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2024年12月17日

私の知らないテンソクの世界

今日は「週刊新刊全点案内」2386号の発行日です。
掲載件数は1086件でした。

*こんな本がありました*

「昆虫展足の世界」

福井敬貴 小林一秀(著)
STRAIGHT メディアパル(発売) (2024.12)

テンソクと聞いて思い浮かんだのは、足を大きくしない風習でしたが、もちろんその纏足とは全く関係ありませんでした。

展足とは、昆虫標本を作る際に無数の針を使いポージングをしていく技術のこと。(展脚とも言うそうです。)
なんでも「日本人の展足への拘り・技術は独特の文化をかたち作っており世界的に見ても異質なもの」(メディアパルHPより)だそう。
その芸術性と技法、処理前後の変化などが、美しい写真とともに紹介されています。

昆虫標本を作ったことがないため、この本で「展足」という言葉に出会うまで、標本作成時にここまで緻密な作業が必要だとは思っていませんでした。
確かに、極力見た目のいい個体を選んでいるとしてもあんなに美しい姿勢で息絶えている虫がいるわけないですよね...。

世の中には知らない世界たくさんがある!と思えるのも本を手にする醍醐味。この本を傍に置いて実際に私が展足の作業を行うことは、おそらくこれから先無いかなと思いますが、とても面白い世界を垣間見ることができました。

2024年12月16日

「水かけ論」にはあらず ― 和漢古書の書名の漢字:「注」「箋」

前回まで「経」と「伝」について見てきました。それら経伝本体に対して、後人が行った注釈が「注」になります。
「注」はもちろん「液体をそそぐ」というのが本義で、「注釈」の意味で用いるのは、いわゆる仮借(かしゃ)による用法ということになります。長澤規矩也著『図書学辞典』では「水をかけて、固い地面をやわらかにするように、難しい本文の意味を易しくすること。」(102p)と説明されています。
「註」の字を使っていることもありますが、これは言葉にかかわることだからということで後代になって用いられるようになった文字です。第二次大戦後の国語改革における「同音による文字の置き換え」のひとつとして、「註」はすべて「注」に置き換える、ということになったので、他の事例と混同して時々勘違いされることがありますが、「註」のほうが正しく「注」は当て字だ、といったことはまったくなく、「注」のほうがむしろ由緒正しいのです。

中国の伝統的な学問というのは、基本的にほとんどが古典に対する注釈ですので、「~注」「~附注」といった書物は、経書以外に対するものも含め、それこそ山のようにあります。「新注」「秘注」「詳注」などとアピールポイントとなる形容語句を冠しているものもありますし、いろいろなひとの注を集めたという場合は「集注」「会注」「纂注」といったぐあいになります。「音注」「訓注」など、何についての注をつけているのかを限定して示している場合もあります。
和漢古書において、基本的に注というのは割注の形式で入れられますが、頭注を附している場合もあり、そのことを強調する場合は、「頭注~」「冠注~」「標注~」といった書名をつけます。「標」は『説文解字』には「木杪末也」とあり、「こずえ」ということから「高くかかげた目じるし」ということで、「標識」「標目」などの語と同じくこの字が使われます。
なお仏教では、経や論の本文を解釈する際、わかりやすく文意をたどるために、各段や節を短い言葉にまとめてそれらを線でつないで示す「科文(かもん)」というやり方がありますが、これによる注釈を上層などにつけた「科註〇〇」といった仏教書もあります。

「注」と同様に使われるものとしては、「箋」という文字があります。ほんらいの意味としては、『説文解字』に「表識書也」とあり、書物のあいだに挟んだり付けたりする貼り札・付け札のことですが、『毛詩』に後漢の大学者・鄭玄(じょう・げん)がつけた注釈が「箋」の字を使っており、「注」と同じように扱われます。「〇〇箋」というほか、両者を重ねて「~箋注」といったり、「箋」を集めたという意味になる「~会箋」といったりするタイトルの書物があります。
なお、鄭氏は三礼(周礼・儀礼・礼記)にも注をつけていますが、こちらはみな「注」としており、詩経の注だけに「箋」を使っています。『十三経注疏』のセット全体でも「箋」を使っているのは、この「鄭箋(ていせん)」だけになります。

2024年12月12日

時計の読み方

今月の雑記テーマは「時計」です。

子どもが小学校に入学して初めての懇談会で、先生からお願い(脅し?)がありました。「小学校のカリキュラムでは時計の読み方は2時間もやりません。学校だけでは足りません。今の時期からご家庭でのフォローをお願いしますね」

突然の話にうわーとなりました。数字の「6」が「30分」だなんて説明できる気がしません。間違いを指摘されると怒るタイプの子だったこともあり困ったことになったと思いました。...が、その後日常に紛れて忘れているうちにいつの間にか「〇時」「〇時半」が読めるようになり、「10分」や「50分」が分かるようになり、年を越すころには「7時43分」などもしっかり読めるようになりました。60進法でつまずかない子どもならではの柔軟な頭と、学校での日々の指導のおかげだと思います。教室の時計の周りにぐるっと時間を書いた飾りが付いていたので、それを指しながら時間を意識するようにしてくれたのだろうと想像します。日本の学校教育ありがたし!です。

2024年12月11日

きょうのデータ部☆(12/11)

今月の「きょうのデータ部☆」は、私にとってのデータ部必需品を紹介します。

2つ目はこちら!


p20241211.jpg

万が一倒して見本の本を汚してはいけないので、
蓋つきの飲み物のみ机の上に置いてもOKです。
図書館みたいですね。

めっきり寒くなってきたので、温かいお茶が美味しいです。

2024年12月10日

生き物たちの声

今日は「週刊新刊全点案内」2385号の発行日です。
掲載件数は1044件でした。

*こんな本がありました*


「饒舌な動植物たち ヒトの聴覚を超えて交わされる、クジラの恋の歌、ミツバチのダンス、魚を誘うサンゴ」

カレン・バッカー(著)
築地書館(2024.12)


犬は耳がよくて人間が聞き取れない音にも反応する、なんてことがよく言われますが、犬どころではなく、人間が感知できない音を聞き取ってコミュニケーションを取り合う生き物がこの地球上にはたくさんいるそうです。
超低周波音を発するのはゾウやクジラ。
そして、氷河や竜巻、火山といった地球そのもの。
逆に、高周波の超音波音を発するのは、コウモリ、ハツカネズミ、クワガタムシなど。
トウモロコシやサンゴなんかもこの超音波音を発しているといいます。

人間以外が発している、これまで知ることのできなかった音の世界を紹介するのがこの本です。
人間には聞くことのできない音の世界を紐解くと、生き物...動物のみならず植物も含めた生き物たちの、複雑なコミュニケーションが明らかになってきます。

高齢者は聞こえないというモスキート音も超音波の一種。
子どもには聞こえる音が年をとると聞こえなくなるように、過去の人類はもしかしたら、現在の人類が聞き取れない音を聞き取り、生き物たちのコミュニケーションに参加できていたのかもしれません。
想像するとロマンがありますね。

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