ヴォーン・ウィリアムス/ピアノ協奏曲
ヴォーン・ウィリアムスのピアノ協奏曲(1926年[第1&第2楽章]~31年[第3楽章])は、作曲家バックスの恋人でピアニストのハリエット・コーエンを想定して作曲された作品。
初演は1933年2月にコーエンの独奏とボールト指揮BBC交響楽団の伴奏。
さほど評価されることもなかったので、今度は「2台のピアノのための協奏曲」に編曲したりしたけれど、やっぱりパッとせず。
結局、そのまま埋もれてしまったらしい。
ピアノ・ソロは、オケに負けずに厚みのある和声でシンフォニックな響きが美しく、ピアノパート自体はしっかりとした存在感がある。
それにしては、なぜか聴き終った後の印象が薄い。
ピアノコンチェルトとしては、旋律がそれほど印象的でもなくて、そのシンフォニックな響きがピアノ付き交響曲のように聴こえるせいかも。
特に第1楽章Toccataは、ピアノが歌謡性のあるメロディを弾くというわけでもなく、あくまで交響曲の和声の一つを受け持っているような構成。
彼のシンフォニーはいつも”大味”な感じがする(悪い意味ではなく)。
このコンチェルトも、雄大な自然をイメージされるような空間的な広がりと厚みのある響きで、壮大で堂々とした曲。
面白いのは、第1楽章で東洋風(中国風のような日本風のような)音階で書かれたような旋律と和声が頻繁に出てくるところ。
Ralph Vaughan Williams - Piano Concerto - I. Toccata
(Howard Shelley, piano,Vernon Handley/Royal Philharmonic Orchestra)
第2楽章Romanzaは、タイトルどおり、冒頭はピアノソロが弾くなど旋律と響きの重なりがとても美しく、静かでファンタスティック。
これもオケのトゥッティが入って徐々にクレッシェンドして高揚していく。
メロディアスな旋律は、管楽器(オーボエ(?))とピアノが交互に受け持っていて、オーボエの背後でペダルを響きを重ねたアルペジオでピアノが伴奏しているところが綺麗。
第3楽章は Fuga Chromatica con Finale alla Tedesca。
半音階を使っているせいか、下降調が醸しだす不可思議さとシニカルな諧謔さ、それに物々しさが混在したような、面白い旋律と響き。(Liebermannの騒然とした雰囲気がするピアノ協奏曲第1番を連想するようなところがある)
ピアノが第1楽章よりもずっと目立っていて、ピアノはオケの響きに埋もれることなく、わりとオケと対等な形で対話している。
途中でジャ~ンとオケがトウッティに入ると、全く交響曲に変身したように威圧的、(ここでピアノは少し休憩)
その後にピアノが弾くカデンツァ。
これも、オケに負けずとばかりにかなり厚みのあるフォルテの和音が良く響く。
やがて弱音でモコモコと呟くようになり、またフォルテで盛り上がって、再びオケに交代して、それから協奏。
旋律自体はさほど印象的というわけでもなく、短い主題がいろいろな形のフレーズで変奏されて展開していく。
中間部はピアノソロが柔らかくゆっくりしたテンポで和音で旋律をつなげていき、徐々にクレッシェンド。
Ralph Vaughan Williams - Piano Concerto - III. Fuga Chromatica con Finale alla Tedesca
数年前に聴いた時の印象と同じように、やっぱり”大味”な感じがするピアノ協奏曲。
ピアノパートの厚みのある響きは美しいけれど、ヒンデミットのような乾いた叙情性というものはあまり感じることなく、はるかに客観的・描写的な感じを受けるのは、交響曲と同じ。
交響曲の方もさほど好きな作風ではないので、このコンチェルトもやっぱりもう一つ良くわからなかった。
初演は1933年2月にコーエンの独奏とボールト指揮BBC交響楽団の伴奏。
さほど評価されることもなかったので、今度は「2台のピアノのための協奏曲」に編曲したりしたけれど、やっぱりパッとせず。
結局、そのまま埋もれてしまったらしい。
ピアノ・ソロは、オケに負けずに厚みのある和声でシンフォニックな響きが美しく、ピアノパート自体はしっかりとした存在感がある。
それにしては、なぜか聴き終った後の印象が薄い。
ピアノコンチェルトとしては、旋律がそれほど印象的でもなくて、そのシンフォニックな響きがピアノ付き交響曲のように聴こえるせいかも。
特に第1楽章Toccataは、ピアノが歌謡性のあるメロディを弾くというわけでもなく、あくまで交響曲の和声の一つを受け持っているような構成。
彼のシンフォニーはいつも”大味”な感じがする(悪い意味ではなく)。
このコンチェルトも、雄大な自然をイメージされるような空間的な広がりと厚みのある響きで、壮大で堂々とした曲。
面白いのは、第1楽章で東洋風(中国風のような日本風のような)音階で書かれたような旋律と和声が頻繁に出てくるところ。
Ralph Vaughan Williams - Piano Concerto - I. Toccata
(Howard Shelley, piano,Vernon Handley/Royal Philharmonic Orchestra)
第2楽章Romanzaは、タイトルどおり、冒頭はピアノソロが弾くなど旋律と響きの重なりがとても美しく、静かでファンタスティック。
これもオケのトゥッティが入って徐々にクレッシェンドして高揚していく。
メロディアスな旋律は、管楽器(オーボエ(?))とピアノが交互に受け持っていて、オーボエの背後でペダルを響きを重ねたアルペジオでピアノが伴奏しているところが綺麗。
第3楽章は Fuga Chromatica con Finale alla Tedesca。
半音階を使っているせいか、下降調が醸しだす不可思議さとシニカルな諧謔さ、それに物々しさが混在したような、面白い旋律と響き。(Liebermannの騒然とした雰囲気がするピアノ協奏曲第1番を連想するようなところがある)
ピアノが第1楽章よりもずっと目立っていて、ピアノはオケの響きに埋もれることなく、わりとオケと対等な形で対話している。
途中でジャ~ンとオケがトウッティに入ると、全く交響曲に変身したように威圧的、(ここでピアノは少し休憩)
その後にピアノが弾くカデンツァ。
これも、オケに負けずとばかりにかなり厚みのあるフォルテの和音が良く響く。
やがて弱音でモコモコと呟くようになり、またフォルテで盛り上がって、再びオケに交代して、それから協奏。
旋律自体はさほど印象的というわけでもなく、短い主題がいろいろな形のフレーズで変奏されて展開していく。
中間部はピアノソロが柔らかくゆっくりしたテンポで和音で旋律をつなげていき、徐々にクレッシェンド。
Ralph Vaughan Williams - Piano Concerto - III. Fuga Chromatica con Finale alla Tedesca
数年前に聴いた時の印象と同じように、やっぱり”大味”な感じがするピアノ協奏曲。
ピアノパートの厚みのある響きは美しいけれど、ヒンデミットのような乾いた叙情性というものはあまり感じることなく、はるかに客観的・描写的な感じを受けるのは、交響曲と同じ。
交響曲の方もさほど好きな作風ではないので、このコンチェルトもやっぱりもう一つ良くわからなかった。
Vaughan Williams: Symphony No. 9 in E minor; Piano Concerto (1992/10/28) Howard Shelley,Bryden Thomson,London Symphony Orchestra 試聴する |
Tag :
※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。