川、証拠、泣く、空洞の - 奇岩城(4)
※以下の文章は「奇岩城(4)」の内容に触れています。※
「奇岩城(4)」で暗号を解こうとするときに、ある単語に対してボートルレが4つ候補を出す。すなわち、fleuve(川)、preuve(証拠)、pleure(泣く)、creuse(空洞の)。
とある本(※)を読んでいて「fleuve 川」という見出し文字を見て浮かんだ。「川」そういえば「奇岩城」に出てくるぞと。全部で4つ合ったはず、「空洞の」はもちろんアレだし、「泣く」…泣いてたなあ。もう一つなんだっけ?と思って確認をしてみたら「証拠」。事件には付き物! ということでこれらのキーワードは全部「奇岩城」に織り込まれている。(※「キリスト教シンボル事典」白水社文庫クセジュ)
…四題噺? でも最初の事件で証拠を強調してみせたのも、相手に年齢の分だけ繊細で感受性の強い少年を持ってきたのもこのことがあってだろうと思う。川はコー地方の一辺。泣くのは少年だけではない。その涙に動揺させられてしまった私としては、意図的に使用していると考えたい。
pleure(泣く)は動詞pleurerの活用形の一つ。同じ形で出てくるのは暗号に触れた所以外では2箇所。
「泣くなよ、ぼうや。君がやったような、頭をさげてたたかいにとびこんでいくようなときには、これくらいの打撃は覚悟しなければならないのだ。(略)」(岩波P158)
Ne pleure pas, petit. Ce sont la des coups auxquels il faut s'attendre, quand on se jette dans la bataille, tete baissee comme tu l'as fait.
彼はもおう泣いていない。泣きたくもないし、ベッドの中で身もだえしたくもないし、二時間も絶望しつづけてきたが、今はそれもしたくない。(岩波P240)
Il ne pleure plus, il ne veut plus pleurer, ni se tordre sur son lit, ni se desesperer, comme il le fait depuis deux heures.
暗号に戻ると、連続した2語なら「空洞の」しか残らないけれど、独立した2語とするなら動詞の「泣く」はともかく、名詞の「川」と「証拠」は活かせそうにも思えるのに、すぐに一つに絞られて、固定されてしまう。そのあたりを考えてもやはり話の主導権を握っているのは少年側ではない。
※以上の文章は「奇岩城(4)」の内容に触れています。※
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