高速増殖炉という夢の、終わりのはじまり(3)
もんじゅ:撤去装置、調査へ 落下との関係詳しく--原子力機構 /福井
http://mainichi.jp/area/fukui/news/20110702ddlk18040659000c.html
高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)で、原子炉容器内から24日撤去した炉内中継装置(長さ約12メートル、直径46センチ、重さ3・3トン)について、日本原子力研究開発機構は1日、装置の分解・点検作業を4日ごろから約10日間の日程で始めると発表した。撤去の際に装置下部の擦り傷などを確認しており、落下との関連を詳細に調べる。
機構によると、装置下部の「回転ラック」と呼ばれる燃料の受け渡しをする板状の機器に、擦り傷や摩耗した痕跡が見られた。また、回転ラックの駆動軸(長さ約10メートル、直径約16センチ)が通常よりやや下方にずれていることも確認したという。装置に付着したナトリウムを洗浄しており、分解点検して欠落した部品の有無、容器内の機器損傷を調べる。
また機構は、落下の衝撃で変形した同装置の接合部などの写真を公開した。外側にせり出すように変形してすき間が開いており、留めていた8本のピンは抜け落ちていなかったという。
ものすごく気になるのは、その中家機器が落ちた方の原子炉内部がどうなっているか、全く情報が出てこないことです。そんな状態で「もんじゅ」の運転を再開していいものなのでしょうか?
7 成功は「義務」
高速増殖炉がどれだけ危険だということは、もはやみなさんにはお分かりだと思う。問題はなぜそれにも関わらず、この「超ハイリスク・ノーリターン」の装置を、政府や関係者は稼働させようとするのか、という点にある。
この問題に関しては、根本的に、「もんじゅ」の廃炉が決まったらどうなるか、という仮定から考えてみると分かりやすい。
もし、「もんじゅ」が廃炉になるとすれば、理由は一つしかない。危ないからだ。
おそらく、原子力関係者は「もんじゅ」は構造上よくないところがあったのでうまく行かなかったとか、想定外の部品の傷みがあったとか、いろいろ言い訳を付けて、高速増殖炉そのものは間違っていないという主張をするだろう。しかし、国民はそういう風には受け取らない。
プルトニウムを作り出して将来の核武装にするという、まだマシな言い訳も、それを高速増殖炉でやる必然性がないと反論されてしまえばおしまいだし、何よりいきなり核武装を論点にされて国民が納得するわけがない。
とすれば、もう今後日本で高速増殖炉は国費を投入して研究すべき対象ではなくなる。
これによって、従来型の原発から出てくる核廃棄物、すなわち劣化ウランとプルトニウムを処理する方法は事実上なくなる。原発を運転する限り、どんどん核廃棄物が貯まっていく。
そして、捨て場はどんどんなくなっていく。超有害なアルファ線を出す放射性物質である。燃やしても意味がないし、野ざらしにすれば雨で土壌を汚す。
やがて、核廃棄物を置く場所すらなくなっていき、日本の原子力政策は完全に行き詰まる。
そういう事態を見越して、日本政府は、ご主人様のアメリカと組んで、これ以上にない野蛮な行いに出ようとしている。
日米がモンゴルと核廃棄物管理で協議-使用済み燃料の移送は否定
http://jp.wsj.com/Japan/Economy/node_233870
しかし、こんな弥縫策は相手国に反対されればおしまいだ。カネで籠絡できるうちはいいが、政権が反原子力に傾いたらどうするのか。
それに、モンゴルまで核廃棄物を輸送する時に決して良好な関係にないロシアや中国の領内を通らなければならないわけだ。途中で何かあったらどうするのか。安全保障上大いに問題があるのだ。
だから、国外に核のゴミを押しつけることもできないし、やるべきではない。
結局、何をやってもいつか原子力政策は行き詰まる。それも、比較的短期間にそうなる。高速増殖炉という、当面のゴミ処理方法がなければ。
だから、「もんじゅ」は成功させなければならない。いや、正確に言えば、成功するということにしていつまでも運転を続けなければならない。そうしなければ、原子力政策はその正当性を完全に失うことになる。
8 いわゆる既得権益について
言い換えれば、高速増殖炉という「夢」の終わりは、いわゆる原子力村と言われる人びとの終わりのはじまりも意味するということである。
たとえば、「もんじゅ」を運営するために、国内の原子力関連企業が「高速炉エンジニアリング」という会社を運営している。
http://www.fbec.co.jp/gaiyou.htm
もんじゅは運転していなくても、1日につき5500万円ほどの経費がかかる。そういう経費の何割かは、原研(日本原子力研究開発機構)や上のホームページに出ている企業の「あがり」になる。
もんじゅ一つですらこの有様なのだから、全国に54基ある原発においては何をか言わんや、である。
このような受益関係は、一度できてしまうとなくすことが難しい。今まで高速増殖炉経由でもらっていたカネがなくなって、いい生活ができなくなるのが困るという人もいるだろうし、もっといえば生活そのものが成り立たなくなるという人もいるに違いない。
しかし、「もんじゅ」が一度事故を起こした時の損失を考えれば、我慢してもらうしかないだろうし、雇用対策や地域振興というなら別の名目でもやれる。なんなら、廃炉を公共事業にしてしまえばいい。
少し認識が甘いのかもしれないが、利権うんぬんというのは、本当をいえばそれほど難しい問題ではない。原発の立地がそうだったように、カネで補填可能な問題だからだ。
9 真の問題
私は、もっと大きな問題が二つあると思う。
一つは、原子力政策を見直すということは、今まで日本の官僚組織、特に経済産業省が進めてきた施策が間違いだったということを認めることになることだ。
日本の官僚というのは、「無謬性」というのが好きである。一度始めてしまうと、間違いを認めない。霞ヶ関で数字や論理をもとに立案したプランが、現実にあわずに変な結果を出していても気にしない。不都合なデータは出さず、都合のいい情報ばかり取り出して成果を強調する。
もっとも、これは政治家が国民の信託を受けて政策をしっかりと実行すれば、かなりの程度ねじ伏せられる。民主党政権が初めて出来た時、亀井金融担当大臣がマスコミの批判にも全く臆せずモラトリアムを断行したが、ああいう感じだ。
だから、こちらはこちらで問題はあるが、対処方法は分かりやすい。もっと異質な問題があるのだ。
私が、その問題点に気づいたのは、実は一連の記事を書こうと、「もんじゅ」や高速増殖炉の仕組みについて調べていた時だった。
私は3月中旬まで、恥ずかしながら原子力発電がどのように動いているか、まともに知らなかった。高速増殖炉に至っては、敦賀にあって「もんじゅ」という名前をしていることくらいしか知らなかった。知る気がなかったという方が適当かも知れない。
それが、好奇心や、ブログで一応記事としてまとめたいと思い、核分裂の仕組みから何からいろいろ調べていった。
その時、私が感じたことがある。
「すごい!こんな仕組みでウランがプルトニウムに変わるのか!」
「陽子と中性子の数がちょっと変わるだけで、全然違う物質に変わるのか!」
「理科の資料集に出てた周期表って、なんでこんなにうまく出来てるんだろう!」
まるで中学生か何かのような心理状態だったが(笑)、それをあとから振り返って、あることに気づいた。
テレビに出て安全安全言っていた御用学者と言われる人たちも、きっと初めはこんな風にして原子力の世界に入ってきたのではないだろうか?
原子炉の中で繰り返されている物質の営みは、まるで万華鏡である。
それを、与えられた理論を駆使して読み解いていく。この上のない快感だろう。この世の雑事からかけ離れればかけ離れるほど、はまりこんでいくに違いない。
しかも、彼ら原子力研究者達は、それがエネルギー問題の解決策にせよ、兵器利用の核開発にせよ、自分たちの高度な研究は国家社会の役に立っているという強烈な自負がある。
それを、昨日今日仕入れたにわか知識をふりかざす私のような素人に、「原発は要らない」「御用学者は嘘ばかりついている。クビにしろ」と言われたとする。
はい、その通りです、などと言って、引き下がれるものだろうか?
原子力利用を否定されることは、彼ら研究者が歩んできた人生そのものの否定である。もちろん、中には電力会社から寄付講座という名目で紐付きのカネをもらったりして、おかしな方向に行ってしまった研究者もいるだろう。しかし、そんな彼らにも初めの一歩があったはずだ。それすら間違っていたということは、あまりにも残酷なことだと思う。
私は別に、だから彼らを断罪しないでほしい、などと嘆願するつもりはない。明らかに嘘をついていた人びとについてはきちんと謝罪すべきだろうし、それなりに責任を取る必要もあると思っている。
しかし、それが勢い余って「魔女狩り」になってしまってはいけない。
今後「脱原発」を本気で考えた時、原子力の世界についてなんらかの知見のある人間は、今までと違う形で必要になってくる。その時、今いる原子力研究者たちには、最後の仕事をしてもらわなければならない。
我々自身が彼らを使う、というか、うまく働いてもらうようなメンタリティーでいなければならない。責任追及は二の次である。もっともっと先を見ていくべきだと思う。
我々が戦わなければならないのは、「もんじゅ」や御用学者そのものではなく、それらを生み出してしまった「何か」である。
その「何か」を正視できる人が増え、何らかの行動を起こしていかなければ、高速増殖炉のようなモンスターがまたどこかで現れる。
目の前の原発の停止だけでなく、その先を考えてみることが重要だと思う。それはたとえば、原発が必要かそれとも火力で賄えるかという議論ではない。
果たして電気はここまで必要なのか、必要だとしても、それは長い送電線や大がかりな変電所を備えなければ使えないものなのか。
そういう問題提起をしていかなければならない。
そして、それが形になるように、少しでも行動をしていかなければいけない。
微力ながら、私もそのために日々研鑽を積み、できることを少しずつ増やしていきたいと思っている。みなさんも、一緒に頑張りましょう。
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高速増殖炉という夢の、終わりのはじまり(2)
本文に入る前に、高速増殖炉「もんじゅ」のニュースを一つ紹介しておきます。
もんじゅ「出力試験遅れても」 石橋・敦賀本部長代理
http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20110628/CK2011062802000128.html
日本原子力研究開発機構の石橋達郎敦賀本部長代理が27日、福井市大手3丁目の中日新聞福井支社を訪れ、大河原保顧問と懇談した。福島第1原発事故で日本の核燃料サイクル政策の見直し議論が避けられない情勢を踏まえ、本年度中を目指す高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)の40%出力試験は「遅れてもやむを得ない」との見方を示した。
西川一誠知事が停止中原発の再稼働を容認していないことにも触れ「軽水炉の安定した運転が再開されない限り、高速増殖炉はその先にあるもの」と見通した。もんじゅの年間維持費は140億~150億円が必要で、2012年度政府予算案の夏の概算要求も「どう扱われるか気になる」と述べた。
24日に原子炉容器内から回収した炉内中継装置は「今のところ外観上、異常はなかった」と語った。今後、約1カ月かけて装置や原子炉内の損傷の有無を確認する。「(早ければ)秋には復旧できる。苦しい立場だが(40%出力試験に入れるよう)淡々と準備を進めるだけ」と話した。
日本原子力研究開発機構、すなわち政府は、高速増殖炉の運転を続ける意向を持っています。これについては、みなさんもいろいろ思うところがおありでしょうが、その辺の論評は置いておいて先へ進みます。
5 夢を運ぶ「もんじゅ」
まず、高速増殖炉というものがどのように働くのか、簡単にまとめておく。
前回触れた「軽水炉」は、核分裂性のあるウラン235(数字にどんな意味があるかは前回の記事参照)に中性子を上手に当てて核分裂を効率よく行うため、水を減速材に用いる。このへんはうまく説明できないが、ウラン235は高速で動く中性子だとうまくキャッチできないらしい。
これに対して、高速増殖炉は、プルトニウム239を燃料に用いる。このプルトニウム239は、高速で動く中性子をキャッチすることができる。しかも、中性子をキャッチして核分裂するとき、中性子を3個出す。
その3個出てきた中性子のうち、2個は同じプルトニウム239にぶつかって消費される(そうでないと核分裂が進まない)。
実は、余った1個がミソなのである。
高速増殖炉の炉心には、劣化ウランがプルトニウム239と一緒に置いてある。前回も見たように、劣化ウランは核分裂性のウラン235がほとんど含まれておらず、ゴミとして捨てるしかない代物だったはずだ(しかも超有害)。
そして、上の余った中性子1個は、劣化ウランを構成するウラン238にぶつかることになる。
そうすると、陽子+中性子の量が239個になり、そのあとβ崩壊を経て、なんとプルトニウム239に生まれ変わるのである。
つまり、ただゴミとして捨てるしかなかった劣化ウランが、プルトニウム239という立派な核燃料として蘇るということだ。一応、プルトニウムの量は増えるから、これを「増殖」と言っている。
まとめると、高速増殖炉というのは、「高速の中性子を使って劣化ウランからプルトニウムを増殖させる原子炉」ということになる。
これは、原子力利用を推進したい人たちからすれば、非常にありがたい。
どんなに原子炉自体の安全を確保したとしても、核廃棄物が出てくることは避けられない。反対派は絶対にそこを衝いてくる。それに対して、
「使用済み燃料は六ヶ所村の再処理工場でプルトニウムを取り出し、濃縮の過程で劣化ウランともども高速増殖炉で燃料として用いることができる」
という反論ができるからだ。もちろん、劣化ウランはどうやって入手するんだとか、高速増殖炉から出てくるゴミはどうするんだとか、細かい議論はあるが、とりあえず当座の弁明としては成り立つ。
そして、ウランの使用量を劇的に減らすことで、資源を輸入に頼るという弱点も克服できる。
1991年、本格的な高速増殖炉「もんじゅ」が運転を開始した時、高速増殖炉を商用で成功させている国は世界に一つもなかった。
もんじゅを軽水炉並みに運転させ、商用原子炉としてスタートさせる。
原子力を研究し、原子炉に携わっていた人びとの夢だったに違いない。
6 危険すぎる夢の代償
ところが、その原子力関係者の夢を運ぶ「もんじゅ」は、試験運転中の1995年、突然停止してしまう。
冷却材のナトリウムが漏れ出し、発火したというのがその原因だった。
この「ナトリウムを冷却材に使うこと」こそ、高速増殖炉の最大の弱点である。
ナトリウムは塩の主成分で、常温だと固体である。それを、100度以上にして液体にする。100度以上で「冷却材」というのも変な話だが、原子炉が作り出す熱はもっと高温なので、その熱を外に運ぶ役割としては十分である。
ナトリウムが選ばれた理由は、高速増殖炉のキモである、高速で飛ぶ中性子の勢いを殺さないという特性にある。
軽水炉で水が減速材になるのは、質量が軽いので、ぶつかったときに中性子のエネルギーをもらってしまうからだ。車が同じ車種の車に追突すると、ぶつかった時に追突された車は前方に突き出され、追突した車は少しだけ進んでその場に止まるが、そんな感じだ。
他方、ナトリウムは質量が重いため、中性子をほぼそのままの勢いで跳ね返せる。ボーリングの球に、ピンポン球をぶつけても、跳ね返る時のスピードはぶつかった時とほとんど同じはずだ。あれと同じである。
プルトニウムに高速中性子をぶつけるからこそ3つの中性子を出す核分裂が起きるわけで、原子炉から水を利用して熱を取り出すプロセスを、高速増殖炉では初めから取ることができないようになっている。
しかし、液体ナトリウムは、困った二つの特徴を持っている。
一つは、空気に触れると急激に酸化することだ。要するに、空気に触れると燃え始めるのである。だから、「もんじゅ」の原子炉には、空気が入らないようにアルゴンガスが充填してある。
そして、もう一つは、水をかけると大量の水素が発生することである。水とナトリウムが接触して水酸化ナトリウム(NaOH)が作られる過程で、水(H20)の中の水素分子が1つ余るからだ。その時、回りにはナトリウムが出す大量の熱があるから、これで水素が引火して爆発を起こすことになる。福島第1原発の1号機の屋根が吹っ飛んだ「水素爆発」である。
だから、水をかけて消火することができない。
そうなると、一度火が出て、ごく短時間での初期消火に失敗したら(もしくは、消火のしようがないほどの火が上がったら)、冷却材のナトリウムがどんどん燃えていき、高速増殖炉周辺は大火災に至る。
炉内の冷却ができなくなるのだから、プルトニウムで出来た燃料が高温になり、次々とメルトダウンを起こす。
そして、それによって燃料体から解放されたプルトニウムは、火災が起こす上昇気流に乗って周囲に拡散する。下手すると、空気中の水分から出来た水素が引火して爆発を起こすかもしれない。
そうなったら、猛毒のプルトニウムが「もんじゅ」の建屋を飛び出し、火炎の作り出す上昇気流に乗ってかなりの広範囲に拡散する。「もんじゅ」はプルトニウムを直接使っているから、その量も半端ではない。
この事故に比べれば、黒鉛炉が臨界状態のまま爆発したチェルノブイリですらかわいいものだ。日本全土が死の国になる可能性すらある。
だから、わずかなナトリウム漏れでも「もんじゅ」は運転をやめた。当然の判断である。
しかし、これほど危険な「もんじゅ」で、2007年になって突然再開のための工事が開始され、昨年運転を再開した。
そうしたら、今度は炉内のプルトニウム燃料を取り出す中継装置が落下してしまった。取り出そうにも、炉内のナトリウムが空気に触れたら大事故になるから、慎重に慎重を期した。
そして、ついこないだ成功したわけだが、その過程のどこかでアルゴンガスが抜けることがあったならば、今頃私はこんな記事を書いていないだろう。
しかし、みなさんもここまで読んで思わなかっただろうか。
どうして、ここまで危険な「もんじゅ」、すなわち高速増殖炉を、原子力関係者たちは動かそうとするのだろうか。
私は、ここに、いわゆる「原子力村の論理」を超えた難しさを感じている。次回詳細に述べる。
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高速増殖炉という夢の、終わりのはじまり(1)
もんじゅ:落下装置撤去完了 弱点露呈 復旧費用17億円、工事に10カ月 /福井
http://mainichi.jp/area/fukui/news/20110625ddlk18040637000c.html
高速増殖原型炉「もんじゅ」で原子炉容器内に落下した炉内中継装置(3・3トン)本体の撤去は、夜通しの作業で24日午前5時ごろ終わった。昨年8月の落下から10カ月近くたち、撤去の工事費や新たな装置の購入で約17億5000万円かかった。東京電力福島第1原発事故で、国の原子力政策の行方自体が不透明になるなか、今回の設計ミスによる同装置落下は、トラブルがあれば長期停止と多額の費用を要するもんじゅの弱点を改めて示した。【柳楽未来】
もんじゅは、既に実用化されている軽水炉の原発と異なり、原子炉容器内に高温の液体ナトリウムがあり、空気に触れると激しく反応するため上部をアルゴンガスで覆っている。落下した同装置の下半分は不透明なナトリウムにつかった状態で、原子炉容器の上にアルゴンガスで満たした別の容器を用意して、その中につり上げた。原子炉容器のふたの一部を外して一体で引き抜き、総重量は約11トンになった。
今回のトラブルでは当初、力をかけて引き抜こうとしたがうまくいかず、落下の衝撃で装置の継ぎ目が変形した事実をつかむのにも時間がかかった。また、設計時には想定していなかった複数の大型機械を新たに設計・製造して原子炉容器の上に据え付けたため、費用が膨らんだ。
撤去開始の予定は23日午後3時ごろだったが、準備作業で機器の一部で機密性が保たれていないことが分かり、パッキンが切れている原因を突き止めて取り換えるなどで約6時間遅れた。22日も予定通りに準備作業が進まず、23日未明まで作業していた。
もんじゅの構造に詳しい小林圭二・元京都大原子炉実験所講師は「もんじゅは軽水炉と比べ事故の調査、復旧に膨大な労力がかかる。これでは今後、商業炉として実現するはずがない」と指摘している。
この「もんじゅ」のことが気になっていたので、ちょっと調べながら文章にしてみました(他所からの転載です)。何か変なところがあればご指摘いただけると嬉しいです。
1 高速増殖炉とは
まず、高速増殖炉というものを、授業でしゃべりたいと思ったので、自分なりに調べてみた。
福井県敦賀市にある「もんじゅ」は、高速増殖炉と言って、日本によくあるタイプの軽水炉原発とは仕組みが異なっている。
http://www.jaea.go.jp/04/monju/
トップページの貧乏くさささえ感じさせるソフトなイメージがかえって悲しくなるが、精一杯好意的な表現をすると、高速増殖炉というのは、日本の原子力関係者の夢だった。
高速増殖炉は、簡単に言うと、
・高速で移動する中性子の力を使って
・燃料となるプルトニウムという物質が、どんどん増殖していき
・濃縮ウランを用いる場合の資源枯渇の危険に悩まされずに済む
という原子炉である。
実は、もうこうやって書いただけで突っ込みたくなる部分があるが、とりあえず進める。話は核燃料の代表選手・ウランから始めたい。
2 ウランのカス
日本で動いている54基の原子炉は、プルサーマルも含めて、全て濃縮した「ウラン235」という物質を燃料にしている。
ウランという元素がある。陽子という粒を92個、中性子を143個、合計235個の粒で原子核が作られているのをウラン235といい、それより中性子が3つ多いのをウラン238と呼んでいる。これらは別々の場所に点在しているのではなく、同じウラン鉱石の中に同居している。
ちなみに、こうやって同じ元素なのに構成している粒の数が違うものを同位体(アイソトープ)というらしい。アイソトープという言葉の意味を私は今回初めて知った(笑)。
そのウラン鉱石を原発で使うときは、ウラン235が不可欠である。なぜなら、ウラン238は原子炉の中で熱を発生させる「核分裂」という反応を起こさないからだ。
ここで困ったことがある。なんと、ウラン鉱石の中に、役に立つウラン235はたった0.7%しか含まれていない。しかも、それだけを分離すること難しいらしいので、とりあえずいろいろな作業を施して濃縮する。だいたい3%を超えれば、核燃料として使用に足りるらしい。
そして、核燃料が出来上がったそばには、ウラン235がもうごくごくごくごくごくごく僅かしか残っていないウランのカスみたいなものが残る。これがいわゆる「劣化ウラン」である。その中身は、ほぼ全てがウラン238、つまり、役に立たないウランだ。
この劣化ウランは、核分裂しないくせに、アルファ線という超強力な(その代わりほとんど飛ばない)放射線を出す。本当にどうしようもない物質である。その有害な劣化ウランを、アメリカやイギリスは武力紛争のどさくさに紛れて、ユーゴスラビアやイラクに大量に捨てる作戦を実施した。それが●「劣化ウラン弾」である。
日本はそんなことをやりたくてもできないので、超有害ゴミとして保管するしかないままここまで来ている。
3 プルトニウムの誕生
劣化ウランも厄介だが、もっと厄介な元素が原発ではどんどん生まれている。それが「プルトニウム」である。
プルトニウムは、自然界に存在しない元素である。そんなもんをどうやって作るのかというと、原発の中で勝手に出来るのである。
ウラン235に、特殊な操作をして中性子をぶつけてやると、それに刺激されてウラン235の原子核が二つに分裂する。いわゆる核分裂である。この時に熱が出る。
とすれば、この核分裂を大量に起こしてやれば、大量の熱を取ることができるわけだ。というか、一度核分裂が始まると、そのウラン235が出す中性子が他のウラン235を刺激するという形で、どんどん分裂が起きる。一定量集まっただけで始まることもある(これがいわゆる「臨界」)。そして、その過程で熱を出す。
このように、中性子が飛び回って他のウラン235を刺激するためには、中性子の飛ぶスピードを下げてやらないといけない。そのために用いるのが「減速材」というものである。福島第一原発では「軽水」という、不純物のない水を使っていた(だから、「軽水炉」という)。この水は、同時に原子炉で出た熱を外に持ち出し(=冷却材)、タービンを水蒸気で回すという役割もしている。
この核分裂の過程で、濃縮ウラン(といってもウラン235が3%しかないが)の中にあるウラン238が、周囲を飛び回っている中性子をキャッチしてしまうことがある。それがβ崩壊という過程を経て、最終的にプルトニウム239という元素に生まれ変わる。
このプルトニウム239は、言ってみれば、濃縮ウランを使ったあと出てくるゴミである。使用すらされなかった劣化ウランよりもマシかもしれないが、このプルトニウムは最悪の物質である。なにしろ、人体に凄まじい害を与えるアルファ線という放射線を出すからだ。しかも、劣化ウランのそれよりはるかに強いらしい。
しかし、このプルトニウム239というのは、核分裂をさせるとウランを遥かに凌ぐパワーを出す。だから、核兵器に使われる。長崎に落とされた原爆はプルトニウム239を用いている。広島に落としたウラン型は、ウランの濃度を90%まで引き上げなければいけないが、プルトニウムならウラン235を3%に濃縮した燃料を転がしていればそのうちできる。
はっきり言ってしまえば、原子炉というのは、ウランからプルトニウムを作り出すための道具なのである。それを、平和利用などといって無理矢理発電できるようにしたのが原発だ。原子力というと、何かすごいことをやっているように思えるが、やっていることはただお湯を沸かして水蒸気を取り、タービンを回しているだけである。
その湯沸かし器が、頼みもしないのに頑張るとどういうことが起きるか。
福島のような事故は除けば、劣化ウランとプルトニウムという、超有害ゴミがどんどんたまっていくことになる。
4 ゴミの行き場
このゴミは、どこにでも捨てられるものではない。放射能があるからだ。
放射能というのは、「放射線」という光を出す能力を持っているという意味である。この放射線は、生物を構成する細胞の中のDNA(デオキシリボ核酸、要するに遺伝子)を切断する力がある。その切れたDNAがうまく修復できずにおかしな形のまま残ってしまい、それがどんどん増えていくのが「ガン」である。骨の造血幹細胞がやられれば、白血病という症状になる。
難しいことは置いておいて、要するに放射線はなるべく浴びない方が良い有害なビームみたいなものだと思えばいい。
そんなものがその辺に転がっていたら、どんどんガン患者が増えてしまうだろう。だから、処分場を作ってそこに貯めておく。
しかし、これがまた気の長い話で、放射性物質の放射能は長い間なくならない。放射能がなくなるまでの物質固有の期間を「半減期」というが、プルトニウムなんて半減期が2万4000年である。今から2万4000年といったら、日本列島がなかった時代だ。気が遠くなる。そんな長い間管理しなければいけない超有害ゴミを作り続ける時点で、原発は終わっているのである。
ともあれ、最近まで何の疑いもなく日本人は原発を利用してきた。正確に言えば、大多数の人たちは、なんだかよく分からないけど、政府や東大の先生は安全だと言うし、原発は家の近くにないし、めんどくさいことは考えたくないと思って過ごしてきた。恥ずかしながら、自分にもそういうところがあった。まさか事故になるとは思わなかった。
しかし、原子炉自体がどんなに安全でも、絶対に劣化ウランやプルトニウム239が出てくる。そして、その捨て場はない。
このままでは、人目につく場所や水源地を捨て場にせざるを得なくなり、安全だと政府が言っていた原発は「超有害ゴミ発生装置」としか思われなくなってしまう。
そんな時、救世主が現れた。
「原発から出たプルトニウムを燃料に使えて、しかも劣化ウランを始末できる夢の原発がある」
それが、高速増殖炉だった。
続きます。
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石油やガスが値上がりし、原発をたくさん作るほど電力会社がもうかる仕組み
電気料金8月も値上げへ 東電、99円程度
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2011062102000024.html
東京電力は標準家庭の八月の電気料金を九十九円程度引き上げ、月六千六百八十三円前後とすることが二十日、分かった。火力発電の燃料である原油や液化天然ガス(LNG)の価格が上昇しているためで、値上げは六カ月連続。
値上げ幅は、料金の算定制度を変更した二〇〇九年五月以来最大だった前月の百十円には及ばないものの、年明けからの原油高騰を背景に、高水準の状態が続いている。三月からの六カ月間の上昇幅は四百五十円近くに上る見通しだ。
東京ガスも五十円程度値上げし、五千二百五円前後とする。他の電力・ガス会社も一斉に値上げする公算が大きい。各社が二十九日に正式に決める。
電気料金は、燃料費の変動を加味して毎月見直す仕組み。八月の料金は、三~五月の燃料費を基に算出される。東電福島第一原発事故の発生に伴い、他の停止中の原発も再稼働が難しくなっている。このまま火力発電の割合が高まれば、一段の値上げ圧力がかかる可能性もありそうだ。
最近ネット上で評判がいい東京新聞の記事だからといって、鵜呑みにしてはいけません。
>電気料金は、燃料費の変動を加味して毎月見直す仕組み。八月の料金は、三~五月の燃料費を基に算出される。
注意して欲しいのは、この「燃料費」が具体的にいくらだったか、全く開示されていないことです。
●河野太郎議員が以前電力会社に「燃料コストはいくらか」という資料の開示を請求をしたら、必要な部分には全部黒塗りがしてある資料(もちろんコピーなので透かしても見えない)を配られたそうです。理由は、「企業秘密だから」。
電力会社(一般電気事業者)は地域独占を許されています。そういう意味では公益的な役割も担っているわけで、それが企業秘密を盾に情報の開示を拒むのはどうかと思います。これでは、極端な話、原発の中で隠れて核兵器を作っていたとしても国民には全く知る術がありません。
こんなことを書くと、「他の会社は資源高でも企業努力をして値上げをしないように頑張っているぞ!東京電力は何をやってるんだ!」という声が聞こえてきそうですが、そういう世間で当たり前の論理は電力事業には通用しません。
別に、電力会社の幹部が学歴が高いだけの非常識なアホの集まりだからではありません。電気事業法(正確に言えば、それに基づく政令)で、「総括原価方式」という仕組みが認められてるからです。
よくわかる原子力~総括原価方式
http://www.nuketext.org/mondaiten_cost.html
そもそも、電気の値段はどのようにして決められるのでしょうか。我が国では電力のコストは電気事業法という法律に基づき、「総括原価方式」という方法で計算されています。
この方式は、発電・送電・電力販売にかかわるすべての費用を「総括原価」としてコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬率を上乗せした金額が、電気の販売収入に等しくなるように電気料金を決めるやりかたです。
つまり、電力会社を経営するすべての費用をコストに転嫁することができる上に、一定の利益率まで保証されているという、決して赤字にならないシステムです。これを電気事業法が保証しています。普通の民間企業ならば、利益を生み出すために必死でコストを削減する努力をするはずですが、電力会社はどんなにコストがかかろうと、法律によってあらかじめ利益まで保証されているのです。
要するに、広告宣伝費や、発電所の建設費用・維持コストに4.4%をかけたものが自動的に電力会社の利益になるようになっているのです。
原発がなんで推進されるかもこれで分かるというものです。原発は固定資産税評価額がバカ高く、もしそれが減価しても燃料の保管費用や施設維持コストが膨大にかかるので、「総括原価」がそれだけ大きくなるからです。フランスやイギリスにプルトニウムを保管しておくコストも全て「総括原価」に組み入れできます。
そうやって母数が大きくなればなるほど、電力会社(一般電気事業者)に入ってくる利益も大きくなるのです。取引の常識をあまりにも逸脱しています。
そもそも、この方式は、日本の産業基盤がまだ弱く、技術も未熟だった時代に、電力会社に安定した利益を上げさせて、これをもって電気の安定供給を図るという目的で導入されたものです。ところが、今やその本来的意義は薄れ、総括原価方式から来る儲けと、それに群がる利権(天下り官僚と電力族議員)のためだけの仕組みになってしまっています。
日本というの国は、●フジツボ(貝の一種。係留されている船底などに吸い付く)がビッシリこびりついて、港から出港することすらできなくなった船とよく似ています。船長だけはコロコロ変わって、そのたび「この船は未来に向けてこぎ出します!」などというのですが、今までにこびりついたもののせいで動かすことすらままなりません。
そして、たまにフジツボをはがそうとすると、船の外から待ったがかかったり、フジツボ自身が毒を吐いたりして抵抗してくるのです。
ソーラーパネルや風車に夢を描くのもいいのですが、総括原価方式や、●前の記事でも書いた、特定電気事業者を役人の胸先三寸で排除できる規定を何とかしないことには、いつまでたっても電力の供給事情は変わらないでしょう。原発を稼働させていた方が儲かる上に、自浄作用も働かないからです。そして、原発がメガソーラーや風車の群れに変わっただけならまだいいのですが、それすら果たせず、結局若狭湾では耐用年数を超えた原発くんたちが老体に鞭打って稼働中、などということになりかねません。
その過程で、電力会社がザクザク儲けるしわ寄せは、全て電気代という形で国民に跳ね返ってきます。
電気事業法を見直すよう、国会議員に電話やメールをしましょう。また、反原発デモでは、そういうアピールもしていってほしいものです。
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政府には期待できない。かといって絶望までは要らない。
千度以上示す核物質、3月12日に検出していた
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110603-OYT1T01065.htm
東電福島第一原発から約6キロ離れた福島県浪江町で3月12日朝、核燃料が1000度以上の高温になったことを示す放射性物質が検出されていたことが分かった。
経済産業省原子力安全・保安院が3日、発表した。検出された物質は「テルル132」で、大気中のちりに含まれていた。原発から約38キロ離れた同県川俣町では3月15日、雑草から1キロ・グラム当たり123万ベクレルと高濃度の放射性ヨウ素131も検出されていた。
事故発生から2か月以上たっての公表で、保安院の西山英彦審議官は「隠す意図はなかったが、国民に示すという発想がなかった。反省したい」と釈明した。
テルルの検出は、1号機から放射性物質を含む蒸気を放出する「ベント」の実施前だった。
千度以上の高温を示す物質が観測されていたということは、すでに福島第一原発1号機の核燃料は、大地震の翌朝には制御不能な状態に陥っていたということです。
また、3月15日の時点で1キロあたり123万ベクレルもの汚染が見られたということは、もう12日の1号機水素爆発の時点で40キロ程度の(そして、おそらくそれよりもう少し遠い)場所には、政府が出荷停止を要請する野菜の汚染基準(2000ベクレル)の600倍強の放射能汚染が広がっていたということです。
ここに、3月15日に3号機が爆発して放出された分が加わるわけですから、今騒がれている放射能汚染は、その多くが震災直後の2回の爆発によってもたらされたものだということができます。
この時期に、適切な防護措置を行っていれば、今後起こりうる被曝による疾病等、無用な被害をかなりの程度防げたということが言えそうです。
そういう時期に「直ちに影響はない」「安全性は確保されている」と、お偉いさんたちが雁首揃えて合唱していた(そして、メディアに出ている学者がそれにお墨付きを与えていた)のですから、本当にどうしようもありません。
もっとも、そのはずです。この国の政府の連中は、およそまともな感覚を持っていないからです。
それが現れているのは、この部分です。
>保安院の西山英彦審議官は「隠す意図はなかったが、国民に示すという発想がなかった。反省したい」と釈明した。
データを入手し、その意味が分かっていて「国民に示す」ということをしないのは、隠蔽というのではありませんか。
この発言を、この経済産業省の官僚が何の意識もせずに発言しているとしたら、それこそ恐るべきことです。要するに、我が国の政府(というか、官僚)には、情報を国民に示すという発想が根本的にないのです。
「国民はバカだから、余計なことを騒いで俺たちの邪魔をするな」とでも思っているのかもしれませんし、そもそもそんなことすら考えずに、今までも重要なことは秘密にしてきたから、今後も秘密にした方がいいと思っているのかもしれません。
どちらにしろ、救いようのない事態です。
もう大して期待はできないのかもしれませんが、普通の国民に出来ることと言えば、情報の開示を熱心に呼びかけている議員(たとえば●この人)を応援するくらいでしょう。そう考えると、「民主党はクソだから」という理由で、原発を推進してきた自民党に投票するのは考え物です(河野太郎議員は例外だろうが)。
このブログでは、景気やマクロ経済政策に左右されない生活ができるような仕組みをいろいろみなさんに示してきました。そして、私自身もそういう活動を実際にやっています。
しかし、原子力発電所というバケモノが暴走したら、いかに自律して生活を営もうとしても、そんなことに関わりなく放射性物質が襲いかかってきます。
そして、それを押さえ込む力を持っているはずの近代国家たる日本政府が上に書いたようなおかしな連中の集まりだったりするのです。何かもう、何をどうあがいても無駄なのでは、という考えがしきりに頭をよぎります。
それでも、裾野の部分から変えていこうという動きもあります。
メガソーラー 浜松市長が参加を希望
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20110604/CK2011060402000126.html
大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設などを目指し、静岡を含む26道府県とソフトバンクが設立する「自然エネルギー協議会」について、浜松市の鈴木康友市長は3日、本紙の取材に「参加したい」と述べ、協力する意向を明らかにした。
浜松の年間日照時間は全国トップ級を誇る。鈴木市長は「土地も一生懸命探している」と語り、建設候補地に名乗りを上げる考えを示した。静岡県との連携を含め、どう関与するかは今後詰めるとみられる。分散型電源の推進に向け、新技術開発に産学官で取り組む意欲も見せた。
協議会が目指す太陽光発電は出力1メガワット(1000キロワット)以上。ソフトバンク側は休耕田や耕作放棄地の活用を提唱し、全国10カ所程度の建設を検討しているとされる。
鈴木市長は前向きな協力姿勢を示す一方、「国が規制を大転換しないと現実的に極めて難しい」と農地転用の課題を示した。太陽光の拡大は「家庭や事業所単位の普及が望ましい」とも語った。
技術開発では、自動車産業の蓄積を生かす自家発電装置、燃料電池による発電システムに期待を寄せた。
もう一つ紹介します。
独自放射線量測定の都内自治体続々
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110603/tky11060320590017-n1.htm
東京電力福島第1原発事故の影響を受け、独自に放射線量を測定する都内自治体がさらに増えている。
品川区は3日、6月中旬から区内の空間や土壌などの放射線量の測定を行う方針を発表した。空間については沿岸部と内陸部の2カ所で、地上1メートルを予定。土壌については区立の小中学校、保育園、公園の計6カ所を測定する。それぞれ週1回程度で、平成24年3月31日まで行う。
豊島区も3日から、区立朋有小学校の校庭で週に1回、独自に測定し始めたと公表した。当面、地上50センチに測定機を設置し、毎時の放射線量を計測するという。
港区は9日から区内で土壌や空気、プールなどの放射線量の測定を始める。土壌については、区内の5地域で、保育園や幼稚園、小中学校、公園などの砂場の測定を週1回のローテーション形式で行う。空間については週に1回、区内の大学で地上から5センチ、50センチ、1メートルと高さを変えて測定するほか、大学室内でも測定して比較する。実施は3月末まで。
大田区は区内3カ所で、6月中旬ごろをめどに、大気中の放射線を計測する。同区と目黒区にまたがる東京工業大学と協力して、数値を分析・評価をしてもらい、区民の安心につなげる。
千代田区は6月中旬に、中央区は7月早々にも区内で放射線量の測定を始める方針を明らかにした。
一方、福生市は3日、市営プールの放射線量の測定結果は、不検出(測定機器の検出限界以下)だったと発表した。また、あきる野市で採取した秋川のアユもすべて暫定規制値未満だった。
この二つのニュースに共通するのは、政府が何もやらないので、地方自治体が勝手に動き始めたという点です。なかなか悪くない傾向です。
あとは、その中身を精査して改善を要求したり、「ミニ日本政府化」(ウソのデータを出したり、都合の悪いものは見せなかったりして国民を騙そうとすること)しないかよく見張っておくことが大切です。
しかし、それはそんなに難しいことではないでしょう。何しろ、市役所というのは同じ市内にあるわけですから、いざとなったら集団で押しかければいいのです。政府や、私企業である東京電力ではそうは行きません。
心配性の方や、この先のことにいろいろ想像を巡らすことのできる方も、マイナス思考の連鎖は一旦やめて、このような自治体の活動を支援し、関与していくといいと思います。我々が、永田町や霞ヶ関(特に後者)という鈍感な異常者集団に対してできることはほとんどないからです。
そういう中で、地方自治体が同時多発的に政府の言うことを無視し始めれば、もっとポジティブな変化が起きてくるかもしれません。少なくとも、暴力的な革命よりははるかに分の良い賭けだと思っています。
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