酷暑がつづく。夜間も30℃を下回ることはない。いや、33℃すら下回らない日が続き、しばらく休筆していた。毎年この時期になると、第二次世界大戦について書くことが多い。今年はコロナがあるから、各国とも大規模な集会を開かなかったため、75回目のVJデイを華やかに開くことはなかった。日本ではこの式典の模様を一切伝えないので、現地に在留している方のブログなどで私も初めて知った。
特に「オーストラリア」や「イギリス」では、その日の午前中から「日本軍の残虐行為」を伝える記録映像が流されるようだ。退役軍人や関係者から「(当時の)日本人を絶対に許さない」などという声もインタビューで流される。現地在留の日本人は何のことかとポカーンとする。聞いたこともない話が次々に出てくる。その面食らった様子が描かれている。
NHKも衛星放送で「人肉」について流していた。(まともな部署も少しは残っている) 人肉を食べていたことは知っている。飢えも極限に達していたのだから、ネズミもヘビもミミズも食べていたわけだから、そうだろうことは頷(うなづ)ける。90歳を超えた帰還兵の証言として、「人肉を他の部隊に持っていき、ほかのものと物々交換をしていた」、「他の部隊に売って、食料をまた別の部隊から買っていた」という話が紹介されていた。地獄の様相であることをしっかりと知るべきである。
安倍内閣とそれに関係する人々は十数年前から「教育」に介入し、「沖縄集団自決」も「慰安婦」も、人によっては「南京虐殺」さえなかったかのような風潮を作ってきた。日本側が敗戦と同時に「戦争資料」を燃やしてしまったため、この戦争の記録を外国の研究者たちは「日本兵捕虜」の証言の共通部分で確定させてきた。もちろん「捕虜」は嘘をつくだろうし、記憶が間違っている、誤解している場合もある。各地の捕虜の証言で一致する部分が「史実」とされてきたわけだ。全員無事に帰還したような「将校や下士官」の書いた書物では信憑性がない。「靖国神社で口裏を合わせた」ものだと思われている。
May 31, 2016 笑う兵隊 ←リンク James F.氏のブログから
スティーブン・スピルバーグやトム・ハンクスたちが制作した太平洋戦争を舞台にしたセミ・ドキュメンタリ「The Pacific」を観ていると、終盤の沖縄戦で「オキナワ人」と沖縄県人を呼んで、日本人と区別して考えていたのがわかる。他の本や記録も同様で、沖縄人と日本人をふたつの別別の民族だとして扱っている。
兵士達はブリィーフィングや情報将校が作製した資料によって両者を区別して考えるにいたったのかといえば、そうではなくて、洞窟からアメリカ軍側に走って逃げようとする沖縄人を後ろから機関銃で射殺し、あるいは胴体に爆薬を巻き付けさせて、避難民の群れに混ぜ、沖縄人たちもろともに米兵を爆殺する、あるいは夜闇に乗じて沖縄人の家庭を襲って、妻や娘を強姦し、食糧を強奪して一家皆殺しにして去る、日本軍の明らかに沖縄人に対する、外国人、しかも敵性の外国人としての扱いを観て、自然と「沖縄人と日本人は別」と印象したもののようです。
日本語の記録だけを読むと、まるで沖縄人と日本人が共に圧倒的な軍事力のアメリカ軍と非望の英雄的な戦いを戦ったように書いてあるが、英語側の記録には、沖縄に上陸した途端、老婆に抱きつかれて「助けてください。日本軍が、食糧をすべて持っていってしまった」と慟哭して訴えられる様子や、両親と兄を日本軍に殺されて泣き叫ぶ女の子の姿が頻繁に記されている。
どんなやりかたで日本軍兵士が沖縄人を殺戮したかについては、死体の山の下に隠れて奇蹟的に生き延びた沖縄人の子供たちが戦後何十年も経ってからアメリカのテレビ局のインタビューに応えて残した証言がいくつもある。
殆どの場合、夜に山の洞窟を出て集落へ跫音を忍ばせて降り、分隊規模で数家族を急襲して、まず成人した男を殺す。食糧を庭にあらいざらい持ってこさせて、掠奪が完了すると、妻や娘を強姦する。最後は庭に整列させて手榴弾で殺戮する。息の根が残っている者がいると、銃で射殺してまで念入りに殺してから立ち去ったのは、中国大陸での日本兵とやり口がおなじで、つまりは、どこかに訴えでられて証言されると面倒なことになるからです。
-- 中略 --
アメリカを長い不景気から救いだした真珠湾攻撃に始まった対日戦争は、アメリカ人にとって未だに語り継がれる「The Good War」で、その後のベトナム戦争や湾岸戦争で良心が割れて砕けそうになるたびに、自分たちの歴史にも完全に邪悪な相手を打ち倒すために戦った歴史があるのだ、という戦争を正当化するときの良心の源泉になっている。
一方では、降伏を肯んじない狂気の軍隊を相手にして、女であるとみれば強姦して、中国人、韓国人、オランダ人、あるいは赤十字の看護婦として各所にいたオーストラリア人イギリス人やアメリカ人まで見境無しに集団強姦を繰り返して、そのうえ、捕虜に対して残虐な虐待を繰り返した日本兵への記憶は、戦争の色彩を、欧州戦線とは異なる薄汚いものに変えて、太平洋戦争を題材にとるのは長い間、商業上のタブーで、「思い出したくない戦争」として人々の歴史的な記憶の底で澱んでいる。 (引用終り)
上の「青字」で書かれた部分は、日本軍の香港上陸作戦時の話である。これは噂として当時からあったが、何しろ強姦した後、全員を浜辺に並べ沖に向かって歩かせ背後から機関銃で全員銃殺したわけだから証拠がない。証言者もいなかったが、日本兵捕虜の証言から事件は起きたと確定されていた。この事件はJames F.氏によると、イギリスでは小中学校で必ず習う有名な事件なのだという。ところが、当の日本人はだれ一人として知っていない、と驚きを隠さない。
帝国軍贔屓の方のならには「でっち上げだ」、「ねつ造だ」という人もいるかもしれないが、ひょんなことからこれを証明する資料が出てきた。一つは、大戦の資料を集めている研究者が、この時の白衣に残る銃弾の跡から、銃殺された当時白衣の前が開いていたことを証明したのである。もう一つは現地で有名な女性プロデューサーの遺品の中に、オーストラリアで最も権威ある勲章を授かったこの事件の唯一の生き残りの看護婦からの告白文が見つかったのである。看護婦の死後、この告白を発表しようかどうか迷ったが、「その州ではレイプは死刑」という厳しい見方であったので、彼女の名誉のために発表を控えていたということも分かった。
私個人の経験としても、以前書いたように『財閥系の忘年会』のせきで、酒が入って隣り同士談笑している際に、「中国帰り」の方から「パパさん、分隊ごとに分かれて女学校を襲ったのだが、あれはなかなか良かったバイ。」などという自慢話を聞いたことがある。まあ、どう繕っても、あの戦争は「肯定する」ことなどできない代物である。
そのVJデイに各国で報道された記事を追ってみよう。日本国内で聞かされる話とは全く別世界が広がる。国内では「謝罪も賠償も散々したのだから、もう謝罪はしない。」という安倍首相の発言にやんやの喝さいが送られた。当然、「韓国」と「中国」を除いてね世界の国々は日本を理解していると思っている。しかし、国内ではこういう記事を全く報道しない。大方の方がびっくりするだろう。
引用記事は イギリス公共放送BBC、アメリカのテレビabc、、イギリスの新聞 ザ ガーディアンである。いずれも長い記事なのでリンクしてあるので、元記事をご覧ください。
VJ Day: Japan marks 75 years since end of WWII
VJデー: 第二次世界大戦終結から75年を迎えた日本
15 August 2020 BBC ← リンク
Japan's Emperor Naruhito has expressed "deep remorse" over his country's actions during World War Two, on the 75th anniversary of its surrender."I earnestly hope that the ravages of war will never again be repeated," he said at a ceremony on Saturday.Meanwhile, Prime Minister Shinzo Abe promised to "never repeat the tragedy".
日本の成仁天皇は、降伏75周年を迎えた第二次世界大戦中の自国の行動について、深い反省を表明した。「戦争の荒廃が二度と繰り返されることを真剣に願っています」と、彼は土曜日の式典で言いました。一方、安倍晋三首相は「悲劇を繰り返すことはありません」と約束しました。
But four senior members of Prime Minister Shinzo Abe's cabinet did go to Yasukuni this morning, and Mr Abe himself sent a ritual offering.That will reinforce the view in Beijing and Seoul that 75 years after the war ended, Japan's ruling elite is still less than sincere in its remorse for this country's wartime aggression.
しかし、安倍晋三内閣の4人の幹部は今朝靖国に行き、安倍氏自身が儀式の供物を送った。それは、戦争が終ってから75年が経った北京とソウルの批判を強めるだろうが、日本の支配エリートは、この国の戦時中の侵略に対する反省にはまだ誠実ではない。
Japan marks 75th anniversary of war end with no Abe apology
安倍首相の謝罪なしで終戦75周年を迎える日本
August 15, 2020 abc ← リンク
Japan is marking the 75th anniversary of its surrender in World War II, with Emperor Naruhito expressing “deep remorse” over his country’s wartime hostilities
日本は第二次世界大戦で降伏75周年を迎え、成仁天皇は戦時中の敵対行為に「深い反省」を表明
Abe, in a largely domestic-focused speech, said the peace that Japan enjoys today is built on the sacrifices of those who died in the war. He pledged that Japan will reflect on lessons from history and will not repeat the war devastation. He listed damage inflicted on Japan and its people, including the U.S. atomic bombings of Hiroshima and Nagasaki, massive firebombings of Tokyo and the fierce battle of Okinawa.
安倍首相は、主に国内に焦点を当てた演説の中で、日本が今日享受している平和は、戦争で亡くなった人々の犠牲の上に成り立っている、と語った。彼は、日本は歴史からの教訓を振り返り、戦争の惨状を繰り返さないと誓った。米国の広島・長崎原爆、東京の大規模な爆撃、沖縄の激しい戦いなど、日本とその国民に与えた被害を挙げた。
Abe pledged to play a greater role in tackling global problems. Under his goal of turning Japan into a “beautiful” and “normal” nation, Abe has steadily pushed to cleanse Japan of its embarrassing wartime history and build up its military by stretching the interpretation of Japan's war-renouncing constitution. It includes acquiring greater missile defense capability in the face of a growing military threat from North Korea and China.
安倍は、世界的な問題に取り組む上でより大きな役割を果たすことを約束した。安倍首相は、日本を「美しい」「普通の」国家に変えるという目標の下、日本の戦争放棄憲法の解釈を広げて、日本の恥ずかしい戦時中の歴史を浄化し、軍事力を増強することを着実に推し進めてきた。北朝鮮と中国からの軍事的脅威の増大に直面して、より大きなミサイル防衛能力を獲得することが含まれる。
Four members of his Cabinet did visit the shrine, the first ministerial visit in four years. Among them was Environment Minister Shinjiro Koizumi, the son of former Prime Minister Junichiro Koizumi who repeatedly visited the shrine on different occasions, including his last visit as serving prime minister on Aug. 15, 2006, that sparked criticism from China and South Korea.“We decide how we want to pay respects to the war dead. This should not be a diplomatic problem,” Internal Affairs Minister Sanae Takaichi, an ultra-conservative who shares Abe's historical views, told reporters after praying at the shrine.
内閣の4人が4年ぶりの閣僚訪問である神社を訪れた。その中には、2006年8月15日の首相就任を含め、異なる機会に神社を繰り返し訪れた小泉純一郎の息子である小泉進次郎環境大臣も含まれ、中国や韓国からの批判を巻き起こした。「戦没者に敬意を払う方法は日本が決定します。これは外交上の問題であってはならない」と、安倍首相の歴史的見解を共有する超保守派の高市佐苗総務大臣は、神社で祈った後、記者団に語った。
Repeated Yasukuni visits by Japanese government officials “indicates that on the issue of history, Japan has not completely abandoned militarism,” said Wang Shaopu, a Japanese studies professor at Jiao Tong University and honorary president of the Japan Society of Shanghai.“Japan’s invasion of China has brought huge disaster to the Chinese people. Under these circumstances, if Japan doesn't face up to historical issues, how could we be sure that japan will follow the path of peace in the future?”
日本政府当局者の靖国訪問を繰り返すことについて、「歴史問題に関して、日本は軍国主義を完全に放棄していないことを示している。日本の中国侵攻は、中国国民に大きな災害をもたらした。このような状況の中で、日本が歴史的問題に直面しなければ、日本が将来の平和の道を歩むのはどうしたらいいのか。」と、Jiao Tong大学の日本研究教授で、上海日本学会名誉会長の王少浦氏は述べた。
'Deep remorse': Japanese emperor marks 75th anniversary of surrender
深い反省:天皇陛下、降伏75周年を迎える
Sat 15 Aug 2020 The Guardian ← リンク
Japan has marked the 75th anniversary of its surrender in the second world war with Emperor Naruhito expressing “deep remorse” over his country’s wartime actions at a sombre annual ceremony curtailed by the coronavirus pandemic.
日本は第二次世界大戦で降伏75周年を迎え、成仁天皇はコロナウイルスの大流行によって縮小された年次式典で、自国の戦時中の行動に「深い反省」を表明しました。
Naruhito pledged to reflect on the war’s events and expressed hope that the tragedy would never be repeated. There was no word of apology from the prime minister, Shinzo Abe, who gave thanks for the sacrifices of the Japanese war dead.
成仁は戦争の出来事を振り返ることを誓い、悲劇が二度と繰り返されないことを望むと表明した。日本の戦死者の犠牲に感謝した安倍晋三首相からの謝罪の言葉はなかった。
Abe has increasingly sought to whitewash Japan’s brutal past since taking office in December 2012. He has not acknowledged Japan’s wartime hostilities during 15 August speeches, which had previously been a nearly 20-year tradition that began with the 1995 apology of the Socialist party prime minister Tomiichi Murayama.
安倍は2012年12月の就任以来、日本の残忍な過去を白塗りしようとますます模索してきた。彼は、1995年の社会党の村山富一首相の謝罪から始まった20年近くの伝統であった8月15日の演説の間、日本の戦時中の敵対を認めていない。
Abe said the peace that Japan enjoys today was built on the sacrifices of those who died in the war. He pledged that Japan would reflect on lessons from history and will not repeat the war devastation. He listed damage inflicted on Japan and its people, including the US atomic bombings of Hiroshima and Nagasaki, firebombings of Tokyo and the fierce battle of Okinawa.
安倍首相は、日本が今日享受している平和は、戦争で亡くなった人々の犠牲の上に成り立っていると語った。彼は、日本は歴史からの教訓を振り返り、戦争の惨状を繰り返さないと誓った。米国の広島・長崎原爆、東京の爆撃、沖縄の激しい戦いなど、日本とその国民に与えた被害を挙げた。
The South Korean president, Moon Jae-in, offered talks with Japan to resolve their feud over wartime grievances as his country celebrated the 75th anniversary of its liberation from Japanese colonial rule. In a nationally televised speech, Moon said his government had left the door of consultations wide open for Japan to settle a long legal and diplomatic dispute over compensation for Koreans who had been subjected to forced labour.
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、日本の植民地支配からの解放75周年を祝う中、戦時中の不満をめぐる確執を解決するために日本と会談を行った。文大統領は全国的に放映された演説の中で、政府は、強制労働を受けた韓国人に対する補償をめぐる長い法的、外交的紛争を解決するために、日本のために協議の扉を大きく開いたままにしたと語った。
Relations between South Korea and Japan sank to their lowest point in decades in 2019 as they allowed their disagreements over wartime history to spill over into issues related to trade and military cooperation.
Moon avoided direct criticism of the conservative government of Abe, which has insisted that all compensation issues were settled when the two countries normalised relations under a 1965 treaty. That stance was rebutted by South Korea’s supreme court in 2018 when it ruled the deal did not cover individual rights to seek reparations and called on Japanese companies to compensate ageing Korean plaintiffs.
韓国と日本の関係は、戦時中の歴史をめぐる意見の相違が貿易と軍事協力に関する問題に波及したため、2019年に過去数十年で最も低い地点に沈んだ。
文大統領は、1965年の条約に基づき両国が関係を正常化した際にすべての補償問題が解決されたと主張してきた安倍政権に対する直接的な批判を避けた。この姿勢は、2018年に韓国の最高裁判所によって反論され、この取引は賠償を求める個人の権利をカバーしていないと判断し、日本企業に高齢の韓国原告を補償するよう求めた。 (引用終り)
アメリカのトランプ大統領よろしく、日本の安倍政権も全く国際社会から理解されていない。誠実な謝罪がなされていない、と評価されている。日本は昔の「悪行」をなかったことにしようと思っている。をよく話題になる韓国についても、国内で聞かされるように「国際法を守らない韓国は、どこからも相手にされていない」などという評価はない。テレビで大きな顔で解説しているあの人々は、こんな記事を国民が知った時、どう言いつくろうのだろうか。
特に「オーストラリア」や「イギリス」では、その日の午前中から「日本軍の残虐行為」を伝える記録映像が流されるようだ。退役軍人や関係者から「(当時の)日本人を絶対に許さない」などという声もインタビューで流される。現地在留の日本人は何のことかとポカーンとする。聞いたこともない話が次々に出てくる。その面食らった様子が描かれている。
NHKも衛星放送で「人肉」について流していた。(まともな部署も少しは残っている) 人肉を食べていたことは知っている。飢えも極限に達していたのだから、ネズミもヘビもミミズも食べていたわけだから、そうだろうことは頷(うなづ)ける。90歳を超えた帰還兵の証言として、「人肉を他の部隊に持っていき、ほかのものと物々交換をしていた」、「他の部隊に売って、食料をまた別の部隊から買っていた」という話が紹介されていた。地獄の様相であることをしっかりと知るべきである。
安倍内閣とそれに関係する人々は十数年前から「教育」に介入し、「沖縄集団自決」も「慰安婦」も、人によっては「南京虐殺」さえなかったかのような風潮を作ってきた。日本側が敗戦と同時に「戦争資料」を燃やしてしまったため、この戦争の記録を外国の研究者たちは「日本兵捕虜」の証言の共通部分で確定させてきた。もちろん「捕虜」は嘘をつくだろうし、記憶が間違っている、誤解している場合もある。各地の捕虜の証言で一致する部分が「史実」とされてきたわけだ。全員無事に帰還したような「将校や下士官」の書いた書物では信憑性がない。「靖国神社で口裏を合わせた」ものだと思われている。
May 31, 2016 笑う兵隊 ←リンク James F.氏のブログから
スティーブン・スピルバーグやトム・ハンクスたちが制作した太平洋戦争を舞台にしたセミ・ドキュメンタリ「The Pacific」を観ていると、終盤の沖縄戦で「オキナワ人」と沖縄県人を呼んで、日本人と区別して考えていたのがわかる。他の本や記録も同様で、沖縄人と日本人をふたつの別別の民族だとして扱っている。
兵士達はブリィーフィングや情報将校が作製した資料によって両者を区別して考えるにいたったのかといえば、そうではなくて、洞窟からアメリカ軍側に走って逃げようとする沖縄人を後ろから機関銃で射殺し、あるいは胴体に爆薬を巻き付けさせて、避難民の群れに混ぜ、沖縄人たちもろともに米兵を爆殺する、あるいは夜闇に乗じて沖縄人の家庭を襲って、妻や娘を強姦し、食糧を強奪して一家皆殺しにして去る、日本軍の明らかに沖縄人に対する、外国人、しかも敵性の外国人としての扱いを観て、自然と「沖縄人と日本人は別」と印象したもののようです。
日本語の記録だけを読むと、まるで沖縄人と日本人が共に圧倒的な軍事力のアメリカ軍と非望の英雄的な戦いを戦ったように書いてあるが、英語側の記録には、沖縄に上陸した途端、老婆に抱きつかれて「助けてください。日本軍が、食糧をすべて持っていってしまった」と慟哭して訴えられる様子や、両親と兄を日本軍に殺されて泣き叫ぶ女の子の姿が頻繁に記されている。
どんなやりかたで日本軍兵士が沖縄人を殺戮したかについては、死体の山の下に隠れて奇蹟的に生き延びた沖縄人の子供たちが戦後何十年も経ってからアメリカのテレビ局のインタビューに応えて残した証言がいくつもある。
殆どの場合、夜に山の洞窟を出て集落へ跫音を忍ばせて降り、分隊規模で数家族を急襲して、まず成人した男を殺す。食糧を庭にあらいざらい持ってこさせて、掠奪が完了すると、妻や娘を強姦する。最後は庭に整列させて手榴弾で殺戮する。息の根が残っている者がいると、銃で射殺してまで念入りに殺してから立ち去ったのは、中国大陸での日本兵とやり口がおなじで、つまりは、どこかに訴えでられて証言されると面倒なことになるからです。
-- 中略 --
アメリカを長い不景気から救いだした真珠湾攻撃に始まった対日戦争は、アメリカ人にとって未だに語り継がれる「The Good War」で、その後のベトナム戦争や湾岸戦争で良心が割れて砕けそうになるたびに、自分たちの歴史にも完全に邪悪な相手を打ち倒すために戦った歴史があるのだ、という戦争を正当化するときの良心の源泉になっている。
一方では、降伏を肯んじない狂気の軍隊を相手にして、女であるとみれば強姦して、中国人、韓国人、オランダ人、あるいは赤十字の看護婦として各所にいたオーストラリア人イギリス人やアメリカ人まで見境無しに集団強姦を繰り返して、そのうえ、捕虜に対して残虐な虐待を繰り返した日本兵への記憶は、戦争の色彩を、欧州戦線とは異なる薄汚いものに変えて、太平洋戦争を題材にとるのは長い間、商業上のタブーで、「思い出したくない戦争」として人々の歴史的な記憶の底で澱んでいる。 (引用終り)
上の「青字」で書かれた部分は、日本軍の香港上陸作戦時の話である。これは噂として当時からあったが、何しろ強姦した後、全員を浜辺に並べ沖に向かって歩かせ背後から機関銃で全員銃殺したわけだから証拠がない。証言者もいなかったが、日本兵捕虜の証言から事件は起きたと確定されていた。この事件はJames F.氏によると、イギリスでは小中学校で必ず習う有名な事件なのだという。ところが、当の日本人はだれ一人として知っていない、と驚きを隠さない。
帝国軍贔屓の方のならには「でっち上げだ」、「ねつ造だ」という人もいるかもしれないが、ひょんなことからこれを証明する資料が出てきた。一つは、大戦の資料を集めている研究者が、この時の白衣に残る銃弾の跡から、銃殺された当時白衣の前が開いていたことを証明したのである。もう一つは現地で有名な女性プロデューサーの遺品の中に、オーストラリアで最も権威ある勲章を授かったこの事件の唯一の生き残りの看護婦からの告白文が見つかったのである。看護婦の死後、この告白を発表しようかどうか迷ったが、「その州ではレイプは死刑」という厳しい見方であったので、彼女の名誉のために発表を控えていたということも分かった。
私個人の経験としても、以前書いたように『財閥系の忘年会』のせきで、酒が入って隣り同士談笑している際に、「中国帰り」の方から「パパさん、分隊ごとに分かれて女学校を襲ったのだが、あれはなかなか良かったバイ。」などという自慢話を聞いたことがある。まあ、どう繕っても、あの戦争は「肯定する」ことなどできない代物である。
そのVJデイに各国で報道された記事を追ってみよう。日本国内で聞かされる話とは全く別世界が広がる。国内では「謝罪も賠償も散々したのだから、もう謝罪はしない。」という安倍首相の発言にやんやの喝さいが送られた。当然、「韓国」と「中国」を除いてね世界の国々は日本を理解していると思っている。しかし、国内ではこういう記事を全く報道しない。大方の方がびっくりするだろう。
引用記事は イギリス公共放送BBC、アメリカのテレビabc、、イギリスの新聞 ザ ガーディアンである。いずれも長い記事なのでリンクしてあるので、元記事をご覧ください。
VJ Day: Japan marks 75 years since end of WWII
VJデー: 第二次世界大戦終結から75年を迎えた日本
15 August 2020 BBC ← リンク
Japan's Emperor Naruhito has expressed "deep remorse" over his country's actions during World War Two, on the 75th anniversary of its surrender."I earnestly hope that the ravages of war will never again be repeated," he said at a ceremony on Saturday.Meanwhile, Prime Minister Shinzo Abe promised to "never repeat the tragedy".
日本の成仁天皇は、降伏75周年を迎えた第二次世界大戦中の自国の行動について、深い反省を表明した。「戦争の荒廃が二度と繰り返されることを真剣に願っています」と、彼は土曜日の式典で言いました。一方、安倍晋三首相は「悲劇を繰り返すことはありません」と約束しました。
But four senior members of Prime Minister Shinzo Abe's cabinet did go to Yasukuni this morning, and Mr Abe himself sent a ritual offering.That will reinforce the view in Beijing and Seoul that 75 years after the war ended, Japan's ruling elite is still less than sincere in its remorse for this country's wartime aggression.
しかし、安倍晋三内閣の4人の幹部は今朝靖国に行き、安倍氏自身が儀式の供物を送った。それは、戦争が終ってから75年が経った北京とソウルの批判を強めるだろうが、日本の支配エリートは、この国の戦時中の侵略に対する反省にはまだ誠実ではない。
Japan marks 75th anniversary of war end with no Abe apology
安倍首相の謝罪なしで終戦75周年を迎える日本
August 15, 2020 abc ← リンク
Japan is marking the 75th anniversary of its surrender in World War II, with Emperor Naruhito expressing “deep remorse” over his country’s wartime hostilities
日本は第二次世界大戦で降伏75周年を迎え、成仁天皇は戦時中の敵対行為に「深い反省」を表明
Abe, in a largely domestic-focused speech, said the peace that Japan enjoys today is built on the sacrifices of those who died in the war. He pledged that Japan will reflect on lessons from history and will not repeat the war devastation. He listed damage inflicted on Japan and its people, including the U.S. atomic bombings of Hiroshima and Nagasaki, massive firebombings of Tokyo and the fierce battle of Okinawa.
安倍首相は、主に国内に焦点を当てた演説の中で、日本が今日享受している平和は、戦争で亡くなった人々の犠牲の上に成り立っている、と語った。彼は、日本は歴史からの教訓を振り返り、戦争の惨状を繰り返さないと誓った。米国の広島・長崎原爆、東京の大規模な爆撃、沖縄の激しい戦いなど、日本とその国民に与えた被害を挙げた。
Abe pledged to play a greater role in tackling global problems. Under his goal of turning Japan into a “beautiful” and “normal” nation, Abe has steadily pushed to cleanse Japan of its embarrassing wartime history and build up its military by stretching the interpretation of Japan's war-renouncing constitution. It includes acquiring greater missile defense capability in the face of a growing military threat from North Korea and China.
安倍は、世界的な問題に取り組む上でより大きな役割を果たすことを約束した。安倍首相は、日本を「美しい」「普通の」国家に変えるという目標の下、日本の戦争放棄憲法の解釈を広げて、日本の恥ずかしい戦時中の歴史を浄化し、軍事力を増強することを着実に推し進めてきた。北朝鮮と中国からの軍事的脅威の増大に直面して、より大きなミサイル防衛能力を獲得することが含まれる。
Four members of his Cabinet did visit the shrine, the first ministerial visit in four years. Among them was Environment Minister Shinjiro Koizumi, the son of former Prime Minister Junichiro Koizumi who repeatedly visited the shrine on different occasions, including his last visit as serving prime minister on Aug. 15, 2006, that sparked criticism from China and South Korea.“We decide how we want to pay respects to the war dead. This should not be a diplomatic problem,” Internal Affairs Minister Sanae Takaichi, an ultra-conservative who shares Abe's historical views, told reporters after praying at the shrine.
内閣の4人が4年ぶりの閣僚訪問である神社を訪れた。その中には、2006年8月15日の首相就任を含め、異なる機会に神社を繰り返し訪れた小泉純一郎の息子である小泉進次郎環境大臣も含まれ、中国や韓国からの批判を巻き起こした。「戦没者に敬意を払う方法は日本が決定します。これは外交上の問題であってはならない」と、安倍首相の歴史的見解を共有する超保守派の高市佐苗総務大臣は、神社で祈った後、記者団に語った。
Repeated Yasukuni visits by Japanese government officials “indicates that on the issue of history, Japan has not completely abandoned militarism,” said Wang Shaopu, a Japanese studies professor at Jiao Tong University and honorary president of the Japan Society of Shanghai.“Japan’s invasion of China has brought huge disaster to the Chinese people. Under these circumstances, if Japan doesn't face up to historical issues, how could we be sure that japan will follow the path of peace in the future?”
日本政府当局者の靖国訪問を繰り返すことについて、「歴史問題に関して、日本は軍国主義を完全に放棄していないことを示している。日本の中国侵攻は、中国国民に大きな災害をもたらした。このような状況の中で、日本が歴史的問題に直面しなければ、日本が将来の平和の道を歩むのはどうしたらいいのか。」と、Jiao Tong大学の日本研究教授で、上海日本学会名誉会長の王少浦氏は述べた。
'Deep remorse': Japanese emperor marks 75th anniversary of surrender
深い反省:天皇陛下、降伏75周年を迎える
Sat 15 Aug 2020 The Guardian ← リンク
Japan has marked the 75th anniversary of its surrender in the second world war with Emperor Naruhito expressing “deep remorse” over his country’s wartime actions at a sombre annual ceremony curtailed by the coronavirus pandemic.
日本は第二次世界大戦で降伏75周年を迎え、成仁天皇はコロナウイルスの大流行によって縮小された年次式典で、自国の戦時中の行動に「深い反省」を表明しました。
Naruhito pledged to reflect on the war’s events and expressed hope that the tragedy would never be repeated. There was no word of apology from the prime minister, Shinzo Abe, who gave thanks for the sacrifices of the Japanese war dead.
成仁は戦争の出来事を振り返ることを誓い、悲劇が二度と繰り返されないことを望むと表明した。日本の戦死者の犠牲に感謝した安倍晋三首相からの謝罪の言葉はなかった。
Abe has increasingly sought to whitewash Japan’s brutal past since taking office in December 2012. He has not acknowledged Japan’s wartime hostilities during 15 August speeches, which had previously been a nearly 20-year tradition that began with the 1995 apology of the Socialist party prime minister Tomiichi Murayama.
安倍は2012年12月の就任以来、日本の残忍な過去を白塗りしようとますます模索してきた。彼は、1995年の社会党の村山富一首相の謝罪から始まった20年近くの伝統であった8月15日の演説の間、日本の戦時中の敵対を認めていない。
Abe said the peace that Japan enjoys today was built on the sacrifices of those who died in the war. He pledged that Japan would reflect on lessons from history and will not repeat the war devastation. He listed damage inflicted on Japan and its people, including the US atomic bombings of Hiroshima and Nagasaki, firebombings of Tokyo and the fierce battle of Okinawa.
安倍首相は、日本が今日享受している平和は、戦争で亡くなった人々の犠牲の上に成り立っていると語った。彼は、日本は歴史からの教訓を振り返り、戦争の惨状を繰り返さないと誓った。米国の広島・長崎原爆、東京の爆撃、沖縄の激しい戦いなど、日本とその国民に与えた被害を挙げた。
The South Korean president, Moon Jae-in, offered talks with Japan to resolve their feud over wartime grievances as his country celebrated the 75th anniversary of its liberation from Japanese colonial rule. In a nationally televised speech, Moon said his government had left the door of consultations wide open for Japan to settle a long legal and diplomatic dispute over compensation for Koreans who had been subjected to forced labour.
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、日本の植民地支配からの解放75周年を祝う中、戦時中の不満をめぐる確執を解決するために日本と会談を行った。文大統領は全国的に放映された演説の中で、政府は、強制労働を受けた韓国人に対する補償をめぐる長い法的、外交的紛争を解決するために、日本のために協議の扉を大きく開いたままにしたと語った。
Relations between South Korea and Japan sank to their lowest point in decades in 2019 as they allowed their disagreements over wartime history to spill over into issues related to trade and military cooperation.
Moon avoided direct criticism of the conservative government of Abe, which has insisted that all compensation issues were settled when the two countries normalised relations under a 1965 treaty. That stance was rebutted by South Korea’s supreme court in 2018 when it ruled the deal did not cover individual rights to seek reparations and called on Japanese companies to compensate ageing Korean plaintiffs.
韓国と日本の関係は、戦時中の歴史をめぐる意見の相違が貿易と軍事協力に関する問題に波及したため、2019年に過去数十年で最も低い地点に沈んだ。
文大統領は、1965年の条約に基づき両国が関係を正常化した際にすべての補償問題が解決されたと主張してきた安倍政権に対する直接的な批判を避けた。この姿勢は、2018年に韓国の最高裁判所によって反論され、この取引は賠償を求める個人の権利をカバーしていないと判断し、日本企業に高齢の韓国原告を補償するよう求めた。 (引用終り)
アメリカのトランプ大統領よろしく、日本の安倍政権も全く国際社会から理解されていない。誠実な謝罪がなされていない、と評価されている。日本は昔の「悪行」をなかったことにしようと思っている。をよく話題になる韓国についても、国内で聞かされるように「国際法を守らない韓国は、どこからも相手にされていない」などという評価はない。テレビで大きな顔で解説しているあの人々は、こんな記事を国民が知った時、どう言いつくろうのだろうか。