ノーテルネットワークスは2008年12月4日,業務アプリケーションとコミュニケーション基盤の連携を容易にするミドルウエア「Agile Communication Environment」(ACE)を発売した。IP電話やテレビ会議システムなどベンダー間で異なるインタフェースの違いを吸収してWebサービス化。米CiscoのSIPサーバー向けアダプタ・ソフトを用意するなど,マルチベンダー環境を前提とすることで特色を出す。
ACEは,IP電話やメール,IMなどのコミュニケーション機能を,Webサービスとして業務システムから利用できるようにするミドルウエアと開発環境で構成(写真1)。ベンダー固有のインタフェースに合わせたアダプタ・ソフトを介してWebサービス化し,SOAに基づく業務システムとの連携を可能にする。SOA導入済みまたは計画中の大企業がメインターゲットのソリューションである。
ACEが対応するアダプタは,カナダNortelおよびCiscoのSIP製品,ノルウェーTANDBERGのテレビ会議システムなど。他ベンダー製品向けのアダプターも順次提供する予定で,既にNEC製IP-PBX向けのアダプタを一部顧客に提供し始めているという。
機能だけ見れば,ACEは米AvayaやCiscoなどが自社製品向けに展開する通信特化のSOAミドルウエアと同等である。ACEはノーテル製品とは独立したソリューションとして展開することで「真のマルチベンダー」(ノーテルネットワークスのRay Teske社長,写真2)を特徴として打ち出す。
収益モデルも見直す。「ユーザーの要望で開発したアダプタ・ソフトは無償」(Nortel Asia Next Generation Unified Networks leaderのKirsten Gilbertson氏,写真3)というように,あくまでユニファイド・コミュニケーションを含めた業務システム全体の最適化ソリューションとして位置付ける。このため「従来のパートナーだけでなく,業務アプリケーションに強いシステム・インテグレータとの協業を検討中」(ノーテルネットワークスのTeske社長)という。