気ままな生活

               ♪音楽と本に囲まれて暮らす日々の覚え書♪

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『ジーナ・バッカウアー/マーキュリー・マスターズ』(1)ブラームス、ショパン、ベートーヴェン

発売後まもなく届いた『ジーナ・バッカウアー/マーキュリー・マスターズ』。
新たにリマスタリングしたということなので、手持ちの国内盤でブラームスとベートーヴェン(ソナタ)を少し聴き比べたところ、音質が良くなっていた。分売盤(国内盤)でも音質がかなり良かったけど、このBoxセットでは、分売盤の少し滲んだような響きが消えて、音の輪郭と分離が明瞭になり、響きもすっきりしてまろやかになって、聴きやすい音になっている。(他の曲の音質は分売盤を持っていないのでわからない)

ジーナ・バッカウアー/マーキュリー・マスターズ(7CD)ジーナ・バッカウアー/マーキュリー・マスターズ(7CD)
(2022年7月26日)




GINA BACHAUER – THE MERCURY MASTERS


<収録曲>
●ブラームス:ピアノ協奏曲第2番、パガニーニの主題による変奏曲(第2巻)
●ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番『皇帝』、ピアノ協奏曲第4番、ピアノ・ソナタ第9番
● ストラヴィンスキー:『ペトルーシュカ』からの3楽章(ロシアの踊り/ペトルーシュカの部屋/謝肉祭)
● ショパン: ピアノ協奏曲第1番、ピアノ協奏曲第2番、ポロネーズ第6番『英雄』、夜想曲Op.27-1、12の練習曲 Op.25(第11番「木枯らし」、第1番「エオリアン・ハープ」、第12番「大洋」)、幻想曲へ短調
● リスト:ハンガリー狂詩曲第12番
● ラヴェル:夜のガスパール(朗読付)
●ドビュッシー:ピアノのために(前奏曲/サラバンド/トッカータ)、前奏曲集第1巻(第10曲「沈める寺」、第1曲「デルフィの舞姫」)、前奏曲集第2巻(第5曲「ヒース」)
※録音年:1962-1964年


ブラームス:ピアノ協奏曲第2番、パガニーニの主題による変奏曲(第2巻)
《パガニーニの主題による変奏曲(第2巻)》
なぜか第2巻だけ録音。どちらか弾くなら、第1巻の方を選ぶピアニストが多いと思う。
melo盤のライブ録音(1963年)があり、このマーキュリー盤のスタジオ録音の方が一音一音明瞭でソノリティも美しく、音質がはるかに良い。細かなアルペジオでも音が潰れて聞こえず、和声の響きの細かなニュアンスや美しさがよくわかる。演奏はマーキュリー盤の方がテンポが少し遅く、打鍵が丁寧(その分勢いがやや落ちる)。
打鍵が正確で音質も良く聴きやすいのはマーキュリー盤だけど、melo盤はライブなのでテンション高くて勢いがある。(但し第9変奏が抜けている)

Brahms: Variations on a Theme by Paganini, Op. 35 - Book 2


《ピアノ協奏曲第2番》には2種類の録音があり、昔書いた記事がある。
ジーナ・バッカウアー ~ ブラームス/ピアノ協奏曲第2番



ショパン/ピアノ協奏曲第1番、独奏曲(英雄ポロネーズ、夜想曲、エチュード)
《ピアノ協奏曲第1番》は、硬質でクリアな粒立ちのよいタッチと響きに、ルバート控え目で抑揚の少ない硬いフレージングは、ロマン派ではなく、古典派風ショパンという感じ。第3楽章のロンドもリズムがやや平板なので、舞曲らしい民族色は薄い。

面白いのは独奏曲の演奏。《英雄ポロネーズ》だけでなく、《夜想曲Op.27-1》と《エチュード》(「木枯らし」と「大洋」」)はいずれも力強いタッチで筋肉質なショパン。《エオリアン・ハープ》も優美というよりは賑やか。
《夜想曲》は冒頭こそ静かだけど、中間部が怒涛の如く強力なタッチで感情の嵐が吹きすさぶバラードみたい。
《木枯らしのエチュード》は両手とも力感強く、全体的にフォルテ側に偏っているので、デクレッシェンドでも弱音の音量が大きい。強弱の落差が少ないせいで、”木枯らし”というよりは”強風”や”暴風”に近い。
どの曲の演奏も面白いけど、立て続けにエチュードを聴くとさすがに聴き疲れしてしまった。

バッカウアーの映像(ラフマニノフの《ピアノ協奏曲第2番》)や写真を見ていると、まるで重量挙げ選手みたいに重量感のある体格と太い腕の持ち主。男性ピアニストでもあれだけ腕が太い人は少ないと思う。バッカウアーの力感・量感豊かな音の源泉は、あの体格と(特に)太い腕にあると思う。

Chopin: Nocturnes, Op. 27 - No. 1 in C-Sharp Minor (Larghetto)


Chopin: 12 Études, Op. 25 - No. 11 in A Minor "Winter Wind"


《ピアノ協奏曲第1番》、《英雄ポロネーズ》、エチュード「大洋」については、↓に書いている。
【新譜情報】『ジーナ・バッカウアー/マーキュリー・マスターズ』



ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番、第5番「皇帝」、ピアノ・ソナタ第9番
第4番はやや抑えたタッチで力感控え目。澄んだ音色で粒立ちよく、滑らかで流れるようなフレージングが優美で品が良い。バッカウアーの音色は元々明るいので、陰翳濃いはずの第2楽章でも、なぜか明るい雰囲気が漂い、陰鬱さや悲愴感は薄い。第5番が「皇帝」なら、第4番は(「女王」ほどに力強いタッチではなくて)清楚な「プリンセス」。

Beethoven: Piano Concerto No. 4, Bachauer & Doráti (1963) ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番 バッカウアー



「皇帝」は4番よりはやや強めのタッチで、テンポも力感も程よく、筋肉質なところは全くない。アーティキュレーションや歌い回しに凝ったところはないけれど、硬質で明るい煌きの澄んだ高音の美しさ、安定感のある粒立ちよい良いフレージングや、ペダルを踏んだ時のアルペジオの柔らかさとか、好きなところがいろいろ見つかる。
Beethoven: Piano Concerto No. 5 in E-Flat Major, Op. 73 "Emperor" - I. Allegro



《ピアノ・ソナタ第9番》も、全体的に軽やかで柔らかいタッチで、控え目なフォルテや左手和音の柔らかい重音で力感緩め。さらっとした叙情感でも、愛らしさがあり落ち着いて穏やかな雰囲気。この演奏はとても好き。
Beethoven Piano Sonata No.9 / Gina Bachauer


<関連記事>
『ジーナ・バッカウアー/マーキュリー・マスターズ』(2)ラヴェル、ドビュッシー、ストラヴィンスキー
【新譜情報】『ジーナ・バッカウアー/マーキュリー・マスターズ』
ジーナ・バッカウアー ~ ブラームス/ピアノ協奏曲第2番

Tag : ベートーヴェンブラームスショパンバッカウアー

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。

|  ♪ サスキア・ジョルジーニ,マリア・ユーディナ,ジーナ・バッカウアー | 2022-09-10 00:00 | comments:0 | TOP↑











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