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インドネシアのクラカタウ・ポスコ社製鉄所で起きた「爆発事故」の続報に関する問い合わせが多数あったので、現在のところ得られた情報をまとめました。別件で問い合わせがあった同社へのデモに関する記事もまとめてあります。

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機械が修復、ポスコの生産は再び正常に
2014年3月3日月曜日16時03分

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ジャカルタ-一時漏出事故が起こり、生産に支障が出ていたクラカタウ・ポスコ社製鉄所だが、故障した機械は2月上旬にすでに修復され、生産は再び正常に戻った。

クラカタウ・ポスコ社コーポレート・セクレタリーのクリスティ・F・カスグルは漏出事故を起こした機会は2月上旬にすでに修復されていると話す。「現在はすでに正常に稼働しています」とクリスティは3月3日月曜日、「KONTAN」の取材に答えた。

クリスティはまた、先月2月22日に工場から一時激しい爆発音が聞こえた点にも触れ、それは生産工程の一部であると話す。「砂袋に原料を流した時、水滴が中に閉じ込められていたため爆発が起こりましたが、故障や生産工程への支障は発生していません」とクリスティは語った。

クラカタウ・ポスコ社は2月28日までに4万トンの鉄を生産しており、その内訳はスラブ(訳注:製鋼の圧延工程の中間製品の一。厚板状の鋼片。鋼板・帯鋼の加工用素材)が3万3千トン、鋼板が7千トンとなっている。

漏出事故がなければ、クラカタウ・ポスコ社の生産能力は1日につき7千から8千トンとなる。同社は、製鉄所を毎日稼働した場合、1月の31日間と2月の28日間で最低でも41万3千トンから47万2千トンの生産が得られたと想定している。

クラカタウ・ポスコ社の年間生産能力はおよそ300万トンで、スラブと鋼板が150万トンずつとなっている。

クラカタウ・ポスコ社はすでに同社で生産された鉄鋼の買い手を得ていると認めている。それらの買い手は圧力容器タンクの原料とするための造船やインフラ業界に属している。クライアントはみな国内からであるとクリスティは説明する。

クリスティはまた、ドル為替レートの上昇は同社が原料を輸入に頼っているため、クラカタウ・ポスコ社の生産の負担になっていると認めている。

クラカタウ・ポスコ社の鉄鋼生産は主に、石炭、鉄鉱石、石灰岩という3つの原料から成り立っている。石炭と鉄鉱石に関しては、特殊な仕様が求められるため、ほぼ90%が輸入。残りの10%が現地生産となっている。石灰岩に関しては、国内生産が100%を占めている。

クラカタウ・ポスコ社は生産に関しては持ちこたえることができるとしているが、クリスティは生産負担の増加によって、どの程度の利益が上げられるかに関しては言及しなかった。

2014年3月3日火曜日「KONTAN」


クラカタウ・スチール、クラカタウ・ポスコから初めての鉄鋼供給を受ける
2014年3月9日8時38分

クラカタウ・スチールはクラカタウ・ポスコから初めてのスラブ(訳注:製鋼の圧延工程の中間製品の一。厚板状の鋼片。鋼板・帯鋼の加工用素材)の供給を受けた。これは3月にクラカタウ・ポスコから供給される80トンのスラブの一部となる。

この供給を持って、クラカタウ・スチールは同社が所有する生産ユニットの稼働率を最大限まで高めることができる。クラカタウ・スチール社のイルファン・ハキム社長は、同社は今後、年間最低百万トンのスラブの供給を受けると話す。これは2014年に同社が必要とするスラブの需要210万トンのおよそ50%に相当する。

「クラカタウ・ポスコからスラブの供給を受けることで、企業競争力の向上、生産費用の削減、そして迅速な販売が可能になります。また、以前よりもフレキシブルに受注に対応できるようになるでしょう」とイルファンは2014年3月9日日曜日、文章で回答した。

イルファンはまた、今回のスラブの供給によって、国内鉄鋼産業の大きな不安要素となるルピアの対米ドル為替レートの変動という問題を克服することが可能になると話す。

「この事業間シナジーによって、インドネシアの産業の発展が促進されるはずです。鉄鋼生産は各種産業の基礎となる需要であるからです」とイルファンは述べた。

また、鉄鋼業界がエネルギー、港湾、工業団地などの様々なインフラ施設を必要とすることを考慮すれば、国内のインフラストラクチャーの発展にもつながる。

複数の子会社を通じて、クラカタウ・スチールは今後も鉄鋼生産の拡大と成長を支援するために周辺のインフラストラクチャーの向上を図る。

<訳注:以下、インフラ構築に貢献するクラカタウ・スチール社子会社の話が続くため割愛>

2014年3月9日8時38分「Liputan6.com」

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クラカタウ・ポスコの粉じん、周辺住民の脅威に
2014年3月7日金曜日12時11分

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写真:3月6日水曜日、クラカタウ・ポスコから飛来したと考えられる鉄粉を示すチガディンの住民。自宅の庭で採取。

チレゴン-チワンダン地区の住民数百名が呼吸器官の健康障害の危険にさらされている。クラカタウ・ポスコ社の工場から出た鉄鋼の溶解や焼却の際の煙が終日、近隣住民の住宅を覆っているからだ。

チガディンに住むハスビによると、クラカタウ・ポスコ社製鉄所から排出された粉じんや煙が周辺住宅へ流れてきており、最も懸念されるのは子供たちの健康であるという。「ポスコから排出された粉塵はまるで鉄のようにピカピカしています。この埃が近隣に暮らす私たち、特に子供たちの健康に悪影響を与えることは明らかです。呼吸器官への悪影響の他に、かゆみの原因にもなります」とハスビは3月6日木曜日、自宅で「Banten Raya」の取材に答えた。

クラカタウ・ポスコ社での製鉄生産はすでに開始されているとハスビは付け加える。だが、その後、製鉄工場から排出された粉塵がここ数日になって初めて感じられるようになったという。「ここ3日ほどのことです。以前は普通の埃だと思っていたのですが、よくよく見てみるとおかしな点に気が付きました。まるで鉄のような埃だったからです」とハスビは付け加えた。複数の住民がすでに工場側へ不満を訴えていますが、よくあることだという対応だったとハスビは強調した。

これに関連して、チガディン地区の住民は、現在クラカタウ・ポスコ社が行う製鉄生産への抗議活動を実施する。「私たちは先ほど彼ら(編集部注:クラカタウ・ポスコ)と話し合いの場を設けましたが、彼らは技術的な問題だと言うばかりで、それ以上の説明はありませんでした。できることなら、明日(編集部注:金曜日)にもクラカタウ・ポスコ社の前でデモを行ない、一時的な操業停止を求めたいと思っています」とハスビは語気を強めた。

周辺住民のひとりであるムリスは同じ場所で、クラカタウ・ポスコ社に対して同社から排出される粉じんが周辺住民の健康に害を及ぼさないように、解決策を見つけるまでの操業停止を訴えている。「クラカタウ・ポスコ社の鉄鋼生産が数千トンに達することは私たちも理解していますが、私たちが得た情報では、彼らは十分な収容施設を持っていません。これに関して、住民側はクラカタウ・ポスコに対して、近隣住宅へそうした埃が飛来しないよう、十分な収容施設を作ることを求めています」とムリスは語った。

一方で、クラカタウ・ポスコ社のコーポレートセクレタリーであるクリスティ・F・カスグルはそうした住民の不満に対して、企業側はすでに周辺住民と話し合いの場を設け、そうした状況は日常的に発生するものではないと説明したとコメントしている。「それはすでに冷却した液状の鉄を粉砕する過程でのみ発生することです。一時的なものであり、生産が正常になれば、今回のような出来事は今後発生しません」とクリスティは語った。

2014年3月7日金曜日「Banten Raya」


クラカタウ・ポスコへのデモで騒動
2014年3月8日10時40分

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写真:3月7日金曜日、クラカタウ・ポスコ社のゲートで行われた住民数千人が参加したデモの様子

スラン(SERANG)-3月7日金曜日、数千人のチワンダン市民が周辺の環境を汚染したとして、クラカタウ・ポスコ社の操業停止を求めてデモを行なった。このデモはクラカタウ・ポスコ社の正門と鉄鋼校以上の東ゲートの2カ所で行われた。

「Banten Raya」の現場取材によると、14時30分頃にデモ参加者数千人を乗せた35台のトラックが到着した。この数字にはデモに参加するために次々と入れ替わり訪れたバイクや自動車の数は含まれていない。演説および企業と警察当局との交渉を行なうと、住民たちはクラカタウ・ポスコ社の担当者と話し合いを持つように求められた。およそ12名が住民を代表して同社に敷地に足を踏み入れた。

だが、この12名の代表者と行なわれた話し合いが長引いたため、クラカタウ・ポスコ社のゲート前で待機していた住民の一部が我慢しきれなくなり、ゲートを押すなどの無秩序な行動を始めた。彼らの行動に収拾がつかなくなり始めると、道路を警備していた警察当局の数百名と住民との間で小競り合いが起こった。結果として、扇動者とされた複数の住民が身柄を拘束された。

幸いにも、この警察当局との騒動は収まり、再び落ち着きを取り戻した住民たちは話し合いの結果を待った。チワンダン住民のシハブディン・シディックは今回の住民の訴えは周辺の環境を汚染するクラカタウ・ポスコ社の敷地内から排出された鉄粉が原因であると話す。周辺住民は鉄粉の影響が今後、呼吸器官の病気や皮膚病などに拡大することを懸念している。「私たちの訴えは非常にシンプルなものです。私たちが望むのは、クラカタウ・ポスコ社から排出された鉄粉が2度と周辺の環境を汚染しないことです。これは明らかに私たちの健康や周辺環境への脅威となっているからです」とシハブディンは語った。

シハブディンによると、クラカタウ・ポスコ社の担当者と住民代表の話し合いの結果、今後ホコリを受けた周辺住民への医療サービスが実施、拡散したホコリの除去およびクラカタウ・ポスコ社は緑化とホコリ除去のネットを設置することになったという。「しかし、ポスコの担当者によると、さらに大きな危険が予想されるため生産機械の停止は行わないといいます。企業側は三月末までに完全なホコリの除去と対応策の実施を約束しました」とシハブディンは説明した。

シハブディンは、仮にクラカタウ・ポスコ社が合意を守らず、鉄粉が周辺の住宅に蔓延するのであれば、住民側は法的な措置に訴えると強調した。「私たちは法的手段をとることになるでしょう。刑事告訴も検討しています」とシハブディンは語気を強めた。これに先立ち、ポスコ・クラカタウ社のコーポレート・セクレタリーであるクリスティ・F・カセグルは今回の騒動に関して、企業側はすでに周辺住民と話し合いの場を設け、そうした状況は日常的に発生するものではないと説明したとコメントしている。「それはすでに冷却した液状の鉄を粉砕する過程でのみ発生することです。一時的な性質のものであり、生産が正常になれば、今回のような出来事は今後発生しません」とクリスティは語った。

一時的なものではあるが、クラカタウ・ポスコ社はすでに風に乗って周辺地区へ運ばれた鉄粉の影響を最小限に抑える措置を講じているとクリスティは話す。「当社でも今後、周辺住民への健康診断を実施する予定です」とクリスティは強調した。

2014年3月8日10時40分「Banten Raya」

※以下の見出しと写真は「Bidik Bante Online」より引用。
数千人規模のデモ、ポスコ社のフェンスを破壊


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ポスコ社へのデモ、住民数千人が工場の操業停止を要求

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鉄粉がチマンダンを汚染、住民数千人がクラカタウ・ポスコの閉鎖を要求
2014年3月7日金曜日19時59分

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チレゴン市チマンダン地区の住人およそ千名が3月7日金曜日正午、クラカタウ・ポスコ社の第1および第3ゲート前でデモを行なった。このデモはインドネシアと韓国の合弁企業である同社から出た鉄粉がこの3週間にわたってチマンダン地区の大気を汚染した結果として実施された。(訳注:以下、省略)

2014年3月7日「Berita Cilegon」

デモの概要は上記の通りです。ただし、参加人数については「数十人」と記すソースもあります。以下の記事の見出しと写真の引用は全て「Radar Banten」から。

鉄粉に悩む住民、クラカタウ・ポスコ社でデモ
2014年3月7日14時35分
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写真:クラカタウ・ポスコ社でのデモに参加した住民

チレゴン-チマンダン地区クバンサリ村の住民が2014年3月7日金曜日、クラカタウ・ポスコ社に対してデモを行なった。数十人の市民がデモを行なった背景には、同社の製鉄工場から出た鉄粉が周辺住宅に飛来し、住民の病気の発生が懸念されていることがある。


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住民側、クラカタウ・ポスコ社経営側と調停へ
2014年3月7日15時15分
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チレゴン-チマンダン地区のクバンサリとトゥガル・ラトゥの住民が2014年3月7日にクラカタウ・ポスコ(KP)社で行なったデモは現在も続いている。「Radarbanten.com」の取材によると、KP社は同社の社屋で調停を行なうために住民の代表数名を招き入れたが、メディアの立ち入りは許可されなかった。地元有力者と数名の主婦からなる十数名の代表団がこの調停に参加している。


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クラカタウ・ポスコから出た粉じん、まるでガラス粉
2014年3月7日15時43年

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地方議員4名もクラカタウ・ポスコへのデモに参加
2014年3月7日15時50分

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【管理人コメント】
新たな「事故」が発生したとの続報は現在のところありません。上記で紹介した記事を読む限りでは、製鉄所自体は現在すでに稼働しているようです(稼働率は不明)。デモの人数に関しては「数千人」「およそ千人」「数十人」とソースによって差が出ていました。続報があれば追加したいと思います。

なお、翻訳のリクエストは常時受け付けていますので、関連情報等をお持ちの方は下記の宛先までお気軽にご連絡ください(返信を希望される方はツイッターまでお願いします)。

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※以前に起きた「爆発事故」の詳細に関してはこちらの記事を参照して下さい。

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