■反日デモは「格下げ」二部門の奪権運動か■
*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年9月16日付記事を許可を得て転載したものです。
■暴力は批判するも反日デモは容認
15日を境に中国の報道がガラリと変化しましたね。デモをほとんど報じなくなりました。
環球時報ですら、ここ数日間に起きたのは「反日デモ」ではなく、「破壊行為」との表現に変わっています。本質は既に反日デモなどではないという認識の現われでしょう。ただ、「理性的に」との主張は変わっておらず、局地的にはデモ隊に催涙弾を打ち込んでいる地域もあるものの、中国全土で一斉にデモを取り締まるまでには至っていません。中国は抑制に転じたわけではないのです。
日本車排斥など不可能(網易 2012/9/16)ポータルサイトの中でも比較的まともな網易は、「中国市場における日本車の9割は中国人が生産したもの」と、一連のデモで分かりやすい標的となっている日本車を例に取り上げ、「お前らが乗ってる国産車も日本の部品使ってるんだから、壊したらダメだよ」と緩い感じで非難。
■政府は日本批判を続行
少しずつ事態の変化を認識してはいるものの、これを政府が公式見解にしないままでは意味がありません。
日本は責任を隠す態度を取るべきではない。中国人民は日本政府の違法な「島購入」行為に挙国一致で断固反対する。
中国政府は既に各種方法で日本側に立場を表明しており、中国人民も強烈な義憤を示した。日本が中国側の厳正な立場を正視できるか、中国人民の正義の叫びを直視できるか、正確な態度と方法を取るか、これが事態の発展に関係してくる。
私は日本側が中国の領土主権を損なう行動を即時に停止し、対話で争議を解決する軌道に戻るよう、再度申し上げる。我々は、公民が法律の範囲内で理性的に要求を表し、法に従って中国にある外国の機構と外国人の安全を守るよう主張する。
外交部見解も変化は無いですね。
気になるのは、16日に広州市内で起きたデモで、イタリア領事館の車両が破壊された件について質疑が上がってきており、「日本の駐中大使館と人員の安全を守る」ではなく、「外国の」と変化している点でしょうか。
広州で参加者10名が拘束されたのが報じられたのは、そういうことなのでしょう。逮捕者が無職ばかりなのが、違う方向に話を持って行きたがってる感ありまくりなのが透けちゃってますけど。
■反日デモの終わらせ方
中国ラジオ・テレビ協会俳優委員会の役員260人が反日声明を発表しています。
中国俳優は、全力で党中央、国務院、中央軍委、国家海洋局などの合理的な国家主権保護と領土完全に対する全ての行動を支持する。
こんな記事を出している内は、事態を収束させる気が無いと判断して間違いありません。聞きに行ったらそりゃ声明も出すでしょうに。
2005年の反日デモがどういう形で終了したかを思い出せば、今回のデモがまだまだ「続行中」であることは明らかです。2005年は成都、北京、上海と続いた後、中央宣伝部、解放軍総政治部など6部門の主催で開かれた「現在の中日関係報告」で対日方針を説明し、さらに解放日報の「四・二五社説」でデモを違法認定して強制終了させました。
さて、今回は果たしてここまで果断な処置が取れるのか。温家宝がテレビ演説という線も捨て切れませんが、半端な対応では2005年を上回る今回のデモを止める事は出来ないでしょう。
■デモを煽っている黒幕は誰か?無理を承知で予想してみた
ところで、今回のデモを煽っているのは周永康と李長春ではないか、と考えています。
この2人の常務委員が主管する政法委員会と宣伝部門は、十八大で格下げされるとの指摘がなされており、多維、博訊による最新の十八大常務委員予想もこの仮定の下に作成されています。党大会が近づくにつれ、二部門の格下げ説が大勢を占めるようになっています。なので、この話はマジなんじゃないかと。格下げされる当人達もそう思って各地を荒らしているのではないでしょうかね。