日銀が日本版「ノーベル経済学賞」を設立

日本銀行は、「経済学日本銀行賞」を新たに設立することを決定した。現在は経済学の成果に与えられる国際的な賞としてノーベル経済学賞が既に世界的な権威を確立しているが、日本人の受賞者はまだいない。今回の新しい賞の設立の裏には、そうした欧米主導の経済学の状況を打開する狙いがありそうだ。
ある日銀関係者は、「一般に『ノーベル経済学賞』と呼ばれている賞の実際の名称は『アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞』であり、スウェーデンの中央銀行の賞に過ぎない。スウェーデンより経済大国である日本の中央銀行が設立した賞ならば、その権威は必然的にそちらよりも上になる」と設立の意気込みを語る。また別の関係者は、「ゼロ金利政策や量的緩和政策など、日銀の金融政策は近年の世界の金融政策において先駆的な役割を果たしてきた。今回の賞の設立は、そうした先駆性に改めて世界の目を向けさせる良いきっかけになるだろう」と述べると同時に、「実際にそうした先駆的な金融政策の業績を強調するために、名称を『速水優記念経済学日本銀行賞』とする案もあった」と舞台裏を明かす。
受賞候補としては、ジョン・テイラー・スタンフォード大学教授やグレゴリー・マンキュー・ハーバード大学教授の名が挙がっている。かつて日銀を厳しく批判したポール・クルーグマン・プリンストン大学教授の論敵であることが、両氏が有力視される大きな理由の一つだ。ただ、「2000年代前半に日銀が既に無効性を実証したインフレ政策を、2009年の段階になって唱えたことでマンキュー教授は外されるのではないか」との見方もある。また、経済学のみならず原子力政策について活発な発言を続けている日本の経済学者が候補に挙がっている、との観測も出ている。
ある政府関係者は、経済学日本銀行賞は「孔子平和賞と共に、アジア発のノーベル賞への対抗の動きの一環を担うことになるだろう」と述べ、欧米への対抗という観点から新賞に期待を寄せている。