数十年ぶりに恵比寿を探索する
攻殻機動隊のエピソードの一つに「擬似体験ってどういうことです?」というエピソードがある。ハッカー人形遣いによって記憶を改ざんされた清掃員の記憶にあった、浮気した妻と出て行った娘の存在そのものが植え付けられた偽の記憶であり、清掃局員本人は結婚したことのない独身男だったというもので、ネットでもコラージュ・パロディ素材によく使われているので知っている人も多いだろう。
なぜ唐突にこんなことを書いたかというと、今回数十年ぶりに昔働いていた恵比寿に当時の同僚だった友達と遊びに行ったのだが、話してみると当時自分が通っていたと思っていた恵比寿ガーデンプレイス側にはオフィスはなく、全く反対側の広尾側が本当のオフィスがあった場所だったことが判明したからである。
今回は数十年ぶりに昔の職場のあった辺りが今どうなっているか見に行ってみるというのが趣旨の一つだったのに、肝心の当時の自分の記憶自体が存在自体が怪しいものだったのは、まるで攻殻機動隊の中に出てきた清掃員になったような気分だった。朝、遅刻しそうになってガーデンプレスに向かう動く歩道を駆け足で走ったり、まだ家にエアコンが無かったので休日に涼みにわざわざガーデンプレイスの喫茶店に行った記憶はなんだったんだろうか。
そんなわけで前置きが長くなってしまったが、およそ20年ぶりに恵比寿のガーデンプレイスに行ってきた。当時からどう変わったかに加えて、通勤していたにも関わらず一度も行ったことのない東京都写真美術館や近年出来たサッポロビールのミュージアムYEBISU BREWERY TOKYOをこんどこそ攻略しようと思ったのである。
そこで冒頭に書いた驚くべき事実が判明した訳だが、それは別にして久しぶりに行ったガーデンプレイスは楽しかった。相変わらず体温よりも気温が高い日だったが、その中で冷房の効いたガーデンプレイスのショッピングモールやミュージアムを歩き回るのは快適な上に運動不足解消になるのもありがたい。ついつい楽しくて写真を取り忘れたが、ガーデンプレイスだけでも思ったよりも見るところが多く、ここだけだと退屈するかとおもっていた当初の懸念に反してほぼ半日歩き回っていた。今回は真っ昼間な上に熱中症の懸念からサッポロビールのミュージアムやビアホールがあるにも関わらずビールを飲むのは控えめにしていたが、もう少し涼しくなったら今度はビールを飲みにまた行ってみたいと思っている。
それにしても当時、自分が通っていたつもりだったガーデンプレイスの仕事先と時期は本当はあったのだろうか?
実は存在が怪しい幻の記憶にはこの他に大学時代に友達の女の子たちと遊園地のプールに行ったというのがあるのだが、それについてはまた別の機会に書いてみたい。
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