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2014年11月19日付けコンパス紙社説「日本の不況から学ぶ教訓(Pelajaran dari Resesi Jepang)」の翻訳です。日本の二四半期連続のマイナス成長を念頭に、日本の不況からインドネシアが学ぶべき教訓について論じています。

社説:日本の不況から学ぶ教訓
コンパス(2014年11月19日)

二四半期連続のマイナス成長によって、世界第3位の経済大国である日本が不況に沈みこんだ。

この景気の低迷は驚くべきものだった。この事態を予測した金融機関がひとつもないことがそれを物語っている。主要20カ国・地域首脳会議(サミット)ではG20グループ全体の成長率を2.1パーセントと予測し、日本はその成長源のひとつとなっていた。日本経済は実のところ第二四半期において2.1%の経済成長を期待されていた。

日本の安倍晋三首相は2年前に政権を取り、日本経済の回復を約束した。2013年初頭には日本銀行を通じた大規模な金融緩和、政府支出の増大、および経済改革が一体となったアベノミクス政策を打ち出した。この政策は20年にわたるデフレを経験してきた日本経済の成長促進を目的としている。

アベノミクスによる円安をきっかけに日本経済は持ち直し、結果として日本の輸出競争力は向上した。日銀の景気刺激によって金融市場にも活気が生まれた。

順調とされた経済成長をもとに、安倍首相は今年4月、先進国最大という巨額な国の借金を減らすべく消費税を5パーセントから8パーセントへ引き上げた。日本政府は前政権が残した法案を通じて、2015年10月には再度、消費税の10パーセントまでの引き上げが義務付けられている。しかし、消費税の引き上げによって国民が支出を控えた結果、経済はマイナス成長に落ち込んだ。

日本の実質国内総生産はマイナス7.3パーセント記録した4-6月期に続いて、前期比年率換算で1.6%減となった。7-9月期の実質個人消費は0.4パーセント増、民間設備投資は0.2パーセント減となった。

安倍首相は国内で容易ならざる選択を迫られている。一方では成長を求めることでモノやサービスの需要を安定させ、消費者および企業の信頼に応えるべきだとする声があり、他方では消費税を引き上げることで財政の安定に対する日本の公約をきちんと示すことができると見る向きもあるためだ。

日本の不況の脅威からは、経済成長とは全国民が享受できるものでなければならないとの教訓が得られる。円安誘導政策は輸出企業の利益を押し上げたが、それが賃金の上昇という形で国民に還元されることはなかった。金融市場の活況を享受したのはわずか20パーセントの国民に過ぎない。日本国民の大半は消費税の引き上げによって、生活がさらに苦しくなったと感じている。彼らは再び節約を余儀なくされた。

こうした状況は、政府が助成金の削減を行ない石油燃料価格を上昇させた時にインドネシアでも起こり得るものだ。もし仮に満足いく賃金の値上げや新たな雇用機会の創出などの補償が行なわれなければ、経済成長全体に影響を及ぼす国民の購買力が失われるだろう。

Kompas, Rabu, 19 November 2014
Tajuk Rencana: Pelajaran dari Resesi Jepang