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2008.06.30(Mon)

成功の鍵は「迂回生産」にあり 

  「迂回生産」という言葉があります。

  ある仕事に着手するとき、いきなりその仕事に取りかかるのではなく、効率を上げるための準備作業を行うことをいいます(と思ってます)。
  たとえば、川で魚を捕りたい場合、いきなり手づかみでやるより、網を作っておいた方がいい、という感じです。手づかみで魚を取り始めると、すぐに何匹かの魚が手に入りますが、最終的には網で巣くう方がより多くの魚を捕まえることができます。

  人間は悲しいもので、目先の利益に飛びつきがちです。それゆえ、往々にしてこの迂回生産を「無駄な時間」と認識することがあるのです。

  だが、それこそ間違いです。迂回生産が無駄な作業に見えるのは、目的のために最も合理的な迂回生産をしていないからです。
  川の例で言うと、魚を捕るといっても、大型漁船など必要ないし、浅い川ならそもそも小舟すら不要でしょう。そう考えると、迂回生産の中身は、目的と、それを追求する領域との関係から決まるということになりそうです。

  こういうことをえらそうに吹聴していると、「おまえはどうなんだ」と言われてしまいそうなので、私が日常生活でどのような迂回生産を行っているか紹介します。

  私の仕事(塾講師)というのは終業時間が普通の仕事より遅いので、帰宅して少しのんびりしているととんでもない時間に寝る羽目になってしまいます。
  それでも生きては行けるのですが、別の仕事に変わった時そういうクセがついているのはまずいだろう、ということで、なるべく早く、一定の時間に起きるようにしたいと思いました。
  初めは、帰宅したらとにかく一休みせず、素早く行動して「○時に寝よう」という目標を立ててやっていました。しかし、全く効果がありませんでした。少しくらいいいだろうと思い、結局延び延びになってしまうのです。
  原因を考えてみると、どうも物事を進める順番がはっきりしていないので、次に何をしようか考えてしまっていることに気づきました。何時に寝ようと決めていても、そこまでの通過点をきちんと意識していないので、どんどん後ろにずれてしまうのです。
  同じように、起きてから出勤するまでの時間も非常に無駄が多くなっていました。他人に「時間を効率よく使え」と言いながら、これではいけません。
  そこで、とにかく帰宅したら「寝るまで」「翌朝起きてから家を出るまで」を紙に書き出して、それぞれ何時何分までにクリアするか、時刻も横に付記しておくことにしました。
  こうなると、一番重要なのはゴールの地点(たとえば就寝時間、行きの電車の出発時刻)を先に決めてしまうことです。そこが決まれば、逆算して何を何時何分までに済ませなくてはいけないかが決まってきます。
  そうした上で、やらなくてはいけないことを配置していくのです。洗濯をやらなければ行けない場合は、それを入れた上で何時に起きるかまで決定しなくてはありません。
  こういう作業は非常に手間がかかり、10分や15分かかってしまうこともしばしばです。与えられた時間が少ない場合、とにかく動く方が先だと思ってしまい、その10分や15分がムダに感じられることもあるかもしれません。
  しかし、その行動計画みたいなものを決定していた方がトータルで早く終わるのです。どうしてだろうと思いましたが、一番大きいのは、頭をいちいち使わずに済むからです。流れや通過点を決めておかないと、どうしても「次はどうすればいいか」という判断に気を取られてしまい、その分だけ時間や頭のスタミナみたいなものを浪費してしまうわけです。

  そう考えると、迂回生産の最大のメリットは、実際に仕事に取り組んだときに、その場でしか出来ないこと(臨機応変な判断や、実際にする手作業)に集中できることなのではないかと思います。
  だから、準備を出来る限り整えておくというのは、間違いなくプラスになるのです。これは、その場その場の判断がものをいう分野(たとえばサッカーのようなスポーツ)でもそうです。目的(ゴールすること、失点を抑えること)から逆算して、最も合理的な準備(戦術やそれを実行する体力・技術の養成)を行うことのメリットに、例外はありません。
  これを邪魔しているのは、「やれば何とかなるだろう」という甘い考えです。たしかに何とかなることはなるのですが、目標を達成するために思わぬ犠牲を払ってしまう羽目になりかねません。
  そうなると、私が考える迂回生産の鉄則は、

(1)目的を強烈に意識すること
(2)その目的から常識的に逆算をすること
(3)徹底的に、しかも実行可能な準備をしておくこと


  一番大切なのは(1)です。何かをやろうと思うからこそ、人間は行動ができるのですから、考えてみれば当たり前です。
  別に、だいそれたことでなくてもいいのです。私みたいに、なるべく早く家を出るとか、そんなことでもいいからまず意識して、それに向けた努力をすることです。そこで得た経験や教訓をもっと大きな目的のために生かすことができればいいのです。
  (2)は意外とみんなが出来ていないことです。入試の問題で、「問1」から解き始めてしまうクセが付いている人は要注意です。「順に解いていけばなんとかなるだろう」と思っているから、時間が足りなくなってしまうのです。ゴールから逆算していけば、そういうことは避けられます。
  (3)の「実行可能」というところは大切です。分刻みのスケジュールとか立ててしまう人は、そんなことをできるのでしょうか。せいぜい5分刻みでしょう。明らかに常識から外れた時間配分・資源配分は、何も考えていないよりもっとたちが悪いです。「これをやるには、このくらい時間がかかるだろうか?」という問題は、よく考えてみなければいけません。そのために使う時間は、迂回生産の一部であり、全くムダにはなりません。
  
  日常生活にしろ、ビッグプロジェクトにしろ、国家戦略にしろ、はたまた一人の人間の人生にしろ、中身を充実させるには迂回生産を成功させることが大切です。
  他人から言われた仕事や、あっという間に過ぎ去ってしまう時間といった外的要因に流されるままに生きてしまうのは、どうももったいないような気がします。

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2008.06.26(Thu)

【テロ国家指定解除】いまさらこの程度のことで驚いてはいけない 

  このブログでしつこいほど繰り返してきた流れが、ついに現実のものになりました。

北朝鮮:核申告期限を通知 米「テロ」解除は26日
http://mainichi.jp/select/world/america/news/20080624k0000e030062000c.html
--------以下引用--------
北朝鮮の核計画申告が26日に行われる公算が大きくなったことについて、ペリーノ米大統領報道官は23日の記者会見で、「(北朝鮮から)26日までに申告するよう努めるとの通知があった。北朝鮮が自ら設定した期限だ」と述べ、北朝鮮が申告の時期を米側に伝えていたことを明らかにした。

 報道官はそのうえで、「我々には行動には行動で応じるとの合意がある」と指摘し、26日に申告が行われれば、同日中にテロ支援国家指定解除に着手し、対敵国通商法の適用除外を実施するとの米政府の方針を改めて示した。

 一方、ライス米国務長官は23日、ドイツに向かう機中で記者団に、「日本はアジアで最も強力な同盟国の一つであり、日本人拉致問題がセンシティブな問題であることを理解している」と指摘。テロ支援国家指定を解除しても「この問題を置き去りにしたり、忘れることはない。我々は今後も北朝鮮に対応を強く求め続けていく」と語った。

 6カ国協議筋によると、北朝鮮側は26日に6カ国協議議長国・中国に申告書を提出し、米国のテロ支援国家指定解除の議会通告を見届けて、27日に寧辺(ニョンビョン)の黒鉛減速炉に付属する冷却塔の爆破解体を行うとのスケジュールを米側などに伝え、米国もこれに同意しているという。
--------引用以上--------

  北朝鮮は「テロ支援国家ではない」ということを、アメリカが認めました。

  このブログをご覧になっている方であれば、「ああ、やっぱり来たか」と思うことでしょう。東アジアの国際問題の根本は、「中国と朝鮮の冷戦」だということを、何度も書いてきたからです。

  まあ、えらそうに言っている私も、最近ようやく一本の線でつなげることができた事柄ですので、再度おさらいしておきましょう。

  米ソの冷戦の時代、北朝鮮というのは興味深い地位にありました。韓国(アメリカ軍が駐留)、中国、ソ連のちょうど中間にいて、どの勢力とも絶妙の距離を保っていたのです。
  朝鮮、中国、ソ連というのは、ともにランドパワー(意味は●こちらを参照)です。ランドパワーにとっては、国境線を接する隣接ランドパワーは最大の敵です。放っておくと国内の反乱分子とくっついて領土を侵すからです。たとえその国が自分より小さな相手であろうと、抹殺してしまわなければ気が済まないのです。
  そうなると、朝鮮(あえて南北を分けずに論じている)は常に中国による侵略に怯えなければならないことになります。朝鮮一国では人口10億を超える中国とは到底渡り合っていけないからです。
  そこで、朝鮮が選んだのが、日本から資金援助を受けつつ、ソ連を引きずり込んで中国と三すくみ状態を作り出すことでした。
  この辺は別の機会に詳述したいのですが、金日成は日本の大陸派遣軍である「関東軍」と少なからぬ縁のある人物だったようです。関東軍といえば「満州国」です。戦後の日本には満州国で活躍した人びとが社会の各所に生き残っていました。岸信介や椎名悦三郎を初めとした革新官僚、児玉誉士夫や笹川良一のような右翼運動家、さらには広告代理店「電通」を育てた里見甫などがそうです。それらの人間が、アメリカの黙認の上で、北朝鮮を有形無形の形で援助していたわけです。(●こちらの「るいネット」のリンクが非常に面白い)よく言われるパチンコ資本の送金などが一つの例です。
  ●北朝鮮の地図を見てみると、中国との長大な国境線以外に、ほんの少しだけロシアと国境を接しているのが分かります。そこから鉄道が北朝鮮領内に引き込まれています。これが、北朝鮮の命綱だったのです。ソ連の衛星国になるふりをして、中国を牽制していたというわけです。
  こんなことは、有象無情の情報を取り除いて、地政学で考えれば理解可能なことだったはずです。しかし、「冷戦」という分かりやすい前提知識や、「朝鮮人」というものに対して抱いている日本人の特殊な感情が邪魔をして、みんな勘違いをしてしまっていたのです。
  この三すくみ状態は、1991年のソ連崩壊でなくなってしまいました。1994年に北朝鮮が(おそらくはアメリカの承認のもとで)NPTを脱退し、核開発を再開したのは、中国との直接対決を戦うための決死の賭けだったのです。わざわざNPTを脱退したのは、中国がすぐに朝鮮に攻撃をしかけないように、国際社会の眼を引きつけるためだったのではないかと推測しています。
  この北朝鮮の動きに対抗する形で出てきたのが「東北工程」です。これは、中国による北東アジアの歴史見直し作業です。1996年に始まって、最近だいたいのメドがつきました。それによると、「高麗と渤海は中国の王朝」であり「箕氏朝鮮や高麗は中国人が朝鮮半島に作った王朝」だということです(最新の発表は●こちらのリンクを参照)
  こんなことを中国が世界のマスコミに向けて発信する意味は何かと考えると、朝鮮半島を併合する口実に他ならないわけです。
  それに加えて、●旧ブログの方で指摘したように、中国は白頭山(北朝鮮にとって建国の聖地)の原生林をぶっ壊して空港を作ったり(明らかな挑発)、朝鮮半島に伸びる高速道路を3本も建設したりしているのです。何かあったら、「お騒がせ独裁国家をやっつけます」という建前で中国が北朝鮮に直接侵略するためです。
  そういう流れの中で、2006年の北朝鮮による核実験が出てきたのであり、アメリカの忠実な部下である小泉純一郎が日朝国交回復をせかしているわけです。このような理解無くして、拉致問題だけを語っても無意味です。

  しかしまあ、アメリカは親切な国です。日米同盟を親子の絆か何かのように勘違いしている日本人の一部の人びとのために、ちゃんと精神安定剤を与えてくれています。

日米首脳電話会談:拉致問題で緊密協力を確認
http://mainichi.jp/select/world/america/news/20080626k0000m010135000c.html
--------以下引用--------
 福田康夫首相は25日夜、ブッシュ米大統領と電話で約20分間会談し、米国が26日にも北朝鮮のテロ支援国家指定解除の手続きに入ることを前提に、拉致問題に関して日米両国が緊密に協力していくことを確認した。

 大統領は「私は拉致問題を決して忘れない。日本の懸念は十分理解しており、引き続き緊密に協力していきたい」と述べ、指定解除の手続きに入った後も、拉致問題の進展を支援する考えを伝えた。これに対し、首相は「北朝鮮の核放棄に向け6カ国協議のプロセスを前進させることが重要だ。拉致問題を含む諸懸案の解決に向け、引き続き米国の協力をお願いしたい」と要請した。

 今回の電話は、米国が指定解除手続きを開始するのを前に、大統領が首相にかけたもの。指定解除が拉致問題の「置き去り」に直結し、日米関係に悪影響を与えるという懸念が日本側にあることに対して配慮したとみられる。
--------引用以上--------

  こういう記事が出るとすぐ、「福田が悪い」とか「中川秀直や山崎拓のせいだ」などと言う馬鹿が出てくるようですが、完全な間違いです。福田は日本が置かれている今の状況で、精一杯の返事をしているのです。
  そもそも、福田にしろ、拉致問題で騒ぎを起こした小泉や安倍にしろ、岸信介や福田赳夫の流れを汲む自民党清和会(町村派=旧福田派)の人間です。この派閥が北朝鮮とつながっているのは、●こちらのリンクと、●こちらのリンク、さらには●こちらのリンクを合わせて読めばだいたい推測が付きます。
  そうだとすれば、小泉以降の政権は、拉致問題を解決すると言うより、

▲北朝鮮の脅威を煽ることで、在日米軍に対する依存を深める
▲敵をたたいているように見せることで、政権の正当性を裏付ける
▲もっと言えば、苦しくなると北朝鮮とグルになって騒ぎを起こし、国民の目をそらす


  ために、拉致被害者を利用してきたと言っても過言ではありません。

  彼らの最終的な目標は、日朝国交回復による北朝鮮への援助です。これによって、アメリカの狙っている「北朝鮮を中国の監視役にする」という戦略は、とりあえず完成します。もちろん、それによって日本が被害を被るとか、拉致被害者が帰ってこないということはアメリカには関係ありません。
  そして、そうなった後もアメリカ・清和会・北朝鮮による詐欺は終わることはありません。国交が回復したらしたで、歴史認識を巡って騒ぎを起こしたり、ある日突然北朝鮮の潜水艦が日本海沿岸に出没したり、拉致問題を巡って八百長の対立を見せつけたり、そういうことが続くでしょう。そして、そのたび経済問題がうやむやになったり、日本人の税金が北朝鮮に流れていったりするわけです。
  ニュースに踊る「北朝鮮」「拉致」というキャプションにいちいち腹を立てたり、焦りを感じたりしている時点で、もうこの詐欺に騙されているといっても過言ではありません。北朝鮮を巡って右と左に分かれて罵り合いなどしている場合ではないのです。

  まず、清和会が政権から離れれば、この動きはとりあえず停滞します。アメリカに依存することで自分たちの勢力を確保している連中を、内閣から追い払わなければなりません。
  その上で、日朝国交回復に積極的な民主党内の勢力(社会党出身者や菅直人のグループ)を牽制するために、平沼赳夫氏が作るといわれている新党や、国民新党のような、拉致問題を風化させない政治勢力を伸ばしておくしかありません。
  当たり前ですが、拉致問題が解決しないままでの日朝国交正常化を、絶対に認めてはいけません。そういう世論を作ろうとマスコミが変な報道をしても、疑ってかかることが必要です。

  くれぐれも、「日本はやっぱりダメだ」という結論に落ち着いたりしないように・・・。

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2008.06.25(Wed)

食料価格が暴騰している!! 

ラーメンが贅沢品になる日?

  以前も書きましたが、私は「ラーメン」という食べ物が好きです。

  この、今でこそ国民食といわれるほどの地位を占めているラーメンというのは、奇妙な存在です。生まれは中国ですが、戦後の日本で全く系統の違う食べものとして成長し、それが世界中で受け入れられています(たとえば●こんな例)。
  それ以上に奇妙なのは、この「日本食」ラーメンの中核をなす「中華めん」の原料のほとんどが外国産だということです。
  最近は、国産の小麦を使う店も増えてきましたが、それでも圧倒的に多いのがアメリカ産やカナダ産です(うどんはオーストラリアが多いらしい)。理由は簡単で、国産よりもたくさん出回っていて、安いからです。
  以前であれば、アメリカ産はポストハーベスト農薬(収穫後保存のために使う殺虫剤等をいい、毒性が非常に強い)が多いだのなんだの言っていればよかったのですが、近頃はそれどころではなくなってきました。小麦がどんどん値上がりしているからです。近頃、こういうニュースがよく飛び込んでくるので、みなさんも実感していることでしょう。

小麦、10月から20%超値上げ パン・めん価格影響か
http://www.asahi.com/business/update/0617/TKY200806160329.html
--------以下引用--------
政府が製粉会社に売り渡す際の輸入小麦の価格が10月から20%超値上げされることが16日、確実となった。国際的な小麦価格の高騰が続いていることが要因。昨年4月から半年ごとに価格を改定する制度になり同4月に1.3%、同10月に10%、今年4月に30%値上げされた。10月の値上げで4期連続になる。パンやめんなどの新たな値上げにつながりそうだ。

(中略)

10月の改定は、昨年12月~今年7月の8カ月間の政府の購入(落札)価格が機械的に反映される。16日公表の5月の輸入小麦の購入価格を取り入れてこの6カ月間の購入価格を計算すると、1トンあたり約7万円(主要5銘柄)になる。これに、農家への補助金と港湾経費1万8875円を足すと約8万9千円になる。4月の改定価格6万9120円より28%上回っている。

 小麦の国際価格は春にやや低下したものの6月は再び上昇している。世界的に需給がひっぱくしていることから7月に暴落することは考えられず値上げは避けられない状況。「現状の価格だと20%台半ば程度の値上げになるのでは」(農水省幹部)という。
--------引用以上--------

  このような値上がりにはいくつかの背景があります。

(1)中国・インドなどの食糧需要の増加

  近頃はどちらの国も小麦の輸入国に転落しました。ただし、これは今に始まった傾向ではないので、ここ最近の価格上昇の主要な要因とは言えません。

(2)オーストラリアなどでの小麦の不作

  日本のマスコミがあまり触れない●こちらの「晴耕雨読」様の記事をご覧頂くとよく分かります。
  最も大きな原因は、水循環の破壊です。オーストラリアは化石帯水層(何千年もかけて形成された地下水の層)を灌漑用水として大量に使用してきました。石油を汲み上げてアホみたいに使いまくるのと同じで、いずれは枯渇してしまいます。それでも、経済効率がいいからと使いまくった結果、各地で川が枯れてしまったのです。
  政府もこれではいけないと、いまさら●こういう取り組み(注:PDFです)をしているようですが、もう遅いでしょう。「帯水層の貯蔵・再生計画が必要になります」などともっともらしいことを書いていますが、何百年、何千年もかけて形成された地球の恵みを、たかだか4年おきの選挙しか頭にない政府が税金で解決できるわけがありません。
  そうなると、今後、オーストラリアは文字通り「木も草も生えない」大陸になる可能性が高いのです。こんな国に食糧を依存するのは考え物です。
  もちろん、オーストラリアよりも「水浪費先進国」であるアメリカにも同様の問題があります。●オガララ帯水層の枯渇がそれです。アメリカは世界の小麦の8%を生産しており、日本にとって最大の輸入相手国ですから、ここが大干ばつに襲われたら、一体どんな事態が起こるか・・・。

(3)バイオ燃料の「需要」増加

  このブログでも何回か取り上げている(●こちらの記事●こちらの記事を参照)話題です。
  バイオ燃料とは、化石燃料ではない、生物由来の燃料をいい、その多くはエチルアルコール(エタノール)の形を取っています。理科室で実験に使ったランプの中のあれがエチルアルコールです。
  近年温暖化がどうのこうのということで、大気中の二酸化炭素を増やさないバイオ燃料が注目されてきました。植物は光合成によって空気中の二酸化炭素から自分の身体(有機物=炭素化合物)を作り出すので、その植物から出来た燃料を燃やしても大気中の二酸化炭素の総量は変わらないというのが主なセールスポイントです(いわゆる「カーボン・フリー性」)。
  本来、こういう燃料は石油よりもコストが高いということで敬遠されてきたのですが、イラク戦争以降の石油の高騰によってだんだん採算が取れそうになってきました。2005年くらいから、世界各地にどんどんエタノール蒸留所が出来ているようです。
  しかし、問題なのは、これが小麦生産国で大規模な転作を招いているということです。たとえば、アメリカでは小麦畑がトウモロコシ畑の変わるという事例が多いです。これによって小麦の供給量は減少し、価格が高騰するわけです。
  
(4)上記の要因を考慮した、商品市場への投機マネーの流入

  発端は、石油価格の高騰です。今後石油が上がるのではないか、という材料が出始めたところに、サブプライム・ローンの破綻が襲ってきました。そこで、アメリカの証券市場に滞留していたカネの一部が、石油のインデックス取引(市場が上昇傾向の時に、その市場に関連する全銘柄を買い付ける投資)に流れ込んだのです。
  私はしばらく車には乗っていなかったのですが、この前広島に行ったら、ガソリンが1リッター169円だったのにビックリしました。そして、この異常な高値は需要と供給の関係で決まっているものではありません。証拠はこちらです。

商品インデックスファンドめぐり議会報告、相場高騰で=米CFTC委員長
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-32391720080623
--------以下引用--------
 米商品先物取引委員会(CFTC)のルッケン委員長は23日、商品インデックスファンドがエネルギー価格上昇に果たした役割について、9月半ばまでに議会に報告書を提出することを明らかにした。

 同委員長は下院監督・調査委員会に対し、インデックス取引の影響を一段と理解するため、CFTCがスワップ担当のディーラーにインデックス取引に関する情報の提供を要請したと述べた。9月15日までに議会に報告書を提出するとし、内容は先物市場の商品インデックス取引のほか、必要に応じて、慣行や規制の改善に向けた提言も含まれるとした。

 監督・調査委員会は23日の公聴会で、CFTCのデータから、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油先物取引の大部分が投機筋によるものであることが明らかになったと指摘。

 ルッケン委員長は、米国の先物市場で原油を含む商品価格が、操作的な行為ではなく受給要因で決まるよう取り組む姿勢を示した。
--------引用以上--------

>ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油先物取引の大部分が
>投機筋によるものであることが明らかになった

  大正時代の●米騒動の原因になった「買い占め」によって値段が高騰しているということです。  

  そして、石油の価格が上昇すると、小麦のコストにも跳ね返ってきます。農作物の生産は石油によって支えられているからです。たとえば、化学肥料の材料は石油であり、耕耘機やトラクターは石油で動いています。輸出する時、港まで石油で動くトラックが小麦を運び、それを石油で動く船が各国へ送り届けています。
  これら全ての過程でのコストが上昇するので、必然的に小麦は高くなるわけです。
  そうすると、今度はその小麦の値上がりを狙って投機マネーが動くのです。ニューヨークの商品取引所では今年になってから何回も小麦がストップ高(これ以上取引させると暴騰を招くので、取引自体を中止させること)になりました。
  今でこそ各企業の努力で価格高騰を抑えていますが、どこかの会社が値上げ分をカバーできずに倒産でもすれば、その雰囲気が伝染して、小麦の価格がさらに高騰するおそれがあります。それ以前に、小麦を扱う企業が極端なリストラを行うことによって、経済に悪影響が出てきます。
  かといって、値上げして消費者に転嫁しようとしても、10年連続で平均給与所得が下がっている現状では、他の消費に悪影響が及ぶのは必至です。

  どうやら、「ラーメン1杯1000円」という時代が来てもおかしくないところまで来ているようです。

  ・・・とまあ、こういうことを書く人がボツボツ出始めた時点で、一連の物価暴騰をしかけた連中(要するに、●こいつら)の思うつぼになりそうなので、取り消します(笑)。

カネが命を食い荒らしている

  そもそも、上のような現象にはある共通した前提があります。それは「儲かるからやる」ということです。
  とても食べきれない量のトウモロコシをなぜ作るのかというと、エタノールという形でいくらでも需要があるからです。エタノールにしてもいいと思うのは、石油の代わりとしてよく売れるからです。小麦を先物取引で買う(実際には予約する)のは、これから先値上がりして利ざやを稼げそうだからです。これらは全て、経済的動機です。
  以前の国際経済であれば、株式、すなわち会社の所有権という目に見えないものがもっぱら投機の対象だったので、我々庶民に実害が及ぶことはほとんどありませんでした。あるとしたら、投機の対象にされた会社が倒産したり乗っ取られたりした場合、従業員が整理の対象になるとか、そんな程度でした。
  しかし、今は全世界で必要とされている「食糧」が投機の対象になってしまっています。当たり前ですが、食糧がなければ人間は生きていけません。日本のように大きな国際収支の黒字がある国はまだ値上がりした食糧を我慢して買えばいいだけですが、そういうことが出来ない国もあります。

ハイチ:首相就任案を下院が不承認
http://mainichi.jp/select/world/news/20080614k0000m030106000c.html
--------以下引用--------
 カリブ海の島国ハイチの下院は12日、プレバル大統領が提案した大統領顧問の首相就任案を不承認とした。食糧価格高騰による暴動発生などの責任を問われ、首相が4月、上院に解任された。5月にも大統領が提案した首相人事案が不承認となっており、首相職は2カ月にわたり空席となっている。
--------引用以上--------

食品・燃料の高騰、アフリカで拡大する社会不安
http://www.afpbb.com/article/economy/2374792/2805530
--------以下引用--------
 食品・燃料価格の高騰からアフリカで暴動が相次ぎ、死傷者も出る事態に各国政府が危機感を強めている。

 カメルーンでは2月、物価高騰が原因の暴動で40人が死亡。コートジボワールとモーリタニアでも同様の暴動で死者が出た。セネガルやブルキナファソでも激しい抗議デモが起きており、ブルキナファソはで8日から物価高騰に抗議する全国ストライキが予定されている。

 エジプト当局は6日、この日予定されていたインフレと低賃金に抗議するゼネストを、厳格な対応を盾に事前に中止に追い込んだ。ゼネストの発端となったマハラ(Mahalla)ではデモ参加者と警官隊が衝突、150人以上が逮捕された。

 各国の経済担当閣僚は前週、エチオピア・アディスアベバ(Addis Ababa)で会合を開き、食料品の国際価格高騰が「アフリカ諸国の成長や平和、安全保障に深刻な脅威となっている」との声明を発表した。

 国連(UN)の専門機関、国際農業開発基金(International Fund for Agricultural Development、IFAD)のKanayo Nwanza副総裁は、各国で社会不安が増大しているとして「暴動が周辺諸国に拡大する可能性」に警鐘を鳴らす。

 最貧国の1つとして知られるシエラレオネではコメ価格が300%も上昇。コートジボワールやセネガル、カメルーンでも約50%上昇した。ほとんどの国が輸入に頼っているパーム油や砂糖、小麦粉などの価格も急騰している。
--------引用以上--------

  こういう国では、小麦の国際価格がちょっと値上がりしただけで、生活が成り立たなくなる人も出てきます。
  このように、人間の生命さえ危険にさらしかねない商品取引を投機家(とそれらに融資する国際金融資本)がやめないのは、値上がりが予想される品物を買うのが一番経済的にみて合理的だからです。今の社会の原則は自由競争ですから、この論理を否定できる確固たる論理はありません。普段、競争だ規制緩和だと言っている論者が、こういうときだけ「ファンドを規制しろ」などと喚いているのを見たことがありますが、ご都合主義にもほどがあります。

  さらには、困窮というのは「副産品」を生むこともあります。たとえば労働力です。貧困に陥れば、より安い賃金でも我慢して働くようになります。究極的には、お金がないから赤ちゃんや娘を売るということも起こります。そういう売られた人は、奴隷として働かされたり(今でも本当にある。●こちらのリンクを参照)、欧米やアラブ、華僑などの金持ちの慰みものにされたりするわけです。
  そればかりでなく、戦争というビジネスチャンスも生みます。貧すれば鈍すると言いますが、生活が困窮すると「国内ではダメだから外国の資源や経済権益を奪おう」という論理が通用しやすくなります。そういう時代は、兵士も安い賃金で買いたたくことが出来ますから、あとはそこに兵器を持たせればいいわけです。ほら、こういうところに軍需品を売りつけている人はどういう人ですか。アフリカ人じゃなくて、欧米の武器商人なんじゃないでしょうか。
  もしその国に購入するための資金がなかったら、戦時国債を発行させればいいのです。あとで高い利子を付けて回収できます。こういう貸付をするのは国際金融資本の仕事です。
  そうやって最悪国際紛争が起こったら、したり顔で先進国に介入させます。そういう国にも軍需品を売ることが出来ます。戦後の利益分配に「経済復興」という名目で加わる。ものすごいマッチポンプです。
  こういう現象は、世界恐慌の後の日本でも見られたことです。農村に失業者があふれ、身売りが相次ぎ、「満蒙は帝国の生命線」というキャッチフレーズに乗せられて戦争に突き進み、米英に敗北した後は莫大な負債を背負わされたのが、我が国の近代末期の歴史です。そういうことが、貧しい国から順々に起ころうとしているのが、まさに今このときだと言っても過言ではありません。

  そうなると、(投機家や国際金融資本を抜かした)誰もが、こういう悲惨な事態を回避できる方法はないのか?と考えたくなるわけです。

  はいはい、このブログをご覧になっている方は、また「地域通貨」の話が始まるんじゃないかと思ったんじゃないでしょうか。残念ながら違います(笑)。
  もちろん、●自然主義経済の話は避けて通れないのですが、それ以上に重要なのは、各地域が相互に依存しない形で自律的に経済運営が出来るパワーを身につけることです。
  それを可能にするためには、まず現在の国際分業・相互依存的な世界経済の仕組みを、内側から破壊しなければなりません。
  そのための鍵は何かというと、私は「タンパク質」だと考えています。人間の身体を作り上げている栄養素です。みなさんは、タンパク質をどういう形でとっていますか?

  次回は、そのタンパク質についての話をします。

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2008.06.23(Mon)

広島で見かけたこんなもの 

  昨日の夜まで広島にいたのですが、当地で面白いものを見ました。以下の画像をご覧ください。

ポスタルローソン1ポスタルローソン2

  どうも「ポスタルローソン」という形で、郵政公社の時代からモデル事業になっているようです。

ローソン、無線LANが利用できる郵便局内店舗「ポスタルローソン」
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/2030.html
--------以下引用--------
ローソンは、郵便局内で24時間利用できるコンビニエンス店舗「ポスタルローソン」をオープンする。第1号店は東京都渋谷区の代々木郵便局内で、8月5日よりオープン予定。無料で無線LANによるインターネット接続サービスも提供される。

 ポスタルローソンは日本郵政公社との業務提携のもと、郵便局内でコンビニエンスストア店舗を設置するサービス。第1号店となる代々木店は8月5日9時よりオープン、封筒や便箋といった郵便関連商品を充実させるほか、CDの視聴サービス、電子図書閲覧サービスなども利用できる。

 無線LANは、メルコが主幹事を務めるFREESPOTが導入され、IEEE 802.11bに準拠した無線LANサービスを無料で利用できる。ポスタルローソン第2号店は青葉台郵便局内で8月26日オープン予定で、こちらもFREESPOTが導入される予定だという。
--------引用以上--------

  つい最近まで東京に住んでいたのに、こんなのがあるなんて知りませんでした。

>無料で無線LANによるインターネット接続サービスも提供される。

  郵便局にノートパソコンを持参し、無線LANを設定することができて、インターネットを利用するほど長い待ち時間がかかるお客・・・一日に2~3人来れば上出来なんじゃないでしょうか。そんなサービスをする必然性を何も感じません。
  ローソンの株主の皆さん、減益の原因になるので、こういうのは株主総会できっちり追及した方がいいんじゃないでしょうか?(笑)

  ところで、「郵便局がコンビニエンスストアもやったりして便利になる」というのは、郵政ミンエーカを至上命題にしていた小泉元首相や、彼のブレーンだった竹中元大臣が、ことあるごとに主張していたことでした。確かに、ドイツやイタリアの郵便局に行くと、お菓子とか飲み物とか文房具が一緒に売っていたりします。
  しかし、実際見てみると、どうもそういうイメージではないようです。第1号である代々木郵便局にしろ、私が見た郵便局(広島東郵便局)にしろ、いわゆる「普通郵便局」であり、比較的規模が大きい局舎を持っていて、その一角にローソンが入り込むという形になっているのです。

  ところで、その広島東郵便局って一体どこにあるんでしょうか?

  実は、これ、JR広島駅の真ん前にある郵便局なのです。言うなれば一等地です。郵便局が閉まっても、局舎に間借りしているローソンにはたくさんの人がいました。そりゃそうでしょう。広島駅前というのは超一等地、東京で言えば、新宿駅東口や東京駅八重洲口のようなものです。
  そこにあった郵便局は、ローソンが出店するということで、仕事場の面積をかなり削られています。つまり、本来の事業である郵便のサービスの低下につながっている可能性があるわけです。もちろん、郵政公社は「余裕のあるスペースを貸し出している」と言っていますが、そんなのは何とでも言えます。
  普通郵便局がある場所は、立地条件はかなりいい場所です。そうなると結局、条件のいい場所に優先的に出店することができるローソンが一番得をしていると言えそうです。
  では、なぜローソンだけがそういうことを許されているのかというと、ローソンが一番素晴らしいコンビニだからでも、郵政事業を邪魔しないように配慮しているからでもありません。はっきり言うと「コネ」です。
  以下のリンクのタイトルを見ただけで、裏がわかります。

ザ・アールの奥谷禮子社長(ローソン取締役)、「過労死は自己管理の問題」
http://blog.goo.ne.jp/keitaro-/e/de76e61c1009bfbab9f2dc791aaa78aa
--------以下引用--------
人材派遣企業、ザ・アールの奥谷禮子社長が「週刊東洋経済」最新号で、
労働者の過労死などをめぐる労働環境について、労働者側に問題があるという見解を示した。

 これは9日発売の「週刊東洋経済」2007年1月13日号に掲載されたもので、
奥谷氏はインタビューの中で、「格差社会と言いますけれど、格差なんて当然出てきます。
仕方がないでしょう、能力には差があるのだから」「下流社会だの何だの、言葉遊びですよ。
そう言って甘やかすのはいかがなものか」と、労働者の収入格差を是認した。

 また、過労死問題について、「だいたい経営者は、過労死するまで働けなんて言いませんからね。
過労死を含めて、これは自己管理だと私は思います。ボクシングの選手と一緒」と
独自の見解を述べた上で、「自分でつらいなら、休みたいと自己主張すればいいのに、
そんなことは言えない、とヘンな自己規制をしてしまって、周囲に促されないと休みも取れない。
揚げ句、会社が悪い、上司が悪いと他人のせい。ハッキリ言って、何でもお上に決めてもらわないと
できないという、今までの風土がおかしい」と、労働者側に問題があるという考えを示した。

 さらに同氏は労働基準監督署が不要であると述べ、「「残業が多すぎる、不当だ」と思えば、
労働者が訴えれば民法で済むことじゃないですか。労使間でパッと解決できるような裁判所を
つくればいい」と私案を披露した。

 同氏は、日本航空退社後82年にザ・アールを設立。女性初の経済同友会会員として注目を集め、
現在同社社長のほか、ローソンや日本郵政の社外取締役を務める。
--------引用以上--------

郵政公社から7億円受注
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-03-18/2007031815_01_0.html
--------以下引用--------
人材派遣会社「ザ・アール」の奥谷禮子社長が郵政民営化後の持ち株会社、「日本郵政株式会社」の社外取締役という公職につきながら、「ザ・アール」が日本郵政公社の仕事をこの四年間で七億円近くも受注しているという関係がわかりました。

 これは、日本共産党の吉井英勝衆院議員の資料要求に対して、日本郵政公社が「ザ・アール」との契約実績を明らかにしたもの。

 それによると、「ザ・アール」は、二〇〇三年四月一日からことしの二月二十三日までの間、日本郵政公社との間で三十五件、約六億八千三百六十万円にのぼる契約をしています。

 主な契約事業は「郵便事業における接遇・マナー向上プログラム実施の委託」(三千八百二十五万円)、「かんぽ営業スペシャリスト養成研修の委託」(千四百八十万円)、「郵便貯金関係職員に対する電話応対スキル向上研修及び郵便貯金地域センターにおける電話応対調査に関する事務委託」(八百十五万円)などです。

(中略)

 日本郵政株式会社の社外取締役は、奥谷氏のほか四人で、奥田碩・トヨタ自動車相談役(日本経団連前会長)、牛尾治朗・ウシオ電機会長(経済同友会元代表幹事)、西岡喬・三菱重工業会長、丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長といずれも財界の大物です。

 奥谷氏は厚生労働相の諮問機関「労働政策審議会」の労働条件分科会委員として、「過労死を含めて、これは自己管理だと私は思います」(『週刊東洋経済』一月十三日号)と発言。その発言が国会でも取り上げられ、大問題になっています。
--------引用以上--------

  共通して出てくる「奥谷禮子」という人物は、経済同友会の会員で、厚生労働省の「労働政策審議会」の委員も務めていました。ちなみに、彼女を委員に選んだときの政権担当者は、小泉純一郎です。  
  奥谷という人物は「ザ・アール」という人材派遣会社を経営しているらしいのですが、この会社は株式非公開企業です。株主構成、財務諸表、売上、経常利益、決算短信、決算内容、第三者割当の増資者などを公開していません。どう考えてもまともな企業とは思えません。
  もう分かりますね。要するに、「ミンエーカ」だとか「カイカク」だとか言われているものは、ホリエモンだとか、この奥谷だとかいうような、得体の知れない「新興企業家」に対して利権を付け替える作業だったということなのです。そして、そのとき、狙われたのが、郵便局のように「無駄のかたまり」である公営企業だったというわけです。

  そもそも公営企業というのは、営利企業がやりたがらない分野を担当するために作られたものであり、赤字運営を余儀なくされる運命なのです。それに黒字経営をしろ、というのは、葬儀屋に向かって「人の命を商売道具にするとは何事だ」と非難するようなものです。
  しかも、郵便局の場合は、郵便貯金や簡保の運用益で郵便の赤字を穴埋めして、全国を一体化したサービスを提供することができていました。それをいちいちバラバラにして、郵貯や簡保の巨額の資金だけは内外の金融資本に運用権を与えてしまったわけです。簡易局を閉鎖したり、集配局を高知県東部で1局だけにしたりしなければ「黒字」になるわけがありません。
  それでも、郵貯の資金が民間の設備投資に用いられるという、ミンエーカ賛成派の主張が本当だったら救いがあるのですが、いまだに設備投資額が急増したという話を聞きません。「民間に郵貯のカネが流れて景気がよくなる!」と力説していた或るブログ管理人にこれを聞いてみたのですが、こんどは財政投融資がなんだのと言い始めて、まともに答えてくれませんでした(笑)。どうせ、それもデマでしょう。

  ●以前の記事でも述べましたが、郵便がミンエーカしても、料金は下がらない(どころか上がっている)、遅配は増える、簡易局は閉鎖される、というのが現状なのです。しかも、さんざん言っていた「郵便局がコンビニみたいになって便利になる」という主張は、ローソンが儲かる場所に出店しただけ。

  こんなことを「殺されてもやる」と言っていた人間は、ただのアホだと思うのは私だけでしょうか?

  ・・・旅行のことを書こうと思ったら、いつの間にか政治的色彩を帯びてしまいました。すみません(笑)。今日はこの辺で終わりにしておきます。
  
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2008.06.20(Fri)

アメリカと北朝鮮の演じる茶番劇~日本の役目はATM? 

  広島から記事を更新しています。パソコンの感触が違って操作にてこずっているので、簡単な記事にて失礼します。

北テロ指定解除へ 「成果」焦る米政権
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080115-899562/20080620_01.htm?from=yoltop
-----------以下引用----------
 ライス米国務長官が18日、北朝鮮に対するテロ支援国指定解除を明言したのは、北朝鮮の最も求める外交カードを切ることで、核申告を実行させ、自らの外交成果に結びつけたいブッシュ政権の思惑があるからだ。しかし、北朝鮮が核申告に応じたとしても、6か国協議で合意した「完全かつ正確な」申告とはほど遠いものになる可能性が高い。むしろ北朝鮮に妥協を重ねてきたブッシュ政権に対し、米議会の強硬派などから激しい批判が巻き起こりそうだ。(ワシントン支局 宮崎健雄、黒瀬悦成)

任期切れ迫り妥協

 「ここ2か月、たくさんの2国間協議を行ってきた。6か国協議の再開に焦点を絞る時期に来ている」。ヒル次官補は19日、日米韓首席代表会合に出席するため到着した成田空港で、記者団にこう強調した。次官補は帰国日程を決めておらず、北京にとどまり、北朝鮮が議長国・中国に核申告を提出してくるのを待ち受ける覚悟のようだ。

 来年1月に任期の切れるブッシュ大統領のあせりは、もはや限界まで来ている。ライス長官があえてテロ支援国指定解除と敵国通商法の適用終了を明言したのは、核申告を受け取り、なんとかして核交渉を動かしたい米政権の切実な思いを象徴している。

 本来、6か国協議の合意では、指定解除などは米朝関係正常化と並行して履行されるもので、核申告と直接結びつけられていなかった。米政府が、指定解除を核申告の見返りに求める北朝鮮の主張を容認したのは、世界銀行やアジア開発銀行など国際金融機関から融資を受ける道を開く、北朝鮮にとってのどから手が出るほどほしい措置と知っているからだ。

 しかし、テロ支援国指定解除を北朝鮮に対する安易な妥協と批判する内外の声は大きい。

 米議会では、上下両院で、指定解除に日本人拉致問題の解決を条件とする決議案が提出されたほか、下院本会議では、北朝鮮がイランやシリアに核技術の移転を行っていないことを米大統領が保証しない限り、指定解除をしないよう求める法案が可決された。

 日本も、拉致問題で実際に進展があるまで、米国の指定解除には反対する姿勢を崩していない。北朝鮮が日本に提案した「再調査」は、「米国に指定解除を促すための見せかけに過ぎない」(協議筋)と指摘する声が多いのが実情だ。

 ライス国務長官は米誌とのインタビューで、「仮にテロ支援国指定や敵国通商法適用を解除したとしても、北朝鮮に対して行っている制裁をリストにすれば、数ページの紙が必要だ」と述べ、対北制裁がなくなるわけでないと強調するが、北朝鮮への不信感が解消されない中での指定解除は批判を避けられそうにない。
-----------引用以上----------

>核申告を受け取り、なんとかして核交渉を動かしたい米政権の切実な思いを象徴している。

  記事のこの部分を読むだけではっきりと分かることがあります。それは、読売新聞の国際部の記者には現状の正確な認識も分析も欠如している、要するに記者失格だということです。

  私に言わせれば、ブッシュ政権が成果を焦るも何も、今回の北朝鮮の「譲歩」と、アメリカの「対北宥和政策」は、すでに既定路線であり、いまさら騒ぎ立てるほどのことではありません。
  なぜそんなことが言えるのか。その種明かしをする前に、●以前の記事で紹介したこのニュースも一緒に見ておきましょう。

小泉元首相:「福田首相が行かなくちゃ」訪朝促す
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080411ddm005010117000c.html
--------以下引用--------
 自民党の小泉純一郎元首相は10日夜、同党の山崎拓前副総裁や民主党の岩国哲人元副代表ら両党議員6人と東京都内で会合を開いた。日朝外交について「国交正常化の実現には首相が決着をつけるしかない。自分はもう行くつもりはなく、行くのは首相だ」と述べ、福田康夫首相の訪朝を促した。支持率が低迷する福田首相を、2度の電撃訪朝で政権浮揚に成功した自身の体験を踏まえて激励したとみられる。会合に出席した民主党衆院議員は「北朝鮮外交に熱心な両党議員で集まった」と話している。
--------引用以上--------

  いまだにインターネット上の掲示板やブログなどでは、「日本の対北朝鮮政策は、小泉政権以来、拉致問題の解決なくして国交正常化もないというものだ」などという俗説がまかり通っているようですが、この記事を見ればわかるように、もはや小泉は拉致問題など頭のどこにも置いていません。それどころか、政府関係者でもなんでもないのに、福田に対して「早く北に行って国交正常化作業を進めろ」と言っているわけです。
  小泉が一連のカイカクやイラク戦争への自衛隊派遣など、アメリカのエージェントとしての実績が豊富な点にかんがみれば、この小泉の動きも、アメリカ政府の意思なしには考えられません。
  それどころか、どうも私は「ピョンヤン宣言」の頃から、もっといえば、ソ連崩壊の頃から、北朝鮮を巡る情勢にはひとつの一貫した流れに基づいていたのではないかという気さえするのです。それは、おそらく以下のような考えに基づいています。

・アメリカは日本ではなく中国を経済的なパートナーとして選んだ
 (その辺の事情は、●こちらの記事を参照)
・しかし、中国が増長し、アメリカの「天領」である太平洋にまで進出しては困る
・そこで、中国に対して「鉄砲玉」の役目を果たす国が必要になった。
・世論がうるさい日本や韓国よりも、独裁政権の北朝鮮がその役目に適している


  以上のような考えに従って、北朝鮮には核兵器などの武装を行わせるわけです。交渉に当たったのは●こちらのリンクにあるように、反共に熱心だった某宗教団体の関係者でしょう。
  しかし、北朝鮮も主権国家ですから、無条件にアメリカに従うわけはありません。アメリカも考えます。

・中国から核攻撃を受けるリスクがあり、北朝鮮にはそれ相応の餌が必要だ
・では、日本に国交正常化をダシにして北朝鮮の近代化資金を出させよう


  もっとも、大多数の日本人にとって北朝鮮は関心の対象ではありませんでした。そこで、「拉致問題」という仮死状態になっている懸案を取り出して、北朝鮮に対する干渉を肯定する世論を引き出そうとした、というわけです。
  もちろん、冷戦が終わった後には、韓国と北朝鮮が同時に国連に加盟したり、南北首脳会談があったり、半島国家間でいろいろあったわけですが、それらは全て「舞台装置」に過ぎません。真の眼目は、北朝鮮と中国の冷戦状態を惹起し、中国を釘付けにすることだったのです。
  しかも、北朝鮮が「脅威」になることで、日本にMD(ミサイル防衛システム)を配置したり、自衛隊と在日米軍の融合を強化したり、日本の独立した防衛力を骨抜きにすることもできるのです。こう考えると、裏に表に、北朝鮮というのはアメリカにとって非常に都合のいい存在だということができます。
  この一件で馬鹿を見るのは日本です。小泉を初めとする清和会(町村派。ここの政治家は拉致問題やパチンコ、統一教会など、とにかく朝鮮絡みの話題に事欠かない)や、それに近い連中は、ある程度のおこぼれをもらえることになっているのでしょうが、一般国民は将軍様や復興事業を受注する欧米の企業に税金を使われてしまうことになるのです。
  まあ、こういうことを書いても、小泉や安倍(昨年2月の六者協議でピョンヤン宣言を国際的合意に高めた「大功労者」)が対北朝鮮強硬派で、清和会は国益重視の保守派などと勘違いをしている人々には、ピンと来ないかもしれませんが・・・。いわゆる右翼ではなく、社民党支持者のような左翼系の人にもそういう勘違いをしている人が多いのには呆れる他ありません。

  ともかく、日本としてはこのままでは大損をすることになるのは確実です。なんとかこれを避ける方法はないのでしょうか。

  正直に言ってしまえば、うまい方法はない、ということになります。なぜなら、アメリカも、北朝鮮も、韓国も、北朝鮮と国境を接するロシアも、日本以外は誰一人損をしないからです。
  北朝鮮というナイフをのど元に突きつけられた中国は「なんかイヤダナァ」と思うかもしれませんが、それでもアメリカとロシアを同時に敵に回すよりはマシだと考えるでしょう。あるいは、北京五輪と上海万博のあとの目玉である「東北部開発」をやらせれてくれれば、その条件を飲んでもいいと思うかもしれません・・・もちろん、その開発のための資本を出すことになるのは日本なのでしょうが。
  そもそも、このような状況がなぜ起こっているのかというところに話を戻せば、日本がアメリカの出してくる数々の要求、特に安全保障上のそれについて、簡単に譲歩しすぎだからです。「アメリカに嫌われたら、安全保障ができない」と思ってしまっている国民が多いからです。
  そういうところを、小泉や安倍のようなアメリカのエージェントに漬け込まれてしまっているのです。安倍がアメリカの犬だということについては異論がある人もいるでしょうが、自分のよって立つ権力基盤がリモートコントロールされていることすら分からないほど愚昧な人物だったということだと考えるべきです。
  もちろん、このことは、外遊先をまず第一にアメリカに設定した福田首相にもいえることです。そもそも、安倍にしろ福田にしろ、選んでいるのは小泉や中川秀直、森嘉朗といった清和会のボスたちなのですから、いちいち人物によって「従米度」を判別する意味があるのかどうかすら怪しいものです。

  そうなると、まずはアメリカの言いなりになって動いている清和会から政権を奪い返すことが必要でしょう。
  理想としては、野党が相当の力を持ち(裏を返せば、与党が安定多数を確保できない状態になり)、政権担当者がアメリカのむちゃくちゃな要求に対して、「野党の突き上げがあって難しい。ここはひとつ、譲歩してくれないか」というカードを出せる状態にしておくべきです。
  以前、ベトナム戦争への参戦をアメリカから要求された佐藤栄作首相が、「そんなことをしたら社会党に政権をとられてしまうが、それでもいいのか?」と反撃したというエピソードが伝えられています。野党というのはそういう風にして利用するものなのです。連立政権でもいいのですが、ある程度力のある勢力がギャーギャー騒いでいて、「こいつをなだめるのも大変なんで、ひとつ今回はこの程度で折れてもらませんかね・・・」という形で切り出せば、相手はもうそれ以上政権担当者を責めるわけにはいきません。
  現在は公明党がそういう役割をやろうと思えばできるポジションなのですが、彼らは自民党の補完勢力に過ぎません。というか、ここまでくると、公明党やその支持団体も、アメリカとグルになっているんじゃないでしょうか。北朝鮮が半島人脈を経由して「対北朝鮮強硬派」とグルになっているように・・・。
  
  衆議院の圧倒的多数を武器にして、やりたい放題している小泉以降の自民・公明政権には、「内輪もめのふりをして国益を守る」という高等戦術は無理です。次の選挙では必ず彼らに打撃を与えなければなりません。それが国家の独立を守るための第一歩です。
  そういうことができないまま、憲法9条を改正して、軍事力を強化しても、何の解決にもなりません。今われわれに必要なことは、日本を正常な自己決定のできる立場に置くことなのです。

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EDIT  |  20:28 |  地政学・国際関係  | TB(0)  | CM(2) | Top↑
2008.06.19(Thu)

広島行ってきます 

うまい具合に連休を作れたので、広島に行ってまいります。西日本に関ケ原から向こうに行くのは久々で、しかも、まだ訪ねたことのない都道府県なので楽しみです。

向こうから記事を上げられるように頑張ります。

ちなみに、金がないので交通手段は夜行バスです(笑)。
EDIT  |  20:25 |  お知らせ  | TB(0)  | CM(0) | Top↑
2008.06.18(Wed)

【EURO2008】サッカーのもう一つの楽しみ方~あの選手の出身は? 

  サッカーに興味があると、熱戦が繰り広げられているユーロ2008(ヨーロッパ選手権)が気になって、勉強や仕事が手に付かないという方もいらっしゃるかもしれません。
  目下の話題は、予選リーグの「死のグループ」であるグループC(オランダ・イタリア・フランスという最強国三つが居合わせ、なんと2戦終えて後者二つが未勝利)の行方なのでしょうが、「少し上から眺めてみる」というのがこのブログのコンセプトなので、他とは少し変わった視点でヨーロッパのサッカーを取り上げてみたいと思います。

  まず、欧州最強国の一つであるフランス代表を取り上げてみます。●こちらのリンクで2006年W杯のメンバーの画像をご覧下さい。MFジダンやGKバルテズ、FWトレセゲなどがいないくらいで、だいたい今の代表と同じメンバーです。
  その後、●こちらのリンクにある1984年ヨーロッパ選手権のフランス代表の画像と比べてみてください。プラティニ、ジレス、フェルナンデス、ティガナなど、オールドファンにはおなじみのメンバーが揃っています。
  
  二つの代表チームに、何か違いを感じませんでしたか?

  そうです。最近のフランス代表には、プラティニの頃のフランスに比べて、圧倒的にアフリカ系の黒人選手が多いのです。1984年のチームだと、私が知る限り、MFジャン=ティガナくらいしか黒人のレギュラー選手はいなかったはずですが、2006年のチームだと白人を数えた方が早いくらいです。
  しかも、色が白い選手の一人であるジネディーヌ・ジダンは「アルジェリア移民」なのです。こうなると、これがフランス代表なの?と、ヨーロッパの現状もサッカーのことも知らない人なら首をかしげても不思議ではありません。
  フランス代表にアフリカ系が多いのは様々な理由があるのですが、一番大きいのは、旧植民地から移民としてフランス本土に移り住んできた人びとが多いということです。アフリカ出身の「フランス」代表の選手はかなり多いのです。
  その典型が英アーセナルや伊ユベントスといった強豪クラブを渡り歩いた●「バトリック=ヴィエラ」という選手です。ヴィエラは子供の頃に西アフリカの●セネガルからフランスに移住し、そのままフランス代表になっています。セネガルはフランスの植民地から独立した国なので、ヴィエラは両親共々フランス語が喋れます。だから、「フランス人」になることは何の問題もないということです。

  フランスと少し事情が異なるのがドイツ代表です。こちらは、メンバー表を見ながら検証しましょう。

 GK1:イェンス・レーマン(シュツットガルト)
 GK12:ロベルト・エンケ(ハノーファー96)
 GK23:レネ・アドラー(レバークーゼン)

 DF2:マルセル・ヤンセン(バイエルン)
 DF3:アルネ・フリードリヒ(ヘルタ・ベルリン)
 DF4:クレメンス・フリッツ(ブレーメン)
 DF5:ハイコ・ベスターマン(シャルケ04)
 DF16:フィリップ・ラーム(バイエルン)
 DF17:ペル・メルテザッカー(ブレーメン)
 DF21:クリストフ・メッツェルダー(レアル・マドリー/ESP)

 MF6:シモン・ロルフェス(レバークーゼン)
 MF7:バスティアン・シュバインシュタイガー(バイエルン)
 MF8:トルステン・フリンクス(ブレーメン)
 MF13:ミヒャエル・バラック(チェルシー/ENG)
 MF14:ピオトル・トロホウスキ(ハンブルガーSV)
 MF15:トーマス・ヒツルスペルガー(シュツットガルト)
 MF18:ティム・ボロウスキ(ブレーメン)

 FW9:マリオ・ゴメス(シュツットガルト)
 FW10:オリバー・ノイビル(ボルシアMG)
 FW11:ミロスラフ・クローゼ(バイエルン)
 FW19:ダビド・オドンコール(ベティス/ESP)
 FW20:ルーカス・ポドルスキ(バイエルン)
 FW22:ケビン・クラニイ(シャルケ04)



  特に注目して欲しいのが、FW(フォワード)のメンバーです。「オリバー・ノイビル」以外、ドイツ人ぽい名前がありません。
  「ゴメス」はスペイン人とドイツ人の混血ですが、名前は完全にスペイン系です。「クローゼ」はドイツ人かと思う名字ですが、名前を見るとミロスラフ(何とかスラフというのは、スラブ系に共通する名前)ですから、ポーランド系だというのがすぐ分かります。「オドンコール」は黒人選手で、父親がガーナ人です。「ポドルスキ」は名字から分かるようにポーランド系(-skyだとロシア系、-skiはポーランド系だと覚えておくとよい)で、「クラニイ」は日本にも結構いるブラジルからの帰化選手だったりします。
  さらに、唯一ドイツ人的な名前の「ノイビル」ですが、騙されてはいけません(笑)。この人の出身はスイスです。だから、実況ではNeuvilleをフランス語読みして「ヌビーユ」と言われることがかなり多かったりします。

  つまり、ドイツ代表のスタイルである4-4-2というフォーメーションで、FW二人を組ませようとすると、生粋のドイツ人が一人もいないという珍事が起こってしまうのです。

  こういった事態が起こる背景は、ドイツがヨーロッパ大陸で最も大きな工業国だということが大きく関わっています。
  まず、工業国だということで、安い労働力を得ようという動機が働きやすく、それが移民を呼んでいるということがあります。ドイツは東欧やトルコと地続きなので、日本のような海洋国に比べて人が入り込みやすいというのもあり、移民がどうしても増えてしまうというわけです。
  また、工業国は生活に便利な国が多いですから、子供の闘争心やハングリー精神がどうしても弱くなってしまいます。FWというポジションは、テクニック以上にここぞという時の決定力や闘争心がものを言うポジションですから、どうしても先進工業国の選手はFWに剥かなくなってしまうという傾向があるようです。
  後者は、日本にも当てはまる現象といえるでしょう。戦時中に生まれた「釜本邦茂」(1944年生まれ)や「杉山隆一」(1941年生まれ)を超えるフォワードは、いまだに日本に現れていません。食うや食わずの時代を切り抜けてきた世代と、テレビもエアコンも当たり前という世代では、闘争心やたくましさに違いがあって当然です。

  ところで、こういうときに、「移民を入れてサッカーを強くしろ」と考える人は、たとえばこういうものに賛成したりするのでしょうか?

自民党:議連が提言「50年間で移民を人口の10%に」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080613k0000m010121000c.html
--------以下引用--------
 自民党の外国人材交流推進議員連盟(会長・中川秀直元幹事長)は12日、党本部で会合を開き、少子高齢化による人口減少社会に対応するため、今後50年間で日本の総人口の10%まで移民を増やす方針などを内容とする日本型移民政策に関する提言をまとめた。来週、福田康夫首相に提出する。留学生100万人を目指して受け入れを促進するほか、医療・福祉分野で看護専門学校などに外国人向け養成過程を設置。来年の入管法改正に合わせ、在留資格制度に「社会福祉」や「実習」の資格を新設し、在留期間を最長5年延長することも掲げた。
--------引用以上--------

  こういう馬鹿・アホ・キ○ガイ・売国・買弁な奴らを見ていると、フランスやドイツの代表に対して「文化が違う国で頑張る君たちは素晴らしい」などと言い切れなくなってくるのです。スポーツの世界の実力主義が、一般の社会にまで拡張解釈されてしまいかねないからです。
  競争力至上主義みたいな考えを持ち込むと、どうしても文化や国民の枠組みを取っ払う方に考えが行きがちです。スポーツの世界だけならいいじゃないか、と思うかもしれませんが、「スポーツの世界でいいなら、一般の労働者ではなぜいけないのだ」と言われたら、どうやって言い返すのでしょうか。実力主義という論理が透徹している分、移民受け入れ派の人間の方が論争では有利であり、限定的な受け入れなどという姿勢では間違いなくそういう連中に押し切られてしまいます。

  そういう意味で、今若者が異常な行動を取るとか、何かにつけ無気力だとか、そういう報道が繰り返されているのは、外国からの移民の導入を促進するためのキャンペーンなんじゃないかと思うことがあります。ほら、皆さんの周りや、ネット上でもいませんか?「今の日本人の若者より、中国からの留学生の方がよほど真面目に働く」とか言ってるジイサンが・・・。ああいう人たちの偏頗なものの見方を、マスコミ報道が助長しているということです。
  ヨーロッパはそういう社会だから・・・というのも誤解です。サッカーの世界にも、こういうことをやっているチームはいます。

アスレティック・ビルバオ
http://www.soccer-mania.pl/2006/03/03/athletic_bilbao/
--------以下引用--------
1898年創設。リーガ8回、スペイン国王杯23回の優勝を誇るリーガ(引用者注:サッカーのスペインリーグ)の名門。

また、クラブ創立以来一度も1部の座を明け渡したことのない歴史を持つクラブは、レアル・マドリード、バルセロナとこのビルバオだけ。

特筆すべきはクラブのポリシーである”純血主義”で、バスク人やバスク地方で育った選手のみでチームは構成され、外国人はおろか他の地方出身のスペイン人もチームに受け入れることはない。

(中略)

下部組織がしっかりしているのも、このクラブのベースを支えており、これまでスペイン代表級のエチェベリアやデル・オルノら多くの素晴らしい選手を輩出している。
--------引用以上--------

  W杯に優勝したいがために、フランスやドイツのような社会を容認するのか、それとも「アスレチック・ビルバオ」のように、地元の人材を粘り強く育成していくか。どちらの方が長い目で見れば日本のためになるかは、歴然だと思うのですが・・・。
  なかなか難し事なのかも知れませんが、我々もビルバオの関係者、サポーターのような、独立不羈の精神を持ちたいものです。

  さて、これからユーロ2008・グループCのカードが始まるようです。今夜は眠れないかもしれません(笑)。移民万歳の最強チーム同士の激突は、外野から見ている方が気が楽ですね。

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2008.06.16(Mon)

「おやじ学級」が全国津々浦々にできたらいいのに・・・ 

  もうあまり記憶が残っていないのですが、私は幼少の頃東京の「中野区」という場所に住んでいました。その経験があって、目にとまったニュースです。少し古いのはご容赦下さい。

東京・中野富士見中:役目終える「おやじ」 荒廃・いじめ自殺、立ち上がり22年
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080501ddm041040118000c.html
--------以下引用--------
 ◇統廃合で
 東京都中野区立中野富士見中学2年の鹿川裕史君(当時13歳)が86年2月、同級生に担任教諭も加わったいじめを苦にして自殺したことを機に、地域の父親たちが結成した「おやじの会」が、今年度末で解散する。「陰湿ないじめのある中学」とレッテルを張られた学校、生徒たち、地域を守ろうと、活動は22年に及んだ。(中略)

 鹿川君は「このままじゃ『生きジゴク』になっちゃうよ」との遺書を残して自ら命を絶った。教諭もいじめに加わっていたこともあり「廃校にしろ」と激しい批判が起きた。当時PTA会長だった矢口正行さん(66)は「学校は地域のつながりの核。学校を残したい」と周囲に呼び掛け、自殺の翌月に会を発足させた。その年の卒業式当日、学校から見えるビルの壁に「ガンバレ中野富士見中 おやじの会」と書いた手作りの看板を掲げた。初代会長の松本哲二さん(67)は「当時は、マスコミは学校のことを何も分かっていないと腹立たしかったが、自分もPTA活動をするまで母親任せで何も知らなかった。学校に父親がいなかった」と振り返る。

 現在の会員は40~60代の約30人。月1回の定例会は、ビールを片手に腹を割って話し合う。合言葉は「学校の方針に口を出さない」「女房、子供に迎合しない」「責任は自分たちで負う」。2月の餅つき、新緑の中を歩くグリーンウオーク、夏に夜通し歩くナイトウオークを定着させ、多くの生徒や親が楽しみにするようになった。当初あった「のんべえの会」と揶揄(やゆ)する声も、いつしか消えた。

 4月29日、最後のグリーンウオーク。全校生徒の6割に当たる53人と親ら55人が参加。生徒たちは止めどなくしゃべり、歌い、おやじ特製の豚汁をおかわりし、後片付けを手伝った。同行した牧井直文校長は「赴任が決まった時『あの富士見中か』と一瞬戸惑った。でも区内で一番落ち着いた良い学校だった。おやじの会が学校や地域にどんな影響を与えたかは、子供たちを見てもらえば分かります」と話した。
--------引用以上--------

  私も子供やその親御さんと接する立場にいる人間なので、この「おやじ学級」というものが持っている意味については、十分理解できるつもりです。以下、簡単にその内容を述べてみたいと思います。

「集まる」ことが持つ意味

  上記のニュース記事の中で、中野富士見中学の「おやじ学級」は、当初は「のんべえの会」と揶揄されたというエピソードが紹介されています。正規の学校関連団体であるPTAからの視線の冷たさを象徴しているのかも知れませんが、私はかえってこれがよかったのではないかと思っています。
  なぜなら、共同体というのはまずもって金銭的価値に置き換えられる利害を超えた部分で人間同士が触れあうことから始まるからです。そのためには、理由は何でもいいと思っています。同じ中学校に通う父親同士が、酒を飲むために集まるというだけで十分でしょう。
  ただ集まって話すだけでもたらされるメリットがあるのです。まず、自分と同じような立場にいる人間は一人ではないということが分かり、安心感が持てます。また、似たような経験をした人の話を聞いて、悩みを打開するヒントが見つかる場合もあります。そういうきっかけを作るために、酒が入るというのはむしろ好ましいことでしょう。
  ところが、今の日本の都市部では、こういう「集まる」きっかけすらないというのが現状です。特に、働いているお父さんはそうです。地域の活動に参加したいという人はいても、一体どこで何をやっているのかさっぱり分からなかったり、そういう活動があったとしても、平日の昼間で参加ができなかったりするわけです。

「父親不在」とは

  そもそも父親が家にいない、いても週末だけという状況は、どうやって生まれてきたのでしょうか。
  一番大きい原因は、父親が「出稼ぎ」をしていることです。つまり、中野区なら中野区ではなく、大手町や赤坂みたいなオフィス街に行き、夜になって帰ってくるという生活をしているということです。自営なさっているご家庭は別として、そういう遠距離通勤が当たり前になっているのが、現代の日本です。これでは、地元の昼の顔など知ろうと思っても困難です。

  また、その仕事の時間が非常に長いというのも問題です。公式の資料に当たってみると、だいたい月平均労働時間が150時間くらいになっていますが、これらは非正規雇用(パート、アルバイト)も含めたもので、正社員であれば当然これより多くなっています。それに、記録に残らない残業(いわゆるサービス残業)も横行しています。
  ここのところ、就業時間が青天井になっていることをうかがわせるニュースが続出しています。いくつか紹介しましょう。

ツアコン「心も体も限界」残業代求め提訴 阪急交通社系
http://www.asahi.com/national/update/0523/TKY200805230080.html
--------以下引用--------
 阪急交通社の子会社、阪急トラベルサポート(本社・大阪市)の派遣添乗員9人が、何時間働いても定額の日当しかもらえない「みなし労働時間制」の適用は不当だとして、未払い残業代など1人あたり400万円程度を求めて近く東京地裁に提訴する。うち1人は先行して23日、1カ月分の残業代約20万円を求めて東京地裁に労働審判を申し立てる。同日、記者会見して明らかにした。

 添乗員らは「長時間労働で心身共に限界。せめてきちんと残業代を支払って欲しい」などと訴えた。

 みなし労働時間制は、労働時間の算定が難しい場合に限り、通常必要な労働時間を想定して、給与を一定額にすることが認められる制度。

 9人は国内外のツアー添乗員で、労働時間は長い日で1日15、16時間に及ぶ。だが、みなし労働時間制を適用されているため、賃金は定額の日当(1万2千円~2万円)だけで、残業代はつかない。

 添乗員らは「勤務スケジュールは会社側に細かく管理されており、制度の適用は不当だ」などと反発し、昨年1月に全国一般東京東部労組に加入。団体交渉で会社側に制度の改善を求めてきた。昨年10月には三田労働基準監督署が会社に対し、みなし労働時間制適用は不適当として残業代を支払うように命じている。
--------引用以上--------

キヤノン社員自殺は労災 自宅で長時間残業続ける
http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008061301000592.html
--------以下引用--------
 沼津労働基準監督署(静岡県)は13日までに、自宅に仕事を持ち帰り長時間残業を続けたキヤノンの男性社員=当時(37)=の自殺について、過重な業務で精神疾患を発症したのが原因として労災と認定した。

 代理人の川人博弁護士は「キヤノンの御手洗冨士夫会長が会長を務める日本経団連は被災者の死を真摯に受け止め、自殺予防に全力で取り組むべきだ」と話している。

 川人弁護士によると、男性はキヤノンの富士裾野リサーチパーク(静岡県裾野市)に研究職として勤務していた2006年11月30日、電車に飛び込み自殺した。

 職場は午後10時までしか残業できない決まりだったが、男性は帰宅後や休日も深夜までパソコンを使って仕事をしていた。パソコンから自宅での労働時間を確認した結果、同年8月末から10月下旬まで54日間休まずに働いており、社内での勤務時間と合わせると、自殺前1カ月の残業は263時間に上った。
--------引用以上--------

  ここに挙げたような就業条件は今の雇用情勢で「ありえない」異常な例では決してありません。これではとても子育てや地域の問題に関心を寄せる余裕がないということは分かるでしょう。
  江戸時代の労働時間は、丁稚奉公のような特殊な例を除いて、多くて8時間、冬場は5時間程度だったといわれています。また、職場は家の近くでした。現代のサラリーマンのような生活をしていたのは「武士」だけですが、それでも武家屋敷から城に登庁するので、そんなに長い時間かけて通勤していたのではありません。
  鉄道や自動車の存在や、人口集中によるドーナツ化で、ずいぶん生活が変質してしまったようです。そして、その核心は、主要な働き手である父親が(最近は母親も)子供たちが生活している領域から遠く離れた場所で一日の大半を過ごさざるを得なくなったことなのです。
  もちろん、これをいきなり変換するのは困難ですが、そもそもの問題はこの「生活の分離」とも言うべきところから生じているということは知っておかなければなりません。

「子供の生活領域に関する情報」の重要性

  ところで、私事になりますが、私が教室を移ってまずやることがあります。それは、新しい職場にどんなものがあるかという情報を徹底的に頭に入れることです。
  実感がわかなければ実際に見に行きます。地元で買い物に行きそうな場所や、遊び場になりそうな公園、駅周辺の地形や建物などを覚えておいて、生徒と話すときに「じゃあ、家は○○がある方だな」などと言うと、生徒と会話するのが非常に楽になります。
  あとは、部活動の活動状況がいいネタです。どこの中学が強いか、という話は、学校が違う同じ部活動の子供たちに共通して使えるネタなので必ず覚えておきます。
  そういうネタを覚えて会話をしたからといって、子供の成績が上がるわけではありません。しかし、それによって子供とやりとりはできます。向こうも、理解がある大人だと思ってくれるでしょう。
  私の場合仕事が午後からなので「下見」ができるのですが、上の記事に出ているような働き盛り(というより働かされ盛り)の保護者にはまず無理です。どうも、日本の父親が浮いた存在になってしまう原因は、この情報不足というところにある気がするのです。
  オリコンという会社のアンケートで「女子中高生が父親に望むものはコミュニケーション能力」という結果(●こちらを参照)が出たらしいですが、これをもって日本の父親を会話が下手だとか論評するのは完全な誤解です。対象(子供)の生活領域に関する情報をほとんど持っていない人間が、コミュニケーションなど取りようがないのです。
  そういうことからすると、日本の父親が子供と接するのが下手だというのは民族性によるものというより、生活パターンによって子供に関する情報の欠乏症に陥っていると理解しなければなりません。
  もちろん、ここでいう「情報」というのは、子供の成績や好きなアイドルなんかではありません。彼や彼女がどういう環境で生きているのか、彼らの世界にはどんなものがあるかという、生活感のあるゴミゴミした情報です。
  勉強のことばかり言いたがる親御さんがいますが、その人は多分利用すべき情報が間違っているのです。成績や知識量の多寡についていくら知ったところで、その子を理解することはできません。彼彼女の周りにどんなものが転がっているか、その方が数十倍も大事です。

「大人が集まる時間」こそ必修科目にすべき

  そういう「子供に対する情報不足」を補う意味で、おやじ学級という集まりの持つ意味は非常に大きいのではないでしょうか。
  私がおやじ学級(まだ未婚なので参加する大義名分がないが・・・)のコーディネーターだったら、そういう地元の情報を、自営業をやっている方にどんどんしゃべらせることから始めるでしょう。そして、その後、「どうです、みなさん。これで、中学生が立ち寄りそうな場所がわかったんじゃないですか?」「○○の話を混ぜたら、話すきっかけになるんじゃないですか?」と、それらの情報が持つ意味を再認識してもらうのです。
  私が思うに、武道を必修にするとか、国を愛する態度を涵養するとか、そんなことよりもまずいの一番に、こういう大人の集まりこそ必修科目にすべきなのではないでしょうか。
  「地域で子供を見守る」などというスローガンが吹聴されたります。しかし、実際はそうなっていません。理由は簡単で、子供を見守る側がバラバラだからです。文字で書かれた以外の、人間の体温や息づかいのする情報を共有できていないからです。
  同じ学校に通う大人、特に男親の集まりについて消極的な意見を持つ人は、「親にはそれぞれ都合がある」という考えをお持ちなのかも知れません。誰でも自分の生活があるのだから、それを阻害してはいけないということです。もっと端的に言えば、「面倒くさい」ということです。
  しかし、私に言わせれば順序が逆なのです。もともとそれぞれの個人や家庭が個々別々に存立し、他と関わらずに生きているという社会観の方がおかしいのです。都合があるからと集まることに消極的なお父さんであっても、会社では集団の中で他の個人との関係を作ることで「自分」というものを作り上げているはずです。
  問題なのは、お父さんが遠距離通勤をして勤務先で作り上げている世界と、地元にいる奥さんや子供との間で形成されている世界がズレていることなのです。ここを可能な限り重ね合わせることで、おそらく現代型の寂しい家庭が抱えている問題の多くは解決します。
  本当はみんなそういう機会ができてくれないだろうか、と、心のどこかで思っているのかも知れません。しかし、なかなかできません。そういう現状なのだから、絶望していても仕方がありません。
  それならば、既存の人的関係をうまく利用して、無理矢理にでも大人が集まる機会を作っていけばいいのです。冒頭の引用記事で、PTAの会長さんが、

>学校は地域のつながりの核

  と言っているのは、まさにそういうことを意味しているのだと思うのです。
  誤解を恐れずに言えば、今の学校、というより、近代教育制度の学校は、子供を刑務所にぶち込んで政府が公認した学習体系で洗脳するための施設です。成績がいい子が評価されているのは、いちいち文句をつけずに進んで洗脳を受けているからです。もっと有り体にいってしまえば、「滞在時間が決まっているカルト宗教の何とかサティアン」(笑)なのです。
  だから、放っておくと教師と生徒の間で、世の中の常識とずれたことがどんどん起こってくるのです。教員が生徒と性的関係を持つとか、明らかに非常識な性教育とかヘーワジンケン教育が行われるとか、そういう例が出てきてしまうのです。
  それを相対化するには、やはり「教育は私事である」という原則に立ち返り、親が子供の生活領域に関する情報を持ち、子供とそれについてほぼ対等にコミュニケーションできるようにならなければなりません。
  こういうときにメディアが放つ抽象的な分析結果やマニュアルに飛びついてはいけません。教育評論家だとか、学者だとかが調査結果を基にして活字やテレビの画面で発信している情報は、上のような情報不足を埋めるのに全く役に立ちません。それどころか、そういう味も素っ気もない情報に依拠して子供と関わろうとして、かえって溝を深めてしまうことになります。
  子供を理解する鍵は、子供の生活領域にあるということを、是非とも知っていただきたいです。「おやじ学級」 は、必ずその突破口になります。
  行政任せにせず、学校の先生に協力してもらいながら、3人でも4人でも始めてみたらいいんじゃないでしょうか?私も、できる限り早く参加したいです(笑)。

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2008.06.13(Fri)

昨日の記事について 

本文の論調が鉄道愛好家の方々に対して挑発的だったとの指摘がありました。

改めて内容を確認し、不適切な面があったと判断したので、当該記事は削除致しました。

不快感を抱かれた方には置かれましては、大変申し訳ありませんでした。

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2008.06.11(Wed)

【じみんとう】前原クン、今日も盛大に自爆中!!【だぁいすき】 

民主・前原氏、小沢マニフェスト批判…中央公論7月号で
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080608-OYT1T00233.htm
--------以下引用--------
 民主党の前原誠司副代表は、10日発売の月刊誌「中央公論」7月号誌上で、自民党の与謝野馨・前官房長官と対談した。

 前原氏は小沢代表の下で昨夏の参院選公約としてまとめた「参院選マニフェスト」について、「仮にこのまま民主党が政権を取っても、まともな政権運営はできない」などと述べ、実現性に強い疑問を投げかけた。

 民主党は参院選公約で、農家への戸別所得補償など主要政策の経費を総額15・3兆円と試算し、財源を補助金の廃止などでまかなうとしている。

 前原氏は、道路特定財源の暫定税率の廃止など新たな公約を加えると約18兆円かかるとしたうえで、「行革だけによる捻出(ねんしゅつ)は、絶対無理だ。マニフェストをまとめる時、当時の政策責任者の間では、財源の根拠が希薄だとの難色が示されたと聞いているが、最後は小沢さんの『エイヤ』だった」と、小沢氏の責任を指摘した。

 また「民主党が最もしてはいけないのは、国民に耳当たりのいいことばかり言い、仮に政権を取った時に『やっぱりできません』となること。すぐに自民党に政権が返る。最悪だ」と述べ、参院選公約の抜本的見直しの必要性を強調した。

 前原氏は7日にも、京都市内での会合で、農家への戸別所得補償制度について、「ばらまきだという批判があるが、私もそういう気持ちが強い」などと述べた。
--------引用以上--------

  さすが、自民党・民主党支部支部長にして、「小泉新党」政権の副総裁兼防衛大臣(あくまで予想)が内定している前原クン(●こちらの記事を参照)、いつもの癖が出てしまいました。松下政経塾で教わった「無税国家」への素朴なあこがれ、そして親愛なる小泉純一郎同志への天壌無窮の愛があふれて、対談でボロを出してしまったようです。

  もう、ここまでわかりやすいと、かえってサッパリしていいんじゃないかという気がしてきました。前原クソは、自民党(というか、町村派)に政権の座にいてほしくてたまらないようです。

  前原クソは、京都府議会選挙で最年少当選を果たしたことで有名ですが、なんといっても「お給料をもらったのは府議会議員が初めて」だったりします。要するに、世間知らずなわけです。
  新規事業を大当たりさせた社長に対して、京大卒だけが取り柄の頭が空っぽの社員が「あいつの営業方針はおかしい」と公然と批判しているようなものです。しかも、ライバル会社の重役が開いた飲み会かなんかでです。身の程知らずもいいところです。
  百歩譲って、●トロイの木馬を演じるにしても、もう少し自分でネタをばらすのを我慢しないと、木馬がトロイの町に入る前に、中に兵士がいるのがばれてしまいますよ、前原クソ!

  ひょっとして、もう野田佳彦だとか、岡田克也とかいったお仲間が付いてこないので、一人サミシクがんばっちゃってるのかな?前原クン(笑)

  しかし、これほどまでたびたび党執行部に反旗を翻していては、小沢氏も頭に来ているでしょう。腹の底ではいつ抹殺してやろうか、タイミングを計っているんじゃないでしょうか。
  逆に、彼のご主人様である純チャン(笑)も、口の軽さに呆れているかもしれません。それとも電話かなんかで、「俺も●若い頃はずいぶん悪さをしたもんだ。おまえもガツーンとやっておけ!!」などと激励しちゃってるんでしょうか?(笑)

>農家への戸別所得補償制度について、「ばらまきだという批判があるが、
>私もそういう気持ちが強い」

  小沢氏はちゃんと自給率向上という論拠を出していますよ。こういう例があるのをご存じないんでしょうか?

スイスで急増する農家を目指す若者たち
http://meteors.blog85.fc2.com/blog-entry-68.html
--------以下引用--------
スイスの農家は国からの所得補償を多く受けており、優遇されていると言える。
2005年のデータだが、スイス農業局の調査によるとスイス国内の農家が年間に受け取る直接支払いの平均額は、平地部で約380万円、山間部では約550万円。スイス国民の1人当たり所得が約410万円であることを考えると、スイスの農業者がどれだけ多くの所得補償を国から受けているかが分かる。
--------引用以上--------

  スイスの国際競争力を、前原クソともあろう人が知らないわけはないですよね?●世界で4位ですよ?農業の所得保障をやっている国が遅れている国だという、前原クンたち自民党員(なんか、ミスタイプしたような気もするけどそのままでいいか)の主張がいかに荒唐無稽かよくわかりますね。

>財源の根拠が希薄だ

  出た!!ドラクエ風に言うと、政府が何かやろうとすると妨害する人たちの使う呪文で人気ナンバーワン、「ザイゲン」!!(笑)

  あの、前原クン、日本の財政が危機だというなら、どうして今もって6年ものの国債の金利が1%くらいなのか、キンユーに疎い私にもわかりやすく教えてくれませんか?類人猿総理が何をトチ狂ったか、●アフリカ向けODA倍増を約束してましたが、いきなりあんなことを約束できるほど、日本の財政には余裕があるんじゃないんですか?
  ほら、まだ実現していない農家の所得保障より、明日にでも増やされるODAのザイゲンを追求してくださいよ?
  アフリカへのODAなんぞたいしたことないわい、とかいうなら、前原クソの大好きな純チャン(笑)が政権にいる間に、●円売り・ドル買いの為替介入しまくって55兆円ものアメリカ国債を購入した時のザイゲンはどうですか?日本の税収は約60兆円ですよ。それに匹敵するお金、一体どこから引っ張り出してきているんですか?

  前原クソが参院選の時に党首だったら、「農村に構造改革を!」「アメリカとのFTAを結ばないと日本が滅びる!」とか主張しまくってたかもしれません。そうなると、相手があの安倍チャン(笑)だったとしても、「民主より自民がマシ」というどこかで聞いたバカの一つ覚えが本当になって、憲法改正に必要な参議院の議席を確保していたかもしれませんね。

  というより、前原クンの狙いはそれだったのかな?

  ブログの中では下手をすると、あの小泉さんより多くの回数、前原クソを取り上げている「前原マニア」な私としては、改めてあたたかい応援の言葉をかけてあげたいと思います。

  さっさと自民党に行けよ、このクソガキ!!
  落選して、アルバイトから再チャレンジ(爆)しろ!!
  

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【クイズ】
よく見ると、人物の表記が微妙に違う箇所があります。どこでしょう?(答えは追記に)

【Read More・・・】

テーマ : 政治・経済・時事問題 - ジャンル : 政治・経済

EDIT  |  00:15 |  前原誠司さん  | TB(1)  | CM(10) | Top↑
2008.06.10(Tue)

【β版】ネオリベくん撃退法を考えてみました 

  先だって、「たか」さんよりコメント欄で寄せられた質問の回答です。長くなったので、記事にしてしまいました。
  なお、見やすくするため、オリジナルのご質問を加工して(文頭にスペースを入れて)あります。

 いつも興味深く拝見し、勉強させていただいてます。
 私も、新自由主義には大反対ですし、とにかく自公政権を倒したい気持ちでいます。
 新自由主義の人と議論する時も、誰かに新自由主義を説明する時も、いつも困るのが「国際競争力」という言葉なんです。
 この言葉が騙すための言葉だとは直感でしか分からなくて、明解に反論出来ないでいます。

 本文に、主様はこう書かれていますね。

 >私は日経新聞や報道ステーションとかいう番組が、「日本は国際競争力が足りない」と言ってきても、動じない自信があります。そんなものを崇拝する必要がない根拠も、胸を張って言うことができます。

 ↑「国際競争力を崇拝する必要がない根拠」とありますね。  
 もし、よろしければ、その根拠をお教えいただけないでしょうか?

 今のところ、「人件費を抑制すれば製品の質が落ち、国際競争力も落ちる」くらいしか言えなくて。 「日本は資源がない国だから、これからはアジア各国と共同体を作り、そのアジア共同体の中で日本の生き方を決めるべき」というような論もありましたが、反論出来ないんです。
 いきなりのお願い、すみません。


  以下は、私なりの答えです。

  まず、大事なのは相手の土俵に簡単に乗らないことです。残念ながら、たかさんの最初のご返答は完全に相手のペースに乗せられています。
  そこで、攻め方を変えてみましょう。

  ネオリベラルというのは、マスコミで流布されている「政治・経済用語」(たとえばグローバル化、国際競争力)を自明の理として使ってきます。本人も分かっていないで使っている場合がほとんどです。
  まず、そこを相手に逆に問いただしてみるといいでしょう。「そもそも国際競争力とは何なのか。意味がよくわからないので、教えて欲しい(←この言い方が重要)」と。多分、そこで向こうは勢いが止まります。そんなのも知らないの?という顔をされても、めげることはありません。
  そうすると、相手はおそらく「輸出競争力」という言葉を出してきます。つまり、相手国に1ドルでも安く売ることができるのが競争力の強さだというわけです。
  そうしたら、「日本の貿易依存率はどれくらいか知っているか」と質問すると良いです。貿易依存率って何だと聞かれたら(こんな言葉も知らないで国際競争力だのグローバル化だの論じている時点でお笑いだが)「GDPの中で貿易に頼る割合」だと教えてやりましょう。
  日本の貿易依存率はたった2割。しかも、小泉政権が始まる前までは10%前後でした。韓国7割、中国8割と比べると歴然です。要するに、日本の豊かさを成り立たせいてるのは強固な内需だということです。
  内需が強いと、貿易相手国の経済状況に悩まされずに安定した経済運営ができます。「輸出に頼ると、外国になんかある度に振り回されることになるが、それでもいいのか」と言ってやるといいでしょう。まさか、トヨタの会長でも、内需は不要です、日本は捨てますなどとは言えません。
  韓国を見てください。サブプライムローンや、四川大地震で、もう限界まで来ています。狂牛病の問題で大規模なデモが起こり、首相以下閣僚が全員辞意表明しましたね。あれが、貿易依存国の不幸です。ちなみに、韓国はアメリカとの間でFTAを締結しています。
  「でも、日本は債務超過で今後財政破綻するから」(どうもこの手の論者には日本を滅ぼしたくてたまらない破滅願望の人間が多い)とか訳の分からないことを言い始めたら、「10兆円の経常収支黒字があることはどう思うのか」「2011年で経常収支を借り入れ抜きでとんとん(プライマリーバランス回復)にしなければいけないほど追い詰められているはずなのに、なぜいまだに6年もの国債の金利が1%くらいなのか」きいてみてください。
  多分、反論できません。だって、そんなこと考えていないんだもの(笑)。

  そうなると、ネオリベラルくんは「技術革新がないと生き残っていけない」とか言い出すかも知れません。
  そう言われたら「その技術革新が必要な二次産業の世界で、日本を脅かす国はどこなのか」聞いてみてください。絶対に「中国」という答えが返ってきます。
  もうこの時点で馬鹿確定なのですが、中国という国自体は何の技術もありません。先進国の企業が中国に生産ラインを持って行っているだけです。中国の強みは、安い労働力があり、環境対策をやらずにすむのでコストが安く済むというただ一点だけです。技術革新なんて関係ありません。
  ていうか、二次産業の世界で、日本に追いつく技術を持っている国なんてありません。アメリカは製造業自体崩壊しています。MITとかなんとか言うかもしれませんが、超最先端技術なんてそもそも産業に使う必要ありません。ドイツもパットしません。韓国なんて言い出す奴は頭に虫でも湧いています。
  ところで、人類を救うかも知れない「iPS細胞」って、どこの国が発見したんでしたっけ?

  最後の手として、ネオリベくんはイギリスやスイスの例を挙げてきて、「日本も金融中心経済に移行しないとダメだ」とかわけの分からないことを言ってくるかも知れません。
  このブログの「米中ダブル崩壊」でも見せてやればいいのですが、そうも行きませんね。しょうがないので、そうしたら逆に質問してあげましょう。「日本で一番外貨を稼いでいるのは何業か」と。はい。「製造業」ですね。
  資本収支が多くなっているっていっても、それは外国(たとえば中国)につくった子会社の収益を配当などの形で吸い上げているからであって、その国でやっているのは製造業です。だから、金融なんていう「競争力の弱い産業」にシフトするなんていうのは、非効率的です。
  あと、「金融で稼ぐというが、英語のネイティブでもない日本が、いまさら米英のような国際金融資本を形成できると思うか」と聞いてみてください。本当に頭がいかれている人だったら「そのために英語を小学生からやるんじゃないか!」とか「だから日本はダメなんだ!」とか、訳の分からないことを言い始めると思います。もうお笑いですね。
  テレビに出ている竹中平蔵さんなんかもそうですが、彼らは何を置いてもデマから入るので、都合の悪いことには答えられないんです。だからメディアを使って、イエスマンや相づち役を置いて、一方的に垂れ流すしかやりようがないんですよね。
  まあ、現実の世界ではそういうコミュニケーションが一番力を持っているわけですし、「マスゴミ」などと言われて憎まれる要因でもあると思うのですが。

  焦らずに、相手の反応を探るように質問していくといいんじゃないでしょうか。あと、不要な喧嘩は買う必要ありません(笑)。

  なお、「資源の少ない国だから」関係の話ですが、別に鉄鉱石や石炭を輸入するななどという立場は私も取っていません。
  必要なものを必要なだけ取り入れればいいということです。その購入資金は、内需では回しきれなくなったものを「おすそわけ」する程度で十分まかなえます。というか、そうでなくてはいけません。
  「資源の少ない国だから、ドンドン貿易して、周りの国と一体化していこうよ」とかいう考えは不健全です。入れた分たくさん出せばいいということなのでしょうが、単純化しすぎです。人間だって、一日6000キロカロリー摂取し、その代わりに強烈なダイエットをするような生活をしたら身体が壊れます。その身体というのが「社会秩序」だったり「文化」だったりするわけです。
  アジア共同体ですか・・・こういうこと言う人って、中国がどんな国か何も知らないんでしょうか?当てにする必要ありません。

----------------

  たかさん、こんなところでよろしいでしょうか?

  お知恵を分けていただける方は、どうかコメント欄でご意見よろしくお願いします。

↓これを入れ忘れていました(笑)。
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2008.06.08(Sun)

商人の歴史(8)~安史の乱と商業資本の果たした役割 

 大変長らくお待たせしました。「商人の歴史」シリーズの第8回目です。
  商人の歴史というより、ほとんど中国の歴史みたいになってきてしまってますね。でも、中国の歴史を避けて通れないんで、すいませんがしばらくお付き合い願います。
  さて、確か●前回は、唐の辺境防衛が強化されるに従って、中国国内で貨幣経済が発達していったという話をしました。物資の大量かつ頻繁な移動を伴うので、貨幣による決済でないとやってられなかったということですね。
  その兵力は、府兵制という、近代国家の国民皆兵に似た制度でまかなっていたんですが、今度は軍鎮というシステムに変わりました。府兵制は屯田兵に似た仕組みだったんですが、脱走者が多いわ、だいたい辺境ってのはやせた土地が多いんで、兵員の自給自足という原則が守れなくなって、軍鎮という常備軍に置き換わったんです。
  そうすると、あまりにも長い国境線が災いして、今度は軍鎮の統制が難しくなりました。電話も無線もなかった頃の話ですから、たぶん●今でもお馴染みのこういうケースが連発したんでしょうね。少なくとも、表向きはそういう理由で、軍鎮は悪い奴らだ、ということが言われ出したんでしょう。
  それをなんとかしようと、今度は軍鎮の監視をするための上位組織が生まれました。それが「節度使」です。●こちらのリンクを見てもらえば分かるように、異民族との国境に接するような感じでずいぶんたくさん置かれました。一応軍鎮の監視というのが存在目的なんですが、しだいにその地方の軍政を統括するような役割になっていきました。
  面白いのが、この節度使が保有する兵力が完全な募兵制だということです。つまり、節度使はカネさえあれば勝手に兵士を雇っていいわけです。これだと、密貿易なんかやって金儲けをするやつが勝手に軍事政権みたいなのを作るのを止められるわけがありません。

  そういう中で起きたのが「安史の乱」です。安禄山と史思明が起こしたので安史の乱といいます。775年に起こった反乱なんですが、なんと反乱側が都だった長安を攻め落としてしまいました。
  この反乱を指揮した安禄山と史思明という二人は、中国史を研究している元同僚に聞いたところ、なんとトルコ系だったそうです。名前が漢字だから分からないだけなんでしょうね。
  余談ですが、私がタイムマシンを一回だけ使っていいよ、と言われたら、聖徳太子がいたという時代に戻って、渡来人や豪族の顔を片っ端から写真に撮りたいんです。名前が漢字だから分からないだけで、絶対、日本人ぽくない顔の人が混じっているはずですから。あるいは、髪の毛をもらってDNA鑑定にかけても面白いかも知れませんね。
  トルコ系というのは、今までの唐王朝の中でもかなり異質です。唐の出自は隋と同様「武川鎮軍閥」という、万里の長城の北からやってきて定住した騎馬民族なんですが、それともまた違います。今のカザフスタンとか、ウズベキスタンにいる黄色人種がトルコ系ですね。一応トルコ人もそうなんですが、ペルシアやギリシア、アルメニアなんかと混血が進んでいるので、別に考えた方がいいかもしれません。
  そのトルコ系という異質な人間になんで辺境防衛を任せちゃうのか。日本で言ったら、対馬の警備を中国人に任せてるみたいなもんでしょう。とても危なくて見ていられないと思うんですが、唐の場合はいくつか理由があってそれを許したんだと思います。

  一つは、安禄山たちが現実に力を持っていたということです。要するにカネです。安禄山は西域、今の●東トルキスタンあたりで活動していたシルクロード商人だったんですね。
  シルクロード貿易って、よっぽど儲かったんでしょうね。そりゃ、東西をつなぐ比較的安全な、ここでいう安全というのは、商人が旅行するという意味ですが、そういうところってシルクロードしかなかったんですよ。大航海時代の終わりくらいになって、やっとインド洋航路が開拓されたんです。船が大型になったのと、アフリカ東海岸を牛耳っていたトルコ海軍をポルトガルが叩きつぶしたからなんですが、それまではシルクロードこそ富の源泉だったんです。なんといっても、ものを作らないで、商人たちからみかじめ料だけ取ってればボロもうけです。
  だからこそ、唐も必死になってここの権益を守ろうとしたんです。しかし、権益を直接守るとなると兵士の頭数が足りない。いろいろ仕組みをいじっても駄目だ。それなら、共通の利害を持っている人間に任せてしまおう、と考えたのでしょう。
  で、果たして安禄山が、黄河下流とか長江流域に住んでいる連中、いわば生粋の中国人を採用するかというと、するわけがありません。勝手に募集していいんだったら、自分と同じトルコ系と集めるに決まっています。そりゃ、簡単に反乱を起こされるわけです。

  また、もう一つの理由が、唐という国の仕組みです。●以前の記事で書いたとおり、律令制度というのは、支配者の文化的出自に左右されない普遍性があります。極端な話、安禄山が明日から皇帝になっても問題ないんです。漢文が分かる、もしくはそういう人が周りにいれば、律令制度というのは回していけるわけですから。
  逆に言うと、これを作った唐の政権側は、「素晴らしい仕組みだから他の民族にも応用できるはずだ」と思っていたんじゃないかという気がするんですね。
  日本にも時たまいますが、外国人が低賃金労働者として流入しても、「市民としての義務や日本の法律さえ守れば構わない」という意見の持ち主がいます。だいたい地球市民とか平和人権愛好家だったりするわけですが、大東亜共栄圏みたいな感じで右翼にもそういうのがいたりします。
  彼らに共通しているのは、自分たちの理念は素晴らしいから、外国人にも通用するに違いないと思っているところです。唐は生まれたときから、高句麗一国も服属させられない隋のようなヘタレではなく、シルクロードを力で守るという使命を課せられた王朝だったわけです。だから、歴代王朝の中で唯一禅譲なんていう形で武力によらず天下を取れたのでしょう。そういう国ですから、はじめから無色透明で、グローバルな制度を作らざるを得なかったんじゃないでしょうか。
  まして、唐を担っているのは科挙官僚です。机の上で勉強ばっかりしてきた連中ですから、頭で分かるものしか信じていません。彼らの金科玉条は律令と中国の古典ですが、中国の古典には異民族に防衛を任せるとどうなるか、なんてことは書いていないわけです。だから、リアリティを持って事に当たることができなかったんじゃないでしょうか。

  あと、たぶんこれがいちばん大きいんじゃないかと思うんですが、「兵力が足りないなら、別に外国人を使ったっていいじゃないか」とか言って、皇帝を動かしていた連中がいるんじゃないでしょうか。シルクロード商人と、それと結びついた政権側の人間です。連中にとっては中国がどうなろうと知ったことではないんです。自分たちが安全にシルクロードを旅することができればそれで構わないからです。
  商業資本というのが、基本的に権力者の持っている余剰生産物をさばく役割を担うことで登場したという出自からして、いつの時代でも権力と商人が近い場所にいたというのは間違いないと思います。このときもそうだったんじゃないかということです。
  これは、ちゃんと記録に残っていることでもあるんです。安禄山は唐の宰相である「李林甫」という人と仲がよかったんですが、この人物の縁でかの有名な楊貴妃や玄宗皇帝にも取り入っています。
  この李林甫という人物こそ、安史の乱の最大の原因、というか、唐王朝をめちゃくちゃにした張本人といってもいいと思っています。李林甫は唐の太祖(一代皇帝)の家系に属する人なんですが、唐というのは何度も言っているように合理的かつ普遍性のある制度ですから、昇進もフェアで、軍功を挙げた軍鎮の司令官が中央で出世するという慣例があったんです。
  それが、創業者一族だった李林甫には気にくわなかったんでしょうね。なんと、節度使に異民族である安禄山を投入したのは彼なんです。たぶん、安禄山一派とグルだったんじゃないでしょうか。
  外国資本と手を組んで、旧来の勢力を駆逐しようとする連中は、古今東西その国の最大の癌であるといういい証拠です。日本に置き換えると、唐の太祖が児玉誉士夫や笹川良一のカネで自民党を結成した岸信介、安禄山が米英の金融資本や韓国系のパチンコ資本、軍鎮出身の政治家が小沢一郎さんや亀井静香さんっていう感じでしょうか。李林甫は、もう誰か言わなくてもわかりますね。
  自分の権力のために外国人と手を組むと、痛い目に遭うということです。李林甫は官位を剥奪、身分を庶民に落とされた末に、子孫まで僻地に流されたらしいです。日本の李林甫はどうなるんでしょうね?(笑)
  もっとも、李林甫だけを責めるわけにはいきません。異民族に防衛という重大事を丸投げしてしまうことを、当時の皇帝や科挙官僚、宦官などの政府中枢はあっさり認めてしまったわけですから、彼らにも責任はあります。誰か一人だけを売国奴と認定して葬る、こんなことで満足したから、宋代になってもっと大変なことになってしまいました。徹底的な反省が必要な問題です。

  で、安史の乱は8年くらい続くんですが、さすがに古代の軍隊では長安を征するのが精一杯でした。唐の政府中枢は四川省に逃れて、反撃の機会をうかがいました。結局、安禄山一族や、その跡を継いだ史思明一族の内紛があって、唐は長安を奪い返すことができました。
  しかし、実は反乱軍を破ったのは唐の軍隊じゃなかったんです。なんと、鎮圧に外国の軍隊を使ったんです。その外国というのは、「ウイグル」という遊牧国家です。
  ウイグルは、安史の乱の鎮圧前から唐とは友好関係にあった国です。唐王朝ができた頃、突厥という強力な騎馬民族がいました。ウイグルは突厥の西側にいた部族で、唐が突厥を叩いてくれたおかげで勢力を伸ばしました。たぶん、唐も突厥を牽制する役割を期待していたんでしょう。
  その後、ウイグルは8世紀中頃に大帝国を築くことができました。ウイグルが突厥を滅ぼしたのは751年ですから、安史の乱と時期がよく似ていますね。建国の熱気が冷めないうちに、唐に援軍を送って、安史の乱を鎮圧したのです。
  実は、この時期にちょうどウイグルは遊牧をやめて定住し始めるんですが、そのバックには「ソグド人」という連中がいました。マニ教という宗教を信じている部族で、なんともっぱらシルクロードで商人をやっていたそうです。ウイグルの行政機構もソグド人が担っていたらしいです。
  もしかしたらこのソグド人が安史の乱やそれに続くウイグルの介入も、全てプロデュースしていたっていうことはないでしょうか。だって、後にも言いますが、安史の乱で一番得したのはウイグル、中でもその商業を担っていたソグド人なんですよ。
  まあ、こういうことを話し始めると陰謀論めいてくるので、このへんでやめておきましょう。(笑)。

  当たり前ですが、安史の乱鎮圧後、ウイグルは唐に対して政治的に有利な立場に立ちました。たぶん、見返りを具体的に提示してたんじゃないでしょうか。唐の対ウイグル貿易はすさまじい赤字になってしまったということが知られています。貿易というより、貢ぎ物というのが実態だったのかも知れませんね。
  外国人の反乱を、外国人で抑える。「夷を持って夷を制す」なんていえばかっこいいですが、実態はこんなもんなんです。後で出てくる宋王朝もそうなんですが、中国人は外国というものを「自分たちの理念通りに動く道具」みたいに勘違いしてきた節があります。
  そういう中国人の行動様式を説明するのに、「中華思想」なんていう言葉が使われたりします。唯我独尊の態度をさして使っている人が多いみたいです。私もそう思っていたんですが、はっきり言って誤用です。中華思想というのは、そうやって異民族に頼らなければ国を維持できなかったこと、さらには少なからず二度にわたって異民族に支配されてしまった恥を覆い隠すための考え方なんじゃないでしょうか。
  つまり、マイナスの意味のグローバリズムです。「我々は異民族に屈服したように見えるが、実は違う。我々が異民族を飲み込んだのだ。なぜなら、中原は世界の中心であり、辺境は本来であれば中国に属すべき土地なのだ」と、支配された恥をごまかすための方便だったんじゃないかということです。
  程度の差こそあれ、漢の時代もそうだったのかもしれません。しかし、それが本格的に固まったのは、唐の時代だと私は思っています。
  なぜなら、唐の時代に初めて律令制度をもって異民族に接したからです。普遍的な仕組みは、必然的に能力のある外国人を呼び込みます。理念的にはそれでいいんですが、実態は絶対に齟齬が起こります。安史の乱みたいな混乱を招くこともあるでしょう。
  そして、そういう仕組みで得をしているのは、国民なんかではない、安禄山やソグド人みたいな商人なんです。これは絶対に忘れてはいけません。商人の利益が、国民にとっての利益になるとは限らない、むしろ対立する場面も多いということです。

  このまま行くと、続編で宋王朝の話をするのが流れとしてはいいのかもしれません。しかし、実はヨーロッパで取り上げておきたいところがいくつかあります。西洋か東洋か、どっちにしようかちょっと迷っています。
  まあ、たぶんこのシリーズ自体次にいつになるか分かりませんから、どっちになるか楽しみにしながら、気長にお待ちください。それでは、今日はこの辺で失礼します。

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2008.06.05(Thu)

【小泉新党に】衆院選で、国民経済派を勝たせよう【天誅を!!】 

  小泉新党の話題を取り上げてきましたが、その締めくくりとして「総選挙後」の政治について見通しを立てておきたいと思います。

国民経済派の弱点は「年齢」

  私が●この記事で書いた選挙戦略や、●前回の記事で述べた投票の方針がもし実現されれば、衆議院でも野党が過半数を取ることは間違いないでしょう。
  そうでなくても「平沼新党結成」や「津島派の反乱」は十分に起こりうるシナリオであり、参院選に続いての野党勝利の可能性は高く、小沢一郎・民主党代表が首相に選ばれることはほぼ決まりです。
  しかし、それでも本当の意味で危機が去ったとは言えません。それは、国民経済派の指導層の年齢が、あまりにも高齢だからです。以下のリスト(敬称略)を見れば歴然です。
  
<国民経済派>

  亀井静香  1936年11月1日生まれ、72歳
  亀井久興  1939年11月8日生まれ、69歳
  綿貫民輔  1927年4月30日生まれ、81歳
  小沢一郎  1942年5月24日生まれ、66歳
  平沼赳夫  1939年8月3日生まれ、69歳
  鈴木宗男  1948年1月31日生まれ、60歳

<グローバル経済派>

 小泉純一郎 1942年1月8日生まれ、66歳
 安倍晋三   1954年9月21日生まれ、54歳
 前原誠司   1962年4月30日生まれ、46歳
 枝野幸男   1964年5月31日生まれ、44歳
 小池百合子 1952年7月15日生まれ、56歳


  要するに、グローバル経済派としては、今は揺り戻しが来て国民経済派に政権を明け渡しても、巻き返すチャンスは十分に残されているということです。
  そして、その間に、国民経済派を痛めつけておくのです。手伝うのは、「外国」と「メディア」です。おそらく、以下のような事態が起こることが予想されます。

▲外資による日本株の浴びせ売り
▲アメリカ政府による「カイカクの要望」という形での外圧 
▲外国マスコミを経由した日本バッシング
▲中国や北朝鮮による安全保障政策上の脅威(特に後者)
▲官僚や政治家の汚職に対する執拗なキャンペーン
▲「このままでは日本は駄目になる」という誤った認識の宣伝
▲これに乗じた旧社会党勢力の連立政権離脱、グローバル経済派との連携


  これらは全て田中角栄が政権の座にいてから、ずっと日本に対して行われてきた「攻撃」です。それが、またぞろ復活するということです。
  国民経済派が日本国内での富の循環を復活させようと思えば、今よりも保護主義的、内向きの政策を採らざるを得ません。それを「世界に背を向けている」「国際社会と協調していくつもりがあるのか」などというメッセージが、繰り返し発信されることは間違いありません。我が国のマスコミは、グローバリストやアメリカ政府のPR装置みたいなもの(郵政民営化に対する各新聞社のスタンスなど好例)なので、必ずそういうことをやってきます。
  そうしておいて、日本国民の利益を第一に考える勢力を完膚無きまでにたたきのめしておき、若い世代のグローバル経済派に天下を取らせるわけです。おそらく、前原はその辺まで考えているでしょうし、安倍がさっさと首相の座を明け渡した本当の理由もそこにあると私は考えています。
  おそらく、彼らに入れ知恵をしている小泉もそうアドバイスをしているのではないでしょうか。いわく「自民党では日本のことを第一に考える老人どもが前につっかえていてなかなかチャンスが回ってこなかった。君もあと10年先を見て、今から私のやり方をよく学んでおくといいだろう」という感じに。
  もちろん、これが杞憂に終わることが一番でしょうが、不幸にも私の「予想」通りに事が運んでしまった場合、もう日本に立ち上がる余力が残っているかどうか・・・。
  
マスコミに踊らされてはいけない

  国民経済派が政権を取った場合、私が一番おそれているのが「郵政民営化フィーバーの再来」です。
  別に、小沢氏や平沼氏が政府機関の民営化をネタに国民をあおるというのではありません。マスコミの音頭によって、国民がみな一つの価値観に乗っかってしまうことが恐ろしいと思っているのです。
  国民経済派の弱みは、年齢であるとともに、もともと自民党の「利権政治家」であるという点です。おそらくグローバル経済派はここを徹底的に突いてくるに違いありません。女性政治家ということで反撃を躊躇してもらえる小池百合子あたりが、その役に適任でしょう。(メディアへの露出が多いのもその伏線)
  今はまだ国民がカイカクという麻酔なしの外科手術に嫌気がさしているからいいものの、それが一段落したらきっと袈裟にかかって攻撃を開始します。そして、その時のネタは「政治家・官僚の汚職」だということは間違いありません。
  大きな組織は少なからず澱んだ部分や腐った部位を抱えているものです。人間の身体が年とともに悪い箇所が増えていくのと同じです。これは、日本の官僚機構や政党も例外ではありません。小泉一派や前原などに汚点がないように見えるのは、マスコミが取り上げていないだけです。
  特に、いまだに保護されている産業や他の仕事と比べて一目置かれている業界、たとえば「弁護士」や「医者」や「農家」あたりは、間違いなくマスコミの攻撃の標的にされることでしょう。

  こういうことを考えると、是非皆さんに心得ておいてもらいたいのは、

★政治家に過度の清廉さを要求しないこと

  この忠告は、今自民党を叩いている潔癖な人々について特に当てはまります。そういう人は多かれ少なかれ「あまのじゃく」なところがあるので、常に反体制のスタンスを取りたがるものだからです。
  清廉な政治家だから役に立つというわけではありません。カネや利権が動くところは、少なからず汚れているものなのです。
  かつては利権を駆逐しろというかけ声で、地方の土木予算などがどんどん削られました。それが今ではどうなっているか、皆さんはちゃんと知っているのでしょうか。構造改革の名の下に「無駄」なバラマキを削減しても、国債の残高は全く減っていません。
  なぜでしょうか。削った分、外資やグローバリスト企業がその利権を拡大しているからです。丸ビルや東京ミッドタウンのような「都市再生事業」や「神戸空港」(●こちらを参照)のような大型土木事業、さらには「大企業向けの減税」や「異常な額の外為介入」などがその例です。
  結局、利権の追放の名の下に行われたのは、グローバル経済派、もっと具体的にいえば自民党清和会と創価学会への利権の付け替えに過ぎなかったのです。
  マスコミが異常な熱意を込めて行うバッシングには必ず何か理由があります。そういうものに乗ってはいけません。
  また、国民経済派も、自民・公明政権が残した「おいしい利権」に飛びついてはなりません。あえてそういう負の遺産を整理しないのは、彼らの罠です。福田が利権の種を残し、前原や枝野がそれを叩くというマッチポンプは、十分にあり得ることです。

★保護産業を敵視しない、羨まない

  公務員や医師や弁護士、さらには地方の農家などを目の敵にするな、ということです。
  こういう産業は規制に守られているため、マスコミによってバッシングの標的になりやすいです。規制するには理由があるのです。公務員なら公益に奉仕すること、医師なら生命を預かること、弁護士なら法律知識のない一般人の利益を守ること、農家なら自給率を確保すること・・・規制の中身が妥当かどうか議論するならまだしも、「規制で保護されている特権階級」という認識ばかりマスコミが広めていることには怒りを抑えることができません。
  一番注意してほしいのは「林業」と「水道局」です。グローバリスト、特に国際金融資本が次に狙っているのは、あと数十年で本格的に枯渇する「淡水」だからです。要するに、日本の豊かな水源林を支配して、中国や東南アジアなどにボトル詰めにして売り出してやろうと考えているということです。
  すでに彼らは世界各地の水道事業を民営化させることに成功しています(●ボリビアが典型)。水道局、林野庁や営林署などのスキャンダルが出てきたら、まず間違いなくこれだと疑っていいでしょう。松岡大臣が「変死」を遂げたのも、●緑資源機構を潰すためではなかったかと思っているくらいです。

★政治家を英雄視しない

  面識もない政治家に夢を託して、勝手に偶像に祭り上げるのをやめろということです。メディアが意図してやっているかもしれないからです。
  特に安倍晋三や麻生太郎といった政治家のファンに多く見られる傾向ですが、彼らは目当てのアイドルが失策を犯しても、「敵対勢力が足を引っ張っている」「マスコミの陰謀に違いない」と自分を洗脳してしまい、批判を加えないことです。これでは、教祖様が絶対だと信じておかしな行動に走るカルト信者と何が違うというのでしょうか?(まあ、最近そこまでひどいのはさすがに少なくなったみたいだが・・・)
  こんな支持者にばかり囲まれたら、どんな素晴らしい政治家も裸の王様になってしまうに決まっています。麻生氏はそれほど馬鹿ではなかったようですが、安倍などは本当にブログや掲示板に書いてある応援メッセージを「国民の声」だと勘違いしていたのかもしれません。
  私が小沢氏や平沼氏に期待しているのは、現時点で政治家としてグローバル経済派の阿呆どもに比べて、明らかに私を含めた国民にとって「まし」だからです。彼らは少なくともアメリカかぶれの学者の言を鵜呑みにしたり、外資のファンドやアメリカの政治家が発信する電波を受信しておかしな言動をしたりという「実績」がありません。彼らにヤクザや利権ゴロがくっついているとしても、清和会のほうは表に出さない分もっと悪質です。
  もし小沢氏や平沼氏が日本国民の利益を無視し、外国や一部企業の利益だけを図るようになったら、私は真っ先に非難します。彼らは私のアイドルでもなんでもないからです。

国民経済派の後継者の育成を

  上記のような指導者の年齢に対する懸念があるとすれば、やらなければいけないことは一つだけです。国民経済派の後継者を育てることです。
  国民経済派の政治家と言えるための条件について、私は以下のように考えています。

(1)国内での経済循環を重視している(内需を重視する)
(2)グローバリストに偏った利益誘導をしない
(3)外国との友好親善、国際社会での地位向上は「方便」であると割り切れる
(4)国民や地域住民と一蓮托生だという意識がある


  要するに、「外国への輸出に傾斜して国民の雇用や利益を無視し」「グローバリストへの利権誘導を積極的に行い」「外国との提携を国内での不人気の代替物として重視し」「郷土や祖国をないがしろにする」清和会や前原一派と逆の人間でなければいけないということです。
  (1)は最も重要です。経済とは人間社会の営みそのものであり、これを犠牲にしてまで達成しなければならないものは何もありません。領民を食わせていけない殿様など、有害無益です。
  (2)について言えば、グローバリストを過度に敵視してはいけないということです。内需の充実があって初めて外需による黒字の意味があるということを、トヨタやキヤノンのような企業に理解させようとする姿勢があれば十分でしょう。グローバリスト企業といえども従業員は日本人であり、顧客も日本人なのです。粛正やリンチがあってはいけません。
  ただし、「経済財政諮問会議」で民間議員として発言していた奥田や御手洗などの人物には、それ相応の責任を取ってもらわなくてはいけません。企業利益の追求のためとはいえ、彼らが売国行為を行っていたことは事実だからです。
  「外資」「国際金融資本」についても同様です。彼らにもそれ相応の便宜は図ってよいと思いますが、今のような国政への露骨な干渉(たとえば●対日投資会議●アメリカの年次改革要望書など)は禁じるべきです。政治献金やメディアへの干渉など論外でしょう。
  (3)についてですが、どうも日本人は上から下まで、自分たちの国際的な活動は「外国人のため」「世界のため」などと勘違いしている人間が多いようです。アメリカが世界中に軍隊を配置しているのも、イギリスが英連邦を主宰しているのも、全て自国の利益のためです。日本人の持っている富や利益をマイナスにしてまで、外国に奉仕する必要などありません。
  それにも関わらず、やたらと世界への貢献や特定の国との友好を協調する人間たちがいたら、グローバリストからカネをもらっているか、真性のバカだと思って構いません。自国が生き残らずして、どうして外国のことなど考えられるでしょうか。日本人同士の人間関係で、いつもいつも感謝されなくても生きていくのに支障がないように、国際社会でも基本的に「つかず離れず」で十分なのです。
  左翼はもちろんとして、右翼にも大東亜共栄圏みたいな「大アジア主義」を信奉している人間がいるようです。そういう人間を指導者にしてはいけないということです。

  ここに、「近代的経済システムや貨幣経済に限界があることを理解している」という条件が加われば、その人物が21世紀の日本を支える人間になることでしょう。
 
  そういう人物が眠っていそうな場所を挙げておきます。

★地方議会議員

  基本的に地元の利益を第一に考えているからです。日本人の暮らしを無視して「国際競争力」だの「世界への貢献」などと言っているバカより遙かにましです。
  地方議会を味方につけるために、今度の選挙で与党を死に体(安定多数割れ以上の戦果を挙げること)に追い込んだら、今度はゾンビ状態になっている自民党の地方組織をそっくりそのまま国民経済派に寝返らせるというのはどうでしょうか。国民新党の綿貫代表は、自民党員獲得ナンバー1だったそうですから、そういうノウハウは持っているはずです。
  もちろん、「新党大地」や「そうぞう」といった地域政党、それに市町村議会に確固たる勢力を持っている共産党にもいい人材はいるはずです。必ずしも与党になれなくても、自分たちの地方や地域の利益のために議論できればいいのです。右だとか左だとか、保守だとか革新だとか、そういう区別は意味がありません。

★国家のために活動できる官僚

  グローバリストには「アメリカ留学組」「アメリカや中国の息のかかった学者」「マスメディア」といった強敵がいます。地方議会出身者だけでは、その辺の攻撃は耐えられません。そこで、法律や行政手続きに通じた国会議員が必要になります。官僚出身者は、もっとも適任です。
  特におすすめなのは「経済産業省」と「農林水産省」出身者です。この二つの省庁は国内の二次産業と一次産業に利害を持っているため、まず国内経済のことを優先するという行動様式を持っています。
  反対に避けた方がいいのは、「財務省」「総務省」「厚生労働省」あたりです。それぞれ消費税増税などのデフレ財政政策、郵政民営化、混合診療解禁や後期高齢者医療制度という風に、国民に被害を与える政策に携わっています。「文部科学省」も危険でしょう。安倍内閣の教育カイカクをすんなり受け入れたり、大学や各種学校(天下り先)の存続のために、外国人留学生を手引きしたりしているような連中に、まともな国策が作れるわけがありません。
  「国土交通省」や「外務省」は、その人によるでしょう。この二つには、公明党の支持団体である創価学会から大量の人材が入り込んでいるので、その辺をきちんと調査しなくてはいけません。
  私が理想としているのは、●城内実氏(無所属、外務省出身)のような官僚出身者です。郵政民営化に反対して自民党をパージされた人間は、こういう官僚出身者が何人かいます。●小林興起(国民新党、通産省出身)●小泉龍司氏(無所属、財務省出身)がそうです。特に、小泉氏はアメリカの大学の客員教授(みんなこれで籠絡されてしまう)になったにも関わらず、小林氏とともに「三角合併」解禁に待ったをかけ、郵政民営化に反対した議員です。
  メディアにもてはやされたり、ポストを与えられたり、そういう旨い汁を吸おうと思えばいくらでもできたのに、あえて独裁者に逆らい、メディアに袋だたきにされてもその主張を曲げなかった人々です。外国に日本や日本人を売ることを拒否したという、その一事だけで、支持に値すると思うのは、私だけでしょうか?
  逆に、どんなに清廉潔白で、素晴らしい頭脳を持ち、人徳が優れていたとしても、我々を特定の少数者や外国のために犠牲にするとしたら、そんな政治家には一片の価値すらないはずです。

高尚な理念でなくてもいい

  正直、国民経済派のやっていることは、泥臭く、地道で、決して格好がいいものではありません。若者、特に女性には絶対に受けないでしょう。
  それに、利害の調整を担うわけですから、その筋の人間とも腐れ縁ができるかもしれませんし、時には汚いカネのやりとりもあるかもしれません。
  しかし、本当はそんなことはどうでもいいことなのです。利権を完全になくすことなど不可能です。小泉政権になって内閣や与党にそういうものがなくなったように見えるのは、メディアが清和会や公明党を追求しないから、ただそれだけです。●こういうケースなど、ほじくり返せばいくらでも出てくるでしょう。
  国家公務員で言えば、財務省や総務省の役人の小さな犯罪が全く報道されません。グローバリストにとって邪魔でしょうがない農水省の役人がかっぱらいや痴漢をやると必ず報道されるのと対照的です。まさか、財務省や総務省だけは聖人君子が揃っているとでも言うのでしょうか。
  政治家と特定の集団との間の利害関係はある程度仕方ないと割り切るべきです。その上で、どれだけ国民に利益をもたらせるか、日本という国を犠牲にしないか、国民はそれだけを見ていればいいのです。
  私だって今でこそ偉そうに国民経済派の政治家を支持する記事なんか書いていますが、そういう風に考えを変えるきっかけになったのも、「ホワイトカラー・エグゼンプション」(残業代ゼロ法案などとも言われる。詳細は●こちら)という政策を安倍内閣が打ち出した「おかげ」でした。塾講師という仕事は、労働時間が短い(他のことを勉強できる)だけが取り柄の仕事ですが、こんなものが導入されたら、いちおう労基法などを守ろうとしている私の会社でも、いくらでも仕事を押しつけられてしまいます。
  自分が損するのが嫌だ、という単純な動機から、いろいろなことを考えてここまで来たのです。もし、あれがなかったら、きっと今でも「なんか違うな」と思いながら、愛国や保守という立場を貫くために、強弁を重ねていたことでしょう。自分にお鉢が回ってこないにもかかわらず、公務員だの医者だのをバッシングしていたかもしれません。(ちなみに、日教組は今でも大嫌いですが、そういう人がいてもいいとは思っています)
  そういう私の立場を卑しく思う人もいるかもしれませんが、そう思っていただいて全く構いません。卑しい発想をするようになって、見えてきたものがたくさんあるからです。
  それに、少なくとも、私は日経新聞や報道ステーションとかいう番組が、「日本は国際競争力が足りない」と言ってきても、動じない自信があります。そんなものを崇拝する必要がない根拠も、胸を張って言うことができます。メディアが垂れ流す情報を鵜呑みにして、小泉や安倍のやってきたカイカクを、イメージや(日本はダメだという)先入観で肯定したりはしません。

  まず、自分が生物としてどうやって生きているのか、これからどのようにして生きていくだろうか、高尚な理念なんていいですから、そこから考えてみてください。「この政治家は支持に値するだろうか」「我々を騙そうとしていないだろうか」「自分や家族の生活は少しはマシになるだろうか」、そういう問いかけが、必ず生まれてくるはずです。
  そして、その問いかけを常に忘れないことです。そうすれば、必ず国民経済を重視する政治家を見抜けるはずです。
  このブログが、来るべき選挙で、みなさんの「問いかけ」の一助になることを願っています。衆院選が近くなったら、また特集記事を挙げますので、よろしくお願いします。

  次回は、ちょっと政治や経済から離れた話題を扱いたいと思います。肩がこりますからね・・・お互いに。

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2008.06.02(Mon)

【自END】今度の衆議院選挙は、こんな感じでどうでしょうか? 

  今回は、●前回までの記事を踏まえて、有権者として誰に投票すべきかという点について論じてみたいと思います。

  本記事より、記事本文に見出しをつける形式に変更しました。見にくいかもしれませんが、わかりやすさと、文章が散漫にならないためのものですので、ご容赦ください。

政治家や政党の価値とは?

  どうも、このブログを初めてご覧になった方から、「日々是勉強には思想や信条の一貫性がない」というご指摘をいただくことが多いようです。特に、政治に対する考え方が、保守なのか革新なのか、右翼なのか左翼なのか、経済右派なのか経済左派なのか、そういう点が曖昧で、明確な立場を取っていないことが気になるようです。
  これについては、全く指摘の通りだと思っています。このブログはgooからFC2へ引っ越していますが、引っ越し以前の私の記事を見れば、「ネット右翼」だと取られても仕方のない面もあります。安倍や小泉についても、消極的ながら支持をしていましたし、麻生氏を最も評価すべき政治家だとしていた時期もありました。
  しかし、今となってはそういうスタンスは誤りだったと認めざるを得ません。なぜなら、そういった政治家に国家の運営を任せていて、何一つ国民生活がよくなった試しがないからです。いかに外敵に対して(表面上)勇ましいことを言ったりやったりしていても、経済がだめになり、国民がまともに生活できなくなるなら、そんな政治家はいらないということです。

  そう考えると、この「国民生活をよくするかどうかで政治家や政策を判断する」というのが、このブログの唯一の政治信条だとご理解いただくといいかもしれません。

  別に国防はどうでもいいとか、外交は重要ではないなどというつもりはありません。ただ、そういうものは目的ではなく手段だということです。
  このブログがグローバリストや中国を叩いているのも、資本主義を悪だと見なしているからでも、中国人を差別しているからでもありません。彼らの活動が、我々の生活を浸食しているからです。輸出企業が今のようなデフレ推進策をやめ、中国人が中国大陸で普通に生きていくというのなら、私は明日からでも彼らに対する攻撃的な言論をやめます。
  もちろん、そういうことは自民党や公明党という政党についても言えるのです。
  このように、このブログのスタンスというのは、政治思想の面から見れば全く一貫性はなく、「卑しい」とか「次元が低い」ものに見えると思います。それはそれで構いません。
  その上で、今までの記事や、今回の記事も、いかに「役に立つか」という点で評価していただければと思います。

国民新党、共産党を支持しよう

  もう聞き飽きたかもしれませんが、私は原則としては「●国民新党」、もし左翼的な思想を持っていて、憲法9条をどうしても守りたいなら「●日本共産党」に投票するべきだと思っています。
  国民新党を推す一番の理由は、富の国内還流を最重要視している政党だからです。たとえば、こういう趣旨のコラムをいくつも発信しています。

倹約だけでは実現されない財政再建
http://www.kokumin.or.jp/column/20060906.shtml
--------以下引用--------

いきなりだが、毎月の収入が50万円、支出が80万円の農家があったとしよう。やり繰りするため、毎月30万円もの借金が必要とされる。平成18年度の国の歳入は約50兆円、歳出は80兆円だ。政府はこれから5年間で政策経費の財政収支(プライマリーバランス)を黒字にするという。すでに地方への交付金などは大幅に締め上げられ、国民に新たな負担も強いてきた。なのにさらに15兆円近くの歳出が削減され、増税も図られる▲財政再建に異議を唱える者は皆無に等しい。無駄な経費を切り詰めなければならないことも、当然だ。だが、15兆円の歳出削減は、並大抵のことでは実現できない。すでに悲鳴をあげている地方への交付金をさらに絞り、役人の首を切り、医療や福祉のコストを大幅に削っても、まだまだ足りまい。机上の計算では可能でも、現実には不可能に近い数字だ。削減額と国民へのシワ寄せは、比例の関係にもある▲百歩、いや五百歩ほど譲り、政策経費の財政収支が黒字化できたとしよう。だが、それで問題が解決されるわけではない。国の公債残高は600兆円以上に達し、その他の借金を含めるとさらに膨れ上がる。冒頭の農家でいえば、毎月の借金の他に6000万円以上のローン残高があるのと同じことだ。金利が上昇すれば、この金額はさらに増える。歳出の切り詰めそのものにも限界はあるし、切り詰めるだけでは本体の借金の返済まで到底行き着かない▲もしも件の農家であれば、借金を減らすため、どうするか。倹約を重ねるだけでは、元金の返済など夢のまた夢だ。だから無駄な支出を減らしながら、必要な分野に積極的に投資し、収入を増やすだろう。たとえ新たな借金をしても、土地を買い、市場力の高い作物をつくれば、十分に元は取れる。ローンの返済だって可能になる。治山にしても治水にしても、さらには生活環境にしても、国民にとり、公共投資が必要な分野はまだまだある。いたずらに財政を切り詰めるだけでは、何の解決にもならない。むしろ種をまき、収穫を増やすことこそ真の財政再建につながるし、国民生活のためにもなる。

--------引用以上--------  

  私は経済学を専門にやっている人間ではないのですが、それでも各国の歴史を見てみると分かるのは、「ある国や地域の最大の経済主体は国家である」という事実です。
  人間や企業の活動の成果=利益を税金という形で吸い上げ、それを適切な時期に適切な用途で用いるというのが、政府や国王や貴族といった公権力が持っている「財政」という機能なのです。●自然界の炭素循環と同じで、どこかで不自然にため込んだり、摂取する量が劇的に減ったりすれば、社会がうまく回らなくなります。節約すればいいというわけではないのです。
  そういうことが分かっているのは、この政党ぐらいしかないのではないか、というのが正直な実感です。
  さらに、国民新党は公約として、「経済財政諮問会議をはじめとする各種会議・審議会の抜本的見直しを図る」ことを掲げています(●こちらを参照)。「農地の大規模化・企業参入」「米の商品取引解禁」「外国人労働者の導入」「消費税増税」といった危険な政策の出所が全て経済財政諮問会議だということを考えれば、妥当な判断でしょう。
  私が民主党を嫌いなのは、なるべく楽して政権を取って、こういう自民党が作った日本破壊装置みたいなものを、そっくりそのまま利用してやろうという魂胆が見え見えだからです。

  共産党ですが、はっきり言って私はこの政党の「教育」や「安全保障」に対する考え方は生理的に受け付けません。
  しかし、労働者の保護や、医療制度の改悪に対する反対という点では、この党よりしっかりとした根拠をもって与党を批判できる政党はありません。そういう点だけでも「役に立つ」のです。たとえば、よくネット上で紹介されているのが、これです。

日雇い派遣 総理の基本認識を問う(共産党・志位書記長の国会質問)
http://www.youtube.com/watch?v=P6dyNP6J0G8

  こういう質問こそ、国会議員がすべき質問です。彼らをイデオロギーが違うからと敵視するだけでは、グローバリストの思うつぼでしょう。
  グローバリスト、なかんずく外国の勢力は、国論が左右に分断されて、つぶし合いをすることを望んでいます。幕末に佐幕派と勤王派が妥協のない殺し合いをしたような状況を待望しているのです。そして、その間に日本の経済を完全に支配してしまえ、というわけです。
  そういう点では、主義主張をさておいて、共産党が「野党共闘」と称して国民新党や小沢一郎氏と手を組んだことは、大いに評価すべきです。「民主党よりまし」と言って安倍や自民党を支持し続けているイデオロギー馬鹿より数百倍まし、というより、比較するのも失礼かも知れません。

最悪を避けるために
  
  もし、この二つの政党の候補者がいないとしたら、どうすべきでしょうか。衆院選は6割強が小選挙区ですから、国民新党の候補がいなかったり、共産党に入れても到底勝ち目がないという場合は多々あります。
  そういう場合は、民主党や社民党に入れるしかないでしょう。それこそ「自民党よりまし」です。自民党が安定多数、または絶対的安定多数を衆院で占めれば、今続けている日本経済破壊政策はずっと継続していきます。その上で、2010年の参院選でグローバル経済派が巻き返したりすれば、日本は本当に危機に陥るでしょう。
  右翼や保守を自称している方は、こういう政策をすぐにでも実現させようとしている政党と、まだ野党である民主党内ですら意見が割れている外国人参政権と、どちらがましかよく考えるべきでしょう。次の選挙で自民党が安定多数を占めれば、間違いなく実行される政策です。

自民、外国人定住へ基本法・「移民庁」設置など検討
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080506AT3S0201E04052008.html
--------以下引用--------
 自民党は外国人の定住を推し進めるための基本法制定の検討に入った。日本で一定期間働く外国人の受け入れや管理政策を担う「移民庁」を設置するほか、不当な低賃金労働などが問題となっている外国人研修・技能実習制度を抜本的に見直す。少子高齢化による人口減少の流れを踏まえ、海外からの人材確保体制を強化する。来年の次期通常国会への提出・成立を目指す。

 自民党の国会議員約80人で構成する外国人材交流推進議員連盟(会長・中川秀直元幹事長)が今月中旬に提言をまとめる。ただ、政府・与党内には治安や国内労働問題から慎重・反対論もある。
--------引用以上--------

  最悪を避けるという視点で言えば、今回の選挙は自民党に勝たせてはならないという結論になります。

この人に入れると危険!

  しかし、民主党の候補でも、絶対に入れない方がいいという人間がいます。グローバル経済派である「前原誠司とそのシンパ」です。
  これらの議員は、たとえ民主党が衆院選で勝利を収めたとしても、経団連や外資の意をくんで(つまり、小泉や安倍の後継者として)売国的な政策を推進する可能性が高い議員たちです。名前と選挙区を紹介しておくので、参考にしてください。

安住淳(宮城5区)  枝野幸男(埼玉5区)
大島敦(埼玉6区)  細野豪志(静岡5区)
渡辺周(静岡6区)  古川元久(愛知2区)
田島一成(滋賀2区)  馬淵澄夫(奈良1区)
前原誠司(京都2区)  泉健太(京都3区)
山井和則(京都6区)  長安豊(大阪19区)
津村啓介(岡山2区)  仙谷由人(徳島1区)

近藤洋介(比例東北・山形2区)   神風英男(比例北関東・埼玉4区)
小宮山洋子(比例東京・東京6区)  長島昭久(比例東京・東京21区)
笠浩史(比例南関東・神奈川9区)  村井宗明(比例北陸信越・富山1区)
田村謙治(比例東海・静岡4区)  北神圭朗(比例近畿・京都4区)
松本剛明(比例近畿・兵庫11区)  松本大輔(比例中国・広島2区)
三谷光男(比例中国・広島5区)  高井美穂(比例四国・徳島2区)
小川淳也(比例四国・香川1区)  大串博志(比例九州・沖縄・佐賀2区)


  こういう議員がいるところは、共産党などの候補者に投票すべきです。惜敗率(小選挙区でどれくらい票を集めたかを示す率で、高いと比例での復活当選がしやすくなる)が低くなれば、比例代表での復活当選も難しくなります。
  さすがに前原や枝野、渡辺周あたりは厳しいでしょうが、長島、小宮山、笠といった日本会議や統一協会(清和会のバックでもある)の息のかかった議員は、軒並み比例で復活した口です。
  もし復活当選しても、比例議員は別の政党に移ることができなくなる(公職選挙法99条の2第1項)ので、小沢氏が執行部にいる限りは自由に身動きを取ることができない「死に体」になります。やってみる価値は十分あるでしょう。

  ただし、相手の議員が「町村派」「小泉チルドレン」である場合は、どっちにしろ売国派なので、自民党ではないこれらの議員に投票すべきです。仕方がありません。逆に、「津島派」や「伊吹派」ならば、小選挙区は是非とも勝たせましょう。

  申し訳ありませんが、時間がないので、それでも私が懸念していることは次回の記事に回します。もう少しお待ち下さい。

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