オーレル川今昔(その1) - バール・イ・ヴァ荘(17)
※以下の文章は「バール・イ・ヴァ荘(17)」の内容に触れています。※
「バール・イ・ヴァ荘(17)」はノルマンディー地方の村が舞台になっている。領地を流れる川があり、名前をオーレル川という。おそらくは架空のこの川の名前が、土地に秘められた秘密と関係があるようなのだが、説明が簡略なため、日本語で読む者にはわかりにくい。
「(略)わたしは、最初から、オーレル川の澄んだ水に目をつけた。また、わたしは最初から、この川の名前に注意した。その語原は意味深長なのだ。オーレルとは、金(オール)の川という意味じゃないか?(略)」(創元推理文庫「バール・イ・ヴァ荘」P189/バール・イ・ヴァ荘(17))
「オーレルとは、金(オール)の川という意味じゃないか?」と簡単に片づけられているが、なぜこう言えるのだろうか。「オーレル」は「Aurelle」と綴る。この言葉は「aur」と「elle」に分解できる。
aur(i)-
((合成語要素))(→or)「金」の意
[ラテン語aur(i)←aurum]-eau, -elle
1 ((名詞につく指小辞))「(ときに軽蔑的に)小さな…;動物の子」を表す
2 ((名詞、ときに動詞の不定詞につく))「…と関係のあるもの」を表す
(「ロベール仏和大辞典」)
フランス語で「金」は「or」(オール)だが、元はラテン語の「aurum」なので、派生語の語幹は「aur」(発音は「or」と同じ)で始まることがある。たとえば「aurifere」(金を含む)などの言葉だ。語尾に「elle」が付く言葉は多く、「tour」(塔)に対する「tourelle」(小塔、矢倉)などがある。つまり「オーレル」は「金」を表していることになる。
なお、「緑の目の令嬢(14)」のヒロインの名前オーレリー(Aurelie)も語源は「金」である。
aurum - Wiktionnaire(フランス語)
http://fr.wiktionary.org/wiki/aurum
Aurelie - Wikipedia(フランス語)
http://fr.wikipedia.org/wiki/Aur%C3%A9lie
※以上の文章は「バール・イ・ヴァ荘(17)」の内容に触れています。※
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