文献調査の前準備「用語を知る」

卒業論文、修士論文の提出時期にもよりますが、1〜2月に提出だとしても、そろそろ文献調査を完了させないとまずい時期になってきております。B4およびM2のみなさまにおかれましては文献調査の進み具合はいかがでしょうか?

とはいえ「やり方わかんねぇよ」「調べたけど全然文献がヒットしねぇよ」という方もいらっしゃると思います。論文自体を調べる方法は、各種論文データベース(Web of Knowledge、SCOPUS、CiNii Books、Google Scholar)で検索すれば一発になってきました。

ただし、そもそも何のキーワードいれたら自分の探したい分野の論文が見つかるのか?これは結構難問です。そこで、私の探し方をいかにご紹介します。たいして独創的ではありませんが。

自分の所属研究室の卒業論文、修士論文、博士論文を読む

自分の研究テーマと近い卒業論文、修士論文、博士論文を読み用語を抜き出すのが一番楽です。用語の重要性(その論文ので扱っているテーマとの一致度)は、以下のとおりです。

  1. タイトルに登場する
  2. 概要に登場する
  3. 第一章(はじめに、序言)に登場する and 最終章(おわりに、まとめ)に登場する
  4. 本文に登場する

このとき、日本語だけでなく英語(あるいは他の言語)で、その用語を表すのかもメモしてください。卒業論文や修士論文、博士論文のテーマそのものでなく、その論文で道具として使用している概念やアイデア、技術がご自身のテーマと関係ある場合は、その該当節だけを読めば十分です。

百科事典の当該項目を読む

百科事典(encyclopedia)は、多くの場合、その分野の第一人者が執筆しています。自分の知りたいことをぴったりと知るにはうまく使えませんが、その項目・分野の専門用語を仕入れる目的では非常に役に立ちます。どの大学図書館、地方自治体の公立図書館にも1つか2つの百科事典はおいてあるはずですから、それの関連項目を読んでみましょう。

百科事典は自分が探す分野に特化していれば特化しているほど、的確な専門用語が手に入ります。たとえば、人工知能の分野についての用語を手に入れたいならば、平凡社の世界大百科事典を使うよりも、人工知能学会編の人工知能学事典の方が適切です。もし、身の回りに専門分野に特化した百科事典があればそれを使いましょう。

このとき、日本語だけでなく英語(あるいは他の言語)で、その用語を表すのかもメモしてください。そして、百科事典の場合は、その項目の執筆者自身が専門家ですから、その人の名前もメモしておき、文献調査の起点に使いましょう。

Wikipediaを使う

みんな大好きWikipediaも、百科事典の一つです。ただし、執筆者が必ずしも専門家とは限りません。Wikipedia自体を出典の根拠とするのは、まだ時期尚早ですが、Wikipediaを文献調査の起点とするのはうまい方法です。

Wikipediaのメリットはどこにあるかというと、各国語版にリンクが張ってある点にあります。まずは、日本語で思いつくままに自分のテーマと関係有りそうな用語を検索してください。そして、各項目を読んでみて本当に関係あるかどうかをチェックしてください。もし、関係有りそうだと思ったら、英語およびそのテーマにおける標準言語のページに飛んでください。そして、がんばって内容をチェックします。そうすると、自分が探したいテーマにおける専門用語をそのテーマの標準言語でどう表現するのかを収集することができます。

また、よくまとめられているページには出典や参考文献が列挙されていると思います。これも文献調査の起点として利用しましょう。さらには、そのテーマや分野の重鎮(第一人者)の名前が載っているいることがあります。それも利用しましょう。

教科書を読む

まったくの異分野の場合、百科事典を使うことすら難しいかもしれません。その場合は、複数の大学のシラバスで自分のテーマが属しそうな講義を探し、そこで指定されている教科書を流し読みしてください。複数の講義で同じ教科書が指定されている場合、その教科書は定番教科書である可能性が高いです。Amazonでその教科書を検索してください。版数が2ケタ言っているならば、間違いなく定番教科書です。安心して読みましょう。売れない専門書が版を重ねているというのはそれなりに理由がありますから、本の信頼性を測る一定の指標になります。

教科書の読み方は、論文の読み方をどうぞ。