とある科学の超電磁砲S #7 『お姉さまの力になりたいですの』
暗夜に文明の光を帯びる学園都市。その広大な闇にたった独りで立ち向かう美琴。彼女を取り巻く状況、心境を表わしたクールなアバンでスタートです。てか、外部からの通信だけで7割も潰しちゃうっていうね・・・どんだけだよ。
今回の見所は、キャラの心の機微だったかと。黒子に心配をかけ、傷つけてしまっているのを分かっていながら、そこからくる感情を振り切り、目的の遂行を急ぐ美琴。美琴を気に掛け、しかし頼って貰えない自分を不甲斐なく思いながら、そういった思いを押し込めて周りと接する黒子。それにしっかり気付いてフォローする佐天さんと初春。明確に示唆するセリフを出すまでもなくそれを感じさせる脚本や、ちょっとしたキャラの挙動、黒子に関しては声優さんの演技による、キャラ同士が気遣い合う演出がふんだんに盛り込まれていたと思います。最後のふたりの遣り取りは印象的で。黒子の、諸々を堪えて“美琴を送り出す覚悟”。それを、やっぱり全部感じ取って、感謝の言葉を残す美琴。これから更に厳しさを増す展開を前に、最高の区切り方でした。
次回はいよいよ散々前振りされた『アイテム』の面々の登場みたいですね。このエピソードの目玉のひとつと言ってもいい部分に突入する訳で。楽しみっすなぁ
とある科学の超電磁砲S #6 『あたし…みんなのこと見えてるから』
目の前にいる相手を潰す。そんな言葉が浮かんでくる程暴力的に、作中でも屈指の攻撃力を発揮する美琴。磁力を用いて繰り出す技はどれも大迫力。美琴の剥き出しの感情と相まって、なんとも見応えのある戦闘シーンでしたが。それら“全力の攻撃”を悉く跳ね返す、学園都市の第一位。一方通行(アクセラレータ)。代名詞ともいえる超電磁砲を跳ね返された時の美琴の表情といい、絶望感漂いまくってる。岡本信彦さんの特徴的な演技がまた痺れますね。「ヨロシク」とか格好良過ぎだろと。もう、どうしようもない。そんな印象を強く植え付けるようなAパートでした。
今作の主人公は御坂美琴だけど。美琴や砥信ちゃんを始め、この物語の真相に直接関わってる者は皆、ミサカ妹を中心に置いている。彼女の存在・計画についての各々の考え方、それ由来の行動が絡み合うことで話が進んでいきます。今回の話によると、倫理観の違いが肝みたいですね。美琴と、研究者・一方通行・ミサカ妹のそれとが、あまりに違い過ぎる。だから美琴の声は届かない。研究者の側でありながら美琴と近い感覚を持っている砥信ちゃんだからこそ、この問題を客観的に捉え、それを顕示する役割を負っているんですね。クローンを人間としては見たくないと言う美琴ですが。「素直じゃないわね」という砥信ちゃんの言葉もありますし、ミサカ妹に対する怒り、でも決してそれだけではない諸々の感情を、今は押し込め、そのエネルギーを研究者への報復に向けているような、そんな風にも思えました。
とある科学の超電磁砲のアニメ版は、原作(漫画)より、黒子や佐天さん、初春を始めとした美琴を取り巻くキャラクターと彼女達が絡む描写がプッシュされてきましたが、このエピソードではその要素が効いているなと。学園都市の“裏”で実に黒い話を進める美琴にとっての、“表”の光として。彼女達の存在と日常は、これでもかってくらいの説得力を持っています。それがしっかり見えている。だからこそこの件は自分の手でけりをつけるという美琴の決意はなんとも男前でした。
とある科学の超電磁砲S #5 『絶対能力進化計画(レベル6シフトけいかく)』
アニメの禁書を見ていた頃、妹達というキャラについて、自分は正直あまり魅力を感じることはなかったのですが。超電磁砲の漫画で初めて妹達が登場した時。丁度今回放送されたところですね。可愛らしいデフォルメに、変な方向に語彙を豊かにしたセリフ。あの娘をこれほど面白いキャラに昇華するとは・・・!!と衝撃を受けたものです。
力尽くでも情報を聞き出す。苛立ちを帯び真剣な面持ちで美琴が迫るシーンは、無抵抗なミサカ妹の態度も相まってすごい緊迫感。かと思えばコントのような掛け合いを展開しては巧みに笑いを誘ってきたり。前半はそんな緩急の効いた雰囲気の切り替えが印象的でした。クローンとその素体。事の真相を秘める者とそれを追う者という不穏な間柄としての接触でしたが、その中で確かに互いの存在に愛着を持つ様子が描かれていましたね。その描写が終盤の件に効いてくるのですが。
二万体の妹達を殺害させることで、とある一人のレベル5をレベル6に進化させる。この実に悍ましい計画こそが、美琴を取り巻く学園都市の闇だったのでした。自分の能力、武装、蓄積されたデータによる身の丈に合ったミサカ妹の戦術をしっかり描写しているからこそ、この頃はまだイケイケだった一方通行さんの無敵っぷりがまた映えるというか。能力の説明なんかなくても、あの戦闘シーンだけで十分に彼のヤバさが伝わってきます。
最後、美琴に貰ったバッジを取りに地を這うミサカ妹の姿が。バッジを取り上げた表情が。バッジを抱きしめる仕草がああなんとも。胸が締め付けられる。そして直後の電車落としがこれまた容赦なしだもんなぁ。前半にあんな様子を見せられてラストがこの有様とか、視聴者を叩き落とす気満々の構成・演出ですね。素晴らしい。次回のバトルはレベル5同士という正に夢のカードの実現なんですが・・・次回予告の時点でなんかもう絶望感漂ってね??
そういえば。CAST欄のキャラクター名に『ミサカ妹』とあったので、この名前を使いましたが。妹達全個体の愛称=キャラ名と捉えていいのかしら。その辺、禁書本編ではしっかり区別されているのを知って驚きました。
とある科学の超電磁砲S #4 『妹達(シスターズ)』
超電磁砲量産計画の永久凍結。その情報を入手し、すっかり上機嫌の美琴。平穏を満喫する彼女の日常と、遡ること3ヶ月、某研究所で何故か進行しているクローンの製造。今回はその2つを交互に映す形で進行していきました。
序盤、なんとまあ気色悪い“綺麗な”美琴の登場でしたが。ここは黒子の言動がいちいち面白過ぎでした。特にコミカルな場面での新井里美さんの演技はすごくはまってますよね。初春の失言に対し、流すどころか寧ろ乗っかっていく程の余裕を見せる美琴。肩の荷が下りて心が軽くなった、その心境が伺えますが。そんな彼女の長閑な時間の描写に差し込まれる“闇”。永久凍結されたはずの計画が何故行われているのか。その説明は一切ないまま、淡々と、それはもう淡々と、美琴のクローンの製造から教育の過程を描いていきます。そんなに悪い印象は受けない研究者ふたりのキャラもあってか、事の重大さはあまり感じないんですよね。しかし最後、美琴が妹達の存在を感知したところから、美琴の動揺、BGMの切り替えでもって、一気に雰囲気を引き締めてきます。そして黄昏時の邂逅。この流れにはゾクゾクしてしまいました。見事な盛り上げと引きです。
あと、今回は場面毎の風景と、その風景に合わせた光や影の演出がこれまで以上に目を引きました。主に序盤の森林公園の一幕や、大きな窓から光差し込む学食で食事をする場面。そしてショッピングモールの休憩所等の黄昏時でしょうか。それぞれの雰囲気がしっかり差別化されていたので余計に印象に残ったのかも。巧みな構図も相まって、それこそ“どの場面を切り取っても絵になる”ように思いました。
子供達との会話に出てきた電撃使い同士の通信についの考察も面白かったです。脳波の波形が近いもの同士・・・というのがポイントですね。同じ素体によるクローン同士ならでは。ミサカネットワークはやはり特異な能力なのでした。
短めのCパートに出てきた大量の妹達の死体は、戦闘訓練の残骸・・・でしょうか?? 研究者ふたりも表情全然変えないんだもんなぁ。変に演出を入れるより不気味でしたよ。
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