「なぜ、ウチの営業は売ってこないんだ」――。いつも、そう思っているシステム会社の幹部は少なくないはずだ。いらだつ気持ちはわかる。だが、営業担当者の行動が変わらなければ、売り上げはなかなか伸びない。この不況期に求められている「新規市場の開拓」や「新規事業への進出」も進まない。
ものごとには、うまくいくための原理原則がある。そして、顧客開拓にも原理原則が存在する。以下では、船井総合研究所が導き出した顧客開拓の10原則を2回に分けて紹介しよう。
原則1:「売れてる」商品を持つ
「売れる商品」が「優れた商品」とは限らない。逆説的かもしれないが、結局は「よく売れている商品」や「実績のある商品」が「売れる商品」なのである。
新規顧客を開拓する近道は、「売れる商品を開発する」のではない。「売れている商品をかつぐ」ことだ。もちろん、経営に余裕があれば、自社で「売れる商品」作りにチャレンジしても構わない。しかし、目先の業績を上げたいのなら、すでに売れている商品をかつぐほうが賢明だ。
そう考えると、新規顧客を開拓するには商品力が欠かせない。多くの営業担当者は自社の商品に思い入れが強いため、どうしても過大評価をしてしまう。だが、自社の商品力を過信せずに、客観的に判断しないと、顧客には受け入れられない。まずは自社の商品に、顧客が求めるような魅力があるかチェックしてみよう。
原則2:マーケティングとセールスを分離する
よく知られている話だが、マーケティング(見込み客を集める活動)とセールス(集めた見込み客を成約する活動)では必要とされるスキルやノウハウがまったく違う。両方できる営業担当者は、世の中にほんの一握りしかいない。そのような営業担当者が社内にいることを期待してはならない。人並みのスキルを持った営業担当者に成果を出してもらうには、マーケティング(集客)とセールス(成約)に特化させることが欠かせない。
マーケティング(集客)は会社の仕事だ。つまり、会社として見込み客を集める仕組みを作らなければならない。一方、セールス(成約)は営業担当者の仕事である(図1)。成約見込みの高い顧客を営業担当者の前に送り込めたら、そこからは営業担当者の仕事になる。このマーケティング(集客)とセールス(成約)の分業化ができていないと、顧客開拓の歯車がうまく回らない。