葬儀保険と生命保険信託
死後事務委任契約で履行時の費用支払いを担保する方法は主として、①契約時に預託金を支払う、②死後に遺産で清算、③生命保険で支払う、の3通り。
最も一般的な方法である預託金は事務費用と実費の合計で50万円~200万円くらいで、事業者と契約内容によってかなり幅がある。例えば50万円で実施する死後事務の例は、火葬(葬儀なし)・納骨(合祀)・市役所関係の届出という最小限必要な死後事務のみ。葬儀をしない火葬(直葬)だけの場合でも20万円くらいはかかる。
それに加えて、電気・ガス・水道・クレジットカードの解約・精算、家財等の処分費用(数十万円。住宅の構造・広さ・家財の処分量でかなり違う)、葬儀、宗教儀礼(読経のお布施・戒名料)、散骨など、契約内容に応じて預託金が増えていく。
(出典)「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査結果報告書」(令和5年8月 総務省行政評価局)
【終活】死後事務委任契約の際のお金のこと[相続なんでも相談センター]
・受任者に執行費用を預託、信託会社に執行費用を信託、生命保険を活用のメリットとデメリットを記載。
・預託金方式:受任者の経営破綻や横領のリスク、サービス事業者や専門家の経営状態を正確に知ることは困難、信頼できる事業者かどうか慎重な判断が必要。
・信託方式:預託金は信託法により保全される。通常信託財産は数千万円単位、死後事務委任契約の執行費用決済のために、数百万円単位で契約できるプランもある。毎年信託報酬が発生(委任者が負担)。(※管理型信託のプルデンシャル信託は運用報酬が発生しない)
(注)↑の【生命保険を活用する】の説明に関して注意した方が良い点。
・遺言で保険人受取人を親族から死後事務受任者に変更することができる→その変更を保険会社が承認するかどうかは不確実。さらに当初契約で受取人に指定されていた親族とトラブルになる可能性もある。遺言ではなく、生前に死後事務受任者を受取人とする契約の締結または変更をした方が良い(保険会社に事前相談要)。
・法人名義で受取人に指定できない→受取人を死後事務受任者である法人に指定できる保険商品もないことはない。葬儀費用だけなら、直接支払いサービス付きの葬儀保険なら、保険会社から(保険金受取人ではない)提携葬儀社に直接費用が支払われる。
少額短期保険(ミニ保険)のメリット・デメリットは?一般の保険との違いも解説[明治安田生命]
<葬儀保険または保険金直接支払サービス>
葬儀保険は少額短期保険会社が販売している死亡保険で、主に保険期間が1年更新の保険料掛け捨て型。
契約年齢と保険料支払期間の組み合わせによって、支払い保険料が受け取り保険料を上回ることがある。
解約払戻金が受け取れる終身保険に葬儀費用の直接支払いサービスを付加した保険もある。
葬儀保険(終活保険)とは?葬儀費用に保険で備える必要性[ほけんの窓口]
葬儀保険(葬式保険) 人気ランキング・比較(2024年6月4日)[価格.com保険]
(1)あんしん少額短期保険/葬儀保険「みんなのキズナ」
葬儀保険「みんなのキズナ」:保険金固定型、保険料一定型
・葬儀費用は提携葬儀社に保険金で直接支払われる。保険金から葬儀費用を差し引いた残額は受取人に支払われる。
保険料一定型保険金表(年齢・プラン・男女別)
(例)女性60歳契約、80歳死亡:保険料1000円タイプ 保険料総額24万円、保険金242,180円。
(例)女性75歳契約、85歳死亡:保険料7000円ライプ 保険料総額84万円、保険金919,320円。
・年齢が高くなればなるほど保険金が減っていく。女性80歳時点で月額保険料7000円型なら約170万円、同1000円型なら約24万円(男性の保険金はその半額くらい)。
・葬儀を含めた死後事務費用として保険金100万円が必要なら、契約開始年齢75歳の7000円タイプしか選択できない。そのタイプでも、契約から10年以上経過すると、長生きすればするほど支払保険料総額が受取保険金額を上回っていく。
保険金固定型保険金表(年齢・プラン・男女別)
[保険金150万円(女性)の支払保険料合計 (60歳以降の累計額)]
60~69歳 201,690円
70~74歳 163,780円 (365,470円)
75~79歳 264,920円 (630,390円)
80~84歳 460,250円 (1,090,640円)
85~89歳 859,370円 (1,950,010円) (85歳以降は継続契約のみ)
[保険金100万円(女性)の支払保険料合計 (60歳以降の累計額)]
60~69歳 134,480円
70~74歳 109,170円 (243,650円)
75~79歳 176,600円 (420,250円)
80~84歳 306,830円 (727,0800円)
85~89歳 572,910円 (1,299,9900円) (85歳以降は継続契約のみ)
・累積支払保険料を計算すると、寿命が90歳の場合なら、契約年齢が高くなればなるほど保険料支払総額よりも保険金が多くなる。77歳で契約するとほぼ同額。それより以前に契約すると保険料総額の方が多い。
・寿命が85歳の場合、60歳で契約しても保険料総額より保険金は多い。
・契約者と被保険者の関係は原則として三親等以内の親族。その親族がいない場合は契約時に別途「事情報告書」を提出し、会社の認める範囲内であれば三親等以外の親族でも受取人になれることがある。
・親の兄弟(おじ・おば)は三親等なので問題なし。従兄弟・従姉妹は三親等ではないが「事情報告書」により保険会社が認めれば受取人になることは可能。
・親族以外の第三者(死後事務委任者)も受取人となることも可能と思われる。(下記保険約款参照。契約前に確認要)
「第23条(保険金受取人の指定・変更)
1.保険契約者またはその継承人は、保険金の支払事由が発生するまでは、被保険者の同意を得て、会社に対する通知により、被保険者の三親等以内の親族を保険金受取人として指定・変更することができます。また、会社は以下の場合に限り、保険契約者またはその継承人から会社所定の書類(第28条)の提出を受け、審査の後に三親等以内の親族以外を保険金受取人として指定・変更を受けることがあります。 (中略) (3)高齢者およびおひとり様等で三親等以内の親族がいない場合もしくは三親等以内の親族と特別な事情があり世話が受けられない場合(三親等以内の親族がいない証明書の写しもしくは死後事務委任契約や保険金直接支払サービス特約を契約している場合)」
(2)みどり生命/終身保険「みどりの終身メモリアルⅢ」
・無選択型終身保険(低解約払戻金型)。医師による診査や告知書の提出不要。
・保険料払込期間:10年(保険金80万円コース以外)、20年、100歳払済の3タイプ。保険金は80万円、100万円、150万、200万円の4コース。
・契約年齢や契約日からの経過期間によっては、累計払込保険料が受取険金額を上回ることがある。
・低解約返戻型:解約返戻金の返戻率を払込保険料の累計額の70%程の低い水準に設定。多くの場合、解約払戻金は既払込保険料より少ない金額となり、契約後短期間で解約すると、解約払戻金はゼロかごくわずか。
・保険金が満額支払われるのは、契約から3年経過後に死亡した場合。
・契約後3年以内に死亡した場合に支払われるのは、①災害(不慮の事故や感染症)で死亡した場合は災害死亡保険金(死亡保険金額と同額)、②災害死亡保険金の支払事由以外の事由(病気など)で死亡した場合は死亡給付金(既払込保険料相当額)。
・「ご葬儀費用充当サービス」:みどり生命から提携互助会・葬儀社へ直接葬儀代金を支払う。葬儀費用精算後の保険金残額は保険金受取人へ支払う。このサービスを利用するかどうかについては、保険契約締結時に決めるのではなく、保険金支払事由が発生した際に死亡保険金受取人が決めるもの。
「みどりの終身メモリアルⅢ」(保険金150万円)[パンフレット]
(60歳女性・保険金150万円)月額保険料(払込期間満了時の累計)/解約払戻金(払込期間満了時)
10年払い 13,821円 (1,658,520円)/1,441,403円
20年払い 7,383円 (1,771,920円)/1,466,573円
100歳払済み 5,298円 (2,543,040円)/1,497,501円
(70歳女性・保険金150万円)月額保険料(払込期間満了時の累計)/解約払戻金(払込期間満了時)
10年払い 14,523円 (1,741,560円)/1,466,573円
20年払い 8,519円 (2,044,560円)/1,486,428円
100歳払済み 7,679円 (2,764,440円)/1,497,501円
・月払保険料・解約払戻金例表を見ると、保険料払込完了後に解約しても払戻金は支払保険料総額よりも少ない。
・払い込み期間満了時の支払保険料総額は保険金額を上回り、払込期間が長いほど、また、契約時の年齢が高いほど、超過額が大きくなる。→なるべく若い時に契約し最短の払込期間(10年)で保険料を払えば超過額が減る。
死後事務委任に関する生命保険事業の新展開(谷口聡,2021)
・みどりの終身メモリアルⅢ:「2020年8月より、「死後事務委任契約」を契約者(=被保険者の場合に限定)と締結済み若しくは予定がある法人で、かつ弊社が定めたガイドラインをクリアした法人については、受取人になることを認める場合がある旨の社内規定を定めました。」
<生命保険信託>
生命保険信託[一般社団法人信託協会]
・生命保険信託の受益者の範囲は、共同する生命保険会社および信託銀行等によって取扱いが異なる。
・一般的には、個人では、原則として委託者の配偶者または二親等以内の血族と定められる場合が多い。
・共同する生命保険会社および信託銀行等によっては、六親等の血族・三親等の姻族や配偶者ではないパートナーのうち一定の条件を満たす場合には受益者として認められる場合がある。
・公益認定法人、学校法人、社会福祉法人、認定NPO法人などの公益を目的とした団体のうち一定の条件を満たす法人が受益者として認められる場合がある。
・受益者の範囲については、共同する生命保険会社および信託銀行等によって、その範囲や条件が異なる。
(1)三井信託銀行/おひとりさま信託(生命保険タイプ)
信託契約時に契約者(被保険者)が「未来の縁-ing(エンディング)ノート」を作成し、それに基づいて一般社団法人安心サポートが死後事務を行う。
・死亡保険金債権信託と同時に特約付合同運用指定金銭信託を設定。
・生命保険信託:死亡保険金額が250万円以上。生命保険契約(三井信託銀行を募集代理店とする対象商品に限る)と同時に信託契約を締結。死亡保険金受取人は三井信託銀行。
・金銭信託:50万円以上1円単位。5千円以上(1円単位)で追加信託可能。
・相続発生時、信託銀行が受け取った死亡保険金を金銭信託財産に追加し、安心サポートが請求する死後事務費用を精算後、残余財産を帰属権利者(推定相続人または三井信託銀行の提携寄付先法人の中から、一人または一法人を指定)に支払う。死後事務の実費の他、三井住友信託銀行への信託報酬、安心サポートへの報酬が必要。(報酬金額の記載なし。安心サポートの報酬は後記参照)
・生命保険タイプ以外に、金銭信託タイプあり(元本保証、最低預入金額300万円)。
・「未来の縁-ing(エンディング)ノート」の記載項目:葬儀・埋葬方法(樹木葬、海洋散骨、永代供養など)、訃報連絡先、SNSアカウントのIDなどの一覧表、公共サービスの解約、社会保険の手続き、クレジットカードの精算・解約やペットの託し先など。
・SMS安否確認:契約期間中は、携帯端末に安否確認メッセージを週1回または月1回送信。死亡通知人が一定の要件を満さない場合、追加登録や警備会社等による見守り・緊急駆け付けサービスの利用等が必要となる場合がある。初回の安否確認メッセージ送信後、8日以内に安否登録がない場合、死亡通知人に対して契約者の自宅訪問や警察への相談を促す(社員による契約者宅への訪問等は行わない)。
・外出時等に携帯し緊急連絡先(一般社団法人安心サポート)を記載した「死亡連絡カード」を発行。
「一般社団法人安心サポート」
・三井住友信託銀行および三井住友トラスト・ホールディングスが設立した死後事務サービス団体。
・死後事務委任契約および「未来の縁-ingノート」の死後事務目録に記載された内容に基づき、遺体引取、訃報連絡、葬儀、埋葬、遺品整理、ペット搬送、公共サービス解約・精算、行政官庁に対する諸届出事務等を実施。
・死後事務委任契約の履行時に、死後事務に関する実費金額および社団への報酬(最低報酬額33万円)が必要。
・死後事務委任契約では、相続人への財産承継手続きや相続財産の処分手続き(預貯金・不動産・有価証券等の承継・処分に関するもの)は対象外。
※一般社団法人安心サポートのホームページが見つからないため、団体概要や費用・報酬の詳細不明。
(2)プルデンシャル信託/生命保険信託
終活サポート~マイ・エンディング・ケア~とは
・死亡保険金等を財源とした生命保険信託契約から、契約者死亡時に発生する死後事務委任契約に係る費用を死後事務受任者に対し支払う。
・契約者は生前に死後事務受任者と死後事務委任契約を締結しておくことで、死亡後の「行政手続」「葬儀・埋葬」「病院等への未払い費用の支払」「遺品整理」などの死後事務費用が支払える。
・信託設定できる生命保険:死亡保障があるプルデンシャル生命またはジブラルタ生命の保険契約であり、かつ保険契約が有効中のもの。
・契約者の死後、受益者等からプルデンシャル信託へ必要書類→プルデンシャル信託から生命保険会社へ死亡保険金・死亡給付金を請求→死亡保険金等がプルデンシャル信託の信託財産となる→プルデンシャル信託が所定の信託報酬を差し引き→死後事務受任者に請求された死後事務委任費用を支払う。→残余信託財産を受益者に交付。
・生命保険契約の死亡保険金等の金額と死後事務委任費用によっては、受益者等に交付する信託財産が残らない場合がある。
・死後事務受任者一覧(近畿地域)
(リーフレット)終活サポート~マイ・エンディング・ケア~(プルデンシャル生命)
(リーフレット)終活サポート~マイ・エンディング・ケア~(ジブラルタ生命)
(生命保険信託に関わる費用)
・信託契約締結時:事務手数料として信託契約1件当たり5,500円(税込)。
・金銭信託の開始時(委託者の死亡時):保険金請求、信託設定事務の費用として、分割交付の場合は報酬として受領保険金総額2.2%(税込)、一括交付の場合は事務手数料として信託契約1件当たり一律110,000円(税込)を信託財産から差し引く。
・金銭信託開始後~信託終了まで:受益者に対する信託財産の定例交付開始以降:信託契約1件当たり、年額22,000円(税込)を管理報酬として残高から差し引き。
・金銭信託開始後~信託終了:定例交付開始以降毎年3月末日時点で信託財産の残高がある場合、信託契約1件当たり年額22,000円(税込)を管理報酬として残高から差し引き。プルデンシャル信託は管理型信託会社で資産運用を行わないため運用費用はかからない。
(パンフレット)パンフレット:生命保険信託のご案内[プルデンシャル生命]
(パンフレット)パンフレット:生命保険信託のご案内[ジブラルタ生命]
(例8)近しいご家族がいない方(ジブラルタ生命)
・保険金1000万円:第1受益者の社会福祉法人に70%、同じく第1受益者の親戚に葬儀費用として30%をプルデンシャル信託から定例交付。
・残余財産帰属権利者:全ての受益者が死亡、または交付期間が終了した場合に、信託財産の残りを一括で受け取る者。設定可能な対象者は受益者と同じ。
・第一受益者が個人でない場合、特定の法人(法人形態の指定あり)を設定できる。、認定NPO法人も設定可能。
・一時金即日支払サービス:委託者があらかじめ決めておいた一時金額(委託者の未払いの医療費、受益者が負担する葬儀代など)が受益者に支払われる。
・一時金を受け取ることができるのは、委託者死亡時に最初に受益権を取得した受益者のみ。設定できる一時金の上限額は、一委託者あたり1,500万円。
※パンフレットに記載されている生命保険信託の契約例は保険金額が数千万円が多い。死後事務費用支払いが含まれている例でも保険金額は1000万円。死後事務費用の支払いのみを目的とするような少額保険(数百万円)は対象にならない。
最も一般的な方法である預託金は事務費用と実費の合計で50万円~200万円くらいで、事業者と契約内容によってかなり幅がある。例えば50万円で実施する死後事務の例は、火葬(葬儀なし)・納骨(合祀)・市役所関係の届出という最小限必要な死後事務のみ。葬儀をしない火葬(直葬)だけの場合でも20万円くらいはかかる。
それに加えて、電気・ガス・水道・クレジットカードの解約・精算、家財等の処分費用(数十万円。住宅の構造・広さ・家財の処分量でかなり違う)、葬儀、宗教儀礼(読経のお布施・戒名料)、散骨など、契約内容に応じて預託金が増えていく。
(出典)「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査結果報告書」(令和5年8月 総務省行政評価局)
【終活】死後事務委任契約の際のお金のこと[相続なんでも相談センター]
・受任者に執行費用を預託、信託会社に執行費用を信託、生命保険を活用のメリットとデメリットを記載。
・預託金方式:受任者の経営破綻や横領のリスク、サービス事業者や専門家の経営状態を正確に知ることは困難、信頼できる事業者かどうか慎重な判断が必要。
・信託方式:預託金は信託法により保全される。通常信託財産は数千万円単位、死後事務委任契約の執行費用決済のために、数百万円単位で契約できるプランもある。毎年信託報酬が発生(委任者が負担)。(※管理型信託のプルデンシャル信託は運用報酬が発生しない)
(注)↑の【生命保険を活用する】の説明に関して注意した方が良い点。
・遺言で保険人受取人を親族から死後事務受任者に変更することができる→その変更を保険会社が承認するかどうかは不確実。さらに当初契約で受取人に指定されていた親族とトラブルになる可能性もある。遺言ではなく、生前に死後事務受任者を受取人とする契約の締結または変更をした方が良い(保険会社に事前相談要)。
・法人名義で受取人に指定できない→受取人を死後事務受任者である法人に指定できる保険商品もないことはない。葬儀費用だけなら、直接支払いサービス付きの葬儀保険なら、保険会社から(保険金受取人ではない)提携葬儀社に直接費用が支払われる。
少額短期保険(ミニ保険)のメリット・デメリットは?一般の保険との違いも解説[明治安田生命]
<葬儀保険または保険金直接支払サービス>
葬儀保険は少額短期保険会社が販売している死亡保険で、主に保険期間が1年更新の保険料掛け捨て型。
契約年齢と保険料支払期間の組み合わせによって、支払い保険料が受け取り保険料を上回ることがある。
解約払戻金が受け取れる終身保険に葬儀費用の直接支払いサービスを付加した保険もある。
葬儀保険(終活保険)とは?葬儀費用に保険で備える必要性[ほけんの窓口]
葬儀保険(葬式保険) 人気ランキング・比較(2024年6月4日)[価格.com保険]
(1)あんしん少額短期保険/葬儀保険「みんなのキズナ」
葬儀保険「みんなのキズナ」:保険金固定型、保険料一定型
・葬儀費用は提携葬儀社に保険金で直接支払われる。保険金から葬儀費用を差し引いた残額は受取人に支払われる。
保険料一定型保険金表(年齢・プラン・男女別)
(例)女性60歳契約、80歳死亡:保険料1000円タイプ 保険料総額24万円、保険金242,180円。
(例)女性75歳契約、85歳死亡:保険料7000円ライプ 保険料総額84万円、保険金919,320円。
・年齢が高くなればなるほど保険金が減っていく。女性80歳時点で月額保険料7000円型なら約170万円、同1000円型なら約24万円(男性の保険金はその半額くらい)。
・葬儀を含めた死後事務費用として保険金100万円が必要なら、契約開始年齢75歳の7000円タイプしか選択できない。そのタイプでも、契約から10年以上経過すると、長生きすればするほど支払保険料総額が受取保険金額を上回っていく。
保険金固定型保険金表(年齢・プラン・男女別)
[保険金150万円(女性)の支払保険料合計 (60歳以降の累計額)]
60~69歳 201,690円
70~74歳 163,780円 (365,470円)
75~79歳 264,920円 (630,390円)
80~84歳 460,250円 (1,090,640円)
85~89歳 859,370円 (1,950,010円) (85歳以降は継続契約のみ)
[保険金100万円(女性)の支払保険料合計 (60歳以降の累計額)]
60~69歳 134,480円
70~74歳 109,170円 (243,650円)
75~79歳 176,600円 (420,250円)
80~84歳 306,830円 (727,0800円)
85~89歳 572,910円 (1,299,9900円) (85歳以降は継続契約のみ)
・累積支払保険料を計算すると、寿命が90歳の場合なら、契約年齢が高くなればなるほど保険料支払総額よりも保険金が多くなる。77歳で契約するとほぼ同額。それより以前に契約すると保険料総額の方が多い。
・寿命が85歳の場合、60歳で契約しても保険料総額より保険金は多い。
・契約者と被保険者の関係は原則として三親等以内の親族。その親族がいない場合は契約時に別途「事情報告書」を提出し、会社の認める範囲内であれば三親等以外の親族でも受取人になれることがある。
・親の兄弟(おじ・おば)は三親等なので問題なし。従兄弟・従姉妹は三親等ではないが「事情報告書」により保険会社が認めれば受取人になることは可能。
・親族以外の第三者(死後事務委任者)も受取人となることも可能と思われる。(下記保険約款参照。契約前に確認要)
「第23条(保険金受取人の指定・変更)
1.保険契約者またはその継承人は、保険金の支払事由が発生するまでは、被保険者の同意を得て、会社に対する通知により、被保険者の三親等以内の親族を保険金受取人として指定・変更することができます。また、会社は以下の場合に限り、保険契約者またはその継承人から会社所定の書類(第28条)の提出を受け、審査の後に三親等以内の親族以外を保険金受取人として指定・変更を受けることがあります。 (中略) (3)高齢者およびおひとり様等で三親等以内の親族がいない場合もしくは三親等以内の親族と特別な事情があり世話が受けられない場合(三親等以内の親族がいない証明書の写しもしくは死後事務委任契約や保険金直接支払サービス特約を契約している場合)」
(2)みどり生命/終身保険「みどりの終身メモリアルⅢ」
・無選択型終身保険(低解約払戻金型)。医師による診査や告知書の提出不要。
・保険料払込期間:10年(保険金80万円コース以外)、20年、100歳払済の3タイプ。保険金は80万円、100万円、150万、200万円の4コース。
・契約年齢や契約日からの経過期間によっては、累計払込保険料が受取険金額を上回ることがある。
・低解約返戻型:解約返戻金の返戻率を払込保険料の累計額の70%程の低い水準に設定。多くの場合、解約払戻金は既払込保険料より少ない金額となり、契約後短期間で解約すると、解約払戻金はゼロかごくわずか。
・保険金が満額支払われるのは、契約から3年経過後に死亡した場合。
・契約後3年以内に死亡した場合に支払われるのは、①災害(不慮の事故や感染症)で死亡した場合は災害死亡保険金(死亡保険金額と同額)、②災害死亡保険金の支払事由以外の事由(病気など)で死亡した場合は死亡給付金(既払込保険料相当額)。
・「ご葬儀費用充当サービス」:みどり生命から提携互助会・葬儀社へ直接葬儀代金を支払う。葬儀費用精算後の保険金残額は保険金受取人へ支払う。このサービスを利用するかどうかについては、保険契約締結時に決めるのではなく、保険金支払事由が発生した際に死亡保険金受取人が決めるもの。
「みどりの終身メモリアルⅢ」(保険金150万円)[パンフレット]
(60歳女性・保険金150万円)月額保険料(払込期間満了時の累計)/解約払戻金(払込期間満了時)
10年払い 13,821円 (1,658,520円)/1,441,403円
20年払い 7,383円 (1,771,920円)/1,466,573円
100歳払済み 5,298円 (2,543,040円)/1,497,501円
(70歳女性・保険金150万円)月額保険料(払込期間満了時の累計)/解約払戻金(払込期間満了時)
10年払い 14,523円 (1,741,560円)/1,466,573円
20年払い 8,519円 (2,044,560円)/1,486,428円
100歳払済み 7,679円 (2,764,440円)/1,497,501円
・月払保険料・解約払戻金例表を見ると、保険料払込完了後に解約しても払戻金は支払保険料総額よりも少ない。
・払い込み期間満了時の支払保険料総額は保険金額を上回り、払込期間が長いほど、また、契約時の年齢が高いほど、超過額が大きくなる。→なるべく若い時に契約し最短の払込期間(10年)で保険料を払えば超過額が減る。
死後事務委任に関する生命保険事業の新展開(谷口聡,2021)
・みどりの終身メモリアルⅢ:「2020年8月より、「死後事務委任契約」を契約者(=被保険者の場合に限定)と締結済み若しくは予定がある法人で、かつ弊社が定めたガイドラインをクリアした法人については、受取人になることを認める場合がある旨の社内規定を定めました。」
<生命保険信託>
生命保険信託[一般社団法人信託協会]
・生命保険信託の受益者の範囲は、共同する生命保険会社および信託銀行等によって取扱いが異なる。
・一般的には、個人では、原則として委託者の配偶者または二親等以内の血族と定められる場合が多い。
・共同する生命保険会社および信託銀行等によっては、六親等の血族・三親等の姻族や配偶者ではないパートナーのうち一定の条件を満たす場合には受益者として認められる場合がある。
・公益認定法人、学校法人、社会福祉法人、認定NPO法人などの公益を目的とした団体のうち一定の条件を満たす法人が受益者として認められる場合がある。
・受益者の範囲については、共同する生命保険会社および信託銀行等によって、その範囲や条件が異なる。
(1)三井信託銀行/おひとりさま信託(生命保険タイプ)
信託契約時に契約者(被保険者)が「未来の縁-ing(エンディング)ノート」を作成し、それに基づいて一般社団法人安心サポートが死後事務を行う。
・死亡保険金債権信託と同時に特約付合同運用指定金銭信託を設定。
・生命保険信託:死亡保険金額が250万円以上。生命保険契約(三井信託銀行を募集代理店とする対象商品に限る)と同時に信託契約を締結。死亡保険金受取人は三井信託銀行。
・金銭信託:50万円以上1円単位。5千円以上(1円単位)で追加信託可能。
・相続発生時、信託銀行が受け取った死亡保険金を金銭信託財産に追加し、安心サポートが請求する死後事務費用を精算後、残余財産を帰属権利者(推定相続人または三井信託銀行の提携寄付先法人の中から、一人または一法人を指定)に支払う。死後事務の実費の他、三井住友信託銀行への信託報酬、安心サポートへの報酬が必要。(報酬金額の記載なし。安心サポートの報酬は後記参照)
・生命保険タイプ以外に、金銭信託タイプあり(元本保証、最低預入金額300万円)。
・「未来の縁-ing(エンディング)ノート」の記載項目:葬儀・埋葬方法(樹木葬、海洋散骨、永代供養など)、訃報連絡先、SNSアカウントのIDなどの一覧表、公共サービスの解約、社会保険の手続き、クレジットカードの精算・解約やペットの託し先など。
・SMS安否確認:契約期間中は、携帯端末に安否確認メッセージを週1回または月1回送信。死亡通知人が一定の要件を満さない場合、追加登録や警備会社等による見守り・緊急駆け付けサービスの利用等が必要となる場合がある。初回の安否確認メッセージ送信後、8日以内に安否登録がない場合、死亡通知人に対して契約者の自宅訪問や警察への相談を促す(社員による契約者宅への訪問等は行わない)。
・外出時等に携帯し緊急連絡先(一般社団法人安心サポート)を記載した「死亡連絡カード」を発行。
「一般社団法人安心サポート」
・三井住友信託銀行および三井住友トラスト・ホールディングスが設立した死後事務サービス団体。
・死後事務委任契約および「未来の縁-ingノート」の死後事務目録に記載された内容に基づき、遺体引取、訃報連絡、葬儀、埋葬、遺品整理、ペット搬送、公共サービス解約・精算、行政官庁に対する諸届出事務等を実施。
・死後事務委任契約の履行時に、死後事務に関する実費金額および社団への報酬(最低報酬額33万円)が必要。
・死後事務委任契約では、相続人への財産承継手続きや相続財産の処分手続き(預貯金・不動産・有価証券等の承継・処分に関するもの)は対象外。
※一般社団法人安心サポートのホームページが見つからないため、団体概要や費用・報酬の詳細不明。
(2)プルデンシャル信託/生命保険信託
終活サポート~マイ・エンディング・ケア~とは
・死亡保険金等を財源とした生命保険信託契約から、契約者死亡時に発生する死後事務委任契約に係る費用を死後事務受任者に対し支払う。
・契約者は生前に死後事務受任者と死後事務委任契約を締結しておくことで、死亡後の「行政手続」「葬儀・埋葬」「病院等への未払い費用の支払」「遺品整理」などの死後事務費用が支払える。
・信託設定できる生命保険:死亡保障があるプルデンシャル生命またはジブラルタ生命の保険契約であり、かつ保険契約が有効中のもの。
・契約者の死後、受益者等からプルデンシャル信託へ必要書類→プルデンシャル信託から生命保険会社へ死亡保険金・死亡給付金を請求→死亡保険金等がプルデンシャル信託の信託財産となる→プルデンシャル信託が所定の信託報酬を差し引き→死後事務受任者に請求された死後事務委任費用を支払う。→残余信託財産を受益者に交付。
・生命保険契約の死亡保険金等の金額と死後事務委任費用によっては、受益者等に交付する信託財産が残らない場合がある。
・死後事務受任者一覧(近畿地域)
(リーフレット)終活サポート~マイ・エンディング・ケア~(プルデンシャル生命)
(リーフレット)終活サポート~マイ・エンディング・ケア~(ジブラルタ生命)
(生命保険信託に関わる費用)
・信託契約締結時:事務手数料として信託契約1件当たり5,500円(税込)。
・金銭信託の開始時(委託者の死亡時):保険金請求、信託設定事務の費用として、分割交付の場合は報酬として受領保険金総額2.2%(税込)、一括交付の場合は事務手数料として信託契約1件当たり一律110,000円(税込)を信託財産から差し引く。
・金銭信託開始後~信託終了まで:受益者に対する信託財産の定例交付開始以降:信託契約1件当たり、年額22,000円(税込)を管理報酬として残高から差し引き。
・金銭信託開始後~信託終了:定例交付開始以降毎年3月末日時点で信託財産の残高がある場合、信託契約1件当たり年額22,000円(税込)を管理報酬として残高から差し引き。プルデンシャル信託は管理型信託会社で資産運用を行わないため運用費用はかからない。
(パンフレット)パンフレット:生命保険信託のご案内[プルデンシャル生命]
(パンフレット)パンフレット:生命保険信託のご案内[ジブラルタ生命]
(例8)近しいご家族がいない方(ジブラルタ生命)
・保険金1000万円:第1受益者の社会福祉法人に70%、同じく第1受益者の親戚に葬儀費用として30%をプルデンシャル信託から定例交付。
・残余財産帰属権利者:全ての受益者が死亡、または交付期間が終了した場合に、信託財産の残りを一括で受け取る者。設定可能な対象者は受益者と同じ。
・第一受益者が個人でない場合、特定の法人(法人形態の指定あり)を設定できる。、認定NPO法人も設定可能。
・一時金即日支払サービス:委託者があらかじめ決めておいた一時金額(委託者の未払いの医療費、受益者が負担する葬儀代など)が受益者に支払われる。
・一時金を受け取ることができるのは、委託者死亡時に最初に受益権を取得した受益者のみ。設定できる一時金の上限額は、一委託者あたり1,500万円。
※パンフレットに記載されている生命保険信託の契約例は保険金額が数千万円が多い。死後事務費用支払いが含まれている例でも保険金額は1000万円。死後事務費用の支払いのみを目的とするような少額保険(数百万円)は対象にならない。
Tag : 終活
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