第五話「彼女のカタチ」 written by にゃっく
彼女の明太子はもはやひとつの生命体のようだった。
さきほどまで私の唇にあたたかな感触を与えていたはずが、
今は私のアイスキャンディーとご対面している。
ああ、俺はいつのまにこんな姿に。
そして彼女のそれはO(オー)のカタチになり・・・
わたしの、烈火のごとくもえたぎるアイスキャンディーをやさしく包み込んだ。
と、とろける!
さきほどの老婆とはワケが違う。
アイスキャンディーはまずはやさしく包み込む、そう、
あんなふうに上下に激しく動かすのはほんのたまにでいいのだ。
まったくあの老婆ときたら、私とミェーテルとの大事な時間の前に何を見せてくれているんだ。
そもそもあの老婆の口元といったら・・・・
「ごめん・・・すかんやった?」
彼女が下から見上げていた。
なんてことだ。なぁんてこった。
私のアイスキャンディはいつのまにかソフトになっておるではないか!
あの老婆のことを思い出してしまっていたせいだ。クソッ
「フレンチドレッシング、持ってきとるばってん、使うかいな?」
さすが彼女はプロだ。
私が出会った頃のようにと願っていることなどお見通しだったのだろう。
あの頃、私と彼女がひとつになるとき、そこには必ずと言っていいほどフレンチドレッシングがあった。
ツ・・と、彼女がフレンチドレッシングをゆっくりと垂らした。
はぃん!
「おいしそうなサラダがあるばい」
イヤン食べられる!恥ずかしいお!
よみがえる感触!
これだ!これだミェーテルゥゥゥ!!!
あの頃のままの2人、そしてフレンチドレッシング!
もう何もいらない!
そう思った次の瞬間、彼女が言った。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・海鮮サラダたいね」
私は・・・・おいしいサラダをイカ風味にしてしまった。
なんということだ、、、、
昔は彼女にタチロウとあだ名をつけられるほどのチロ・・いや、そんな問題ではない。
さっきまでソフトだった私のサラダがもう噴火しているのだ。
人としておかしいじゃないか。
しかしそういえば近頃の私はおかしい。
私を狂おしく苦しませる中学生のような夢、白昼夢、五反田さん・・・
そういえばあの日もそんな夢を見て机にまで涎をたらしていたような気がする。
そもそも私のこの博多行きも不自然なものだった。
そしてなぜ編集長はあの日急に私のことをタチロウと呼んだのか。
なにかが・・・・なにかがおかしい。
考え込んでいる私は、男として落ち込んでいる情けない姿に見えてしまっていただろう。
彼女は言った。
「でも、そげんあんたがいっちゃんすいとー」
やさしいじゃなイカ!
私は最大の謎に気づきかけていながら、本能のままに、また彼女の胸へ飛び込んだ。
次回、第四話「Round2」に続く
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最後のセリフがなければ、何かに気づけたかもしれないタチロウ。
おしかったネ!
次回登場する小道具、セリフなどが見える不思議な未来日記はコメント欄へ。
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さてさて、今回も、朝からキーワード3つ行くよ。
「憧れの2回戦」
「血と汗と涙の結晶」
「やっぱタチロウは、タチロウったい」
以上ですm(_ _)m
→じゃんぽけさん
今朝もはよからアリガトゴザマース!!!!
もうこの3つのキーワードでストーリーが見える気がするーーっやさしいわじゃんぽけさん^^
コバズンを混乱におとしいれるキーワードまだまだ募集~ww
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