中国におけるルパンシリーズの初期翻訳
日本にルパンシリーズが伝来した頃の、中国における状況については以下のサイトが参考になる。
清末小説研究会
http://www.biwa.ne.jp/~tarumoto/
サイトを見るだけでは分かりにくいだけれど、もっとも古いルパンシリーズ作品の翻訳は1911年のようだ。また、いくつかの論文でルパンシリーズあるいはモーリス・ルブランの作品に付いて触れられている。
○大塚秀高「清末民初探偵小説管窺」…『清末小説から』第64号、2002年
http://www.biwa.ne.jp/~tarumoto/k6402.html
ルパンものの翻訳、と思いきや、コナン・ドイルと覚しき探偵が登場するらしい。日本語訳からの重訳の可能性が指摘されているが、先行する日本語訳については以下を参照のこと。
→「皇后の頸飾」と「宝石項圜」
○渡辺浩司「《亞森羅蘋之勁敵》と《竊〓案》の原作」…『清末小説から』第87号、2007年
http://www.biwa.ne.jp/~tarumoto/k87.pdf
ルパンもののパスティーシュの紹介。パスティーシュの正体は、アメリカの作家エディス・マクベインの「ラジウム泥棒」と判明する。
○渡辺浩司「《哲理小説 哲學之禍》の原作」…『清末小説から』第88号、2008年
http://www.biwa.ne.jp/~tarumoto/k88.pdf
ルブランの翻訳作品の正体がノンシリーズの「記憶のある男」と判明する。
また、井波律子「中国ミステリー探訪」によれば、孫了紅という人物が1920年代後半から40年代まで発表した作品の主人公が「魯平」というそうで、1925年に刊行された『亜森羅苹案全集(アルセーヌ・ルパン事件全集)』の翻訳にかかわったのを機に創作を始めたことと、「(魯平の)中国音はルーピン(LUPING)であり、ルパン(LUPIN)のもじりである」ことが指摘されている。
魯平ものを紹介しているブログ。
中国推理小説研究会:So-netブログ
http://shangyuancao.blog.so-net.ne.jp/
□参考文献
井波律子「中国ミステリー探訪」日本放送出版協会、2003年
渡辺浩司『清末民初翻訳短篇ミステリ論集』清末小説研究資料叢書12、清末小説研究会、2010年(「《亞森羅蘋之勁敵》と《竊?案》の原作」「《哲理小説 哲學之禍》の原作」)
□2010/10/19 最終更新
□2011/04/25
日本における最初の翻訳とされている「泥棒の泥棒」(原作「黒真珠(1-8)」)は「賊中賊」という題で中国語訳されたらしい。なお、中国における最初の翻訳は「賊中賊」より前にある。
『清末民初小説目録』第4版の訂正
http://www.biwa.ne.jp/~tarumoto/qmbook4.html
□2011/08/27
アジアミステリリーグ - トップページ
http://www36.atwiki.jp/asianmystery/
アジアミステリリーグ - 中国ミステリ史 第二章 - 中国推理小説120年の歴史
http://www36.atwiki.jp/asianmystery/pages/108.html
□2013/08/14
エディス・マクベインの「ラジウム泥棒」が掲載された雑誌を閲覧することが出来る。
McClure's magazine. v.43 1914 May-Oct. - Full View HathiTrust Digital Library HathiTrust Digital Library
http://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=mdp.39015030656089;view=1up;seq=382
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