもならない。
悪魔の水割りである希望の党に、さらに軛をかけていくことしか、少数党にできることはない。
そのためには、外野席からヤジを飛ばすことではなく、プレーヤーとして駆け引きに加わらなければならない。
それでは今の公明党と同じじゃないかという意見もあるだろう。
それは違う。公明党は何が何でも権力にしがみつきたいから、票を分けてやっている自民党に文句を言えない。イザとなったらなんでも飲まされる。
本当のキャスティングボートとしての役割を果たすためには、いやならいつでも出てくよ、という腹をくくる必要があるのであって、そこが公明党との決定的な違いだ。
■
で、私はどうするのか。
民進の希望合流ではっきりしたのは、大阪9区での服部良一さん(社民党)の出馬が確実になったと言うことだ。
民進候補との野党共闘の調整が難航していたけれども、調整は必要なくなった。
一方で、自由党はおそらく消滅するだろう ということ。
自由 小沢代表「希望とは一両日中に決着つけたい」
NHK 9月28日
そりゃあそうだろうなあ。シナリオライターはおそらく小沢さんなんだろうから。
正直言って、「一両日中」は私も身動きがとれない。
明日、もう一度ちゃんと考えようと思う。
■
ちなみに、このイベントはどんな状況になってもやります
森ゆうこ 自由党参議院議員 講演会
日と場所: 10月1日(日)国民会館(地下鉄・京阪 天満橋駅)
時間: 14:00(開場予定)~15:30
参加料:無料 定員80人(先着申込順)
申し込みフォーム: https://ssl.form-mailer.jp/fms/0de8908b411455
共催: 自由党大阪府連 ・ 生活フォーラム関西
こんなときだからこそ、自由党これからどうするの? などなど 聞きに来てください。
■追記
一夜明けて9月29日の朝です。
昨夜の前原・小池会談がながれて、今朝になった。階段が終わってからの前原の顔が明らかにさえない。
たぶん、昨夜、小池には新たな資金提供者が現れたのだろう。前原の動きを確認して、後戻りできなくなってから小池に金を渡した。
金さえあれば小池は強気に出る。
「全員を公認なんてサラサラない」という発言は本気だろう。
希望の党内でブレーキを踏みそうな人間を、あらかじめ排除する場合は、水割りですらないストレートの悪魔ということになるので、その場合は外部にブレーキを作るしかない。
弾かれた民進、社民、自由 が、1つの党になって対抗するくらいをしなければ、激流に霞んで消滅してしまう。
弾かれた民進左派を含めて4~50人規模の当選を目指す第3極にカジを切るべきだ。
共産党と合わせれば、キャスティングボートとして影響力を行使できる。
小沢氏もおそらく今日くらいには方向を発表するだろうが、自由党もその方向に転換することを祈っている。
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