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2007/03/11

リュパン家の系図?

リュパン家の系図を発見しました。よく見るとあちこちで見たような名前が…ネロ・ウルフがデュパンの姪とマイクロフト・ホームズの子どもということになっていたり(笑) そう、これは架空の系図なのです。まあ信頼度は沢田源内並ということで(笑)

Genealogical Tree of the French Wold Newton Universe : The Lupins - Lavarede - Ardan Families(英語)
http://www.coolfrenchcomics.com/wnu0c.htm

そうはいっても、このサイトはフランスの大衆小説について詳しく、アルセーヌ・リュパンシリーズについても特集ページがあります。それらの知識を元に作られたものなので、単なる思いつきと無視するのはなかなかもったいない仕上がりになってます。よって少し中身を紹介したいと思います。この項ではLupinはリュパンとし、内容は自動翻訳を元に編集しています。なお、系図中の青色は、たぶん典拠のない(有り体に言えばでっちあげの)人物でしょう。

リュパン(Lupin、ルピナス、ハウチワマメ)は紅はこべ(ルリハコベ)のように野生の草花です。しかし、毒を熟成させて悪を避ける紅はこべと異なり、リュパンは富と力に関係しています。リュパンという名前は形容詞ルーパイン(Lupine、狼のように野蛮な)と同様に、ラテン語のルプス(Lupus、狼)に由来しています(補足。Lupineはルーピンとも読み、こちらはルピナスの意)。一部の学者は、リュパン家の血統が狼の血で汚れたゆえの名前たと推測しました。それが彼らの凶暴性、アウトローの性質(狼質)、または家系における狼人間の存在に関係しているかは未知です。

リュパンという名前は「狼」という一般名詞に結びついているわけです。と言うことでご先祖から。


○ル・ルー(狼)
16世紀の盗賊かつ剣士で、ロバート・E・ハワードによって記録された清教徒ソロモン・ケインと戦って破られました。

このル・ルーが登場する作品が雑誌「ミステリマガジン」2006年8月号で翻訳されました。
ロバート・E・ハワード「血まみれの影」

○ヴァレンティーヌ・ド・プルデュク別名ラ・ルヴ(女狼)
ル・ルーの子孫。17世紀の人物で、ポール・フェヴァルの「女狼」によって記録されました。「ウルフヘッド(狼団)」の秘密結社に属し、アルビノのジャン・ブランは彼女の子孫です。

○ジャン・ブラン別名ルー・ブラン(白い狼)
ラ・ルヴの子孫。ポール・フェヴァルの「白い狼」に出てきます。

ポール・フェヴァル作品は邦訳が出たことがあるか分かりませんが、2つとも日本語では読めないと思います。
Paul Feval (pere) - Wikipedia(英語)
http://en.wikipedia.org/wiki/Paul_F%C3%A9val,_p%C3%A8re
Le loup blanc by Paul H. C. Feval - Project Gutenberg(フランス語原文)
http://www.gutenberg.org/etext/14702

○マリ・リュパン
ルー・ブランの子孫。彼女はカルロ ・ブオナパルテの子を生みます。カルロ ・ブオナパルテは誰かと言えば、ナポレオン・ボナパルト(旧名ナブリオーネ・ブオナパルテ)のお父さんです。私生児のため子どもは母の名前を継ぎました。

ミッシング・リンクな人物その1です。

○ルイ・リュパン別名ビビ=リュパン
マリの子。オノレ・ド・バルザックの作品に出てきます。一度は刑務所につながれたこともあり、1819年から1930年までフランスの秘密警察の署長を務めます。ゴンデュローという別名の元に、ヴォケー夫人の下宿においてジャック・コラン(別名ヴォートラン)の正体を暴ますが、ヴォートランは1830年にビビ=リュパンの後釜に座ることになります。同じくバルザックの作品「農民」第2部に出てくる公証人の息子アモーリー・リュパンは従兄弟です。

秘密警察の署長となっていますが、新潮文庫「ゴリオ爺さん」では保安課長と訳されています。
バルザック「ゴリオ爺さん」の感想

○シャルル・リュパン
ルイの子。ポール・フェヴァルの「せむし」に出てくる悪名高いラガルデール騎士とオーロール・ド・ヌヴェールの娘アメリー・ド・ラガルデールと結婚します。

ミッシング・リンクな人物その2です。
「せむし」と言う作品は7回も映画化されているそうですが邦訳は出ていないようです。最も新しい映画作品「愛と復讐の騎士」はDVDで出ているようです。
愛と復讐の騎士 - 映画 allcinema
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=85281
Le Bossu とは 「城塞の決斗, 剣の栄冠」
http://www.weblio.jp/content/Le+Bossu

○C・オーギュスト・リュパン
シャルルの子。才気あふれてたオーギュスト・リュパンは騎士の称号を得、またパズルの解読者として名声を得ています。アメリカのジャーナリスト、エドガー・アラン・ポーは彼の出自を隠すため名前を「デュパン」に変えました。スタンダール「赤と黒」の登場人物ジュリアン・ソレルの姪にあたるアントワネット・コルデーと結婚しました。

オーギュスト・デュパン(C. Auguste Dupin)
http://www.aga-search.com/4augusutedupin.html

○テオフラスト・リュパン
オーギュストの子。残念ながら平凡な体育教師となりました。そして若干の些細な窃盗を行います。1873年にアンリエット・ダンドレジーと出会い、二人の子どもは悪名高いアルセーヌ・リュパンに成長します。

やっとアルセーヌ・リュパンシリーズに突入しました。息子に劣らず他の女性とも関係を持っていますが割愛。


★アルセーヌ・リュパン
この系図の焦点がテオフラスト・リュパンとアンリエット・ダンドレジーの子です。波乱万丈の人生で、アルセーヌ・リュパンはいくつかの結婚やロマンティックな関係をもち、幾人かの子孫を残します。


◇1894年ジョゼフィーヌ・バルザモ(系図によれば3世でなく4世)と出会い、子どもをもうけますが、ジョゼフィーヌはその子を捨てます。子どもは成長してガストン・マックスとなり、「ガストン・マックスの冒険」でサックス・ローマーによって記録されます。

原作では子どもは示唆されていません。
サックス・ローマーという名前を知らなくてもフー・マンチューの生みの親と言えば分かる人もいるかも。ガストン・マックスものの邦訳はないようです。
サックス・ローマー(Sax Rohmer)
http://www.aga-search.com/491saxrohmer.html

系図では文中の情報と違い、二人の子どもはMister Flow(ミスター・フロウ)となっています。ガストン・ルルー原作で映画化もされている「フロウ氏の犯罪」の登場人物でしょうか。
ガストン・ルルー(Gaston Leroux)
http://www.aga-search.com/130gastonleroux.html
フロウ氏の犯罪 -- キネマ旬報DB- Walkerplus.com
http://www.walkerplus.com/movie/kinejun/index.cgi?ctl=each&id=15333

◇1894年に、クラリス・デティグと結婚します。彼女は1899年に、おそらくジョゼフィーヌ・バルザモに殺されました。アルセーヌとクラリスの最初の子は女の子でしたが出生時に亡くなります。2番目の子、男の子のジャンはジョゼフィーヌに誘拐されます。「カリオストロの復讐」で記録されるように、ジョゼフィーヌはジャンを父親に挑戦させるためコルシカ島(ポール・フェヴァルの「黒衣」に出てくる慈善修道院)で養育します。ジャン・リュパンは結局1928年に「チグリス」として活動し始め、その冒険はマルセル・アランによって記録されます。

原作ではジャンが「カリオストロの復讐」以前に何をしていたか語られてません。
マルセル・アランはピエール・スーヴェストルと組んで「ファントマ」シリーズを書いています。チグリスは犯罪者で変装の名人だそうです。(復讐は完遂ということに…)
Marcel Allain - Tigris - Fatala - Miss Teria(英語)
http://www.coolfrenchcomics.com/marcelallain.htm
Marcel Allain - Wikipedia, the free encyclopedia(英語)
http://en.wikipedia.org/wiki/Marcel_Allain

◇(ジャン・リュパンの娘は、1914年に風変わりな事件を解決したフランス人探偵マーク・ジョルダンの息子と結婚します。彼らの子孫はアンドレ・フェルネによって記述されたフランス諜報部のエースであるニック・ジョルダンです。)

マーク・ジョルダンはジュール・ド・ガスチーヌによって創造された人物です。
European Wold Newton Universe: 1911-1920(英語)
http://ratmmjess.tripod.com/timeline5.html
ニック・ジョルダンものはベルギーで出版されたようです。
Nick Jordan(英語)
http://www.coolfrenchcomics.com/nickjordan.htm

◇1904年、ジャクリーン・ド・サルゾー・ヴァンドームと結婚しますが、子どもはいません。

原作ではアンジェリック・ド・サルゾー・ヴァンドーム

◇その後まもなくルイーズ・デルヌモンと関係を持ち、彼女に娘アルバ・メラニーを与えます。アルバは第一次世界大戦時に、ロベール・モラン(系図ではベルナール・モラン)と出会います。ロベールは家族の不名誉の後(コナン・ドイルの作品を参照のこと)、フランスに移住した、悪名高いセバスチアン・モラン大佐の息子です。彼らはアンリ・ヴェルヌによって記録されたロベール・“ボブ”・モランという息子をもうけます。

原作では関係があったとはありません。
アルバ・メラニー、ロベール・モランはよく分かりません。
セバスチアン・モランはシャーロック・ホームズシリーズの「空き家の冒険」に出てきます。
ベイカー街 221B
http://www5d.biglobe.ne.jp/~side-w/baker.st_221b.htm
ボブ・モランものはベルギーで出版されたようです。
Bob Morane(英語)
http://www.coolfrenchcomics.com/bobmorane.htm

◇1906年、ボロスチリアのオルガ女王と出会い、子どもを儲けます。孫はルドルフ皇太子で、レスリー・チャータリス作品のサイモン・テンプラー(セイント)の宿敵です。

セイントものは邦訳が少なくルドルフ皇太子が出てくるものは翻訳されていないと思います。
聖者サイモン・テンプラー(Simon Templar)
http://www.aga-search.com/342simontemplar.html

◇1907年、レイモンド・ド・サン=ヴェランと結婚しましたが、彼女はアルセーヌとシャーロックホームズとの交戦時に誤って殺されます。子どもはいません。

◇1911年、オルタンス・ダニエルと出会い、子どもを設けます。その子はオルタンスの夫ジェローム・ビュルマの養子になり、ネストール・ビュルマとして知られるようになります。レオ・マレによって冒険が集められたフランスの探偵です。

原作ではオルタンスの夫の名前は出てこなかったと思います。子どもも示唆されていません。
名探偵たちの事件簿(ネストール・ビュルマ)
http://www.casebook.jp/casebook/burma.html

◇1916年、フロランス・ルヴァッスールと結婚しましたが、第一次世界大戦期に死別あるいは離別し、子どもはいません。

原作では第一次世界大戦前に英訳版が発表され、後に第一次世界大戦後の話に改められています。

◇1926年、最終的にアメリカの新聞記者パトリシア・ジョンストンと関係を持ち、娘アデライドの父となります。アデレードはウィン・エッカートによって記録されます。

原作ではパトリシアは元の恋人との復縁がほのめかされています。子どもは示唆されていません。
アデライド・リュパンはパスティーシュでしょうか?? 「Levres Rouges」という作品がそれに当たると思います。
The Wold Newton Universe - Recent & Upcoming Books(英語)
http://www.pjfarmer.com/woldnewton/WNUbooks.htm
Tales of the Shadowmen Volume 3(英語)
http://www.blackcoatpress.com/talesshadowmen03.htm
Tales of the Shadowmen - Wikipedia, the free encyclopedia(英語)
http://en.wikipedia.org/wiki/Tales_of_the_Shadowmen
1巻目と2巻目にもアルセーヌ・リュパンの名前が…。明智小五郎の名前発見(笑)。


直系の情報は以上です。一部作品に出てくるアルセーヌの子どもは正体不明なところがありますが、この系図には正真正銘の子ども出てきてませんね。その子はどうなったのでしょう? それを考えるのも楽しいかも。

このサイトには他にもルコックやロカンボールを中心とした系図があって、相互に関係しています。そしてイジドール・ボートルレがルコック系図の中にいます。すんごくテキトーな位置に(笑) ルールタビーユとは従兄弟だとして、メグレとはどうつながるんでしょう? メグレ警視は1887年生まれだから、ボートルレよりも年上ですね。


最後に、参考までに同じサイトのアルセーヌ・リュパンのページです。
Arsene Lupin(英語)
http://www.coolfrenchcomics.com/arsenelupin.htm

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