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2012年7月

腸管出血性大腸菌の堆肥から植物体への移行について

前エントリーにおける摂津国人さんからのコメントに対し、職場で調べてみたところ、少しわかったことがあったので、返答もかねて簡単にエントリーにしてみた。ほとんど検索で見つけたので、リンク集に近いものになりました。

牛ふん堆肥での大腸菌の残存についてネット検索してみたところ、以下のような記事が見つかりました。「牛ふん中の病原性大腸菌O-157含有実態調査(PDF)」。独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)が公表している「肥料の安全性に係る情報提供」という資料の1つです。これによると、原料となる牛ふん中には大腸菌が検出されたものの、きちんと発酵して、60℃以上に発熱したものについては製品としての堆肥には大腸菌が検出されなかったとのことです。遺伝子検査では一部製品から検出されたものもあったようですが、菌そのものは検出されておらず、また検出された事業所においては原料と製品について同じ重機を使っていたためではないかとのことです。

また、発酵熱が不十分であることが懸念される場合でも、北海道畜産試験場において石灰窒素の添加による大腸菌の抑制試験が行われ、成果を上げているようです。

また、宮崎県総合農業試験場・土壌環境部で行われた大腸菌を接種した牛ふん堆肥を用いた試験において、大腸菌は植物体には移行しないとの報告もなされています。

ですから、質の悪い未発酵の牛ふんを使用していない、また原料と製品に同じ重機を使用していない限り、仮に有機栽培が牛ふんを好んで使用していたとしても慣行に比べてリスクが大きいとはいえないと思います。もし、有機栽培のリスクが大きいと主張するなら、疫学的調査を行うしかないのではないでしょうか。殺菌剤による差が出ないとも言い切れませんので。しかし、大腸菌が土中の堆肥から植物体に移行しないという報告もあったことですし、普通は気にすることはない、というのが結論ではないでしょうか。

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